このSSは豆蔵人生初の作品ですので、何かもう酷い出来です。
笑って許して僕を暖かく包容できる海のような懐の広さを持つ方限定でお読み下さい。
あと俺設定全開ですのでご注意のほどもよろしくお願いします。
『博麗神社 すいかと夏』
夕方の博麗神社。昼間のヤル気満々な日差しも弱くなり、心地よい風も吹いている。
庭先に霊夢が居る。大きめの石を組み上げてかまどを作っていた。火種を中心に置くと
鉄板で蓋をした。
「・・・よし、こんなものかしら」
ふぅ、一息ついて額の汗を拭った。
簡単に説明すれば鉄板焼きの用意をしていたわけである。
霊夢は今日、ある集落へ妖怪退治の仕事で出かけた。特に強い相手でもなかったので手早く
片付けた。その謝礼として大量の肉、魚、野菜をもらったのである。
日持ちしないものは今日明日にでも片付けたかった。そこで魚などを燻製にするついでに
鉄板焼きでもやってしまおうかと考えたのであった。この暑さの中、料理も面倒になっていた
霊夢はここ一ヶ月、素麺しか食べていない。肉や魚を前に早くも唾が溢れてきた。
鉄板に油をしいて、適当に切った肉と野菜を並べる。生魚はパスウェイジョンニードルという
名前の串に刺して火の近くに並べた。
ものの数秒待たずに空腹を刺激する匂いが立ち昇る。
「くはーっ、いー匂ーいー、ご飯用意しなくちゃ」
「あれ、ご飯食べるのー?お酒があるよー?」
「あー、じゃいいわ。鉄板焼きにお酒なんて素敵じゃない」
「だよねー♪んじゃま、手始めにイッパイ」
差し出された真っ赤な杯には良く冷えた日本酒が表面張力万歳っていた。
それを霊夢は勢い良く呷る。
「っっっはーッ!素敵過ぎるー」
「あっはっは」
「あっはっは」
あまりの素敵具合に二人は意味も無く笑いあった。
「あっはっは・・・・・・何でアンタはここに居るのよ、萃香」
「うわツッコミ遅ッ」
瓢箪からまるで水のように酒を呷るのは、どこからともなく現れた鬼の幼女、伊吹萃香。もう
酔っ払っている。だが霊夢は大なり小なり酔っ払っている萃香しか見た事がないので気にしない。
「見ていたのなら手伝いなさいよ」
「日頃の運動不足で、体に要らんモノが増えてる霊夢を見守るのも、愛かなーって思って」
「誰が太ったと言うか、このヨッ○ライダーめ」
「誰がん○ばキャラよ」
「そういやアレも花火なネタ持ってたわねぇ」
「私の弾幕は花火じゃないー」
言いながら萃香は魚に手を伸ばした。因みにまだ良く焼けていない。
ぺしり、
「こら」
その手を霊夢が叩く。攻撃用のお札付きで。
「うわっちゃーッ!?」
煙が立ち昇って、萃香は堪らず転げ回った。必死になって何とかお札を剥がす。涙目になりながら
赤くなった手の甲に何度も息を吹きかけた。
「ううっ・・・危うく鉄板上の食材と同じ運命辿るトコだったじゃない!」
「それは安心して。誰もアンタなんて食べないから」
特に悪びれた様子も無く、しれっと言葉を返す霊夢。
「・・・・むー、鉄板焼きは酒の肴で上位に君臨する事を知らないのね」
「何の話よ」
「私の酒を邪魔するのなら、例え霊夢でも容赦しないわッ!」
「酒は邪魔してないし、そもそもこれは私の夕食だ」
律儀にツッコめるトコロは全部ツッコむ霊夢。ツッコミ芸人の鑑。
「ならば鬼らしく・・・・奪っていく!」
萃香が特に身構えない霊夢に、情け容赦なく飛び掛った。
霊夢は落ち着いている。
巫女服の袖に手を入れた。
アミュレットかニードルか、どちらかが来る。
そう解っても萃香は足を止めなかった。お札はその驚異的な追尾性能で回避が難しく、
針は連撃による攻撃力が強大。そのコンボを巧みに操る霊夢は一度、人間の身体能力を
大きく上回るはずの萃香を退けている。厄介さは経験を持って重々承知していた。
