Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

贈物

2007/10/23 09:42:58
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※贈り物のお話です。
※開発途上(?)


※冬の贈り物※

「レティ~!」

と、元気の良い声、響くのは紅魔湖の畔

「あらチルノ、何か用?」

冬の妖怪、レティは声の主である氷精、チルノに微笑みかける。

「あのね、見せたい物があるんだけど……」

片手を後ろに隠している、何かを持っている事はそれだけで解った。

「そう、一体何かしらね? 何処にあるのかしら?」

レティは気付いていない振りをして、期待の混ざった顔を作ってみせる。

「レティはあまり花を見れないでしょ? だから…… ハイ!」

チルノが見せたのは氷漬けの花、中には向日葵等の四季折々の花

「レティに色んな季節をあげる!」

「ありがとね、チルノ」

それを手に取り、レティはチルノの頭を軽く撫でた。



※紅い屋敷の贈り物※

「咲夜、今日は何の日か覚えているかしら?」

唐突にそんな事を言ったのはココ、紅魔館の主、レミリアスカーレットだった。

「はぁ…… 今日ですか?」

首を傾げるのは、紅魔館のメイド長、十六夜咲夜だった。

「えぇ、今日」

「えっと、お嬢様の誕生日でしょうか?」

「そんな物はとうの昔に忘れてしまったわ」

「パチュリー様の誕生日……」

「全然違うわ」

「こぁ…… は解りませんし… 美鈴ですか?」

「外れよ」

「なら何ですか?」

「ハァ、そんな大事な事ですら忘れてしまったの? 今日は貴方が紅魔館へやって来た日よ」

「え……あ、覚えてて下さったんですか。」

すぐ飽きてしまうレミリアスカーレット嬢が覚えていると言うのは、意外な事だった。

「当然よ、私の一番側に居る貴方の事、そう簡単に忘れると思ったの?」

「とてもありがたいです…… で、その為に私を?」

掃除を中断させてまで呼ばれた答えがこの程度だったと、咲夜は少々ご立腹の様だ。

「今日と言う日を祝福しないのは主としてあるまじき事よね。」

「私はお嬢様の従者として働ける事が十分な幸せです。」

「あら、嬉しいわね。」

「そうですか?」

「とっても嬉しい事を言ってくれるわね。そんなに言われたらいざ別れる時に寂しくなってしまうじゃない。」

「私は死んでも絶対に近くに居ます。」

「憑くのは止めて頂戴」

「冥界の庭師辺りにお願いしておきます。」

「望みとあらば、私の眷族にしてあげましょうか?」

レミリアの手が咲夜の頬に伸びた。

「私は人としてお嬢様に仕えていたいのです。」

そう咲夜は断る。

「でも、死んでしまった後にも居るのだったらそれは人間では無いわよ?」

「それでも私は、死ぬまでは人としてお嬢様の側に居たいのです。」

「そう…… それじゃあ仕事に戻りなさい。」

「はい」

そう言って咲夜は扉を開き、レミリアの部屋を後にする。

「……残念ね」


※不吉の幸福な贈り物※

「橙~、何処に居るんだ~?」

そう声を上げるのは、式神橙の主、八雲藍。

「!」

驚いて少し跳ね上がり、急いで何かを隠し、黒猫、橙が姿を見せる。

「らんさま、どうしたんですか?」

「いや、そろそろ食事時だからと思ってな。」

「解りました~」

「早くしないと紫様が橙の分まで食べてしまうぞ。」

「はーい」

そう言って藍は客間へ戻っていく。

「あー、危なかったー」

橙はいそいそと隠していた物を取り出す。

「らんさま、よろこんでくれるかなぁ?」

手に取ったのは、バラバラな木の実を繋ぎ合わせて作られた腕輪だった。

「ちゃんとおぼえててくれてるかな? 私をしきにしてくれたときのこと……」




「あら、藍、今日はやけに嬉しそうね」

藍の主、紫が笑いながら聞いてくる。

「えぇ、そろそろですから……」

「あら、そうね。そろそろねぇ…」

「フフ、橙の奴、私に隠れて何かを作ってたみたいです。」

「貴方と似てる子ね。小さい頃の貴方も、私に不器用な腕輪をくれたものよ。」

