場所は冥界。
そこにいつもの華やかさや荘厳さはなく、ただ『死』が吹き荒れていた。
「本気の幽々子を見るのは一体何百年振りかしらねぇ…」
その場にて一人そう呟いているのは幻想郷でも屈指の力を誇っているスキマ妖怪こと八雲 紫である。
「冥界で異変を感じて来てみればっ!この有様は何なのよっ紫!」
そう言って飛んできたのは特徴的な赤と白の巫女姿をした少女、博麗 霊夢だ。
「結界を貼ってなきゃ危なくて近づけもしないじゃないの。この能力は幽々子のものでしょう!?
彼女は何処?何をやっているの!?」
捲し立てる霊夢とは対照的に紫は優雅に扇を仰いでいる。
「そうがならないの。ほら、あなたも御覧なさい?めずらしいものが観れるわ。そう、幽々子の本気が…」
扇を舞のように翻しながら、一点を指す。
死気が渦巻く先にはこの冥界の主である亡霊姫、西行寺 幽々子がいた。
しかし、其処にいつものふわふわした笑顔は無く、その表情は美しくも怒りに歪んでいた。
「幽々子の…本気?」
霊夢は怪訝そうな顔をして紫のほうを見る。
「そう。あの子の能力は知っているわよね?死を操る程度の能力」
「それが何だって言うのよ?」
返事をしながら死気に当てられぬように結界を二重に貼りなおす霊夢。
対して至って涼しそうな顔をしながら紫は続ける。
「彼女は本気を出さなくてもその能力があれば相手を死に至らしめることが出来る。だから基本的に本気を出すなんてことは無いの」
確かに霊夢にも思い当たる節はあった。
あの春の事変の時に彼女が本気を出していればもしかしたら自分が死んでいてもおかしく無かった筈だからだ。
「でも幽々子が自身の能力を使うことはほとんど無いといっていいわ。」
「えっ!?」
確かに霊夢は幽々子と知り合ってから彼女がその能力を行使している姿を見たことが無い。
「そう言われてみれば力を使っているの見たことが無いわね。でも」
どうして、という言葉を遮って紫は話を続ける。
「あら、貴方は知らなかったわね。彼女は自分の能力を疎んで自害したのよ?
亡霊になったからってその能力が好きになれる訳ないじゃない。」
紫は嬉しそうに扇を仰ぎながら更に続ける。
「その疎んでいた死の力を存分に振り撒く幽々子…素敵だと思わない?今のあの子に相対せる存在なんて
、生と死の境界を操れるこの私か死の運命すら操れる吸血鬼、死の概念すら破壊するその妹、
後は蓬莱の人の形か神格に属するもの位でしょうね…もしくは…」
今にも笑い出しそうな顔でその西行寺 幽々子に相対している存在の方に扇を向けながら言う。
「…もう死んでいるものかしら…?」
「…あっ!…」
今の今まで霊夢も忘れていた。
その幽々子に相対している第三者の存在を、その存在こそが彼女を怒らせた張本人だということを。
慌ててその扇の先に視線を合わせ霊夢は驚愕する。
「あれは確か…プリズムリバーの妹っ!?」
そう、其処にいたのは騒霊三姉妹の妹リリカ・プリズムリバーだった。
ただ、相対しているといっても、戦意も意識すらも喪失していそうな感じである。
腰を抜かしているのか小さくなってガクガクと震えている。
「大変じゃない!何で助けてあげなかったのよ!?」
霊夢は紫に詰め寄ると、
「霊なんだからこれ以上死ぬことは無いでしょ??それに…」
お も し ろ そ う じ ゃ な い ? その言葉に霊夢は軽く眩暈を覚えた。
そうだった…コイツはこういうヤツだった。
「妖夢はっ??」
「幽々子を押さえようとして既に其処で伸びてるわ」
霊夢は頭痛を抑える仕草をして
「もういい、私が行くっ!」
と言って飛び出そうとすると紫が立ちふさがった。
「邪魔する気!?」
「ええ、貴方が行ったら確実に殺されるわ。」
「じゃあどうしろっていうのよ!」
「私だってただ見ていただけじゃないわ。そろそろ…」
ほらっ、と扇を空に挙げる。
その先には二つの影、ルナサ・プリズムリバーとメルラン・プリズムリバーだった。
「間に合ったわねっ!いっけぇ~!」
そういってメルランは幽々子にむかって何か小さなものを投げた。
小さなものはそのまま幽々子の顔に…いや口の中に放り込まれた。
その途端、辺りに立ち込めていた死の気配がふっと消え失せた。
「あらっ?まあまあ、この味は~…」
幽々子はそう言いながら何やら口をもにゃもにゃ動かしている。
そこへ二人が飛んできて、
「どうかこれで許してくださいっ」
とよく見えないが箱を手渡している。
すると幽々子の顔がぱあっと花開くように明るくなりご機嫌になる。
「ええ、ええ、全然いいわよ~。許してあげちゃうわ。折角だから皆でお茶にしましょうか~。妖夢~お茶を入れて頂戴。妖夢~?
