Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

紅魔門番逃走記 8

2007/11/30 06:44:52
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 湖の上の紅い屋敷 紅魔館
 その屋敷の主 レミリア・スカーレットが
 とある部屋の一室に居た
「……お嬢様…」
 その後ろからメイド長である十六夜咲夜が姿を現す
「……準備が整いました、こちらの方へ」
「……わかったわ」
 咲夜に言われて、隣の部屋にたどり着く

「遅いぜ、レミリア…」
「こちらも情報を手に入れてきました」
 部屋に居たのは、霧雨魔理沙と射命丸文だった
 彼らがこの場に居るのは訳がある
「……なにか良い情報はあったの?」
 レミリアがそう話しかけると
 二人が首を縦に振る
 二人が持ってきた情報は
 紅美鈴のものだ 
「まずは私からだな…」
 魔理沙が前に出る
「まず、この幻想郷に居るかどうかを調べてみた」
 魔理沙が、魔法の森であった事を話す
「……魔理沙さんが…負けたんですか?」
「うるさいな…少し黙っててくれ」
 射命丸文が、新たな新聞のネタになりそうなので
 魔理沙に聞こうとしたが、今は黙って話を聞くことにした
「……慧音に頼んで歴史見たり色々あったが…
 まだ、幻想郷に居るらしい」
 魔理沙の情報はある意味、重要だった
 もし、幻想郷の外に行ったとしたら
 美鈴を探す事は絶望的になる
 まだ、幻想郷の中に居る…それだけでも
 十分な情報だ
「……魔理沙…感謝するわ」
「……ああ、精一杯感謝してくれ」

 魔理沙の情報を聞き終えた後に
 射命丸文が次に続く
「次は私ですね…」
 射命丸文が、自分が調べてきた事を話し始める
「まず、魔法の森に今、誰か強い妖怪がやってきたって話なんですけど」
「それと美鈴が何の関係があるの?」
 レミリアがそう問いかけると
「まあまあ、もう少し喋らせてください……
 実は、この妖怪がやってきたのが……私が
 美鈴さんと戦った日の次の日辺りらしいんですよ」
 それは、実に興味深い事であった
 この幻想郷に強い妖怪は居る事は居る
 だが、そのような妖怪は総じて
 余り自らのテリトリーを出ることはない
 他の妖怪に迷惑がかかるし、面倒だからだ
「ならば、美鈴は魔法の森に居るって事?」
 レミリアの答えに、魔理沙が反応する
「いや、もし居たのならすでに私が見つけているはずだぜ?」
 確かに、魔法の森に住んでいる魔理沙なら美鈴が居たら
 見つけているかもしれない
「確かに、そうなんですけど……その妖怪の名前が」
 一呼吸置いて
「紅龍……って名前なんですよ」
 そう答えてから射命丸文がそう答えると
「これだけですけど…森の妖怪達、意外と口が堅くて」
「ええ、ありがとう面白い情報だったわ」
 レミリアが二人に礼を言うと二人にそれなりの謝礼を
 渡して帰らせた




「……咲夜」
 二人が帰ってから、レミリアが後ろに居るはずの
 己の従事者を呼ぶ
「はい、お嬢様」
 その言葉に咲夜が姿を現す
「……どう思う?」
「……少なくとも、美鈴に関係があるのは間違いないでしょう」
 二人の情報を聞いたうえで
 美鈴の事を、よく知っている咲夜の考えだった
「ですが、これだけでは……」
「そうね……」
 だが、その情報だけではどうする事もできない
「……咲夜」
「はい、お嬢様…」
 レミリアが座っていた椅子から起き上がる
「……明日一日休暇を言い渡すわ…魔法の森の周辺を探してきて」
「わかりました…」
 そう答えると、咲夜の姿が消えた







 



 

