「遅れてすみません、鰻持ってきました」
「よかった~、遅いから迎えに行こうかと思ったよ」
何とか屋台を開く時間には間に合った。
とってきた鰻を二人で下ごしらえしながら会話する
「ずいぶん遅かったけど、何かあったの?」
「実はね……」
先ほどあった事を作業をしながら話す
……周りから見たらミスチーが男の人と
会話しながら料理を作っている図である
もし、この場に射命丸 文が居たら間違いなく
ネタにされたであろう
「と言ったわけで、魔理沙を香霖堂に運んできたわけですよ」
「へ~大変だったんだね」
幸い、文は今、幻想郷中に新聞を配っていた
「仕込が終わりましたね」
「ありがと、いつもより早く終われたよ」
夜と言うにはまだ早く、夕日と言うには少し遅い時間に
屋台の仕込みは終わりを告げた。
「これ、いつも一人でやっているの?」
仕込みとお店の準備が終わったが
お店を空けるにはまだ少し早いので
もう少しだけ、二人は談笑をしていた
「そうだよ、たまにリグルやチルノ達も手伝ってくれるけど」
「チルノちゃんも?」
いつも門の前で立っていた時に、自分の所に遊びに来ていた
ちょっとお馬鹿な氷の妖精の名前が出てきたのが……
なぜかうれしかった。
「うん!……でも悪戯しに来るときのほうが多いけどね」
「あははっ、チルノちゃんらしい」
門番をしていた時にも、悪戯しようとして
門の前に来て、自滅して帰っていく姿を何度も見ているので
美鈴は笑って答えた
「さてと……そろそろお店を…」
ミスチーがお店を空けようとした時だった
(ザワザワザワ…)
お店の周りに、昨日と同じように妖怪達が集まってきた
美鈴がそれに気づく
(もしかして……昨日の事に対しての仕返しかな?)
そう思った美鈴は
途中で女性に戻らないように薬を飲むと
改めて仮面を顔に着ける
「……ちょっと行ってきますね」
「えっ!危ないよ」
ミスチーに迷惑がかからないように
美鈴だけが表に出た
美鈴が表に出ると
その周りを囲むように妖怪達が集まる
その気配を美鈴が詳しく読み取る
(数は……約100弱…か、なんとかなる数だね)
門番隊の全盛期の事には
(……500弱位までなら…私だけでもいけるよね?)
その位の侵入者が居たのだ……
数がわかると、美鈴はさらに前に出る
「……貴方達が用があるのは…私か?」
美鈴が先に声を上げる
(まずは…気の先を制する!)
「もし…無関係なあの屋台に攻撃するのなら……容赦しない!」
美鈴が凄むと妖怪達がざわめいた
そして、そのざわめきが収まると、妖怪達の中から一人の妖怪が出てきた。
昨日の体のでかい妖怪ではない、比較的に痩せ型で人に近い姿をしている
男の妖怪で、頬に切り傷がついているのが特徴的であった
(この男が……こいつらの頭か……)
美鈴がそう思っていると、その男がおもむろに声をかけた
「……名前を聞かせてもらいたい……」
その言葉に、『紅 美鈴です』と大声で言いたくなったが
それを押さえ込み
「…紅 龍(ホン ロン)だ……」
そう答えた……戦いが始まるか?と思った時
「お願いします! うちらを舎弟にしてください!」
そういって土下座してきた……
思っていた状況と違う事に、近くで見守っていたミスチーと
戦う体制を整えていた美鈴は
「「はあ!?」」
としか言いようがなかった
だが、そんな事はお構い無しと
男の妖怪は頭を下げながら話を続ける
「どうか!うちらを舎弟にしてください」
その言葉に、周りに居た妖怪達が全員
頭を下げる
「いや……申し訳ないが、舎弟なんて持つつもりは無い」
だが美鈴はそれを断る
(……私は…誰の上に立つような事はできないからね)
美鈴はそう言って、ミスチーの屋台に戻ろうとした
だが、妖怪の男はそれでも頭を下げる
「お願いします!うちらを……」
いつの間にか、周りの妖怪達も下に降りてきていた、
そして頭を下げ始める。
流石にそこまでされて屋台で
お酒飲むことは無理だと判断した美鈴が
男に問いかけた
「なんで私なのだ?」
話を聞いたぐらいでは妖怪は
配下になるような事は無い
(私の場合…お嬢様を守らなきゃって思ったんだっけ
……もう必要ないみたいですけどね)
では何故彼らが私の舎弟になりたいと思ったのか?