全くだらしないわねえ…」
さっきの怒気なぞ何処吹く風か。
非常に上機嫌でふわふわと飛んでいる。
「紫、お茶にしましょう。あら?霊夢、いつの間にきたの~?あなたも上がっていけば?」
そう言いながらふわふわ白玉楼のなかに入っていってしまった。
コトのあらましはこうだ。
最近紫が見つけてきたあか○くとか言うお菓子を持ってきた。
しかし、リリカは知らずお客様用のものだと思って食べてしまったらしい。
それを知った幽々子が怒り狂ったと…
「幽々子は三百年位前からアレ食べたい食べたい言ってたのよねえ…なんか幻想郷入りしてたから真っ先に持ってきてあげたのよ。
それを食べられて相当頭に来たみたいね。」
そう言いながらくすくすと笑う紫。
「幽々子の怒りも収まったみたいだし、どう?霊夢もお茶してく?」
悪戯っぽく笑う紫を他所に霊夢はげっそりとしていた。
「いいわ…なんかもう死ぬほど疲れた。帰って寝る…」
「そう?お大事に。」
という言葉を背に受けながら本気とか能力とかよりもっと恐ろしい幽々子の片鱗を味わった霊夢であった…
そこにいつもの華やかさや荘厳さはなく、ただ『死』が吹き荒れていた。
「本気の幽々子を見るのは一体何百年振りかしらねぇ…」
その場にて一人そう呟いているのは幻想郷でも屈指の力を誇っているスキマ妖怪こと八雲 紫である。
「冥界で異変を感じて来てみればっ!この有様は何なのよっ紫!」
そう言って飛んできたのは特徴的な赤と白の巫女姿をした少女、博麗 霊夢だ。
「結界を貼ってなきゃ危なくて近づけもしないじゃないの。この能力は幽々子のものでしょう!?
彼女は何処?何をやっているの!?」
捲し立てる霊夢とは対照的に紫は優雅に扇を仰いでいる。
「そうがならないの。ほら、あなたも御覧なさい?めずらしいものが観れるわ。そう、幽々子の本気が…」
扇を舞のように翻しながら、一点を指す。
死気が渦巻く先にはこの冥界の主である亡霊姫、西行寺 幽々子がいた。
しかし、其処にいつものふわふわした笑顔は無く、その表情は美しくも怒りに歪んでいた。
「幽々子の…本気?」
霊夢は怪訝そうな顔をして紫のほうを見る。
「そう。あの子の能力は知っているわよね?死を操る程度の能力」
「それが何だって言うのよ?」
返事をしながら死気に当てられぬように結界を二重に貼りなおす霊夢。
対して至って涼しそうな顔をしながら紫は続ける。
「彼女は本気を出さなくてもその能力があれば相手を死に至らしめることが出来る。だから基本的に本気を出すなんてことは無いの」
確かに霊夢にも思い当たる節はあった。
あの春の事変の時に彼女が本気を出していればもしかしたら自分が死んでいてもおかしく無かった筈だからだ。
「でも幽々子が自身の能力を使うことはほとんど無いといっていいわ。」
「えっ!?」
確かに霊夢は幽々子と知り合ってから彼女がその能力を行使している姿を見たことが無い。
「そう言われてみれば力を使っているの見たことが無いわね。でも」
どうして、という言葉を遮って紫は話を続ける。
「あら、貴方は知らなかったわね。彼女は自分の能力を疎んで自害したのよ?