 咲夜が魔法の森にやってくる日
 紅美鈴は香霖堂にやってきていた
「ごめんください…」
「やあ……今日はどうしたんだい?」
 店主である香霖がでてきた
「実は…」
 美鈴がここにやってきたわけは
 慧音との激闘で壊れてしまった仮面を
 直せるか…もしくは新しい仮面を用意するためだった
「ちょっと見せてもらおうか」
 そういわれて、美鈴が仮面(の残骸)を香霖に渡した
「…いや、これは直せないな……新しいのを買ったほうが良い」
「あ、やっぱりそうですか?」
 さすがに、あの激闘では粉々にならなかっただけでも
 たいしたものだが、それでも仮面としての役割をなすのはもう無理だった

 奥から、香霖が仮面を入れた箱を持ってきた
「まあ、この中から好きなものを選ぶといい」
 箱の中にはさまざまな仮面が用意されていた

「ん~、この真っ黒な仮面…」
「ああ、戦争男の仮面か」

「…こっちのなんか喧嘩な感じの」
「それは、ネプチューンマスクだね」

「この隈取の入った…」
「霊命木で作ってある特別な仮面でね…」

「…この顔の半分だけを隠すような」
「白皇と呼ばれるものがつけていた仮面だ」

「石で出来た……」
「ん?人間を…僕らはやめているな…」

 なかなかいいものが見つかりません
 その中で一番まともそうなものを選ぶ事にしました
「……これください」
「いいのかい?他にも虎のマスクとか色々あるのに」
 結局美鈴が決めたのは
 前と同じ仮面でした

「……そういえば」
 ふと、香霖が声をかけてきました
「体の方は何もないかい?」
「どういうことですか?」
 突然の事で、そう問いかけたが
 美鈴の頭の中に思い当たる節があった
「……一度ですが、意識を失いましたね」
 慧音と戦う前に、胸の痛みがあった事を思い出した
「それが?」
 その言葉に香霖が、頭に手を当てて
「…説明書をしっかりと呼んでくれ、
 といわなかった僕も悪いか」
 香霖が手に持っていた紙を美鈴に渡した

「これは…」
 そこには、美鈴が漢になるために飲んでいる薬の
 注意書きが書いてあった

「え~と…大量に服用するべからず…
 変身が長引けば、身体に無理がかかるため
 意識の喪失…胸部不快感が……」
 まともに思い当たる節があった
「なお、死に至ることはないが
 一日は倒れたままになる…か」
 美鈴が読み終えると
 後ろのほうで香霖が立っていた
「……もう、無理な服用はやめたほうがいい」
 香霖は優しさからそういった
 だが、美鈴は
「…大丈夫ですよ、そんなに服用はしませんから」
 そういってその紙を香霖にわたし
 香霖堂から出て行った

「……無理をしないといいのだが」
 美鈴の後ろ姿を見て、香霖がそうつぶやいた











「……この薬にそんな副作用が…」
 ミスチーの住みかに戻ろうかと思っていると
「……あ、なんかすごい懐かしい気配が…!?」
 懐かしい感じの気配を感じた美鈴が
 背中に、恐怖を感じた
(こ、この感覚は……)
 紅魔館で何度も味わったナイフの感覚
(な、なんでこんな所に咲夜さんが!?)
 メイド長、十六夜咲夜の気配だった


 
「……まずは、情報が必要ね……夜の方がよかったかしら?」
 魔法の森は広い、いかに咲夜といえど
 一人で探す事は無理だろう
 ならば、なにか情報を手に入れたほうが
 探しやすい、ならば妖怪達に聞けばいいので
 妖怪達が出てきやすい夜の方がいいかな?
 と咲夜は思ったわけだ
「……本当なら、人間が夜の魔法の森に来る事が
 おかしなことなんだけどね」
 咲夜が笑いながら、魔法の森の上を飛んでいた



