紅美鈴は門番だ
幻想郷の中でこの事実を知らないやつは
モグリだ!(断言)
そして
「じゃあな!中国」
「……私の名前は紅美鈴…(がくっ)」
ザルな門番としても有名である
彼女も好きでそんな風に呼ばれているわけではない
一つ忠告しておかなければならないが
彼女は弱くはない
むしろ強いほうである・・・しかし
「中国……」
「ひっ!…さっ、咲夜さん?」
「……また門を突破されて…」
「いや~お仕置きはカンベンしてください~}
相性が悪い人が多すぎるのである
(ドスドスドスッ)
「あっ!」
「まったく……もっとちゃんとしてよね」
たとえば彼女の上司の十六夜咲夜
いかに美鈴が相手の気を読み取ることが出来るとしても
「それじゃあ……門の修理お願いね」
「ううっ……わかりました」
時を止められては読むことが出来ないまま
ナイフを突き刺される
先ほど来た白黒魔法使い
霧雨魔理沙も
「全範囲に対しての高威力ボムなんて…
かわしようがないじゃないですか」
高速、高威力、恋ドロボウ、
まさに3Kだ
他にも赤白の巫女は
「……ボム無限使用なんて絶対チート技だよ…」
まさに外道を地でいっている
いかにタフな美鈴でも
遂に倒れるときがやってきた
「……もうやだ…」
ちなみに今の彼女の状態は
朝ごはん抜きで門の修理終わったら
庭のお手入れ、その後やってきた
巫女と白黒の相手(もち負ける)
お仕置きと称されてナイフを全身に
投げつけられる
さらに、白黒が本を持っていたのは
門番が情けないからだといわれて
至近距離で太陽をぶつけられたり
館の主から
「妹の遊び相手お願い」
といわれて、命からがら
遊び相手を務めてきたところだ
「はあ…かつては鉄壁の紅の門って
呼ばれていたんだけどな…」
今では紅魔館の中でもっとも立場が
悪い所になっている
キツイ、危険、地味
と呼ばれて誰もこの任務につこうとするものは
いない、それでも人数はそろえておかないと
いけないからメイド達のなかで
成績が悪いものが数合わせのために
任務についている
ひどい言い方で…
「左遷組……か…」
これでもかつての門番隊は
『紅魔館の誇り』と呼ばれたこともある
それも時代と共にだんだん薄れていった
名誉決闘……
「弾幕バトルが入ってきてからかな…」
昔の幻想郷では力自慢がこの門に
われこそは!といって戦いを
挑んできた……
それを美鈴は一人で全て撃退してきたのである
しかし今では
そんな所に行こうとするものは
ほとんどいない
しかも弾幕バトルでの決闘では
体術はほとんど関係ない
そして、何度も何度も
負けが続いてきた
それでも美鈴は努力を重ねてきた
いずれは……侵入者を
追い払えると信じて
そしてある日
「あばよ!中国……」
ぼろ負けだった
一発のボムも使わせれなかった
門の前で倒れ空を見ながら
美鈴は……泣いた
そして気がついた
「…そっか…」
努力なんて…
才能の前には
何の意味もなさいんだ
美鈴はお仕置きが終わった後、自分の部屋を片付けた
(もう…ここに戻れることはないだろう……)
「……今まで…ありがとう……さよなら」
己の生涯で一番ともにいた
門の前に立ち門に手をそえる
最後にその門に
己の最後になるであろう
手紙をそえた
その手紙にはこう書かれていた
退職願
そして美鈴は誰にも見つかることなく
紅魔館から姿を消した
次の日、紅魔館に衝撃が走った
「門番長消えた?うそ~」
「なんでもお嬢様に解雇通知出されたとか」
「えっ?私は妹様の怒りに触れたって聞いたけど?」
さまざまな憶測が紅魔館で噂された
そして
「貴方達……仕事は?」
「「「すいませ~ん」」」
「まったく……」
メイド長である十六夜咲夜
彼女もその事実に少しとはいえ動揺していた
「……こんなものを門に貼り付けていくなんて…」
彼女が手にしていたものは
門に貼り付けられていた
美鈴の退職届けだった
「お嬢様…失礼します」
「咲夜……準備は整っているわ」
「…面白いことになったわね…」
ここは紅魔館の一室
普通のメイドでは入ることが許されない
いわば紅魔館の今後を決める
最終議会の場だった
「咲夜……今回の騒動はどうゆうこと?」
「美鈴がいなくなりました…そしてこれを」
咲夜が退職届けを見せる
「…門番…ずいぶんと悩んでいたみたいね…」
図書館の主であるパチュリーノーレッジがしゃべる
「……美鈴は悩んでいたの?パチュリー?」
「あんな過酷な仕事、私は絶対やりたくないわね」
端的にパチュリーがしゃべる
「それでは…まだ空けてないこの退職届あけてみますね」
咲夜がいつも持ち歩いているナイフで
退職届の封を切る
そこにはこう書いてあった
今までありがとうございました
栄誉ある紅魔館の門番の隊長の任務
とても光栄でした
されども…すでに門番としての役目を
果たすことが私には出来ません
所詮私のような才能無き者が
努力だけで守ってきるほど
甘いものではありませんでした
……お嬢様も大きくなられました
もはや私が守る必要もございません
……お嬢様の隣には咲夜さんがいます
パチュリー様にはあの白黒が
妹様も少しずつですが変わり始めました
最早…我此処有意味無也
無才者 紅美鈴
読み終わったあと
(ガッシャ~~ン!!!)
