どんどんどん ぱふぱふ
「えーではこれから、誉れ高き『あんたが主役~アクション編~』を開催したいと思います。文句は無いわねあんたら。」
「いやって言ったら霊符飛んできたじゃない。」
「もう一個欲しい?」
「チルノ、精一杯がんばります!」
「よろしい。」
ザワ・・ザワ・・
「うーん。あんまり人の集まりが良くないわねー。ま、第一回なんてこんなもんか。」
「おーい霊夢。」
「お、魔理沙。あんたは審査員なんだからもっと早く来なさいよ。」
「悪い悪い。突然こんな企画立ち上げられたもんだから緊張してさ。」
「まあいいわ。ところで参加者の名簿は受け取った?」
「ああ。1番手ミスティア、2番手八雲藍、3番手アリス、4番手チルノだな。」
「おっけい。それじゃあ当番組の主旨を説明します。」
「おうよ。」
「えーえー。本日は快晴なりー快晴なりー。」
「お前結構律儀だな。」
「こういうのは形から入らないとね。」
「早くはじめなさいよー!こっちだって暇じゃないんだから!」
「・・・封魔陣」
「ひああああ!ちんっ!」
ゴバァン!
「はい一名様脱落っと。」
「先行き不安だぜ。」
「えー不慮の事故で参加者が一人減るという問題が発生しましたが、そこは私のエンターテイナーとしての腕の見せ所。気を取り直して改めて当番組の主旨を説明します。」
「審査員の私が何も聞かされてないって時点で既に問題だけどな。」
「はいはい茶々入れないの進まないでしょ。
・・・えー、まず、参加者の皆さんには与えられた時間内で各々のアクションを行ってもらいます。採点基準は面白さ、意外性、アクションそのものの難易度の3点で採点し、満点は10点。私と魔理沙審査員あわせて20点満点です。」
「ほうほう。」
「つまり体張れば張っただけ高評価に繋がることは間違い無いってことね。」
「まあ私達がリアクションに困るようなすごいのを頼むぜ。」
「ちなみにこの番組は東方スキマ放送及びハクタクミルク乳業の提供でお送りいたしております。」
「そのスポンサー達が何を考えているのか私にはさっぱりわからないぜ。」
「よしそれじゃあ始めます。では1番手のミスティア選手・・・は現在綺麗にデコレーションされて白玉楼に搬送中なので、2番手のテンコー選手お願いします。」
「誰がテンコーか。私には八雲藍という立派な名前がある!」
「まあ細かい事に拘らずにちゃっちゃとやってくれ。」
「あ、ついでにCG担当もモザイク係りさんもいないから。」
「ひとつ、CGに頼りません!ふたつ、死んでもモザイクは使いません!」
「宣言するなよ。」
「まあ心配するな。今回はアクション中は我慢するよう努力してみるべきだと紫様に言われてるからってまあ私はどうでもいいんだが。」
「是非人生の大先輩のお言葉に従ってください。」
「わかったわかった。じゃあちょっと準備してくるから舞台裾借りるぞ。」
「早くしろよ。」
@@@@@@@@@@@@
「おーい準備が出来たぞー。合図頼む。」
「よーし。それじゃあ2番手八雲藍選手、よろしくお願いします!」
「テェンコオオオオオオオオオオオオオオオー!」
ザワザワザワ!
