Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

紅魔門番逃走記 3

2007/11/12 10:19:01
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    新聞が出る前日……
「そういえば、女性ってだけで舐められる事もあるんだよね
 ……どうしよう? あんまり戦いたくないし」


 美鈴は歩いている途中で絡まれた、三体目の妖怪を
 蹴り飛ばしている途中でそうつぶやいた
 美鈴は見た目がそのまま人間だ
 そのうえ、スタイルも良いし
 空を飛んでいないから『強いわけがない!』
 と思った妖怪が
(うまそうな獲物キター)
 と寄ってくるのだ
「変に妖怪退治すると……霊夢さんに怒られるし…」
 美鈴が困っていると
「おや?こんな所に珍しい顔が」
 誰かが声をかけてきた
「えーと……香霖堂の店主?」
「ああ、森近霖之助だ、まあ香霖とでも呼んでくれ」
 挨拶をされたのでこちらも頭をさげることにした
「あっ、これはどうも……私の名前は…」
「いや、魔理沙から聞いているよ…中ご「違います!」
 ゴメンゴメン、紅美鈴さんだったね」
 名前をきちんと知っている人が居る
 それだけでなんか泣きそうになった
「いや……名前で呼んだだけで本気で泣かれると困るんだが」
「はっ!…スイマセンどうやら無意識で泣いていたみたいです」
「…とりあえず君にあったら、一言謝らなければならないと
 思っていた所だ……」
 思いがけない言葉に美鈴は首をかしげる
「何で香霖さんが?」
「……すまない…魔理沙が紅魔館に迷惑をかけて…」
 香霖が深々と頭を下げた 
「何度も普通に挨拶してから中に……ん?……なぜ貴方がここに?
 門番の仕事は休みがないと聞いていたが」
「それは…」
 美鈴は返答に困った
(どうしよう?私がやめたって事、話そうかな…
 でも、あんまりしゃべりたくないし)
 どうしたものかと困っていると
「いや……話したくないならいいんだ」
「えっ?」
「無理に聞こうとは思わない……聞いたら面倒な事に
 なるならね…」
 その答えが美鈴には嘘と気がついたが
 その甘えに乗る事にした
「たすかります…」
「そうか……私はこの店でいろいろな物を売っている、何かあったら是非ご贔屓に……」
 気がつけばそこは香霖堂の前だった
 話しながら歩いていたらいつの間にか
 香霖堂までやってきたのだ
「はい、それでは…」
 そういって美鈴がどこかに行こうとしたとき
「そうだ!こんなのありますか!」
 面白い事を考えた美鈴は
 香霖にそんな品物があるかどうか
 問いただした
「……多分あると思うよ…ちょっと待ってくれ!調べてみる」
 しばらく経った後
 美鈴はその品物を手に入れた
「いくらですか?」
 美鈴の言葉に香霖はそろばん
 を持とうとして、やめた
「いや、魔理沙が迷惑をかけた分として
 ただであげよう……」
 霊夢や魔理沙なら、何も言う前に
 持って行ったであろう……
 だから香霖堂は何時も赤字だ、
 本当は無料で渡すなどありえない話なのだ
「それは駄目です!お金はきちんと払わなきゃ」
 だが世の中には……
 まともな人が居るのだ
 居る所には……そして
 そのような人こそ…
 虐げられる
 きちんとお金を払っていった美鈴を見て
 香霖は泣いた…
(まだ……居たんだ…まともにお金を払って行ってくれる人が
 …この幻想郷にいるんだ……)
 香霖は、まだ世の中捨てたもんじゃないなと思った


「それじゃあ、そろそろ行きますね」
「ああ……そうだ、これも持っていくといい」
 香霖が目をハンカチで拭きながら
 何か持ってきた
「えーと?これは」
「服だ……渡した物を使うときに必要になるだろう」
 それを美鈴はそれを受け取ると
 礼をして表に出て行った


 美鈴が外に歩いていると
(ぐ~)
「あ~お腹減ったな……」
 お腹が鳴って自分が昨日の夜からご飯食べていない
 という事に気がついた
(この辺に食べ物売っているところなんて……) 
 そんなとき、何処からか鰻が焼ける良い匂いがしてきた
「…あるみたい……」
 
