※注意
拙作「巫女と巫女の関係」の続きみたいな物かもしれません。でも、知らなくても読めます。
霊夢×早苗です。風味ではなく。でも、霊夢←早苗かもしれません。
シリアスとは言いがたいです。勢いで書いてます。
また、独自の解釈が含まれている場合があります。
大丈夫だぞ、という方はお進みください
幻想郷の冬は寒い。特にここ最近は急激に冷えてきているらしく、人里に行けば暖房器具を売っているお店が高らかと笑っているのを見られることだろう。完売なのだ。笑いもするだろう。
それにしても、あまりに寒すぎる。
こういう時にこそ異変の解決だ、巫女だと騒がれてしまうわけである。
しかしながら、冬が長引き桜が咲かないわけではない。春が訪れないわけでもない。
きちんとした期間、確かな冬の時期に冷え込んでいるだけなのだ。
寒ければ火を起こし薪をくべ、服を着込み暖かく布団をかけて眠ればいい。
古来から人は寒さと戦ってきているし、そうして凌いできたのだ。
博麗霊夢は雪の降り積もる博麗神社の庭を見つめながらそうひとりごちた。
シンシンと降り積もる雪は目測で足首ほどだろうか? まだ誰の進入も許しては居ない雪の大地は表面に太陽の光を受け青白く輝いていた。真に風流である。
きちんと締め切られた博麗神社の室内、霊夢は普段の巫女服のまま手のひらに感じるお茶の温もりを感じ微笑んでいた。
手のひらに感じる温もり、暖かさを幸せと感じられるこの冬の楽しみをかみ締めるように。
「さ、寒い、寒いですよ、霊夢っ……なんで、ぶるっ、幻想郷は、っこんなに……寒いんですかぁ……」
きっと、後ろから聞こえる声を聞かなかったことにすればもっと幸せだろうな。
その思いを痛感しながら霊夢は思いっきり息を吐き出した。室内でも、かすかに白い。
なんと雅な事か。まさしく冬である。
もっとも、そんな光景も囲炉裏に抱きつくように温もっている東風谷早苗には何の感慨も生み出さないだろうが。
――☆――
手に感じる温もりをそっとそばに置いて、離れる寂しさを紛らわせるように一度。
そっと指先で触れる。この暖かさを忘れないように、刻み付けるように。
そうして、ようやく霊夢は身体ごと振り返った。
達磨が居た。
「……妖怪着膨れ達磨が進入していたなんて、ちょっと驚きだわ」
着膨れ達磨がごろん、とうまく動けないのか転がるように顔を霊夢へと向けてくる。
その姿はまさに達磨。二重三重に重ね着をしている巫女服。けれどそれは見ることができはしない。
何故なら達磨なのだ。身体の上にはぶ厚い掛け毛布が二重にかけられている。背中に当て、前を包み込むように。
その中でひざを抱えるように座っている物だからますます達磨である。
頭に頭巾を被っているのがさらに達磨レベルを上昇させている。
きっと、この世に達磨選手権があれば頂点を取るだろう。そう霊夢に確信させるほどに早苗は達磨だった。
「な、なんだか馬鹿にされている気が、しますっ……くしゅんっ」
「いいえ、そんなことないわ。というか、馬鹿にはしないけれど、哀れんで……くっ」
言葉を続けきれずにおもわず顔を背けた。涙は見せられない。きっと、ひどい呪いなのだ。
「も、もっと……さむぅ! ……ひど、くなってますっ」
「あのねぇ……それならきちんと脱ぎなさい」
「出来ませんっ」
即答だった。
「確かに、今年は秋の終わり頃から冷え込みが厳しいけれど……そこまですることでもないでしょう?」
「わ、私は寒いのは、苦手なんですっ……第一、もっと緩やかに冷え込んでっ……」
「無理ね」
にべもなかった。
その霊夢の返答にどうして、と恨み辛みをこめた視線が帰ってきた。
確かに慣れている霊夢だってこの寒さは少しひどいとは思う。
けれど、耐えられないものではない。寒中水垢離大会を行っている訳でもないのだ。