「な、なーーー!?八雲藍選手、一糸纏わぬ姿で舞台に踊り出たぜー!!?」
「ちょっとあんたさっきスッパしないって言ったばかりでしょ!あれ嘘だったのね!?」
「嘘など吐いていない!言ったはずだ、アクション中のスッパはしない・・・と!」
「・・・は!」
「気付いたようだな。私は元々スッパを極めし者・・・即ち、最早私にとって、この姿こそがナチュラルスタンダード!合法スッパテンコーここに成立!」
「か、考えたわねあのテンコー!」
「なるほど。ドラゴンボールで最初は戦うときだけスーパーサイヤ人だったのが、後半は常にスーパーサイヤ人状態でいる事により更なるパワーアップに成功したようなもんか。」
「感心してないで引き摺り降ろすのよ早く!」
「全く面倒かけてくれるぜ。」
「テンコイイイーー!! 橙、見ているかー!!?」
ザワザワ・・・
「・・・ねえ橙、あの人橙のお姉さんだよね?」
「知りません!知りません!あんな人知りません!」
「あたいも知ってるよー。よく一緒に居るところ見るもん。」
「違います!全然違います!全くの別人です!」
「本当ー?」
「おおおーーーい!橙ぇーーーん!何処見てるんだこっちだこっちーーー!!そこの応援席の右から3番目の君だよマイラブリー式神橙ええーーーーーーーん!!!」
「・・・チルノ、リグルぅ・・・お願いだから何も言わないで・・・」
「主役は私!念願のテンコリサイタルイイヨオオオ!」
「こらそこのキまってるテンコー!神妙にしなさい!」
「ほら手間かけさせるな。」
「テンコ!?な、何をする貴様らー!」
「こら!暴れない!」
「きりきり歩け!早くしないと映倫が黙っちゃいないぜ!」
「くそう!見せ付けてやる!よぉく見せ付けてやる!フォーーーーーウ!」
「ああもう煩いったら!」
「っていうかなんでこんなの呼んだんだ・・・?」
「だって、スポンサー権限で出せって揺すられたんだもん!」
「助けて橙ーーーーーーーーん!!こんな時のためにお前に憑けた赤鬼青鬼で!毘沙門天でーー!!」
ビリッビリッビリッ グシャッグシャッグシャッ
「・・・」
「もったいないよ橙、それいいスペカなんでしょ?」
「あたいがもらったげるのにー。」
「こんなもの・・・こんなものーーーーー!」
「テェェェンコオオオオオオオォォォ・・・」
@@@@@@@@@@@@
「さて。じゃあ次行きましょうか。」
「今のは評価しなくていいのか?」
「ったってねぇ・・・しなきゃだめ?」
「最初から躓きすぎるのもあれだろ。一応形だけ、な。」
「わかったわよ。じゃあはい、0点。」
「即決かよ!・・・じゃあ私は2点だな。」
「どこから出たのよその2点。」
「なんつーか、ほら、あれが不憫でさ・・・」
「うっうっ・・・えぐえぐ・・・」
「橙、元気だしなよ。お姉さんもきっと事情があるんだよ。」
「裸になるぐらい暑いってんならいつでも私が冷やしてあげるのに。」
「うう・・ありがとう、チルノ、リグル・・・」
「しかたない。私も2点入れるわ。4点ね。」
「じゃあ次いくぜ。」
@@@@@@@@@@@@
「えー進行が滞りましてまことに申し訳ありませんでした。続きましては3番手アリス選手、よろしくお願いします!」
「任せときなさい!」
「おお自信たっぷりだな。アレの後じゃあ、気後れしてるんじゃないかと思ったが。」
「比べないでよ・・・。私はあくまで正統派でいくから。」
「頼むわよほんと。」
「で、お前は何をして私達を喜ばせてくれるんだ?」
「なんか主旨変わってない?」
「いいからいいから。早く芸の一つも見せなさい。」
「はいはい。私はお腹が空いたので、今からお弁当を食べます。」
「そういうのは楽屋でやっとけよ。」
「時間制限考えてやりなさいよ。」
「・・・うるさいわね、邪魔しないでよ。」
「ビニールシートまで敷いて本当にランチタイムと洒落込むつもりだぜこいつ。」
「準備がいいわね。おおっとアリス選手、四方に人形を並べていますね。ビニールシートの重石でしょうか?」
「それといつも一人で食卓に向かう孤独に耐え切れなくなって身に付いてしまった生活の知恵だろうな。」
「お絞りとバスケットを取り出しましたね。あれの中身がお弁当と見て間違い無さそうですがはたしてあれをどう展開するんでしょうか。」
「文字通り展開するんじゃないか。」
「おしぼりで手を拭いて、あああーーっと!今一瞬顔に持っていきかけましたね。」
