#1
「あたいったらサイキョーね!」
朝起きたら見知らない⑨の子と一緒に閉じ込められていた。
水色の服を来た少女はさっきから仁王立ちしながら同じ言葉ばかり吐いている。
おしゃべりオウムか何かの類だろうか。
いや、オウムの方がもっと愛嬌あるよ。
「そこのあんた!」
少女に話しかけられた。
自分が丸一時間同じ事を繰り返していたことを理解していなさそうだ。
「ねぇ、ここってどこ?」
知らん。お前よりも私が知りたい。
少なくとも目の前のヤツよりマシな知恵と思考を持つものとして。
「つかえないわねー」
いきなり使えないとか酷いな、おい。
「だれだかしらないけどバカにして~、あたいを怒らせると怖いんだから~」
キン!
なにかをのたまいながら両手を壁にかざしたかと思ったら目の前の蛙が凍りついた。
流石の私も驚いた。だって、ここ部屋だよ。なのに蛙がいるんだもん。
じゃ、なくて手をかざすだけで凍らせるとか邪気眼なんてレベルじゃない。
背中には氷の羽のコスプレかとかしてるし、何コイツ。
「あはは。やっぱりあたいったらサイキョーね」」
うん、蛙に対してはね。
横で私が失笑したら自称サイキョーは物凄く睨みつけてきた。
怒るなって(自称)サイキョー。
ちなみに蛙だけじゃなくて壁まで凍ってて部屋が寒くなってた。
もう冬だ。
少女の目を盗んで蛙はお湯につけて戻してあげた。
#2
結局のとこ、少女が無駄に部屋の一角を凍らせただけで外には出れず、数時間が経過した。
流石に私の脳裏にも危機感がつのってくる。
いくら何でもバカじゃ無い私がこんな⑨と一緒に閉じ込めれらたいとは凍らされても思わん。
⑨が伝染る。
どうせならもっと萌える脇とか人間とかだろう普通。
何だよ、よりにもよって蛙凍らせる鬼畜な女の子とか、展開的に虚しさ炸裂だろ。
飽きもせず⑨は仁王立ちで腕組みして部屋の真ん中に立ってる。
今思ったらなんかヤツの周りから冷気が流れてきている気がした。
冷気垂れ流しとか夏なら冷房費浮いていいかもしれないって思うけど、今冬だから。
寒ッ!
私は取り敢えず部屋の構造を確認する事にした。
だってヤツの冷房直下だと冬の山の登山よろしく体温を奪われて死にかねない。
一応、さっきも部屋じゅう探してみたが出口はやはりどこにも無かった。
ただ10畳くらいは有りそうなワンルームにトイレ、台所、風呂と完備されていて悪く無い。
ビバ!ハイテク。
そして冷蔵庫の中には食料もあった。
正直かなり安心した。
出口が無い上に食料も無いとあっては絶望先生でなくても絶望するというもの。
加えてどうでもいことだが、水どころかお湯も流しやシャワーから出るあたり無駄にいいサービスと言わざるを得ない。
ただし、外部に連絡を取れるような物はまるで無い。
最近私のお気に入りな東方創々話サイトの新作チェックもできない。少し欝だ。
「パーフェクトフリィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーズ!!!!」
いきなりの掛け声とともに部屋の方から物凄い冷気が流れてきた。
寒さに鳥肌を立てて、急な事態に慌てて部屋に戻る。
部屋の中にあった家具一式が凍り付いている。
私の(見繕っておいた)布団も仲良しこよしなのがお約束だった。
少女がまた両手をかざしてる。
勘弁してくれよ、このチビっこが。
何?パーフェクトフリーズって。完全に凍結って思考停止したおつむの事なのか?
って言うかなにしたいのかすら分らないけど内部を凍結するなよ。
(主に私の)生活スペースが減る。
と、凍結大好きな少女閣下に進言してみると、
「あたいったらサイキョーなのに~。このあたいに凍らせられないものなんて無いのよ!」
とか言われた。
(自称)サイキョーに続いての自己紹介がコレ。
サイキョー流とかって昔なんかで流行ったっけ?サイキョーだとかストレート過ぎて今時中二病でも単体で使わないよ。
そしてたかなか蛙とか部屋とか無差別に凍らせるだけで最強は無いと思うんだけどさ?
そもそもさっきから私があいつを形容してる⑨って何よ。業界用語か専門用語?
自分の思考に私はまた噴出する。
自称サイキョーがまた人を凍らせるような目で睨んできた。
だから怒るなよサイキョー。私が今日からサイキョウって(表面上だけは)呼んでやるから。
ちなみに⑨の言い訳によるとさっきのパーフェクトフリーズはイージーだったんだって。
どうでも良いけど。
何が言いたいのかと言うと、オチは欲しいところです。続き希望。