妖怪の男が顔を上げると
「昨日の夜と、今日の昼の場にうちら全員居たんです」
そう言った、周りの妖怪達も頷く
「大量の妖怪が居る中で、そいつらに啖呵をきり
そして、森荒らしていたあの魔法使いをそのまま
助け出した姿に……うちら全員ほれました!
お願いします! ぜひ兄さんの舎弟に!」
そこまで言われたら、美鈴も悪い気はしない
だが、舎弟を持つというのは話は別だ
(門番隊すらまとめる事が出来なかった私に…そんな事は……)
美鈴は迷った末に
「……しばらく時間がほしい」
そう答えた
その答えに妖怪達は頷いた
「すいません…兄さんにこんな話を持ちかけて
余り待つ事はできやせんが……
数日まででよろしかったら、うちらは全員またせてもらいやす」
そういって、妖怪達は戻っていった
美鈴が屋台に戻るとミスチーが心配してきた
「大丈夫?顔色かなり悪いよ」
美鈴はそういわれて、自分が疲れている事に気がついた
「どうも、少し疲れたみたい……少し休むね」
「うん、またあとで」
一足先にミスチーの寝床に向かう事にした
(今日は……確かに、色々あったからね)
鰻を取りに行き、魔理沙を気絶させ
料理の手伝いをして……
(そして…あの妖怪達…)
なんにしろ……疲れた
気がつくと美鈴は、ミスチーの寝床で
倒れるように眠っていた
「ただいま~」
仕事を終えたミスチーが帰ってくると
「……疲れているんだよね……」
泥のように眠っている美鈴に対して
毛布をかぶせようとして、止まった
「……ちょっとだけならいいよね?」
右みて、左見て、誰もいないことを確認して
「えいっ!」
美鈴に抱きついた
(……あったかい……)
そのままミスチーも眠ってしまった
その頃の紅魔館
「……咲夜、まだ何の情報も無いの?」
「……すいません、お嬢様」
まだ一日しかたっていないが
それでも、なんの情報も来ないのは
明らかに異常だった
「いいえ、咲夜……これが当然よ」
だが、レミリアにとっては想定の範囲内だったらしい
「と、いいますと?」
咲夜が問いかけると
レミリアが語る
「美鈴は、争いを好まないから隠れるのがうまいのよ……」
レミリアが始めて美鈴にあった時もそうだった、
人里を襲ったときに、自分の前に現れたのが美鈴だった
レミリアでさえ、そこに居るのが妖怪だとは気づかなかった
「妖気を消すのも、美鈴なら簡単だわ」
『気を使う程度の能力』
汎用性は、隙間に勝るとも劣らない
『気配』を操れば
本来なら誰も見つける事はできない
「妖怪なのに人が好き……妖怪の癖に他の者にも優しい
だけど、本気で守る時は自分の命も顧みない……
咲夜も思い当たる節はない?」
愚問だった……
「はい……変な妖怪って事はよくわかります」
笑いながら咲夜はそう答えた
「ええ、変な妖怪だわ」
レミリアも笑うと、一言
「だからこそ、この紅魔館の門を任せれるのは
美鈴以外は居ないわ……」
そう答えた
「ええ、ですから必ず見つけ出します」
咲夜はそう答えると
姿を消した
「……美鈴が居なければ…咲夜と会う事も
無かったでしょうね……」
誰も居なくなった部屋の中で、レミリアはつぶやいた
うあ、自分はいったいどっちを応援すればいいのだ!?龍ががんばれば美鈴の出番は減るし、逆もまたしかりだし…(かなり真剣)
美鈴やさぐれてなくね?
いや無粋なツッコミを失礼しました。
判ります、判りますとも。
脇役さんの作品は初期から読んでいますが、自分の設定を他人が既知であると考えているような節があるように見えます。
読んでいると、そのズレを次第に感じてしまいどうにもスッキリしないところが。
うん、めーりん頑張れ!
家のパソコンでは、東方創想話に来ることが今はできない状態なので
しばらくは更新速度落ちるか、書けなくなります
それと感想で書かれているとおり、美鈴が、やさぐれてなくなって
しまったためタイトルを変えさせてもらいました
>通して読んでいますが、「そんなに美鈴が大事なら皆もう少しましな応対していたのでは無いか」という気が。
脇役さんの作品は初期から読んでいますが、自分の設定を他人が既知であると考えているような節があるように見えます。
読んでいると、そのズレを次第に感じてしまいどうにもスッキリしないところが。
初めの方から見ていてくれてありがとうございます
言われてはじめて気がつきました、今後できるだけ気をつけます