 匂いのするほうを
 美鈴が歩いていくと
「あっ、これが…」
「ちんちん!いらっしゃい!……新顔さん?」
 夜雀の鰻の蒲焼の屋台でした
 美鈴も聞いたことがある、
 そして一度は行ってみたいと思っていた
「これからご贔屓に、私はミスティア・ローレライ、みすちーでいいよ」 
「これはどうもご丁寧に、…それじゃあ……メニューは?」
「八目鰻しかないよ~」
「それじゃあそれで」
 美鈴が頼もうとしたとき
 回りからうるさい声がしてきた
「……なんですかこれ」
「あ~また来た……困るのよね~」
 だんだんその声がひどくなる
 そして…
 ミスチーの屋台の周りに大量の
 妖怪が集まる
「……なんですあれ?」
「ん~最近ね、妖怪の中で少し腕の立つ奴がね…」
 ミスチーの話はこうだ
 最近になって、この辺の妖怪達が集まって
 暴走しているらしいのだ
 始めはなんともなかったのだが
 だんだんと、はぐれ妖怪達が集まって
 軽快な音楽を鳴らしながら
 この辺を暴れまわっているらしい
「迷惑だね……」
「まあ……でも、うるさい事意外は
 まだ何もしていないからね」
 そう言って美鈴に炙った鰻が渡される
「いただきま~す」
 鰻を食べようとしたとき
 何者かが、屋台に入ってきて怒鳴った
「おうこら~!誰に断ってここで店ひらいとるんじゃい!」
「「きゃあ?」」
 ミスチーと美鈴が
 お店に入ってきた妖怪に吹き飛ばされる
 そのせいでせっかくの鰻が地面に落ちる
 そしてミスチーの屋台も少し壊れた
「あ~鰻が~」
「あ~屋台が~」
 二人が落ち込んでいると
 妖怪の中の一人が
「おうおうおう!今日からここは俺達の島だ!
 ここで店開くのならショバ代払わんかい!」
「え~…私は初めからここにお店出していたのに~」
 ミスチーが妖怪に対して
 文句を言った
 その時美鈴は……
(鰻……食べたかったのに…)
 食事を邪魔されて怒っていた…
 そして……その怒りをどう晴らそうかと考えていた
 その時、香霖堂で買った薬の事を思い出した
(……試してみようか……あのクスリ)
 美鈴が香霖堂で買った薬を飲むと、渡された服にこっそりと着替えた
「ちょっと!お店どうしてくれるのよ」
「うるせ~な……いい加減にしろよ」
 ミスチーに対して妖怪が殴りにかかる
(あっ、やばい!)
 ミスチーが思わず目を閉じる
(ぱしっ!)
 しかし、ミスチーにその拳が当たることはなかった
 何者かがその拳を止めたからだ
「……いい加減にしなさい」
「だっ、だれだてめえ?」
 ミスチーの背中を抱きかかえて
 妖怪の拳をぎりぎりと握りしめて
 その人は言った
「……この暴走を起こした者…私の前に来なさい」
 赤い髪を後ろで縛り
 龍を全身に巻いたような感じの
 道師服を着た
「……叩き潰すから」
 