そう言って紫は、木の実で作られた腕輪を見せてきた。

それは綺麗とも言えない、不揃いで時々虫食いもある木の実で作られていた。

「ま、まだ持ってたんですか……」

「式のプレゼントだもの、大事に取っているわ。」

紫は笑い、藍は顔を赤くする。

「おまたせしましたー」

「おぉ、じゃあ食べるか……」

「えぇ、冷めない内に頂いちゃいましょう。」

「「いただきます」」



 ※庭師への贈り物※

「……贈り物ですか?」

「そ、贈り物」

唐突に、冥界の姫君西行寺幽々子は、庭師、魂魄妖夢に聞く。

「いきなり何かと思えば、紫様にでも何かを贈るんですか?」

「いいえ、渡すのは貴方よ、妖夢」

笑いつつ、そんな事を口走るものだから、妖夢はなんの冗談かと首をかしげた。

が、やがてその言葉が冗談ではない事が解ってくると、急に慌て始めた。

「そ、そんな…… 幽々子様から物を貰うなんて事…」

「あら、私の物は貰えないと言うの?」

変わらない笑顔で妖夢を追い詰める。

「うぅ……」

「気が変わらない内に考えなさいね。」

「ん~~?」

首を傾げる妖夢。そう言えばこの頃、我侭なんて言っていなかった気もする。

「うー……」

その様子を見て、ニヤニヤとしている幽々子。

「じゃ、じゃあ…… 贈り物じゃなくてもいいなら…」

「あら、何かしら?」

「あ、あの…… 頭、撫でてくれませんか……?」

上目遣いで、顔を真っ赤にして聞いてくる。

「いいわよ、ホラ」

幽々子の手招きに誘われて、妖夢は近寄る。

「まだまだ子供ね、妖夢」

「言わないでくださいよぅ……」

抱き締められながら、頭を撫でて貰う妖夢の顔は、とても嬉しそうだった。


 ※黒と紅の贈り物※

紅魔館

湖の側に聳え立つ、吸血鬼が住まう館。

普通吸血鬼と言えば、人間は恐れをなして逃げ出すものだが、幻想郷ではそんな事はあり得ない。

とは言っても、恐れない人間といえば博麗霊夢と霧雨魔理沙だけなのだが……

「マスタースパーク!」

「私の出番はコレだけぇぇぇぇ……」

門番が吹き飛ばされ、黒い服に身を包む魔法使いが紅魔館に侵入する。

「あら魔理沙、今日は何の用? 邪魔をするならお引取り願いたい所だけど。」

「今日はお前達に用は無い、フランに会いに来ただけさ。」

メイド長、十六夜咲夜の問い掛けに眉一つ動かさず、ふざけた様な顔で笑う。

「妹様が丁度退屈していたのよ。早く行きなさい。」

「お心遣いに感謝だぜ。」

魔法使い、霧雨魔理沙は、門番約一名を生贄に、吸血鬼の妹、フランドールスカーレットの元へと進む。






「おーい、遊びに来たぜ。」

地下の重い扉を開き、魔理沙は叫ぶ。

「あー?だーれ?めーりんかな?遊んでくれるの?」

「私だよ、魔理沙だ魔理沙」

「あ、魔理沙、久しぶり!」

声の主が魔理沙であると気付いたその声は、床を蹴る音と共に、煌びやかな羽根を持つ少女がぶつかって来た。

「うごぅ! ボディーブロー……」

決まり手 体術「体当たり」

「ねぇねぇ、今日は何しに来たの? ねぇ!」

倒れた魔理沙を揺さぶり、フランはその目を輝かせる。

「お、おぉ…… 今日はお土産を持ってきたぜ。」

「お土産? なーに!?」

輝いていた目が、更に輝きを増した。

「外のオモチャを色々と持ってきたぜ。」

「オモチャだオモチャ!」

ピョンピョンと跳ねるフランを他所に、魔理沙は持って来た袋の中から何かを取り出した。

「何?」

「コレはラジカセと言ってな、音楽を聞くオモチャだ。」

「壊していい?」

「それは止めてくれ。お前の為にこーりんから奪ってきたんだからな。」

コレは本当の話だった。

香霖堂からCDを適当に奪い、ラジカセも奪ってきた。

幻想入りしている訳ではないのだが、スキマの方から流された品だと聞いたと説明された。その隙に奪ったと言う寸法だ。

「どうやって使うのかな?」

と、おもむろにボタンを連打しまくるものだから、壊れるから止めろと魔理沙が止める始末だ。

「まず、ボタンを押して、ココが開くだろ?」

「うん!」

