圧倒的な太陽はなりを潜め、夜の帳が降りて来る。
さあ、歌を歌おう。夜は始まったばかり。たとえ聴く者がいなくとも。私は…。
【風のように自由に】
―――ごめんね。ミ○○ィア。
声が聞こえる。あれは誰の声だろう?
―――ごめんなさい。
綺麗な声。あんなに綺麗な声が悲しみに震えている。
―――あなたを にしてごめんなさい。
何時か何処かで聞いたことがある。やさしく、悲しい声。
そうか、あれは の声。
「幽々子様~。またプリズムリバー三姉妹が庭で演奏してますよ~。何とかして下さ~い」
情けない声が冥界に響く。銀髪の剣客少女。魂魄妖夢だ。
「あら別に良いじゃない。賑やかなことは良いことよ」
主人である西行寺幽々子が答える。
「良くありません!あの連中は何時も最後に姉妹喧嘩をして帰っていくんです!そのくせ庭を整備するのは私なんです!」
半霊が赤く染まっている。相当怒っているようだ。
「それなら、あなたが斬れば良いじゃない」
「…あ。そうか」
本当に頼りないわね。
始めて気づいた、という顔をしている妖夢を見て幽々子は思った。
まあ、そこが可愛いのよね。幽々子はめんどくさそうに欠伸をしている。
「じゃあ、私寝るわ~。がんばってねぇ~」
扇をひらひらさせていた。
「今日も今日とて演奏会~♪」
プリズムリバー三姉妹は既に演奏を開始していた。その音色とともに弾幕が放たれる。粋な庭は見る影も無い。
「こら~!お前達、止めないか!」
そこに妖夢が登場。殺る気マンマンだ。
三姉妹は声を揃えて文句をたれる。
「えぇ~。別に良いじゃない。周りに迷惑が掛からないのって此処だけじゃない」
それを聞いた妖夢は怒りでわなわな震えていた。半霊にいたっては真っ赤に染まり尻尾(?)をびちびち振っている。
「私に迷惑なんじゃぁー!!!」
哀れ三姉妹は斬り潰されてしまった。
「う~ん、あの庭師乱暴だなぁ」
長女のルナサが溜め息をつく。
「あははははは!!!やーられちゃったね!」
躁病の気がある次女のメルランが笑う。
「うーん、私だけ無事に済む方法を考えよう」
隅っこでぶつぶつ考えているのが三女のリリカ。
お祭り宴会何でもござれ。騒々しさなら誰にも負けない騒霊三姉妹である。
三人は、庭師に斬り潰されてしまったので作戦会議中なのだ。
「でも私達だけじゃあの庭師に勝てないし」「あはははは!!!」
「簡単なことよ。誰か助っ人を呼ぶの」「いひひひひ!!」
「うーん、でもリリカ、私達の演奏とコラボできそうな人妖っていたっけ?」「ぎゃははは!」
「それなれ心配ないわ姉さん。実は以前から探していたんだけど、一匹いるわね」「ぐらふふふ…」
「あらそう、さすがねリリカ」「ひひひひひひ!」
「それほどでも。早く行きましょう姉さん。メルラン姉さんがそろそろ限界だわ」「Ha~Ha~Ha~Ha~Ha~!!!」
「ええそうね。行きましょう」「…ひひひ」
「めざすは夜雀ね」
夢を見ていた。それがどんな夢か、覚えてはいない。
けれども何かとても大切なことのように思える。
それを忘れていることが、少し悲しかった。
「う~ん、もう一回寝よ」
ミスティアの出した結論はこれであった。
「…ねぇ、お母さん。何で私は人前で歌ってはいけないの?」
「よく聞いて、ミスティア。あなたの歌は良くないものをたくさん呼んでしまうの」
「何で?何で私だけ歌っちゃいけないの?お母さん、教えてよ!」
「…それはあなたがローレライだからよ。あなたの歌には魔力が宿っているの。その魔力が人を狂わせ、妖怪を呼ぶの」
「…じゃあ私一生このまま?そんなのいやだよう」
「泣かないでミスティア。私がいるわ。私があなたのお歌をちゃんと聞いてあげるから。
だから泣かないで」
「うん!ありがとう、お母さん」
「よしよし、良い子ね。
…ところでミスティア、あなたは何でそれでも歌を歌おうとするの?歌さえ歌わなければみんなと仲良く幸せに暮らせるのに」
「う~ん、どうせ私、翼が生えてるっていじめられるし。
それに…」
「それに?」
「私は…」
「お~い夜雀よ~い」
外から声がする。
もう、いいとこだったのに。
…あれ?私、何の夢を見てたんだっけ?
とても暖かく、けれど悲しい夢だったような。
「いないの~?」
「ここだよ~」
ねぐらから出て行く。外には騒霊三姉妹。
「何の用?」
「実は…。
というわけだ。協力してくれないか?」
一番苦労してそうな長女っぽい人が説明してくれた。
「え?伴奏つきで、コンサートを開くの!?うん、やろう!協力するよ」
私が逡巡を躊躇もせずに返事をした所為か、三人はちょっとビックリしていた。
「やけに決断が早いわね。…理由を聞かせて」
一番疑い深く、腹黒そうな三女っぽい人が疑いの眼で私に聞く。
私は答えた。
―――だって、私、歌が好きだから!―――
夜雀の怪、ミスティア・ローレライ。
彼女は今日も、一人、歌う。
さあ、歌を歌おう。夜は始まったばかり。たとえ聴く者がいなくとも。私は…。
【風のように自由に】
―――ごめんね。ミ○○ィア。
声が聞こえる。あれは誰の声だろう?
