学ぶ権利は誰にでも有る、そんな尊い信念から創立された、上白沢塾。
食い扶持を見つけるのがやっとな子供達を集めては、無償で読み書きを教えている。
まさしく教育者の鑑、慧音先生の評判はあっという間に広まる。
「一時間目は国語だ」
特に古文の授業は人気が高かった、分かりやすく現代語に訳して読んでくれるのだ。
「この時、源氏の君は……」
敷居が高いとされる名作も、時折ユーモアを交えて解説してくれるので、全く飽きない。
「む、む、む、紫の上と布団に入って、その……」
えっちな場面を読むとき、真っ赤な顔して言葉を濁す。こんな先生が読んでくれるのだから、全く完全にちっとも飽きない。
季節は巡り、何人もの卒業生を見送り。
一期生の生徒達が家庭を持つほどに成長し、時の流れを実感し始めた時。
『深刻なかわいがり』
何かが、狂い始めていた。
それは一部の卒業生がリークした、衝撃的な上白沢塾の実態。
――ええ。問題を上手に解けたら、呼び出されるんです。
そしてほっぺにチューをしてきたり、君の第二ボタン欲しいな、なんて甘えてきたり……。
卒業したら一緒になろうね、と囁かれた時は、背筋が凍りましたね……。
「けしからん。もっと詳細にローアングルで調べねば」
ジャーナリスト魂と下心を刺激された天狗達による、過熱報道。
上白沢塾は、経営不能に陥る。
――私はただ、生徒を愛し過ぎただけなんだ。出来の良い生徒にちゅっちゅして何が悪い。
いよいよ開き直った。ではかわいがりを認めるんですね、との問いに、静かに頷く慧音先生。
世論は凄まじく、もうパニック状態になるほど同情的であったが――慧音先生は、教職を辞した。
職を失い、名誉を失い。
慧音先生……いや、もうただの慧音と呼ぶべき、その人の手元に残ったのは。
少しのお金、自宅、そして居候。
最も成績優秀で最も態度の悪い生徒、藤原。背中が燃えてる、熱いヤツ。
根無し草の上、天涯孤独らしく。気の毒に思った慧音が面倒を見てるうちに、半ば家族のような関係になっていた。
「なぁ、妹紅」
私はやはり、間違えていたのだろうか。
ほっぺじゃなくて、おでこにチューしてればセーフだったのだろうか。
明らかに間違った観点で悔やむ慧音。可愛い生徒にちゅっちゅするのは慧音的に普通の事らしい。
「んなこたぁない」
あれだけの愛情を持って、生徒に接する事ができるのは慧音だけさ。
触れるのも抵抗を感じるような、アバタ顔の生徒にさえ熱烈キッスできるなんて、並大抵の事じゃない。
やはり、妹紅も少しずれた感覚で慧音を褒めた。
(今なら……やれる)
豊富な知識、世話好きな性格、何より美人さん。職を失ってから憂いを帯び始めた慧音の瞳は、日毎に美しさを増しているのだ。
そして、内に秘めた苦悩と教職への未練で冷静さを欠いている今の慧音は、あまりにも利用価値が有り過ぎた。
内なる炎と背中の炎を同時に燃やし、何やら狡い策を練る妹紅。
というか二人共無職の今、マジで何かやらかしてお金を稼がないと、大変なのだ。
『円よりお得。一生保障』
何やら気になるチラシである。
「不死鳥妹紅、死ぬまで保障致します。もちろん、お客様が死ぬまで、という意味です」
そう、経営者が不死身なんだから、顧客を一生保障できる。それをブランドにしようというのだ。
『炎天下の中、火の鳥が考えた通貨だから炎天。こりゃめでたい』
一円は一炎天と等しく、千円は千炎天とやっぱり等しい。むしろお得。いずれ炎天は、世界共通通貨となるでしょう!
