Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

もみじ

2007/12/05 08:56:00
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あらすじ

 そのときヤギに電流走る






   パンパンパン


「椛さーん、椛さーん?」


 犬走 椛は白いふさふさとした耳と尻尾が自慢の白狼天狗である。
 生真面目で、与えられた仕事は一生懸命にこなす妖怪には珍しい性格をしている。
 妖怪社会では珍しく、天狗社会では珍しくもない。


「はい、なんでござるか、文様?」


 鴉天狗の射命丸 文は処構わず写真を撮る悪癖はあるものの、面倒見がよい。
 部下もよく可愛がり、気さくで飾らぬ性格であったから、皆に慕われていた。
 椛も当然の如く、そんな射命丸 文のことを敬愛していた。
 おてんばで評判の恋娘と結婚したと聞いたときは少しばかり泣いたものである。


「少し用事を頼みたくて。ああ、でもその前に」
「あぅん?」
「椛さん……お手!」
「わ、わう!」
「お座り!」
「わぅ!」
「待て!」
「わぅ!」
「伏せ!」
「わぅーん♪」



「ちんちん!」



「わ、わぅ……」
「椛さん、ちんちん!」
「あ、あぅ、あの、文様……」
「あら、どうしたんですか、椛さん?」
「そ、それがし、その」
「お気に召しませんでしたか、ちんちん?
 それともできませんか、ちんちん?
 ああ、ひょっとして、なにかいやらしいことでも考えました?」
「え、あ、あの、く、くぅん……」
「うふふ、椛さんたら可愛い顔してけっこうえっちでらっしゃるんですねえ?
 私は芸として言っただけなのに、まさかそんな……あらあらうふふふふふふ……♪」


「………あ、文様の」
「も、椛さん?」



「文様のエロス天狗! Mrカラテー!」
「せっけんやっ!?」



 そんな椛ではあるが限度もある。横暴な上司のパワハラには覇王翔吼拳も使わざるを得ない。
 華麗なる極限流弾幕一閃、上司に超必殺技を伝授してべそをかきながら家出をすることもそう少なくはない。

 さて、天狗の犬走 椛が家出をするとなると行くところは決まっている。
 妖怪超弾頭、河城にとり。通称、谷かっぱのにとりの家である。
 ちなみに、何が超弾頭なのかは誰もポロロッカ知らない。
 ポロロッカとは河童のスラングで、物事を大袈裟にするときにつける形容詞である。


「文様はひどいんでござる……」


 にとりと椛は大変に仲がよい。大将棋の打ち仲間を超えた、親友の域である。
 人見知りで悩むにとりの相談を快く椛が聞いてやり、椛の家出をにとりが手伝ってやる。
 持ちつ持たれつの麗しい友情の一幕は、やはり椛の毎度の一言で始まった。


「また大きな天狗様?」
「でござる……」
「ううーん、またかあ」
「文様はそれがしを何だと思っているんでござろう……」


 しょげかえった椛は自慢の耳も尻尾もしょんぼりとうなだれさせた寂しい姿である。
 そんなとき、にとりは手にしたがまの穂をそっと椛の前に差し出し、振ってやる。
 すると椛は反射的に手でぱしぱしとがまの穂を叩き、心を和ませるのである。


「(……かわいいわんこじゃないかなあ)」
「……にとりどの?」
「ああ、な、なんでもないよ!?」


 親しき仲にも礼儀あり。言ってはいけないこともある。
 いつものようにがまの穂で遊んでやるにとりではあるが、今回はなかなか耳と尻尾が立たない。
 塵も積もれば山となる。毎度毎度のことも積み重なると大問題である。
 そろそろパワハラへの切り札を用意して、終止符を打ちたいところではあるが。


「わぅ、わぅ、わぅ……」
「(……大きい天狗様の気持ちも分かるからなあ)」


 なにせ当の椛が犬可愛いのである。由々しい。
 しかし、いつも親身になって自分の相談に乗ってくれる大親友である。
 にとりとしても抜本的な解決を図って、日々を安心して過ごせるようにしてやりたい。


「うーん。あ」
「くぅ? どうしたでござるか?」


 なにかいいアイディアは、と部屋の中を見渡したにとり。
 目に留まった八坂神社特製オンバシラモニュメントを見て思いついた。


 古今東西、困ったときは神頼みである。
 さっそく二人で八坂神社の神奈子様に相談しに行った。




「――――それは由々しいね」


 ところ変わって八坂神社。
 本殿の賽銭箱の前に浮んだ八坂 神奈子様は椛の詳細な説明を聞いて、しみじみとそう言った。
 何が由々しいかと言うと全てが由々しい。主に鴉天狗のパワハラの仕方とか。
 そのパワハラを真に受ける白狼天狗の性格とか。由々しい。