―――ごめんなさい。
綺麗な声。あんなに綺麗な声が悲しみに震えている。
―――あなたを にしてごめんなさい。
何時か何処かで聞いたことがある。やさしく、悲しい声。
そうか、あれは の声。
「幽々子様~。またプリズムリバー三姉妹が庭で演奏してますよ~。何とかして下さ~い」
情けない声が冥界に響く。銀髪の剣客少女。魂魄妖夢だ。
「あら別に良いじゃない。賑やかなことは良いことよ」
主人である西行寺幽々子が答える。
「良くありません!あの連中は何時も最後に姉妹喧嘩をして帰っていくんです!そのくせ庭を整備するのは私なんです!」
半霊が赤く染まっている。相当怒っているようだ。
「それなら、あなたが斬れば良いじゃない」
「…あ。そうか」
本当に頼りないわね。
始めて気づいた、という顔をしている妖夢を見て幽々子は思った。
まあ、そこが可愛いのよね。幽々子はめんどくさそうに欠伸をしている。
「じゃあ、私寝るわ~。がんばってねぇ~」
扇をひらひらさせていた。
「今日も今日とて演奏会~♪」
プリズムリバー三姉妹は既に演奏を開始していた。その音色とともに弾幕が放たれる。粋な庭は見る影も無い。
「こら~!お前達、止めないか!」
そこに妖夢が登場。殺る気マンマンだ。
三姉妹は声を揃えて文句をたれる。
「えぇ~。別に良いじゃない。周りに迷惑が掛からないのって此処だけじゃない」
それを聞いた妖夢は怒りでわなわな震えていた。半霊にいたっては真っ赤に染まり尻尾(?)をびちびち振っている。
「私に迷惑なんじゃぁー!!!」
哀れ三姉妹は斬り潰されてしまった。
「う~ん、あの庭師乱暴だなぁ」
長女のルナサが溜め息をつく。
「あははははは!!!やーられちゃったね!」
躁病の気がある次女のメルランが笑う。
「うーん、私だけ無事に済む方法を考えよう」
隅っこでぶつぶつ考えているのが三女のリリカ。
お祭り宴会何でもござれ。騒々しさなら誰にも負けない騒霊三姉妹である。
三人は、庭師に斬り潰されてしまったので作戦会議中なのだ。
「でも私達だけじゃあの庭師に勝てないし」「あはははは!!!」
「簡単なことよ。誰か助っ人を呼ぶの」「いひひひひ!!」
「うーん、でもリリカ、私達の演奏とコラボできそうな人妖っていたっけ?」「ぎゃははは!」
「それなれ心配ないわ姉さん。実は以前から探していたんだけど、一匹いるわね」「ぐらふふふ…」
「あらそう、さすがねリリカ」「ひひひひひひ!」
「それほどでも。早く行きましょう姉さん。メルラン姉さんがそろそろ限界だわ」「Ha~Ha~Ha~Ha~Ha~!!!」
「ええそうね。行きましょう」「…ひひひ」
「めざすは夜雀ね」
夢を見ていた。それがどんな夢か、覚えてはいない。
けれども何かとても大切なことのように思える。
それを忘れていることが、少し悲しかった。
「う~ん、もう一回寝よ」
ミスティアの出した結論はこれであった。
「…ねぇ、お母さん。何で私は人前で歌ってはいけないの?」
「よく聞いて、ミスティア。あなたの歌は良くないものをたくさん呼んでしまうの」
「何で?何で私だけ歌っちゃいけないの?お母さん、教えてよ!」
「…それはあなたがローレライだからよ。あなたの歌には魔力が宿っているの。その魔力が人を狂わせ、妖怪を呼ぶの」
「…じゃあ私一生このまま?そんなのいやだよう」
「泣かないでミスティア。私がいるわ。私があなたのお歌をちゃんと聞いてあげるから。
だから泣かないで」
「うん!ありがとう、お母さん」
「よしよし、良い子ね。
…ところでミスティア、あなたは何でそれでも歌を歌おうとするの?歌さえ歌わなければみんなと仲良く幸せに暮らせるのに」
「う~ん、どうせ私、翼が生えてるっていじめられるし。
それに…」
「それに?」
「私は…」
「お~い夜雀よ~い」
外から声がする。
もう、いいとこだったのに。
…あれ?私、何の夢を見てたんだっけ?
とても暖かく、けれど悲しい夢だったような。
「いないの~?」
「ここだよ~」
ねぐらから出て行く。外には騒霊三姉妹。
「何の用?」
「実は…。
というわけだ。協力してくれないか?」
一番苦労してそうな長女っぽい人が説明してくれた。
「え?伴奏つきで、コンサートを開くの!?うん、やろう!協力するよ」
私が逡巡を躊躇もせずに返事をした所為か、三人はちょっとビックリしていた。
「やけに決断が早いわね。…理由を聞かせて」
一番疑い深く、腹黒そうな三女っぽい人が疑いの眼で私に聞く。
私は答えた。
―――だって、私、歌が好きだから!―――
夜雀の怪、ミスティア・ローレライ。
彼女は今日も、一人、歌う。
こんな演奏会に出会いたいもんですな。
なんちって。