ある日のこと、白玉楼では今日も幽々子がお茶を楽しんでいた。
するとそこへ妖夢がやってきた。
「幽々子様。、少々お話したいことがあるのですが・・・」
「な~に~妖夢?剣術はやらないっていってるでしょ~」
「いえ、そうではなくてですね・・・その・・・」
妖夢は何やら歯切れが悪い。
あらあら妖夢、また何か失敗でもしたのかしら。
「今さら失敗の一つや二つ、気にせず言ってごらんなさいな」
それを聞いた妖夢は正座を直すと、真っ直ぐに幽々子を見つめてこう言った。
「私、この度結婚することに致しました」
「へぇ、結婚ね~」
妖夢が結婚!?そ、そんな!いやいや妖夢も半分とはいえ年頃の娘、色恋の一つや二つするかもしれない。だからって結婚は早すぎ・・・ハッ、まさか出来ちゃった婚!?くっ、あれほど避妊には気をつけなさいと・・・言ってないわね。でもまさか妖夢にそんな相手がいて、そんなところまで進んでいるなんて思わないじゃない!油断してたわ・・・ゆゆちゃん最大の屈辱!とにかく相手を確かめないと・・・ろくでもない男や取るに足らない男ならさっさとこのカリスマ扇の錆にして、妖夢とお腹の子は私が面倒をみるわ!
「それで、相手は誰なのかしら?」
幽々子は少し開いた扇子で口元を隠し、妖夢に聞いた。
「ミスティア・ローレライです。幽々子様も一度お会いしたことがあるかと」
「・・・妖夢?ミスティア・ローレライってあの夜雀のこと?私の記憶じゃああの夜雀は女の子だったと思うのだけど・・・」
「はい、そのミスティアです。それで、慎ましながら式を挙げたいと思いまして」
「いやいや妖夢、というか本当に結婚する気なの?」
「はい、彼女は少し照れているようですが」
すると妖夢の半霊が何かを運んできて、そして妖夢の傍らへと置いた。
ミスティア・ローレライであった。
何故か全身を簀巻きにされ、その顔は恐怖に引きつっている。
幽々子を目にしたミスティアは、さらなる恐怖で目を見開いた。
妖夢の傍らに降ろされたミスティアは這いつくばって逃げようとしたが、それより早く妖夢ががっつり腰を捕らえた。
「なかなか素直になってくれなくって、目を離すと一人でふらふらとどこかへ行ってしまうので。ですがちゃんと私たち愛し合っています」
「いやいや妖夢、どう見ても合意には見えないわ」
「それで式の場所ですが、やっぱり博麗神社がいいですかね。でもあまりご利益が期待できなさそうなのですが」
聞いちゃいない。
「貴女たち女同士でしょう?魂魄家が途絶えてしまうわ」
「大丈夫です。八意印のよく効く薬があるそうなので」
いったい何に効くというのだろう。
「とりあえず報告したので仕事に戻ります。あ、式は来週の予定ですので」
「ま、待ちなさい妖夢」
「なんですか幽々子様?あ、ダメですよ、今後は彼女を食べようとしちゃ。私が食べるんですから。もちろん性的に」
「ここは全年齢向けよ!それに貴女はまだ結婚というものを甘く見ているわ。まずお付き合いするには、事前にお友達を半年以上!
そこからゆっくりと交際を深めていかなければならないわ。まして結婚するなら、さらに半年以上のお付き合いを経て給料3ヶ月分の指輪を準備するのよ!とりあえずお友達からスタートしなさい」
「なるほど、さすがは幽々子様。それでは早速お友達からスタートします!」
穏便に収まると思われたその晩。
いつものように突然紫が来てミスティアを橙にプレゼントしたいから寄越せと言ってきた。
幽々子は快諾、紫はミスティアの足元にスキマを開いた。
焦った妖夢は「私も一緒に行きます!」とミスティアが吸い込まれていったスキマに乗り込もうとしたが、閉じかけのスキマ中で勢いあまって転倒、3日3晩生と死の境界の安置作りに勤しんだ。
帰ってきた妖夢はミスティア人形(七色魔法使い作)を抱えて、部屋のすみでみょんみょん呟いていた。
そのまま4日過ぎ、元に戻った妖夢は達観した顔で「ひとつ、大人になれました」と言ってた。
今日も白玉楼は平和である。
そのカリスマ的対応に痺れる憧れる