「何かよい知恵はないでござろうか?」
「ふぅーん………」


 神奈子様としてはすでに気力がガタガタの状態であったが、相談を受けたからには答えないわけにはいかない。
 適当にあしらって帰せば神社の信用が地に落ち、二人の可愛い家族に苦労をかけてしまう。
 何より、じぃっとつぶらな目で見上げてくる河童と白狼天狗の視線が痛い。
 河童は例によって人見知りをし、境内の柱の一本の後ろに隠れているが、視線はしっかりと感じられた。
 神奈子様は神様である。頼られるとそれに答えたくなってしまうのが、神様というヤツだ。
 困っている夜雀が居れば、たとえ寒空の下であっても川に飛び込んでうなぎも獲ろうものである。
 どうしたものか、と腕組みをしたとき、境内の裏でけろけろと蛙の鳴き声がした。


「ふむ」
「何かよい知恵が?」


 ひとつ手を思いついた神奈子様は、椛に一言、助言を与えてみることにした。




   パンパンパン


「はい、なんでござるか、文様?」
「この前はすみません、椛さん」
「いえいえ、気にしておらぬでござるよ」
「それはよかった。いえ、あまりにも……」
「あぅん?」
「ああ、その無邪気な顔が私の心を掻き乱す……!」
「あ、文様?」
「いえ、あまりにも、その、ちんちんと聞いて照れる椛さんが可愛らしくて……」
「あ、文様!?」
「椛さんお手!」
「わ、わん!」
「お座り!」
「わん!」
「お回り!」
「わぅん!」
「伏せ!」
「わぅーん♪」


「ちんちん!」
「あぅ………」
「椛さんちんちん!」
「く、くぅん……」
「おやおや、椛さん、どうしたんですか?
 またですか? もうこの前わかったばかりじゃないですか。
 それなのにまたそんなに照れて………椛さんったら、んもうホント――」


「……文様」
「はい? あ、そ、そんな拗ねた上目遣いでは私は負けませんよ?」




「―――――あんまりセクハラばかりだと、チルノどのに言いつけるでござるよ……?」
「もうしませんので許してください」



 空中でのそれはそれは見事な土下座であったという。
 いつの時代も、旦那さんはお嫁さんには勝てないものである。
しゃめいまるー!!
じょにーず
コメント



1.卯月由羽削除
  ___ _
  ヽo,´-'─ 、
   r, "~~~~"ヽ
   i. ,'ノレノレ!レ〉
 __ '!从.゚ ヮ゚ノル ちんちんと聞いて飛んできました
 ゝン〈(つY_i(つ  
  `,.く,§_,_,ゝ,
   ~i_ンイノ~´
2.名無し妖怪削除
嫁の力は偉大だ…!
3.名無し妖怪削除
何所につっこんだらいいのか、分からないと言わざるを得ない。
それは置いといて、毎度良い作品を有難う御座います。

4.ぐい井戸・御簾田削除
うふふ
椛かわいいよ椛
あー実家帰りてー犬に会いてー
5.脇役削除
 かわいいな~椛 でも真面目な人ほど上司には恵まれない
 チルノがこのこと知ったら、三日間ほど口聞いてくれないだろうな~
6.名無し妖怪削除
\しゃめいまる!/


いやはや相変わらず悶絶させていただきました。
7.名無し妖怪削除
ポロロッカがツボでした。
この作品はポロロッカ面白く、ポロロッカ由々しい。(否定文でなくても使えますか?)
8.じょにーず削除
ポロロッカだいじょうぶです。
9.名無し妖怪削除
照れてる椛かわいすぎです。
10.幻想入りまで一万歩削除
加奈子様が鮮やかに事件(?)を解決、だてに御柱を背負ってないですね。
椛が可愛すぎる。
11.名無し妖怪削除
>そのときヤギに電流走る
アカギ吹いたw

もみじポロロッカかわいいよもみじ
12.名前が有ったらいいな削除
空中なのに土下座とはこれいかにw
パワハラに負けず椛ポロロッカ頑張れ。

ところで神奈子様は神様ですが、
にとりは人間だけでなく神様も苦手なのかな・・・?
13.名無し妖怪削除
射命丸は向こうで土下座をしています。

石○屋自重
14.名無し妖怪削除
大親友と言う文字が
犬親友 に見えた
さて、椛に会いに行くか
15.三文字削除
\しゃめいまるぅ!/
恥ずかしがってる椛可愛いよ椛。
このワンコにはちんちんと言わざるを得ない
16.はむすた削除
こいつは可愛すぎる椛殿でござるよ……!
拙者辛抱たまらん……!
17.思想の狼削除
嫁の耳に入りゃあ、間違いなくレティの耳にも入る…(ニヤリ)
18.名無し妖怪削除
落ちの意味がわかりません
19.名無し妖怪削除
もみっちゃん可愛いよもみっちゃん

文とチルノは、過去作品以降ずっとラブラブなんですかね?二人の日常が気になりました。
20.名無し妖怪削除
ka wai i