「日常の癖というのはついうっかり出てしまうものだからな。面接とかでは気を付けろよ。」
「アリス選手、本命のバスケットに手をかけましたよ。」
「果たして中身はなん・・・で、でっかあああああああああああああーーー!!??」
「で、でかあああああああああああああい! 説明不要!」
「いや説明いるだろ。」
ザワザワザワ・・・
「そうでした。えー。今私非常に混乱しております。アリス選手がとても女の子らしい可愛らしいバスケットを開けたと思ったら、突如中から座布団大のサンドイッチが飛び出してまいりました。あんなのドカベンだって食べませんよ。っていうか女の子なら尚更絶対あんなサンドイッチ恥ずかしくて食べれませんよ。両手にバナナの交互食いに比肩する恥ずかしさですよあれは。ところで魔法学的見地からはあの矛盾をどう見ますか魔理沙さん。」
「あれは物質圧縮の魔法だな。私は細かい魔法が苦手だから使った事もないが、アリスは普段から大量の人形を携帯するのに使っているからその応用だろう。」
「なるほど。そしてサンドイッチの側面にはピンクに染め上げられた『激LOVE』の文字。意味深ですね。」
「ふ・・・このサンドイッチの大きさが即ち、私の魔理沙への愛の大きさを表しているのよ!」
「と、いうことですが魔理沙さん、如何でしょうか?」
「何もこんな場所で言わなくても・・・」
「なんだか渋ってる様子ですね。はいアリス選手残念でした。」
「ちょっと待ってよ魔理沙から直接返事を・・・」
「まあそれは番組の後にしてくださいね。ところでアリス選手はあのサンドイッチをどうするつもりなんでしょうか。」
「さあ、食べるんじゃないか?食べれればの話だが。」
「あ・・・」
「どうやら本人も取り出した後の事までは考えていなかったようですね。なにせあんな胸焼けしそうな愛ですからね。」
「まあ私への愛とやらも二、三日後にはゴミ箱の中でカビが生える運命なんだな。」
「はたしてそれが愛と言えるのかどうか疑わしいものがありますね。」
「く・・・わ、わかったわよ!食べてやろうじゃないのよーーー!!」
「い、行ったーー!押し込んでいる!押し込んでいるぅ!」
「水がないと詰まるんじゃないか?」
「むー!むー!むー!んむふー!」
『ピンポンパンポーン! 毎朝飲んで君も極太!骨から始める健康改革今日から君も始めよう。毎日極太のご購入に関するお問い合わせはハクタクミルク乳業代表上白沢慧音まで。』
「おおっと持ち時間終了10秒前の合図が鳴りましたよ魔理沙さん。これは急がないときついですね。」
「しかしCMが入るとどうも緊張感が損なわれていけないな。っていうかどう考えてもあれ食うのは物理的に無理だろ。」
「むむーー!?むー!むーーー!むっぐっむぐぐごっ!!」
「あー詰まりましたね。」
「詰まったな。」
「むぐ・・・ご・・・ぐ・・・・」
ずしゃあ!
「あーー!ダウン!ダウーーーン!アリス選手、絶対に起き上がれない倒れ方をしましたー!」
「早く気道確保してやらないと悪化の一途を辿るぞあれは。」
「そうですね。しかしまあ、やっぱり愛は程々が良いということが判明しましたね。」
「ぶっちゃけ魔法でもう一度圧縮してから食えばよかったのにな。」
@@@@@@@@@@@@
「さて魔理沙さん、今のアリス選手の評価は如何ほどでしょうかね。」
「っていうかアクションじゃないだろあれ。」
「インパクトだけはありましたけどねー。」
「まあなあ。」
「それじゃあ評価をお願いします!意外性を買って3点!」
「0点。」
「辛口ですね。」
「個人的裁量によるものだぜ。」
「私としてはこのままいくとテンコが優勝しそうで怖いんですが。」
「まあ残ってる後一人に賭けようぜ。」
@@@@@@@@@@@@
「さてさて、当番組の参加者も残すところ後一名となりました。」
「最後の一人くらいはできればまともであって欲しいもんだ。」
「えー。ではお呼びしましょう。4番手、チルノ選手お願いします!」
「ああ、そういえばチルノだったな。」
ザワザワ・・・ザワザワ・・・
「えー・・・チルノ選手ー?」
「帰ったのか?」
「チルノ、呼ばれてるよ。」
「え?あたい?」
「うん。」
「・・・さっきから、チルノ選手~って呼ばれたよ・・・」
「ああそっか!あたいも登録してたんだった!よおし、いっちょがんばってくるかな!橙、あたいのガッツを見て元気だしなよ!」