肉付きがよくない、とかそういったことを抜きにしても耐えられるものだ。
「く、詳しい説明と、謝罪を、くしゅんっ! よ、ようきゅーしますっ!」
「何に謝罪するのよ?」
「傷ついた乙女の心に、ですっ!」
「はいはい、ごめんなさいね」
もうどうでもいいや、と身体を投げ出し、大雑把に謝罪する。
けれど、それで乙女の心は満足したようだった。
「そ、それで良いんですっ! あと、は、説明……くしゅんっ!」
「……説明も何も、感じなさい」
「私はぁっ! 宇宙世紀の……人じゃないですっ!」
「何よそれ?」
もう訳が解らなかった。
霊夢がここ最近よくする様になったこめかみを押さえるポーズに真っ赤になって睨みつける達磨早苗。
大きく膨らませた頬が何ともいえぬ可愛さだった。
「大体、外の世界はもっと暖かくて、ぬくぬくで、ほわーっとしてて、地球一斉温暖化でピンチで」
「はあ……だから、でしょ?」
「何の、ことですかっ」
「外の世界の気温が高くなり寒い時期が少なくなってきている。ということは、どういうことかしら?」
こぽっ、と音を立てながら湯のみ二つにお茶を注いでいく。
仄かに香る葉の香りとそこから立ち上る湯気が何とも暖かそうだ。
そんな至福の道具に手を伸ばす早苗、しかしその腕はしっかりと霊夢の手に叩き落とされていた。
つまり、お茶は正解のご褒美ということである。
出会ってから、お米のたき方を教えてもらってから今現在まで続く経験でそれを察した早苗は凍りついた頭を必死に働かせた。
そうこうしている内にお茶の力は憎き寒気に吸い取られていってしまう。
「お、お茶は関係ありませんっ! 即時彼女の開放を要求しますっ!」
「お茶好きに目覚めたの? それならこれからは同士ね。開放はしないけれど」
「くうっ……ごめんなさいっ……私は、無力でっ」
悲愴だった。達磨からやや飛び出した腕で支えるように頭をたれる。
「! わ、わかりました。つまり、外では寒い時代が幻想になってきていると……」
「よく出来たわね。じゃあ、ご褒美」
優しく微笑む霊夢。その手に握られた癒しのお茶。触れていいのだろうか、と恐る恐る手を伸ばし霊夢を伺い見る。
さあ、受け取りなさい。あなたにはその資格があるの。
そう告げんばかりの聖母の存在に眼を見開き、期待に唇が震えてしまう。
指が伸び、人肌よりもやや冷たい霊夢の手の甲。そっとすべるように、その弾力を確かめるように指先は手首へと。
交じり合う二人の熱。溶け合うように感じるそこはまるで火でも存在するかのように熱くなっていく。
早苗の頬が紅潮し、やや下からひざ立ちの霊夢を見上げ、傍から見れば恋人同士のようで。
身体の芯が燃え上がる。
意を決して早苗は動き。
ひったくるように湯飲みを奪い取った。力づくで。
霊夢に睨まれるが気にしない。自然と目じりが緩む。頬が震え、愛しいお茶の温もりを感じようと口元へと運び。
冷めていた。完膚なきまでに一部の隙もなく。完全にぬるくなっていた。
「あああああっ!?」
倒れた。けれど、囲炉裏の近くは渡さない、というようにその傍に。
その執念に感嘆の吐息が漏れる。
「しょうがないわね。早苗、これから幻想郷で普通に暮らすなら慣れなきゃいけないのよ?」
「それは、そうなんですが……」
「まあ、今はすこし暖かいでしょう? 今のうちに温かいお茶を淹れなおしましょうか」
言われてみれば、と早苗は毛布を脱いだ。意外と寒くなくなっていた。
なぜだろう、と首をかしげ、答えを求めるように霊夢を見つめる。
「そりゃあ、あんだけ馬鹿やって暴れていればすこしは温まるわよね」
早苗はなるほど、と納得がいった。でも、寒い。
「お湯が沸くまで、辛抱しなさい」
そんなご無体な、と縋る。もっと、暖めて、と。
「最近は気温が不安定らしいわ。外の煽りをうけているのね」