「……逃げよう…」
 美鈴がこっそりと、その気配がある方向から
 逃げ始めようとした瞬間だった
(ぐらぐら~)
「地震!?」
 突然の地面の揺れに
 美鈴はその場を動かずに静かに待った
(……どうやら、結構大きいようですね)
 こういうときは、下手に動かずにこっそりと
 身を小さくしているほうが無難である
 ようやく地震がおさまるのを見届けると
「……さて?逃げましょうか…」
 咲夜に気づかれないように
 その場をこっそりと逃げ出した 

 



「……地震みたいね…」
 一方、咲夜も地震が起きた事に気がついていた
「一度戻ったほうがいいわね」
 外も少し暗くなってきていたので
 咲夜が戻ろうとしていた時だった
(ぱらぱら……)
「あら?」
 誰か見つからないかと、
 比較的低い所を飛んでいたので
 足元に何者かが
 逃げていったような気がして地面に降りてみた
「……誰も居ないみたいね…」
(小石が転がった音かな?)
 そう思って空を飛ぼうとした瞬間
(ぐらぐら~)
「また地震…!?」
 気がつけば隣の崖が崩れて来ていた
 咲夜は時を止める間もなく
 崖崩れに巻き込まれていた





(がらがらがら…)
「崖崩れですか…」
 美鈴が逃げようとしていたら突然の轟音に
 驚きながらも、そう判断した
「……ドサクサまぎれて逃げようとしますか…
 えーと……咲夜さんの気配は…?あれ消えて…まさか!?」
 美鈴が崩れた崖のほうに向かった




 美鈴がたどり着いた先には
 山の一角が削れて、崖崩れが起きていた
(咲夜さん……巻き込まれていなければいいけれど)
 そう思いながら美鈴が目を瞑り意識を集中させて
 周りに、何か気配がないかを探った
(………何も…!?)
 土砂の中に微かな気配を感じた
「咲夜さん!?」
 美鈴はその気配を感じる方向に向かって
 気の塊をぶつけた




(こ…ここは…?)
 咲夜は気がつくと
 周りが真っ暗な事に気がついた
(私……なんで…?)
 意識が無くなる前の事を思い出す
(そう…か…崖崩れに…っ!?)
 体中に痛みが走る
 どうやら全身を強く打ち付けられてしまったらしい
 時を止める事も、体が動かなくてはどうしようもない
(…私は…ここで死ぬのね……)
 いかに強いといえど
 十六夜咲夜は人間だ
 体が頑丈なわけではない
(……まあ、ろくな死に方しないと思っていたけど…)
 死ぬまでの最後の瞬間まで
 泣かないだろうと思っていた
 だが、今はなぜか怖かった
(ごめんなさい、お嬢様……戻る事が出来そうにありません)
 自分の敬愛する主に見取ってもらうまで
 生き続けると思っていたが
 それも出来そうにないみたいだ
(……さよなら…美鈴)
 最後に自分を紅魔館につなぎとめるきっかけを
 作ってくれた者の名前を思い浮かべる
 
 だからであろう……
「……最高の皮肉ね…」
 死に間際に探していた人の幻を見るなんて
 そう思って咲夜は再び意識を落とした



「……よかった、生きているみたいですね」
 再び崖崩れが起きないともわからないので
 気絶している咲夜を抱えると
「……念のために薬を飲んでおきましょう」
 意識が戻ると気がついたら紅魔館…ってこともありうるので
 薬を飲み、男に変装してから、あるところに向かって移動し始めた









「……!?美鈴」
 咲夜が目を覚ますと
「おや、起きたみたいだな」
 目の前に居たのは里の守護者
「……上白沢慧音?…じゃあここは」
 咲夜が辺りを見回すと
 そこは、民家の中
「ああ、私の家だ……無理に身体を動かさない方がいい」
 確かに、咲夜の身体には大量の包帯を巻いてあった
「幸い、骨の方は異常はないみたいだが……今日はここで寝ていくと…」
 そういったときだった
(がっしゃ~ん!!!)
「咲夜!!!」
 何者かが慧音の屋敷の中に突っ込んできた
「……それより壁の補強の用意したほうがいいみたいだな」
「ええ、お願いするわ」
 二人は苦笑いをした
(がたん!!)
「咲夜!?」
「お嬢様……」
 咲夜を見つけると同時に、その胸に抱きつく
「よかった……無事で…」
 レミリアは泣いていた
「美鈴に続いて……貴方まで居なくなるなんて事があったら…」
「……大丈夫ですよ…私は生きています…」
  