・・・・しかし萃香は突っ込む。今は距離が離れていない。接近戦は萃香の得意分野だ。例え
相手が霊夢でも自信がある。今からはる弾幕では限界も高が知れている。ほんの二、三撃を
耐えれば、霊夢を掴む事が可能―――
萃香は懐からスペルカードを取り出した。
萃符『戸隠山投げ』
一度掴んでしまえば脱出不能の強力な投げ技スペル。接近してのワンチャンス・アタックに
これほど適した技は無い。
―――後は霊夢の弾幕を耐えれば終わり。鉄板焼きは私のモノ。
萃香は全ての神経を防御に集中させた―――――
「必殺、炒った大豆ー」
「何ですとぉぉッ!?」
ビシバシビシバシ、あまりに予想外の攻撃に萃香は固まる。そして殆ど被弾した。ダメージは
かなり大きいようだった。その手からスペルカードがひらひら舞い落ちる。もの悲しげに。
「いやー!大豆嫌いー!何でそんなもの持ち歩いてンのよー!!」
アミュレットもニードルも耐える覚悟を決めていた萃香は、あっさり大豆で撃墜された。
「パチュリーから効果的って聞いてた」
「それっていつか私に投げつけようとしてたってコトー!?」
「鬼は外ー」
「それは強力な攻撃呪文!!みゃーッ!!」
すっかり力が抜けてしまった萃香。地面にへたり込んで涙目に。
「ハァ・・・ハァ・・・、お・・・お願い・・・・、もう、もう堪忍・・・して・・・」
鼻にかかった甘い声。萃香の肌はほんのり蒸気して桜色になっていた。
服がはだけて、細い肩があらわになる。
未成熟な胸元もあと少しずれたら見えてしまうほど。
「・・・れい・・・むぅ・・・・・」
切なそうに、萃香は目の前に立つ巫女の名前を呼んだ。
「・・・萃香・・・・・・」
霊夢がそんな幼い少女にそっと近付く・・・・・・
「まだ余裕あるのねビシバシ」
「あっれーッ!?」
そんな萃香に霊夢は容赦無く大豆を投げつけた。先程までの誘うような体面は見事に吹き飛んで
萃香はまたのたうち回った。
「お、おっかしーな!?ここで理性とか吹き飛んだ霊夢が『すいかーッ!!』って叫びながら
襲いかかって来る予定だったんだけどー!?」
「何で私がお子様の肌見て理性飛ばさなきゃいけないのよ」
「・・・ああ、霊夢はおっきーのが好きなのね?」
言うが早いか、再びスペルカードを取り出す萃香。
鬼符『ミッシングパワー』、魔力とか何かそんなモノを萃めて巨大化するスペル。しかしそれは
戦闘時にそう使用する機会が多いだけで、実は自身の姿形を変える用法もあったりする。
スペルを宣言すると、たちどころに萃香の体が変化していく。手足が伸び、ボディラインが女性特有の
丸みを帯びてくる。さらに胸は紅魔館の瀟洒なメイドを一気に超えて、同門番に匹敵するまで大きく
なっていく。服もサイズに合わせて大きくなるあたりが便利で非常にけしから・・・・・いや便利である。
「・・・と、これでどう?れ・い・む☆」
そこには立派に成長し、色っぽくなった萃香が立っていた。ウィンクしてみせる。髪をかき上げ、腰を
ひねって全身の『女』を激しくアピールする。
「うりゃ」
霊夢の反応は同じだった。
「ひゃれぇぇぇぇッ!?」
萃香のあちこちからプシュー、と空気が抜けるような音がする。しおしおと、あっと言う間に元の鬼幼
女に戻ってしまった。
「うう・・・・、霊夢まさに鋼鉄の意志の持ち主。私の色香が効かないなんてー」
「・・・まったく、食事前に余計な運動させるんじゃないわよ」
霊夢は両手をパンパンと叩いて払って、大豆まみれで倒れる萃香を見やった。
「・・・日頃の運動不足で」
「まだ大豆が欲しいようね」
「まだあるのッ!?わ、解った私の負けよ負け負けだってば!」
あわてて飛び起きて、両手で止めてをジェスチャーする。割と元気なあたり本当に効いているのか疑問