「……どういう、ことですか?」
すでに身体は触れ合い、顔が近づいていく。
霊夢もそんな早苗を拒絶することなく、やや暖かい手が背中へと回されて。
「ようは、寒かったり暑かったり。違法外界観察委員である八雲紫氏の見立てによると、二・三日で温かくなるそうよ」
「じゃあ、もう少しの辛抱なんですね、霊夢」
「それは違うわ。短いサイクルで気温が変わるということよ。真冬になれば安定するでしょう。それまではね」
きゅっとお互いの手を握り締める。霊夢は微笑み、早苗は真っ赤。
早苗は真っ直ぐに顔を見れずに背中を向けて、霊夢にもたれかかる。
「ストーブも、暖房エアコンもないのに、ですか?」
「温める手は何も家電に限らないわ」
煌々、と燃え盛る囲炉裏の炎が二人を照らしつける。
「囲炉裏、ですか?」
「違うわ」
そっと霊夢の腕が早苗の身体を包み込む。背中に感じる温もり。後ろから回された手。服を通して感じる鼓動。
「な、なあっ!?」
「こうして友達同士で抱きしめあってみたり、ね? 早苗は嫌かしら?」
耳にかかる霊夢の吐息。
心が高鳴り、身動きすることも出来ずに。
「い、いいえ……嫌ではない、です、霊夢」
だから、そう答えるのだ。
そんな、ある寒い冬の日の出来事。
―――――おまけ――――――
「そういえば……朝からいろいろ暖のとり方を聞きに来てたけど神社はいいの?」
「構いませんよ。諏訪子さまは『さむいっ! 寝る、冬眠するっ!』といって自室に結界を張って篭られてます」
「さすが蛙、なのかしらね?」
「神奈子さまは宴会で身体を温めると言って天狗や妖怪たちと大宴会中ですし、何より山の上ですから寒いんです」
「あなたも大変ね」
「そうでもありませんよ。おかげで、こうしていられるんですから」
「そう、じゃあ泊まってく?」
「はい」
そんなある寒い日の終わり。
拙作「巫女と巫女の関係」の続きみたいな物かもしれません。でも、知らなくても読めます。
霊夢×早苗です。風味ではなく。でも、霊夢←早苗かもしれません。
シリアスとは言いがたいです。勢いで書いてます。
また、独自の解釈が含まれている場合があります。
大丈夫だぞ、という方はお進みください
幻想郷の冬は寒い。特にここ最近は急激に冷えてきているらしく、人里に行けば暖房器具を売っているお店が高らかと笑っているのを見られることだろう。完売なのだ。笑いもするだろう。
それにしても、あまりに寒すぎる。
こういう時にこそ異変の解決だ、巫女だと騒がれてしまうわけである。
しかしながら、冬が長引き桜が咲かないわけではない。春が訪れないわけでもない。
きちんとした期間、確かな冬の時期に冷え込んでいるだけなのだ。
寒ければ火を起こし薪をくべ、服を着込み暖かく布団をかけて眠ればいい。
古来から人は寒さと戦ってきているし、そうして凌いできたのだ。
博麗霊夢は雪の降り積もる博麗神社の庭を見つめながらそうひとりごちた。
シンシンと降り積もる雪は目測で足首ほどだろうか? まだ誰の進入も許しては居ない雪の大地は表面に太陽の光を受け青白く輝いていた。真に風流である。
きちんと締め切られた博麗神社の室内、霊夢は普段の巫女服のまま手のひらに感じるお茶の温もりを感じ微笑んでいた。
手のひらに感じる温もり、暖かさを幸せと感じられるこの冬の楽しみをかみ締めるように。
「さ、寒い、寒いですよ、霊夢っ……なんで、ぶるっ、幻想郷は、っこんなに……寒いんですかぁ……」
きっと、後ろから聞こえる声を聞かなかったことにすればもっと幸せだろうな。
その思いを痛感しながら霊夢は思いっきり息を吐き出した。室内でも、かすかに白い。
なんと雅な事か。まさしく冬である。
もっとも、そんな光景も囲炉裏に抱きつくように温もっている東風谷早苗には何の感慨も生み出さないだろうが。
――☆――