ちょっと誇大妄想気味のキャッチフレーズである。
「一人が二人に紹介すれば、ネズミ算式に客が増える」
算術に明るい妹紅、マルチ商法はお手のもの。
「ちょっとお時間頂けますかー?」
勧誘に勤しむ慧音。妹紅よりさらに算術に明るい彼女、最終的にこの商売が回らなくなるのを感じていた。
しかし底をついた生活費と、うるっと涙目妹紅の上目使いなおねだりには逆らえず、副会長&勧誘員のポストに。
「あ! あんた、あの慧音先生かい!?」
「はぁ。まぁ」
慧音が新聞の一面をきわどいアングルで飾ったのは記憶に新しい。
抜群の知名度と知的なメガネ、リクルートスーツでおまけに喫茶店でお話などと誘われたら、誰も断れない。
「貴重なお時間を割いて頂き、まことにありがとうございます。さっそくですがこの壷を購入して頂き……」
「ええ!? ただお話するだけじゃないの!?」
客が不審な目をし始めたら、おっと靴紐がほどけたなんてうそぶいてかがむ、豊満な胸の谷間が襟元からのぞく。
「……壷買います。もうマジで何個でも買いますからそのままかがんでて下さい」
人間の男はおっぱいに弱い、これならキャッチセールスの世界でも神になれる。
炎天一場はコミュニケーションの場でもある。
友達の少ない人でも収めるものさえ収めれば、尊敬と権限を得られる。
「べ、べつに友達が欲しくて会員になった訳じゃないのよ」
某七色の魔法使いが強く訴えるのでそういう事にしておく。
それは別として、わりと知的な人が引っかかるのも、出会いを求める故なのか。寂しさが要因なのか。
「だから寂しいとか思った事は一度も無いって言ってるでしょ!」
そろそろ本気で怒ってきたので、からかうのは止めにする。
うん? 袖なんか引っ張ってどうしたんだいアリス。……やっぱり寂しいから、もっとお話してあげてもいいけど?
――あまのじゃくだとかツンデレだとかチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……。
幸福感を感じている顧客もいるようだが、中にはそうでない人もいる。
というか、大部分が後者になりつつある。
『経営不能。妹紅涙目』
解約できない、変な壷を買わされた、藤原会長のもんぺファッションが信用できない。
凄まじいクレームで経営破たん、いよいよ行政も動き出す。
「これは酷い」
悪質なマルチ商法と睨んだ当局。
家宅捜索の令状をとり、慧音&妹紅宅に捜査官が上がり込む。
「……元教師とは思えん下着ですなぁ」
「全くですな。けしからん」
ニヤニヤしつつ二人の下着など段ボールにつっこんで押収する捜査官。
恥ずかしがってギャーギャーわめく慧音が萌えるので、目の前でパンツを頭にかぶってセクハラし、散々遊んでから帰った。
公判は速やかに行われた。
裁判長は四季映姫・ヤマザナドゥ。
被告に反省を促す為に雄鶏の格好をさせたり、豚と警官の違いを書かせたりと、ぶっ飛んだ判決が多い。
――被告。藤原妹紅及び上白沢慧音。
著しい金欠病や藤原被告のみ何故か痔に悩まされていた等、同情の余地は多い。
しかし色香を使い、罪の無い一般市民を惑わしたのは許しがたい。本当に許しがたい。
特に上白沢、なんだお前。ちょっとおっぱい大きいからって調子のってるんじゃないですか。
そのデカ乳で殿方をたぶらかしてたんでしょう? 許せん。これだから巨乳は駄目だ。
近頃は日本人女性の平均胸囲が増してるとかで、AAAカップのブラを取り扱わなくなったお店が増えてるんだぞ。
お前らのせいだ。お前ら巨乳のせいで私が可愛い下着を見つけられなくなるんだ。今だって無骨なスポブラつけてるんだぞ。ふざけんな。
有罪有罪有罪有罪ゼンコータノシイヨーーーーーッ!!!!
途中発作を起こしたため、ひとまず水を飲む裁判長。
深呼吸の後は冷静になり、画期的な判決を下す。
「両名は、マルチ商法を悪用し、著しくマルチという名称のイメージを悪化させた。今日より、マルチのイメージアップに努めなさい」
――?
なに言ってるのこのおチビさん、皆が疑いの目を裁判長に向ける中、法廷に二組の耳カバーとメイド服が提出される。
「マルチの格好で幻想郷中をお掃除しなさい。そしてマルチのイメージを改善させるのです」
時事ネタGJでした
あの二人にマルチのイメージを改善させたらマルチがお姉さん・巨乳(並盛)キャラという風なイメージに改悪(えーき様的な意味で)されるんじゃなかろうか
とりあえずお茶返せwwwwwwww
映姫様が一番腐ってますw
真理過ぎてフイタwww
と言うか東方プレイヤーにマルチは通じるんだろうか?
あと警察コロス。けーね先生の下着・・・・・・
ぺったんこのあなたが好きです
でも、けーね先生も可愛過ぎる
そういえばマ○チは何処に行ったんだろうか
旧作の夢のアレ
知ってる人少ないかも
まぁそんなことはどうでもいい
あんたの頭に一体何が起こったんだ