が残るが、本人がまぁ苦しんでいる様なので深くツッコまない事にする。
「・・・・ま、今回はこれで勘弁してあげるわ」
霊夢が袖から取り出しかかっていたモノをしまうのを見て、萃香は心底ホッとした。
「・・・じゃ、敗者は大人しく立ち去るわよ・・・・・」
ションボリと背中を見せる萃香。
「あれ、食べていかないの?」
そんな背中に、霊夢は意外そうな声をかけた。
「へっ?・・・さっき駄目って言ったじゃん」
「つまみ食いは禁止って言っただけよ」
・・・・じゃあ先程の弾幕ごっこ(か?)には何の意味があったのだろうか。ただの大豆損である。
最初にお札を貼られた時点で、あれは拒否の意思表示と思った萃香に非は無いと思うが。
「は、早く言ってよそーいう事はー!」
「言わなかったっけ?」
「言ってない!」
萃香が腕をぶんぶん振り回しながら叫んだ。
「こういうのって、誰かと一緒のほうが美味しく感じるでしょ?折角来たアンタを追い返すなんて事
しないわよ」
霊夢はにっこり笑ってそう言った。
―――そうだった。
萃香は忘れていた。初めて霊夢に会った時の事を。
幻想郷では異分子の萃香は、スキマ妖怪以外と打ち解ける事が出来なかった。スキマ妖怪は年中寝て
ばかりなのでいつも一人だった。
ある日この博麗神社を知った。人間だけでなく妖怪、幽霊、悪魔、本来なら敵対こそすれ馴れ合う事な
どないはずの者達が満開の桜の下に集い、宴を催していた。―――その何と楽しげな事か。
萃香はそれを誰にも気付かれない様に霧散して眺めていた。自分もあの中に入りたいと思いながらも
きっかけが掴めず、しかし宴が終わるとまるで参加者の一人のように寂しくなって。
『密と疎を操る程度の能力』によって数日置きに宴会を行わせて、その都度彼女は外から眺めていた。
―――そして、博麗霊夢は萃香の存在に気付いた。人間に負けるはずは無いと思っていた彼女を退け
たのである。
退治されるかと思いきや。霊夢は萃香に、先程のような笑顔を見せて言った。
「そんなに宴会が好きなら、今度からアンタも参加しなさいよ」
と。
イレギュラーである萃香の存在を、霊夢はあっさり受け入れたのである。そして霊夢が受け入れたと
知った他の連中も次々に萃香を受け入れた。今では宴会に萃香が居なければ、みんなで『あいつはどうし
たんだ?』と口々に尋ね回るようにまでなった。
心がいっぱいに溢れて、人知れず萃香は涙を流した。
誰にも見せられないとこっそり。
萃香は思い出した。自分がここに居る経緯を。・・・理由を。
「れいむーッ!愛してるよー!」
ぽふん、萃香は霊夢の胸に飛び込んだ。
「はいはい。その代わり片付けは手伝ってもらうからね?」
「お安い御用よー!」
満面の笑みを浮かべる萃香。
やれやれ、とため息を漏らす霊夢も、優しい笑顔を作っていた。
「さて、そろそろいー感じに焼けてるかな」
「鉄板♪焼き~、鉄板♪焼き~」
二人は楽しそうに火の元へ戻っていった。
「おい咲夜、そりゃ何の肉だよ」
「希少品よ」
「わ、良い匂い」
「レミリアの食欲そそる肉じゃ危険だぜモグモグ」
「何でアンタ等まで居るのよーッ!?」
「しかももう食べてるー!?」
今宵も神社ではテンヤワンヤの宴会が催されたとか。
~終~
笑って許して僕を暖かく包容できる海のような懐の広さを持つ方限定でお読み下さい。
あと俺設定全開ですのでご注意のほどもよろしくお願いします。
『博麗神社 すいかと夏』
夕方の博麗神社。昼間のヤル気満々な日差しも弱くなり、心地よい風も吹いている。
庭先に霊夢が居る。大きめの石を組み上げてかまどを作っていた。火種を中心に置くと
鉄板で蓋をした。
「・・・よし、こんなものかしら」
ふぅ、一息ついて額の汗を拭った。
簡単に説明すれば鉄板焼きの用意をしていたわけである。