「あ~、感動の再会中で申し訳ないが…」
 二人が感動の再会をしているのを
 蚊帳の外で見ていた慧音が話しかける。
 誰かに見られていたという事で
 レミリアがあたふたし始めるが
「いや、別に他の人に言わないが……誰が紅魔館に
 メイド長がここに居る事を教えたんだ?」
「「えっ?」」
 
「えっ?貴方じゃないの?」
 咲夜が慧音に向かって話しかける
「いや、私はお前がここに運ばれてきてから
 ずっと、怪我の手当てをしていた」
 レミリアが口を挟む
「あの、蓬莱人じゃないの?」
「妹紅のことか?今あいつは永遠亭の方に憂さ晴らしに
 行っているはずだ」
 慧音が、そう答えると
 レミリアが首をかしげた
「……おかしいわね?紅魔館に確かに手紙が…」
「「手紙?」」
「うん、これ」
 レミリアが渡した手紙を見ると

  
 咲夜さ……げふんげふん
 紅魔館のメイド長が怪我をしている
 里の守護者の家に連れて行ったので
 安心してもらいたい……


「ねっ?そう書いてあったから、メイド達を吹っ飛ばして
 ここまでやってきたんだから…でも、誰かしらね?」
 レミリアがそういって胸を張る
 その手紙を見て咲夜が確信する 
「美鈴……」
 咲夜が一言つぶやく 
 その言葉に、二人が振り向く
「……美鈴だわ…やっぱり魔法の森に居たのね」
 咲夜がそうつぶやくと
 慧音に向かって話しかける
「教えて!誰が私をここに連れてきたの?」
 その言葉に慧音が黙りこむ
 しばらくしてから慧音二人に問いかけた
「……仮につれてきた者が紅魔館の門番なら
 ……あなた方は、彼女をどうするつもりだ?」
 その問いかけに、レミリアが
「とうぜん、紅魔館に帰ってもらうわ」
 そう答えた
「それは、処刑すると言う事か?」
「まさか……紅魔館の門番を任せれるのは美鈴しか居ないわ
 だから帰ってきてもらうの」
 その答えに慧音がうなずく
 そして立ち上がると
「……十六夜咲夜を連れて来てくれて人は美鈴ではない
 ……だが、手紙を預かっている」
 そういって奥から手紙を持ってきた
「中身は私も見ていない……お前たちに渡すから
 ゆっくり見るといい……それで帰るのか?泊まっていくのか?」
 
 結局、紅魔館に帰ることにしました
 咲夜さんは怪我をしているから
「ちょっ、お嬢様!?」
「なに?お姫様抱っこしてるだけよ?」
 レミリアに抱きかかえられて紅魔館に帰りました



「咲夜……大丈夫?」
 次の日、レミリアが咲夜の部屋に行くという
 普段と逆の光景が見られた
「はい、幸い激しく動かなければ動いても痛みは
 ありませんから」
 そういわれて、レミリアがホッとした顔で
「そう…なら一緒に手紙を見ましょうか」
 そういって手紙を二人で見始めた