 仮面を付けた 
 漢がいた

「このやろう!ぶち殺してやる」
 数人がその漢に殴りかかる
 だが、それを避ける事もせず
「ふん!」
 気合だけで殴りかかって来た妖怪が吹っ飛ばされる 
「……出て来なさい」
 ミスチーと漢の周りに居た妖怪達が
 一斉に後ろに引く
 そしてその中から
 一人の大きな妖怪が
 あらわれる
「ふっはっは!……少しは出来るようだな
 どうだ?俺と組まねえか?」
「……あなたが頭か?」
 そう聞くとその大きな妖怪は首を前に振った
「ああっ!お前さんほどの者なら、俺の右腕にしてやってもいいぞ?どうだ」
「…………」
 赤髪の漢は始終、黙っていた
「ふっふっふ……もう少ししたら紅魔館に俺達は殴りこみをする計画がある…」
「なに?」
 大きな妖怪の言葉の聞きなれた言葉に、漢は反応した
「俺はな~紅魔館を落とす計画のために、大量の妖怪を集めているんだ、
 いま貴重な戦力を割く事はできねえ……どうだ?」
 その話の話を聞いた漢が
 ため息をつく
「あっ?なんだ」
「あなた……紅魔館に文句があるの?」
 漢が目の前で懐からパイプを取り出し
 それに火をつける
「紅魔館に文句があるのかと聞いている」
 そう言うと、パイプを口につけ
 一服吸うとそれを口から吐き出す
「紅魔館を落とせば……俺達の名前が幻想郷に響くだろ? そうすれば俺達は
 好き勝手にできるわけだ。な~に女や子供しかいねえような所だ…
 簡単に落とせるぜ?」
 その言葉を聞いた漢はパイプを
「すまない……ちょっと持ってて」
「えっ?……はい…」
 ミスチーに渡す
 そして、その大きな妖怪の前で
 構えを取る
「なんだ?」
「紅魔館の文句は……」
 構えると同時に凄まじい闘気が吹き荒れる
「私に言え!」 
 凄まじいスピードで
 その妖怪に拳を当てる
「あたたたたたたたたたたたたたたーっ!!!」
 余りのスピードのため腕が何本にも
 分裂したように見える
 そしてその腕から繰り出される拳が、大きな妖怪の身体に触れる
「ほあたっー!」
 全ての連打が妖怪に当たると、その大きな妖怪が後ろに吹っ飛んだ
 周りの妖怪達がざわめく
 一人の得体の知れない漢に
 自分達の頭が、それも漢より3倍は差が
 あるのに吹っ飛ばされたのだ
 しかし、大きな妖怪は起きあがった
「このやろう……変な真似しやがって!
 ぶち殺してやる!」
 周りの妖怪達が歓声を上げる
 だが、漢は後ろを振り向き
 ミスチーの方に歩いていく
「おうこら~……逃げるのか?」
 そのまま漢はミスチーのお店の中に入る
「鰻もう一つヨロシク」
「えっ?……あ~……うん、すぐ用意する」
 おいていかれたその妖怪があっけにとられる
 そしてその妖怪に対して
「……そうそう…お前はもう…」
 その大きな妖怪に異変が起こる
「あっ?いてっ、てててっ?」
 妖怪の右手が異様な角度に曲がる
 そのまま全身から血が霧のように噴出す
「い~?てぇ!はぁ~~!!!」
 妖怪が大きな音を立てて倒れる
 それを見た周りの妖怪達が
「に、逃げろ~」
 一斉に逃げ出す
「…死にはしないけど痛いよ、って言おうとしたんだけどな…」
 妖怪達が居なくなった後で漢が一言つぶやいた 



 しばらくして
「鰻できました……」
「やっと食べれる……?どうしたの?」
 ミスチーが自分の顔を、ジ~っと眺めているのに気がついた
 ……少しだけ顔が赤いのは気のせいだろう
「あの…ありがとうございました」
「いいよ別に、それより怪我はない?」
「はっ、はい!……あの~…名前聞いてもいいですか?」
 ミスチーが、申し訳なさそうにそう言ってきた
 漢は鰻をもしゃもしゃ食べながら、その質問に答えた
「うん?さっき言わなかった?…」
「えっ?」
 その時、初めて目の前に居る漢が
 先ほどお店に来ていた女性であるときがついた
「ああ、そうでした……今は私、漢になっていたのでした」
 そういうと、突然その漢から煙が出てきた
 そして、次の瞬間
 (ぼん!)
 変な音と共に変化が現れる
 
 まず胸が大きくなって、仮面が外れる
 そして縛っている髪がほどけて長くなる
 最後にそこに居たのは、先ほど居た新顔のお客さんだった
「少ししか飲まなかったからかな?……ん、どうしたの?」
 目の前のミスチーが、少し落ち込んでいた
「……さよなら、私の初恋」
 …気のせい気のせい
「ちょっとゴメンね、今着替えるから」
 美鈴は服を元の服に着替えると
 ミスチーに聞き始めた
「このへんで、一晩過ごせる所ないかな?」
「ん~……」
 しばらく考えるそぶりを見せると
「私の寝床でいいならすぐに用意できるよ?」
「いいの?」
「うん、助けてくれたし、お金もきちんと払ってもらったから」
 寝床が確保できたのなら、後は料理を食べるだけ
 うまい鰻を食べながら、ミスチーが歌う歌を聴く
「ユアッシャー!愛で空が~落ちていく~♪」
「あはははははっ、いいぞいいぞ!」
 久しぶりに、美鈴は心のそこから笑った
 







 次の日
「う~少し呑みすぎた…頭痛い…」
 美鈴が目を覚ました時には
 すでに空には太陽が昇っていた
「あれ?ミスチーはどこ?」
 そこが夜雀の住みかであることは
 わかったが
 この部屋の持ち主の姿が見えなかった
「ん~…お母さん…」
「あれ?声は聞こえる…」
 美鈴が改めて調べると
「あっ…」
 枕と思って抱いていたのが
 この部屋の主でした