霊夢は今日、ある集落へ妖怪退治の仕事で出かけた。特に強い相手でもなかったので手早く
片付けた。その謝礼として大量の肉、魚、野菜をもらったのである。
日持ちしないものは今日明日にでも片付けたかった。そこで魚などを燻製にするついでに
鉄板焼きでもやってしまおうかと考えたのであった。この暑さの中、料理も面倒になっていた
霊夢はここ一ヶ月、素麺しか食べていない。肉や魚を前に早くも唾が溢れてきた。
鉄板に油をしいて、適当に切った肉と野菜を並べる。生魚はパスウェイジョンニードルという
名前の串に刺して火の近くに並べた。
ものの数秒待たずに空腹を刺激する匂いが立ち昇る。
「くはーっ、いー匂ーいー、ご飯用意しなくちゃ」
「あれ、ご飯食べるのー?お酒があるよー?」
「あー、じゃいいわ。鉄板焼きにお酒なんて素敵じゃない」
「だよねー♪んじゃま、手始めにイッパイ」
差し出された真っ赤な杯には良く冷えた日本酒が表面張力万歳っていた。
それを霊夢は勢い良く呷る。
「っっっはーッ!素敵過ぎるー」
「あっはっは」
「あっはっは」
あまりの素敵具合に二人は意味も無く笑いあった。
「あっはっは・・・・・・何でアンタはここに居るのよ、萃香」
「うわツッコミ遅ッ」
瓢箪からまるで水のように酒を呷るのは、どこからともなく現れた鬼の幼女、伊吹萃香。もう
酔っ払っている。だが霊夢は大なり小なり酔っ払っている萃香しか見た事がないので気にしない。
「見ていたのなら手伝いなさいよ」
「日頃の運動不足で、体に要らんモノが増えてる霊夢を見守るのも、愛かなーって思って」
「誰が太ったと言うか、このヨッ○ライダーめ」
「誰がん○ばキャラよ」
「そういやアレも花火なネタ持ってたわねぇ」
「私の弾幕は花火じゃないー」
言いながら萃香は魚に手を伸ばした。因みにまだ良く焼けていない。
ぺしり、
「こら」
その手を霊夢が叩く。攻撃用のお札付きで。
「うわっちゃーッ!?」
煙が立ち昇って、萃香は堪らず転げ回った。必死になって何とかお札を剥がす。涙目になりながら
赤くなった手の甲に何度も息を吹きかけた。
「ううっ・・・危うく鉄板上の食材と同じ運命辿るトコだったじゃない!」
「それは安心して。誰もアンタなんて食べないから」
特に悪びれた様子も無く、しれっと言葉を返す霊夢。
「・・・・むー、鉄板焼きは酒の肴で上位に君臨する事を知らないのね」
「何の話よ」
「私の酒を邪魔するのなら、例え霊夢でも容赦しないわッ!」
「酒は邪魔してないし、そもそもこれは私の夕食だ」
律儀にツッコめるトコロは全部ツッコむ霊夢。ツッコミ芸人の鑑。
「ならば鬼らしく・・・・奪っていく!」
萃香が特に身構えない霊夢に、情け容赦なく飛び掛った。
霊夢は落ち着いている。
巫女服の袖に手を入れた。
アミュレットかニードルか、どちらかが来る。
そう解っても萃香は足を止めなかった。お札はその驚異的な追尾性能で回避が難しく、
針は連撃による攻撃力が強大。そのコンボを巧みに操る霊夢は一度、人間の身体能力を
大きく上回るはずの萃香を退けている。厄介さは経験を持って重々承知していた。
・・・・しかし萃香は突っ込む。今は距離が離れていない。接近戦は萃香の得意分野だ。例え
相手が霊夢でも自信がある。今からはる弾幕では限界も高が知れている。ほんの二、三撃を
耐えれば、霊夢を掴む事が可能―――
萃香は懐からスペルカードを取り出した。
萃符『戸隠山投げ』
一度掴んでしまえば脱出不能の強力な投げ技スペル。接近してのワンチャンス・アタックに
これほど適した技は無い。
―――後は霊夢の弾幕を耐えれば終わり。鉄板焼きは私のモノ。
萃香は全ての神経を防御に集中させた―――――
「必殺、炒った大豆ー」
「何ですとぉぉッ!?」