 
 覚悟は出来ております
 紅魔館の門の前にて
 処罰を受ける覚悟です
 ですが、一ヶ月だけお待ちください
 
 紅美鈴


「…ねえ…咲夜?これどういう意味かしら?」
 レミリアが咲夜に聞くと
 咲夜が頭を抱えた
「……どうやら美鈴は、我々が
 処罰すると思っているようですね」
 そういうと、レミリアも頭を抱える
「……処罰を与えなきゃならないわね…」
「お嬢様!?」
 驚く咲夜にレミリアが笑いかける
「約一ヶ月間もの無断欠勤と、私達を心配させた罪でね」
 その言葉を聞いた咲夜も悪戯っぽく笑う  
「ええ、酷い罰を考えなければなりませんね」
 美鈴が居なくなってから 
 久しぶりに、二人は笑ったのだ
 








 美鈴がミスチーの屋台に着いた時には
 夜も暗くなって居ました
 そして屋台に入ってくる美鈴を見たミスチーが
「お帰り!」
 そういって出迎えてくれました
(……お帰り…か、ミスチーにはお世話になったからね)
 美鈴の頭の中には、これ以上この場所には居られない
 という思いでいっぱいでした
(…もうこの森には居られないね、皆に迷惑がかかっちゃう)
 多分、咲夜には私がこの森に居る事は薄々気がついている
 だから、この森に来ていたのだろうと検討をつけた美鈴は
(この森から出て行かなくっちゃ)
 そう思っていました
「どうしたの?」
 いつもなら、ただいまと言ってくれる美鈴が押し黙ったので
 ミスチーが美鈴に話しかけた
「あのね、明日からこの森を出ようと思うんだ……」
 その一言にミスチーが一瞬止まった


「え~~~っ!!なんで!?」
 そして、夜雀の絶叫が森に響いた
 耳を押さえながら、美鈴は自分の思いを伝えた
「……もう紅魔館にばれてしまいましたから…
 この森にこれ以上迷惑はかけたくないんです」
「でっ、でもここに居るって、完全にわかったわけじゃないんでしょう?」
 それでも、美鈴にここに居てもらいたいミスチーが
 そう問いかける、しかし美鈴は首を横に振り
「……確かに、完全にはわからないでしょうが、私の居場所を聞くために
 この魔法の森の妖怪達が危険にさらされます…」
 もしも、紅魔館が全力で探すとなったら
 そのぐらい簡単な事です
 
「兄貴!」
 その時、後ろから声がかかりました
「……こっそりと、聞かせてもらいました…
 この森を出て行くんですか?」
 頬に傷を持つ妖怪が息をきらせてその場所に立っていました
「……もし兄さんが、いいというのなら……
 うちら全員、紅魔館に喧嘩を売ってもいい覚悟ですぜ?」
 その言葉に、美鈴が首を横に振る
「……敵を知り、己を知れば百戦危うからず…
 気持ちはうれしいが、それでは無駄死にするだけだ」
 美鈴がそういうと、その妖怪はうなだれる
「……せっかく、兄さんに声をかけてもらえたのに…くやしいです…」
 その言葉に美鈴が
「……大変、失礼かもしれないが…名前を聞いてなかったな」
 初めてあった時から、色々あったおかげで
 その妖怪の名前を聞いてなかった
 だが、その妖怪は首を振り
「……名前なんてものねえですよ…」
 その言葉に美鈴が手を顎に乗せる
「……名前がないと不便ですから……
 そうですね、貴方の事は『李白』(りはく)
 とこれから呼びましょう」
 その言葉に、頬に傷を持つ妖怪が驚く
「わ、私に名前を!?」
「気に入らなかったら、また別の名前をつければいい」
 美鈴の言葉に首を振る
「とんでもねえ!……兄さんからもらった名前…大切にしやす」
 李白は、深々と頭を垂れた

「気に入ってくれたのならよかった……」
 美鈴がそういうと、李白が
「……兄さんは…これから何処に行くのですか?」
 そういわれて、美鈴が悩む
「…実は考えていない……」
 ここを出て行くのは、咲夜さんを里に送り返して 
 すぐに決めた事だから、まだ何処に行くとかも
 考えていなかった
「……でしたら、隠れるのにいいところがありやす」
 だから、そういわれるのはありがたい事だった