手に感じる温もりをそっとそばに置いて、離れる寂しさを紛らわせるように一度。
そっと指先で触れる。この暖かさを忘れないように、刻み付けるように。
そうして、ようやく霊夢は身体ごと振り返った。
達磨が居た。
「……妖怪着膨れ達磨が進入していたなんて、ちょっと驚きだわ」
着膨れ達磨がごろん、とうまく動けないのか転がるように顔を霊夢へと向けてくる。
その姿はまさに達磨。二重三重に重ね着をしている巫女服。けれどそれは見ることができはしない。
何故なら達磨なのだ。身体の上にはぶ厚い掛け毛布が二重にかけられている。背中に当て、前を包み込むように。
その中でひざを抱えるように座っている物だからますます達磨である。
頭に頭巾を被っているのがさらに達磨レベルを上昇させている。
きっと、この世に達磨選手権があれば頂点を取るだろう。そう霊夢に確信させるほどに早苗は達磨だった。
「な、なんだか馬鹿にされている気が、しますっ……くしゅんっ」
「いいえ、そんなことないわ。というか、馬鹿にはしないけれど、哀れんで……くっ」
言葉を続けきれずにおもわず顔を背けた。涙は見せられない。きっと、ひどい呪いなのだ。
「も、もっと……さむぅ! ……ひど、くなってますっ」
「あのねぇ……それならきちんと脱ぎなさい」
「出来ませんっ」
即答だった。
「確かに、今年は秋の終わり頃から冷え込みが厳しいけれど……そこまですることでもないでしょう?」
「わ、私は寒いのは、苦手なんですっ……第一、もっと緩やかに冷え込んでっ……」
「無理ね」
にべもなかった。
その霊夢の返答にどうして、と恨み辛みをこめた視線が帰ってきた。
確かに慣れている霊夢だってこの寒さは少しひどいとは思う。
けれど、耐えられないものではない。寒中水垢離大会を行っている訳でもないのだ。
肉付きがよくない、とかそういったことを抜きにしても耐えられるものだ。
「く、詳しい説明と、謝罪を、くしゅんっ! よ、ようきゅーしますっ!」
「何に謝罪するのよ?」
「傷ついた乙女の心に、ですっ!」
「はいはい、ごめんなさいね」
もうどうでもいいや、と身体を投げ出し、大雑把に謝罪する。
けれど、それで乙女の心は満足したようだった。
「そ、それで良いんですっ! あと、は、説明……くしゅんっ!」
「……説明も何も、感じなさい」
「私はぁっ! 宇宙世紀の……人じゃないですっ!」
「何よそれ?」
もう訳が解らなかった。
霊夢がここ最近よくする様になったこめかみを押さえるポーズに真っ赤になって睨みつける達磨早苗。
大きく膨らませた頬が何ともいえぬ可愛さだった。
「大体、外の世界はもっと暖かくて、ぬくぬくで、ほわーっとしてて、地球一斉温暖化でピンチで」
「はあ……だから、でしょ?」
「何の、ことですかっ」
「外の世界の気温が高くなり寒い時期が少なくなってきている。ということは、どういうことかしら?」
こぽっ、と音を立てながら湯のみ二つにお茶を注いでいく。
仄かに香る葉の香りとそこから立ち上る湯気が何とも暖かそうだ。
そんな至福の道具に手を伸ばす早苗、しかしその腕はしっかりと霊夢の手に叩き落とされていた。
つまり、お茶は正解のご褒美ということである。
出会ってから、お米のたき方を教えてもらってから今現在まで続く経験でそれを察した早苗は凍りついた頭を必死に働かせた。
そうこうしている内にお茶の力は憎き寒気に吸い取られていってしまう。
「お、お茶は関係ありませんっ! 即時彼女の開放を要求しますっ!」
「お茶好きに目覚めたの? それならこれからは同士ね。開放はしないけれど」
「くうっ……ごめんなさいっ……私は、無力でっ」
悲愴だった。達磨からやや飛び出した腕で支えるように頭をたれる。
「! わ、わかりました。つまり、外では寒い時代が幻想になってきていると……」