ビシバシビシバシ、あまりに予想外の攻撃に萃香は固まる。そして殆ど被弾した。ダメージは
かなり大きいようだった。その手からスペルカードがひらひら舞い落ちる。もの悲しげに。
「いやー!大豆嫌いー!何でそんなもの持ち歩いてンのよー!!」
アミュレットもニードルも耐える覚悟を決めていた萃香は、あっさり大豆で撃墜された。
「パチュリーから効果的って聞いてた」
「それっていつか私に投げつけようとしてたってコトー!?」
「鬼は外ー」
「それは強力な攻撃呪文!!みゃーッ!!」
すっかり力が抜けてしまった萃香。地面にへたり込んで涙目に。
「ハァ・・・ハァ・・・、お・・・お願い・・・・、もう、もう堪忍・・・して・・・」
鼻にかかった甘い声。萃香の肌はほんのり蒸気して桜色になっていた。
服がはだけて、細い肩があらわになる。
未成熟な胸元もあと少しずれたら見えてしまうほど。
「・・・れい・・・むぅ・・・・・」
切なそうに、萃香は目の前に立つ巫女の名前を呼んだ。
「・・・萃香・・・・・・」
霊夢がそんな幼い少女にそっと近付く・・・・・・
「まだ余裕あるのねビシバシ」
「あっれーッ!?」
そんな萃香に霊夢は容赦無く大豆を投げつけた。先程までの誘うような体面は見事に吹き飛んで
萃香はまたのたうち回った。
「お、おっかしーな!?ここで理性とか吹き飛んだ霊夢が『すいかーッ!!』って叫びながら
襲いかかって来る予定だったんだけどー!?」
「何で私がお子様の肌見て理性飛ばさなきゃいけないのよ」
「・・・ああ、霊夢はおっきーのが好きなのね?」
言うが早いか、再びスペルカードを取り出す萃香。
鬼符『ミッシングパワー』、魔力とか何かそんなモノを萃めて巨大化するスペル。しかしそれは
戦闘時にそう使用する機会が多いだけで、実は自身の姿形を変える用法もあったりする。
スペルを宣言すると、たちどころに萃香の体が変化していく。手足が伸び、ボディラインが女性特有の
丸みを帯びてくる。さらに胸は紅魔館の瀟洒なメイドを一気に超えて、同門番に匹敵するまで大きく
なっていく。服もサイズに合わせて大きくなるあたりが便利で非常にけしから・・・・・いや便利である。
「・・・と、これでどう?れ・い・む☆」
そこには立派に成長し、色っぽくなった萃香が立っていた。ウィンクしてみせる。髪をかき上げ、腰を
ひねって全身の『女』を激しくアピールする。
「うりゃ」
霊夢の反応は同じだった。
「ひゃれぇぇぇぇッ!?」
萃香のあちこちからプシュー、と空気が抜けるような音がする。しおしおと、あっと言う間に元の鬼幼
女に戻ってしまった。
「うう・・・・、霊夢まさに鋼鉄の意志の持ち主。私の色香が効かないなんてー」
「・・・まったく、食事前に余計な運動させるんじゃないわよ」
霊夢は両手をパンパンと叩いて払って、大豆まみれで倒れる萃香を見やった。
「・・・日頃の運動不足で」
「まだ大豆が欲しいようね」
「まだあるのッ!?わ、解った私の負けよ負け負けだってば!」
あわてて飛び起きて、両手で止めてをジェスチャーする。割と元気なあたり本当に効いているのか疑問
が残るが、本人がまぁ苦しんでいる様なので深くツッコまない事にする。
「・・・・ま、今回はこれで勘弁してあげるわ」
霊夢が袖から取り出しかかっていたモノをしまうのを見て、萃香は心底ホッとした。
「・・・じゃ、敗者は大人しく立ち去るわよ・・・・・」
ションボリと背中を見せる萃香。
「あれ、食べていかないの?」
そんな背中に、霊夢は意外そうな声をかけた。
「へっ?・・・さっき駄目って言ったじゃん」
「つまみ食いは禁止って言っただけよ」
・・・・じゃあ先程の弾幕ごっこ(か?)には何の意味があったのだろうか。ただの大豆損である。