レミリアが机に槍を突き立てた
「……咲夜…」
「…はいお嬢様…」
「この馬鹿を探し出して……」
「わかりました…」
二人とも怒っていた
逃げ出したことではない
手紙に書いてあった一言
「才能が無いだと?……あの馬鹿…」
レミリアの一言が
全てを語っていた
確かに最近の門番は簡単に侵入されていた
役に立たないと思ったこともあった
だがそんなもの関係なかった
それよりも
彼女がいるだけで安心できた
そして
「…その努力する姿が…」
美しいと思っていたからこそ
レミリアは美鈴にここにいてもらいたい
と思っていたのだ
「……すごいと思っていたのに…」
自分のような圧倒的力が無いのに
目の前の妖怪は
力をいなし
必要最小限に力で避け
攻撃に転じていた
誰が考えられようか
夜の吸血鬼に対して
接近戦を挑み
互角以上の戦いをして
圧倒しかけているのだ
その勝負の結果は
ギリギリのところで
遠距離からのスピア・ザ・グングニルで
決着がついた
しかし
勝ったレミリアのほうが倒れてしまった
起き上がった美鈴によって
トドメを刺されると思ったのに
美鈴は
「大丈夫?」
手を差し伸べた上に
しばらく自分を守ってくれたのだ
その間、美鈴は決して
修行を怠らなかった
そしてレミリアがなぜそんなことをするの?
と聞いたら
「あははっ…私は……弱いですから…強くなるには
努力しなきゃ…」
そう答えたのだ
その一言でレミリアも変わった
だから
「美鈴のおかげで今の私があると言うのに……」
レミリアは本気で怒っていた
「許さないわよ……美鈴…」
咲夜も怒っていた
「……まだあの時のお礼…言ってないんだから」
時を止める…
人には余りにも業深き奇跡
そしてそれを持ってしまった
物に対してぶつけられる言葉
『化け物!』
『人殺し!』
(そんなもの…もう慣れた)
そして彼女は殺人鬼となった
周りの人にそうさせられたのだ
そして幻想郷に来ても
彼女は血に飢えていた
…人を恨み
そして暖かさを追い求めた
(私には…決して得ることが出来ない)
だから彼女は妬み,そして
いつしか殺すことしか出来なくなっていた
「あの時……」
紅魔館に来たときも
面白半分で吸血鬼を狩に来た
(どちらが死んでも化け物が一人消えるだけ)
そして門番である美鈴に出会った
咲夜はひたすら攻撃した
だが美鈴は何もしてこなかった
ずいぶんと長いこと咲夜の攻撃は
続いた、しかし美鈴は一切攻撃をしなかった
(手加減のつもり?)
勝負が決した時
美鈴は体中にナイフが刺さっていた
(変な相手……)
不思議に思った咲夜はその相手に近づいた
倒れたはずの美鈴が咲夜に手を伸ばした
そして
「……もう泣かなくて良いよって……」
そういいながら自分のほうがボロボロなのに
咲夜を抱きしめたのだ
その時に殺人鬼は消えた
「最高の皮肉だったわ……夜霧の殺人鬼を消すための方法
が抱きしめて頭をなでるなんてね……」
美鈴が居たからこの紅魔館に繋がりが出来た
その繋がりをくれた人が
「……何も言わずに居なくなるなんて
…絶対に許さないんだから…」
咲夜も本気で怒っていたのだ
何やら面白そうなお話が・・・
続き見に行ってきます。
何の意味もなさないんだ→○だと、おもわれる(^ ^;
美鈴は門番していない方が幸せに生きていけそうだけど、結局門番を選んでしまうであろうところが悲しいような魅力なような。
しかしこの紅魔館、俺のドストライクだったりする。