亡霊になったからってその能力が好きになれる訳ないじゃない。」
紫は嬉しそうに扇を仰ぎながら更に続ける。
「その疎んでいた死の力を存分に振り撒く幽々子…素敵だと思わない?今のあの子に相対せる存在なんて
、生と死の境界を操れるこの私か死の運命すら操れる吸血鬼、死の概念すら破壊するその妹、
後は蓬莱の人の形か神格に属するもの位でしょうね…もしくは…」
今にも笑い出しそうな顔でその西行寺 幽々子に相対している存在の方に扇を向けながら言う。
「…もう死んでいるものかしら…?」
「…あっ!…」
今の今まで霊夢も忘れていた。
その幽々子に相対している第三者の存在を、その存在こそが彼女を怒らせた張本人だということを。
慌ててその扇の先に視線を合わせ霊夢は驚愕する。
「あれは確か…プリズムリバーの妹っ!?」
そう、其処にいたのは騒霊三姉妹の妹リリカ・プリズムリバーだった。
ただ、相対しているといっても、戦意も意識すらも喪失していそうな感じである。
腰を抜かしているのか小さくなってガクガクと震えている。
「大変じゃない!何で助けてあげなかったのよ!?」
霊夢は紫に詰め寄ると、
「霊なんだからこれ以上死ぬことは無いでしょ??それに…」
お も し ろ そ う じ ゃ な い ? その言葉に霊夢は軽く眩暈を覚えた。
そうだった…コイツはこういうヤツだった。
「妖夢はっ??」
「幽々子を押さえようとして既に其処で伸びてるわ」
霊夢は頭痛を抑える仕草をして
「もういい、私が行くっ!」
と言って飛び出そうとすると紫が立ちふさがった。
「邪魔する気!?」
「ええ、貴方が行ったら確実に殺されるわ。」
「じゃあどうしろっていうのよ!」
「私だってただ見ていただけじゃないわ。そろそろ…」
ほらっ、と扇を空に挙げる。
その先には二つの影、ルナサ・プリズムリバーとメルラン・プリズムリバーだった。
「間に合ったわねっ!いっけぇ~!」
そういってメルランは幽々子にむかって何か小さなものを投げた。
小さなものはそのまま幽々子の顔に…いや口の中に放り込まれた。
その途端、辺りに立ち込めていた死の気配がふっと消え失せた。
「あらっ?まあまあ、この味は~…」
幽々子はそう言いながら何やら口をもにゃもにゃ動かしている。
そこへ二人が飛んできて、
「どうかこれで許してくださいっ」
とよく見えないが箱を手渡している。
すると幽々子の顔がぱあっと花開くように明るくなりご機嫌になる。
「ええ、ええ、全然いいわよ~。許してあげちゃうわ。折角だから皆でお茶にしましょうか~。妖夢~お茶を入れて頂戴。妖夢~?
全くだらしないわねえ…」
さっきの怒気なぞ何処吹く風か。
非常に上機嫌でふわふわと飛んでいる。
「紫、お茶にしましょう。あら?霊夢、いつの間にきたの~?あなたも上がっていけば?」
そう言いながらふわふわ白玉楼のなかに入っていってしまった。
コトのあらましはこうだ。
最近紫が見つけてきたあか○くとか言うお菓子を持ってきた。
しかし、リリカは知らずお客様用のものだと思って食べてしまったらしい。
それを知った幽々子が怒り狂ったと…
「幽々子は三百年位前からアレ食べたい食べたい言ってたのよねえ…なんか幻想郷入りしてたから真っ先に持ってきてあげたのよ。
それを食べられて相当頭に来たみたいね。」
そう言いながらくすくすと笑う紫。
「幽々子の怒りも収まったみたいだし、どう?霊夢もお茶してく?」
悪戯っぽく笑う紫を他所に霊夢はげっそりとしていた。
「いいわ…なんかもう死ぬほど疲れた。帰って寝る…」
「そう?お大事に。」
という言葉を背に受けながら本気とか能力とかよりもっと恐ろしい幽々子の片鱗を味わった霊夢であった…
ネームバリューの差でバッタ・パチもん扱いされる始末。残念!!(幻想郷)逝きぃ!!!
>でも能力も殆ど使わない
「本気を出さないのは能力のおかげ」と紫が言っているにも拘らず、「殆ど能力を使わない」とすると、じゃあ「概ねいつも本気」?
倒産した所為で食べられなくなった「ぷよ○ん」の事も思い出(ry
……でも公式でのローマ字表記だとOFUKUだったり。