「よく出来たわね。じゃあ、ご褒美」
優しく微笑む霊夢。その手に握られた癒しのお茶。触れていいのだろうか、と恐る恐る手を伸ばし霊夢を伺い見る。
さあ、受け取りなさい。あなたにはその資格があるの。
そう告げんばかりの聖母の存在に眼を見開き、期待に唇が震えてしまう。
指が伸び、人肌よりもやや冷たい霊夢の手の甲。そっとすべるように、その弾力を確かめるように指先は手首へと。
交じり合う二人の熱。溶け合うように感じるそこはまるで火でも存在するかのように熱くなっていく。
早苗の頬が紅潮し、やや下からひざ立ちの霊夢を見上げ、傍から見れば恋人同士のようで。
身体の芯が燃え上がる。
意を決して早苗は動き。
ひったくるように湯飲みを奪い取った。力づくで。
霊夢に睨まれるが気にしない。自然と目じりが緩む。頬が震え、愛しいお茶の温もりを感じようと口元へと運び。
冷めていた。完膚なきまでに一部の隙もなく。完全にぬるくなっていた。
「あああああっ!?」
倒れた。けれど、囲炉裏の近くは渡さない、というようにその傍に。
その執念に感嘆の吐息が漏れる。
「しょうがないわね。早苗、これから幻想郷で普通に暮らすなら慣れなきゃいけないのよ?」
「それは、そうなんですが……」
「まあ、今はすこし暖かいでしょう? 今のうちに温かいお茶を淹れなおしましょうか」
言われてみれば、と早苗は毛布を脱いだ。意外と寒くなくなっていた。
なぜだろう、と首をかしげ、答えを求めるように霊夢を見つめる。
「そりゃあ、あんだけ馬鹿やって暴れていればすこしは温まるわよね」
早苗はなるほど、と納得がいった。でも、寒い。
「お湯が沸くまで、辛抱しなさい」
そんなご無体な、と縋る。もっと、暖めて、と。
「最近は気温が不安定らしいわ。外の煽りをうけているのね」
「……どういう、ことですか?」
すでに身体は触れ合い、顔が近づいていく。
霊夢もそんな早苗を拒絶することなく、やや暖かい手が背中へと回されて。
「ようは、寒かったり暑かったり。違法外界観察委員である八雲紫氏の見立てによると、二・三日で温かくなるそうよ」
「じゃあ、もう少しの辛抱なんですね、霊夢」
「それは違うわ。短いサイクルで気温が変わるということよ。真冬になれば安定するでしょう。それまではね」
きゅっとお互いの手を握り締める。霊夢は微笑み、早苗は真っ赤。
早苗は真っ直ぐに顔を見れずに背中を向けて、霊夢にもたれかかる。
「ストーブも、暖房エアコンもないのに、ですか?」
「温める手は何も家電に限らないわ」
煌々、と燃え盛る囲炉裏の炎が二人を照らしつける。
「囲炉裏、ですか?」
「違うわ」
そっと霊夢の腕が早苗の身体を包み込む。背中に感じる温もり。後ろから回された手。服を通して感じる鼓動。
「な、なあっ!?」
「こうして友達同士で抱きしめあってみたり、ね? 早苗は嫌かしら?」
耳にかかる霊夢の吐息。
心が高鳴り、身動きすることも出来ずに。
「い、いいえ……嫌ではない、です、霊夢」
だから、そう答えるのだ。
そんな、ある寒い冬の日の出来事。
―――――おまけ――――――
「そういえば……朝からいろいろ暖のとり方を聞きに来てたけど神社はいいの?」
「構いませんよ。諏訪子さまは『さむいっ! 寝る、冬眠するっ!』といって自室に結界を張って篭られてます」
「さすが蛙、なのかしらね?」
「神奈子さまは宴会で身体を温めると言って天狗や妖怪たちと大宴会中ですし、何より山の上ですから寒いんです」
「あなたも大変ね」
「そうでもありませんよ。おかげで、こうしていられるんですから」
「そう、じゃあ泊まってく?」
「はい」
そんなある寒い日の終わり。
レイサナが広まる事は嬉しい事です
その調子で頑張ってくださいね
神様って冬眠するんだね・・・
諏訪子さまワロタw