「いや~ごめんなさい」
「うん…かまわないよ…」
 寝てる間に抱きしめられて窒息死しそうに
 なったミスチーに謝る
「…できたら男の状態で…」
「ん?何か言った」
「な、なんでもないよ…そ、それより
 夜の仕込みしなくちゃ~」
「それなら、私も手伝います」
 美鈴も手伝うことにした
 だがその前に
(きゅるるるっ)
「あ~」
「あ~」
 二人のお腹がなる
「…ご飯…作ろうか」
「ちんちん…」
「なにかあるかな?」
 美鈴の問いかけにミスチーが考える
「ん~、昨日の料理の残りとか
 鰻意外の魚とかなら…」
「ならそれで炒め物にしましょうか」

 腹が減っては戦が出来ぬとはよく言ったもの

「出来ましたよ~」
「うわ、おいしそう」
 出てきた料理を食べ始める
「この料理…屋台で出したい…作り方教えて
 ほしいんだけど?」
「いいですよ?」
 …後に新たな八目鰻料理となる

  
 
「ふう、ご馳走様でした」
「お腹いっぱい……」
 ミスチーと美鈴がご飯を食べてのんびりしていると
(ストン!)
 何かが飛んできた
「新聞ですね」
「持って来るよ」
 幻想郷では珍しくない光景
 前は『つまらない』が感想だったが
 今は『たまに面白い』が感想である
 原因は多分、博麗の巫女であろう 
 ……おかげで博麗神社の信仰もずいぶん下がっているが
「……元からあったっけ?」
 そう思いながら美鈴が待っていると
 ミスチーが新聞を片手にやってきた
「……ねえ、ここに乗っているの貴方じゃないの?」
 そう呼ばれて美鈴が新聞を読んで驚いた
「え~と…『紅魔館の門番…紅美鈴探しています』
 情報は十六夜咲夜まで……げっ!?」
 間違いなかった なぜか知らないが紅魔館が
 私を探しているらしい
「なんで?」
「……私がわかるはずないよ…」
 ミスチーに聞いてもわからない
 …だがこのままでは表を出歩けないのは事実だった
 外を歩けばたぶん簡単に見つかるだろう
「ねえ?」
 ミスチーが聞いてくる
「何ですか?」
「……昨日の男になるのって」
「薬ですが……あっ!」
 解決方法は簡単だった
「そうでした、薬の力で男装すればよかったんです」
 誰も、美鈴が男装しているとは気がつかないだろう
「……私が知っているんだけど?」
 ……ミスチー以外は…
「…えーと……」
 流石に困った、たとえ男装しているのがわからなくても
 それがばれてしまったら意味がない!
 だが、ミスチーはおもむろに一言
「……大丈夫!内緒にしといてあげるよ」
 そういってきたのだ
「いいの?ありがとう!」
「うん、でも何個かお願いしていいかな?」
「まあ…できることなら」
 美鈴がそういうとミスチーは
 うつむきながら
「えーとね……」
 美鈴に『お願い事』を話した




  続く
 今回のお話は……北斗の拳です!……どちらかと言えば蒼天のほうです
 誤字脱字、何かありましたら感想と一緒に書いてくださると
 ありがたいです。

 タイトル変えました
 
脇役
コメント



1.時空や空間を翔る程度の能力削除
脇役さんの作品は必ず目にしています。
毎回面白い作品が読めて嬉しく思います。
之からの活躍に期待してお待ちしています。
2.名無し妖怪削除
霞拳志郎?霞拳志郎じゃないか!
みすちーが可愛いです、とても
3.名無し妖怪削除
うおおおおおお速く続きが読みたい世みたい詠みたい夜みたい

( ゚∀゚)o彡゜めーりん!めーりん!
4.欠片の屑削除
どぇ!バンチまで確認してらっしゃいましたか!

お金を払ってもらうだけで泣いてしまう、そんな霖之助が素敵過ぎw
5.イスピン削除
名前を呼ぶ霖之助とお金を払う美鈴にオレ、感動。この人たちの今後に幸あれ。
あれ?ゆあっしゃー!は北斗の方のOPだった気が…

美鈴×みすちー…新しいジャンルだ!いいぞ!そのままいっちゃえ!!
6.名無し妖怪削除
 [美鈴の問いかけにミスーが考える]<みすちーですよ!(^^;
7.名無し妖怪削除
あかん。面白いじゃないですか。
続きも読ませてもらいます。
8.名前が無い程度の能力削除
みすちーは俺の嫁!!










…美鈴なら仕方ないか、おめでとうみすちー。おとなしく見守るよ、お幸せに!