嗚呼、夜は明けて
ゆらゆら、歩を合わせ
近づくものは14、15、16の少女の屍だ
さあ、銃をかまえろ
銃爪を
―――筋肉少女帯『再殺部隊』より―――
メラメラと燃える死体
その死体を藤原妹紅は何の感情もなく見下ろしていた
ただ、炎に照らされたその瞳は物語る
殺意・憎悪・過去・屈辱・嘲笑・諦観・悲観
混ざり混ざった想いは黒く濁って少女の心を重くする
「…これで何回目…いや、何百回目かしらね」
自嘲気味に微笑む
「灰になって…月に帰っちまいなよ。まぁ…そんな素直じゃないよね。アンタは」
またすぐにでも会うだろう。この死体と、私という死体は
「いいさ…また会ってやる」
炎の奥、黒く焦げる死体
弾ける火の粉は闇に還るかのように消えていく
「…朝ね」
消し炭『だったもの』が口を開く
無くなったはずの生命の証
「ふふ、妹紅ったら火の扱い方が本当に巧くなったのね」
傷一つ無いその身体――服は燃え尽きてしまった――をゆっくりと起こす
「でも、レディの扱いは最低ね。今度お仕置きしなきゃ」
少女――蓬莱山輝夜はくすくすと楽しそうに笑った
さあ、帰って寝よう
今夜もまた彼女と踊ろう
死は全てを奪っていく
思い出も、感情も、何もかも
だから私たちのような生きる死者は
とうの昔に…哀しみを失くした
私は貴方が愛しい
私は貴方が憎々しい
だから私は今宵も会いにいく
だから私は今宵も会いにいく
殺されるために
殺すために
妹紅は悲しかった。寂しかった
自分を知っている者は誰もいない
誰を助けてくれる者は誰もいない
孤独・孤独・悲痛・悲痛・静寂・静寂
ただ、繰り返すだけの空っぽの生命
そんな『死体』を分かってくれる存在は
やはり、『死体』だけだった
輝夜は嬉しかった。楽しかった
自分の生を確認させてくれる者がいる
自分の存在を思ってくれる者がいる。
炎上・殴打・水没・絞殺・切裂・生埋
ただ、殺し殺されるだけの大切な関係
そんな『死体』にしてくれる存在は
やはり、『死体』だけだった
「こんばんは、妹紅」
「こんばんは、輝夜。やっぱ生きてたか」
「あら、ちゃんと死んでたわよ?」
「今は生きてるじゃん」
「そうでもないわよ。私の心だけは殺されて貴方のものに」
「いらない」
「そう言わないでよ。今なら特別サービスで私の身体までもがついてくるわよ」
「もっといらない」
「贅沢ねぇ。私の身体はもう飽きたの?」
「…いいや。まだまだ足りないね」
「そう、それを聞いて安心したわ。絶倫ね♪」
「おかげさまでね。…さて」
「あら、もう?もう少し話しましょ」
「生憎だけど慧音が待ってんだ」
「あら…妬けちゃうわ」
「いいじゃないか…アンタ以外の奴には、こんなことはしないんだからさ」
「私だから何してもいい、じゃなくて?そんな安い女じゃなくてよ」
「はははは」
「ふふふふ」
「じゃ、やろうか」
「そうね、やりましょう…今夜は私がしてあげる」
「できるもんだったらな」
「それじゃ――踊りましょう。永久と終焉のロンドをね」
あのね、あたしたち、好きな人にもう一度会うため歩いただけよ
でもね、許されないのならば…どうぞメチャクチャにして欲しいな
だって、あたしは好きな人が血塗れだって抱いてあげるワ
だって、あたしの好きな人は血塗れだって抱いてくれるワ
ゆらゆら、歩を合わせ
近づくものは14、15、16の少女の屍だ
さあ、銃をかまえろ
銃爪を
―――筋肉少女帯『再殺部隊』より―――
メラメラと燃える死体
その死体を藤原妹紅は何の感情もなく見下ろしていた
ただ、炎に照らされたその瞳は物語る
殺意・憎悪・過去・屈辱・嘲笑・諦観・悲観
混ざり混ざった想いは黒く濁って少女の心を重くする
「…これで何回目…いや、何百回目かしらね」
自嘲気味に微笑む
「灰になって…月に帰っちまいなよ。まぁ…そんな素直じゃないよね。アンタは」
またすぐにでも会うだろう。この死体と、私という死体は
「いいさ…また会ってやる」
炎の奥、黒く焦げる死体
弾ける火の粉は闇に還るかのように消えていく
「…朝ね」
消し炭『だったもの』が口を開く
無くなったはずの生命の証
「ふふ、妹紅ったら火の扱い方が本当に巧くなったのね」
傷一つ無いその身体――服は燃え尽きてしまった――をゆっくりと起こす
「でも、レディの扱いは最低ね。今度お仕置きしなきゃ」
少女――蓬莱山輝夜はくすくすと楽しそうに笑った
さあ、帰って寝よう
今夜もまた彼女と踊ろう
死は全てを奪っていく
思い出も、感情も、何もかも
だから私たちのような生きる死者は
とうの昔に…哀しみを失くした
私は貴方が愛しい
私は貴方が憎々しい
だから私は今宵も会いにいく
だから私は今宵も会いにいく
殺されるために
殺すために
妹紅は悲しかった。寂しかった
自分を知っている者は誰もいない
誰を助けてくれる者は誰もいない
孤独・孤独・悲痛・悲痛・静寂・静寂
ただ、繰り返すだけの空っぽの生命
そんな『死体』を分かってくれる存在は
やはり、『死体』だけだった
輝夜は嬉しかった。楽しかった
自分の生を確認させてくれる者がいる
自分の存在を思ってくれる者がいる。
炎上・殴打・水没・絞殺・切裂・生埋
ただ、殺し殺されるだけの大切な関係
そんな『死体』にしてくれる存在は
やはり、『死体』だけだった
「こんばんは、妹紅」
「こんばんは、輝夜。やっぱ生きてたか」
「あら、ちゃんと死んでたわよ?」
「今は生きてるじゃん」
「そうでもないわよ。私の心だけは殺されて貴方のものに」
「いらない」
「そう言わないでよ。今なら特別サービスで私の身体までもがついてくるわよ」
「もっといらない」
「贅沢ねぇ。私の身体はもう飽きたの?」
「…いいや。まだまだ足りないね」
「そう、それを聞いて安心したわ。絶倫ね♪」
「おかげさまでね。…さて」
「あら、もう?もう少し話しましょ」
「生憎だけど慧音が待ってんだ」
「あら…妬けちゃうわ」
「いいじゃないか…アンタ以外の奴には、こんなことはしないんだからさ」
「私だから何してもいい、じゃなくて?そんな安い女じゃなくてよ」
「はははは」
「ふふふふ」
「じゃ、やろうか」
「そうね、やりましょう…今夜は私がしてあげる」
「できるもんだったらな」
「それじゃ――踊りましょう。永久と終焉のロンドをね」
あのね、あたしたち、好きな人にもう一度会うため歩いただけよ
でもね、許されないのならば…どうぞメチャクチャにして欲しいな
だって、あたしは好きな人が血塗れだって抱いてあげるワ
だって、あたしの好きな人は血塗れだって抱いてくれるワ
こういうシリアスも良いなぁ。でも二人の中身は一緒なのが業だなぁ。
見事な殺し愛ですね。