「・・・うん。ありがと。」
「・・・大丈夫かあれ。」
「私に聞かないでよ。まあ、それでも最後までは進行しなくちゃ・・・。」
「やーお待たせお待たせ。」
「チルノ選手、プログラムにあわせて動いていただけないと困りますよ。」
「全くだぜ。」
「そんなに怒らないでよー。文句無しの10点満点とるからさ。」
「おおっと大きく出ましたね。」
「期待したくはないがお前しかいないんだ頼むぜ。」
「任せときなさいってー!」
「で、チルノ選手は何をしていただけるのでしょうか。」
「ああ、あたいはね、ここでやるんじゃないんだ。」
「へ?お前ルール把握してるか?ステージの上で持ち時間内にしたアクションが評価されるんだぜ?」
「うるさいわねー。つまり時間内にこのステージの上にあたいのガチンコアクションの結果をもってくればいいんでしょ?」
「うーん・・・。まあ、特例として認めます。一体何をするのかは知りませんが。」
「どうせ碌なことじゃないとは思うが急げよ、結果出せたら5点つけてやるから。」
「5点じゃなくて満点よ!じゃ、行って来るから!」
「いってらっしゃいー。」
「早く戻って来いよー。」
@@@@@@@@@@@@
「で、結局戻って来なかったと。」
「他人事みたいに言わないでよ・・・どうなっちゃうのこの番組。」
「まあ背に腹は代えられない。チルノ不戦敗でテンコを表彰するしかないな。」
「ああ、眩暈がしてくるわ・・・」
「いいから進行進行。」
「わかったわよ・・・。えー、4番手チルノ選手不戦敗につき、これにて各選手のアクションを終了致しまして、表彰式に入りたいと思います。」
ザワザワザワ・・・
「で、問題のテンコーはどこだ。」
「今毛玉ディレクターが選手控え室に呼びに行っていますのでもうしばらくお待ちください。」
「あー。最悪の事態が現実になったな。」
「スポンサーからの苦情を考えると今から頭が痛いわ・・・」
「お、毛玉ディレクターが戻ってきたぜ。」
「はい。え、なになに?・・・え・・・そうですか、わかりました。」
「ん、なにどうした?」
「えー。少しトラブルが発生しました。今毛玉ディレクターが八雲藍選手の控え室に行った所、八雲藍選手は影も形も無くなっており、代わりに紙が一枚置かれていた、ということです。」
「どんな紙なんだ?」
「今説明します。その紙はどこにでもある普通の紙ですが、真ん中に大きく血のような紅い文字で『済』と書かれています。尚、筆跡鑑定の結果、この文字を書いたのは当番組のスポンサーの一人である八雲紫さんである可能性が高いとの事です。」
「なるほど。しかし一体何が済んだんだろうな。」
「とりあえず、取り返しのつかない事が済んでしまったと思われる八雲藍選手に代わり、ご家族である橙さんに表彰状受取人代理を務めていただこうと思います。アクション名『スッパテンコー』4点。それでは橙さん、ステージまでお願いします。」
「嫌ー! 晒し上げは嫌ぁーーー!!」
ブーーーーン
「おおっとこれは霊夢さんに魔理沙さん、どうもお久しぶりです。今日はちょっとした新鮮なネタが入りましたよー。」
「あら、文じゃない。今オンエアー中だから打ち合わせは後にしてくれないかしら。」
「それは残念です。しかし大変そうですね。」
「大変も大変よ。選手が出場前に白玉楼に行くは、全ポロリするは、病院に運ばれるは、挙句にアクション中に行方不明なんだもの。」
「あらら。それもそれでまた新鮮な番組になりそうですね。」
「それは嫌味かしら。ああ頭痛いわ・・・さて、進行進行っと。」
「ところでなんだ、新鮮なネタって。気になるじゃないか。」
「邪魔になったらいけないですよね。まあ新鮮ですけど大したネタじゃないですよ。以前新聞に載せたものの二番煎じでインパクトも低いですし。」
「そう言われると余計に気になるな。」
「ちょっと魔理沙、進行できないじゃない。」
「ちょっと聞くだけだって。なあ文、そのネタとやら、教えてくれないか。」
「まあいいですよ。大したネタじゃないですし。えーとですねぇ・・・」
「ふむふむ。」
「チルノさんがまた大蝦蟇に食べられてましたよ。しかも今度は自分から突っかかっていったとか。」
「なにぃーーーーーーーーーーー!!? そりゃ満点だぜーー!!」
「文句なああああああああし!!!!」
『あんたが主役~アクション編~』 優勝者 チルノ