興味心身でフランはその様子を見続ける。


やがて魔理沙の説明は終わった。

「使ってみな。」

「うん!」

威勢のいい返事をし、ラジカセにCDを入れようとするが……

「あれ、動かない……」

「オイオイ、力任せにやるなって……」

その時、ベキッと言う鈍い音がした。

「ん? 何の音だ?」

「……あー、ごめんね」

フランが見せたのは、砕けたCDだった。

「ま、まぁラジカセじゃなくって良かったぜ。」

その後もしばらく説明は続き、ようやくフランは使い方を覚えた。

「コレで音が聞こえなくて寂しい事は無いぜ。」

「うん、ありがとね。」

「他の土産もあるぜ。」

「ホント!?」

「あぁ、私は極力嘘は吐かない。」

それは嘘である。

「うん、嘘だね」

天の声に合わせるように、フランが突っ込む。

「お前にはって事だよ」

「へー?」

フランは疑う。

「ま、まぁ見てくれよ。今度はオモチャじゃないけどな。」

「あ、そだね。一体何かな?」

「霊夢からくすねて来た大福とお茶とそれと……」

「全部盗品なんだね。」

「人間ってのはな、ずるいんだよ。」

魔理沙の人間としての価値が下がりそうな気がするが、確かに人間はズルいのだ。

「まぁいいだろ、洋風な物ばっか喰ってても飽きる、たまには和風な物にも手を出すべきだ。」

「……それはたまには霊夢も相手にしろって事?」

「そうとってもいいけどな、私がヤキモチ焼いても知らないぞ?」

「どうしよっかなー?」

「あっ、この野郎!」

わいわい騒ぐ二人を、扉の影から除く二つの影があった。

「妹様の情操教育には魔理沙が適任の様ですね。」

「盗人にならない教育をしないと危険だけどね。」

「いえてますね、それだけは阻止しませんと……」


図書館にも、水晶魔法で様子を見ている一つの憎悪があった。

「フフフ、アノ小娘ガ魔理沙ト一緒ニ……ウヒヒヒ、アノ小娘ヲ楽ニ殺ス方法、フヒヒ」

怖い。





 後日談、パチュリーの場合

ねぇ咲夜、この頃パチェを見ないのだけど。

そう言えば妹様がパチュリー様のZUN帽を被って遊んでいました。

………嫉妬の炎が身を焦がしたわね。

えぇ



 後日談、フランの場合

あーおーいこーとりー
まーどからーにげてー
あーめーにうたれてー
きーれーいにもげたはね♪

歌って面白いよね、ね?パチュリー


うぐぅ、体調が悪化した隙に捉えられるとは……

お姉さまとめーりんのZUN帽があればコンプリートだね!

色々ごめんなさい

冬の贈り物   花映塚の「竹の花のドライフラワー」で
紅い屋敷の贈り物 咲夜はレミリアに愛されていると思って
不幸の幸福な贈り物 不吉な黒猫だってねぇ、幸福をくれたりもするんですよ。
庭師への贈り物 妖夢はまだちょっと子供、それがいい
黒と紅の贈り物 フランちゃん可愛いよ、って事

 ~※おまけ※~
「霊夢、霊夢、私は今からフランに会いに行ってくる。」
「そ、行ってらっしゃい。」
「………私は今からフランに会いに行ってくる。」
「だから、行ってらっしゃいっての。」
「つれない奴だなぁ、一緒に来てくれよ。」
「………ん」
「何だよ、この包みは」
「大福とお茶葉」
「何でだ?」
「……たまにはフランにも…ね」
「ほぅ、霊夢、お前実はツンデ「あぁもぅ!言うな!」 へいへい」

 ~※更におまけ※~

「よっす門番」
「あ、魔理沙さん、どうしたんですか?」
「フランに会いに来た」
「へぇ、愛に来たんですか。」
「オイ、馬鹿にしてるのか?」
「いえ別に?馬鹿になんてしてませんよ? いやぁ、魔理沙さんっていい人ですね。」
「な……」
「尊敬します、そんなに妹様を愛しているんですね。」
「う、うっさい! マスタースパーク!」
「私の出番はコレだけぇぇぇぇ……」
(本編へ続いたりする)

 フランは色々な人に愛されている。

余談、魔理沙と美鈴を間違えた所で「声が似てるのか」とかは聞かないで下さい。
乱咲夜桜
コメント



1.名無し妖怪削除
美鈴より出番の少ない(ってか無い)こぁに涙
・・・まあ、痛い目にはあってないけど
2.名無し妖怪削除
冷凍保存だなんてチルノ賢いよ!?