最初にお札を貼られた時点で、あれは拒否の意思表示と思った萃香に非は無いと思うが。
「は、早く言ってよそーいう事はー!」
「言わなかったっけ?」
「言ってない!」
萃香が腕をぶんぶん振り回しながら叫んだ。
「こういうのって、誰かと一緒のほうが美味しく感じるでしょ?折角来たアンタを追い返すなんて事
しないわよ」
霊夢はにっこり笑ってそう言った。
―――そうだった。
萃香は忘れていた。初めて霊夢に会った時の事を。
幻想郷では異分子の萃香は、スキマ妖怪以外と打ち解ける事が出来なかった。スキマ妖怪は年中寝て
ばかりなのでいつも一人だった。
ある日この博麗神社を知った。人間だけでなく妖怪、幽霊、悪魔、本来なら敵対こそすれ馴れ合う事な
どないはずの者達が満開の桜の下に集い、宴を催していた。―――その何と楽しげな事か。
萃香はそれを誰にも気付かれない様に霧散して眺めていた。自分もあの中に入りたいと思いながらも
きっかけが掴めず、しかし宴が終わるとまるで参加者の一人のように寂しくなって。
『密と疎を操る程度の能力』によって数日置きに宴会を行わせて、その都度彼女は外から眺めていた。
―――そして、博麗霊夢は萃香の存在に気付いた。人間に負けるはずは無いと思っていた彼女を退け
たのである。
退治されるかと思いきや。霊夢は萃香に、先程のような笑顔を見せて言った。
「そんなに宴会が好きなら、今度からアンタも参加しなさいよ」
と。
イレギュラーである萃香の存在を、霊夢はあっさり受け入れたのである。そして霊夢が受け入れたと
知った他の連中も次々に萃香を受け入れた。今では宴会に萃香が居なければ、みんなで『あいつはどうし
たんだ?』と口々に尋ね回るようにまでなった。
心がいっぱいに溢れて、人知れず萃香は涙を流した。
誰にも見せられないとこっそり。
萃香は思い出した。自分がここに居る経緯を。・・・理由を。
「れいむーッ!愛してるよー!」
ぽふん、萃香は霊夢の胸に飛び込んだ。
「はいはい。その代わり片付けは手伝ってもらうからね?」
「お安い御用よー!」
満面の笑みを浮かべる萃香。
やれやれ、とため息を漏らす霊夢も、優しい笑顔を作っていた。
「さて、そろそろいー感じに焼けてるかな」
「鉄板♪焼き~、鉄板♪焼き~」
二人は楽しそうに火の元へ戻っていった。
「おい咲夜、そりゃ何の肉だよ」
「希少品よ」
「わ、良い匂い」
「レミリアの食欲そそる肉じゃ危険だぜモグモグ」
「何でアンタ等まで居るのよーッ!?」
「しかももう食べてるー!?」
今宵も神社ではテンヤワンヤの宴会が催されたとか。
~終~
こぉゆうの好きですねぇ♪
何がともあれこういう系好きです。
これからもがんばってください。
襲いかかって来る予定だったんだけどー!?」
自分もそう思った・・・・・・痛い、痛い、豆痛いっス!!
失敗から学べば良いこと、誰だって始めは上手くいきませんよ。
まぁ自信と自尊を履き違えないように。
容赦なくやられてるとこまでいっしょになっているように見えるんですけどー
参考励ましにさせて頂きます!
次は一般側(?)で書いてみようかと思います~
超高密度な鬼火できっと火山だって噴火させられる彼女に乾杯! ビバ=宴会芸!
何が言いたいかと言われればつまり、面白かったです、次回も期待してます!!って事で。
それよりも っっっはーッ っっっはーッ 気に入ったw
通常とプチの区別はしておりませんが、この分量とレベルだと通常でも十二分に通用しますよね。
楽しみな作家さんがまた一人増えて嬉しいです。
次回、期待しております。グッドジョブです!
理性のみならず、何か……こう……色々w
えぇ、第一段階で。既に
クロスボーンかっ! 今頃気付きました。
それにしても見所の多い作品で。