 ミスチーの住みか……
「ここには、随分お世話になりましたね…」
「……うん」
 明日、美鈴はここを出て行く
 最後になるかもしれないので、ミスチーは
 美鈴に抱きついて眠っていた
「…ありがとうね……ミスチーが泊めてくれなかったら
 もっと早く見つかっていましたよ」
「……うん」
 どんな返事にも、ミスチーは少ししか喋らなかった
「……大丈夫ですよ、また遊びに来ますから」
「…ほんとに?」
 美鈴は、自分が処罰されるかもしれない
 と言うのを、言わなかった
「はい!……なんなら紅魔館に屋台を出しに来て下さい
 ……いっぱい売れますよ」
「あはは、ぜひそうするよ」
 
 しばらく語っていると
 ミスチーの方が、ウトウトし始めてきた
「……ん~…」
「……おやすみなさい」
 美鈴がミスチーの頭を優しく撫でる
 そのまま、気持ちよさそうにミスチーは眠った  
 


「……ん~…はっ!?」
 朝、ミスチーが起きると
 すでに美鈴は居なくなっていた
「…もっとお話したかったのに…」
 そう思っていると
 机の上に手紙が置いてあるのが見えた
 その文字を読む
「……そうだよね…」
 
 手紙を胸に抱えて、ミスチーは
「今日も一日頑張ろう!」
 そう、心に思った

 手紙に書いてあった文字
 それは、ミスチーの宝物


「またいつか…アエるよ……」
 そう書かれた手紙だ
「……龍の兄貴…これからどうするんですかい?」
「……できるなら、何かを残せるといいのだが…」
 そういってたどり着いたのは
 山奥の小屋だった
「つきましたぜ…狭いところで申し訳ないですが」
「…上等です、私にはもったいないぐらいです」




 紅魔門番逃走記も、もうそろそろ終わりが近いです
 次の逃走記の題は……まあ、伝承かな?
 それでは、また次の作品で
脇役
コメント



1.逢魔削除
逃走記8、お待ちしておりました……コメントのお礼みたいになってしまいますが。
……仮面キン肉率高いですね。白皇は分かんなかったですが。石仮面つければ美鈴格闘系吸血鬼に、つーかWRYYYYYYYYY!!!!!!になっちゃう^^;

差し出がましい事だと思いますが、どうにも咲夜さん生き埋めまでの流れが急かなぁ…と感じました。もうワンクッション、例えば咲夜さんの焦り表現など交えてみると自然なのかもしれません……本当に偉そうな事言ってしまった。お恥ずかしい^^;

どうか話書くのに体壊す、なんてことないようがんばってください。落ち着いて体を休め構想を練ること、それがあなたにできる善行ですよ?^^
2.名無し妖怪削除
ミスチーかわいいよミスチー。
逃走期もそろそろ終わりですか。美鈴は無事に紅魔館に戻れるのか?
早く続きが読みたいですね~。


李白と聞いて何故か北斗の拳が脳裏をよぎった私は末期^^
3.名無し妖怪削除
美鈴はいつから遺跡探索ロボットにw

この話もいよいよ佳境のようで、結末はどうなる事やら。
ミスチーがまた彼に会える日は来るのか・・・
4.イスピン削除
妖夢やこーりんが石仮面をつけたらやっぱり半分くらい人間をやめることになるのかねぇ?
5.名無し妖怪削除
ちょwwwハクオロさんなんでこんなとこにあるんすかwww
美鈴がハクオロの仮面付けたら最強じゃまいか・・・?
6.名無し妖怪削除
ネプチューンマンとモンゴルマンナツカシスw
続き楽しみにまってます。


>社命丸
射命丸

>憂さ晴らしに行っていいるはずだ
憂さ晴らしに行っているはずだ
7.削除
香霖堂の品揃えは異常。

>>22:29:42の名無しさん
合ってますよ。前話の海のリハク役が彼ですから。