博麗神社の巫女である霊夢はお供え物もお賽銭もなく、とてもひもじい生活を強いられていた。
お金なんて物の価値は、霊夢にとってなんてことない。だが世間では違う。
お金がなければお茶もお茶菓子も買えない。店によってはツケという方法もあるかも
しれないが、さすがに顔見知り以外の店の場合、ツケにする事だって難しい。
それになんかこう……人としてとかではないが、バシッとお金を払ってしっかり物を
買ってみたいという気持ちもあった。
そして霊夢は考えた。このままではまずい、何とかお金を稼ごう!
そうして考えた末、作られたのが屋台「居酒屋はくれい」であった。
最初は少し不安だったが、霊夢には人や妖怪諸々を惹き付ける魅力があったので
お客にはあまり困らなかった。
ちなみに、屋台は自分でその辺りから材料を取ってきて作った。
お酒は、萃香から瓢箪を借りてなんとかしている。料理は山の幸、海の幸で意外と何とかなっていた。
こうして、昼は巫女、夜は居酒屋の女将、というような生活をして、お金もそこそこ稼ぎ
生活をする面では困らないくらいまでになっていた。
そんな霊夢の切り盛りする「居酒屋はくれい」に今日は3人のお客が訪れていた。
「でですね、幽々子様ったらですね…」
「わかるわ…お嬢様だってこの前…」
「そーなのかー…」
十六夜咲夜、魂魄妖夢、ルーミアの順番で並ぶように座って、咲夜と妖夢はお酒を飲みながら
お互いの主人のことを話していた。内容はちょっとした愚痴のようだ。
二人はちょこちょこ、一緒に居酒屋に来ては、お互い似た立場からかこうして、自分のことや
自分の主人の愚痴や自慢話などをしている。
ルーミアは、たまたま今日居酒屋に来て、先ほどから「そーなのかー」と腕を組み、そして頷き
勝手に話しに参加しているような感じになっていた。
「そもそも、私たちだって頑張ってるんです。それを~…う~」
妖夢は、バっと椅子から立ち上がり、グっとコップに入っているお酒を飲む。
「まったくよ! 少しは労えー!」
咲夜も妖夢に続いて、コップに入っているお酒をぐっと飲み干す。
「そーなのかー!」
そう言って、ルーミアも二人に続いて、コップに入った水をくいっと飲んだ。
「はいはい。あんた達、もう酔ってるんじゃないの?」
「酔ってませんよ! ねぇ、咲夜さん!」
妖夢がバンッと飲み干したコップをテーブルに叩きつけた。
そんな妖夢の顔は赤くなっていた。
「ええ! それより霊夢、注文したメニュー、女の魚料理まだかしら?」
こちらも妖夢ほどではないが、顔が赤くなっていた。
「はいはい、今できたところよ。はい、おまちど」
霊夢は両手に一本ずつ魚の串焼き持ち、それを咲夜と妖夢に一本ずつ渡す。
「むしゃ、もしゃ、霊夢さんはわかってないんですよ! どれだけ私たちが苦労してるか!」
そう言って、びし!と食べかけの串焼きを霊夢に向ける。妖夢の目はビシッとしていなく
酔っているからか、少し泳いでいた。
「仕方がないわよ、妖夢。この娘は……ふわふわ星人だもの」
咲夜はもしゃもしゃと静かに魚を食べながら、少し色っぽく、火照ったため息を吐いて呟く。
「そーなのかー」
ルーミアは咲夜の言葉を聞いて返事した。
「何よ、そのふわふわ星人って……まったく、失礼ね」
霊夢は両手を腰において、少し首をかしげる。
「でも、あんた達。そう愚痴りながらも自分達の主人が好きなんでしょ?」
霊夢に問いかけられて、魚を食べるのを止める。そして咲夜と妖夢はお互い顔を見合わせる。
「……えへへ」
「……こほん」
そして二人は照れながら頭をかいた。
「はいはい。ったく、結局いつもこうなんだから……」
霊夢は萃香から借りている瓢箪を手に取ると、二人の空になっているコップにお酒を注ぐ。
「霊夢? 私も妖夢もお酒のおかわりは頼んでないわよ?」
「これは私からの労いよ。味わって飲みなさい」
霊夢が瓢箪を持ったまま、咲夜と妖夢に笑いかける。
「ごちそうさま」
咲夜と妖夢も笑い、味わうようにゆっくりと注がれたお酒を飲む。
そんな中、横でルーミアがじーっと指をくわえて霊夢を見つめている。
「何よ?」
霊夢が問いかけるが、ルーミアは指をくわえたまま返事をしない。いや、よだれが返事をするように
ポタポタと音をたてている。心なしか目も少し潤んでいた。
「わかったわよ、負けたわ……はい、あんたはお酒よりこっちなんでしょ?」
そうして霊夢が女の魚料理(魚の串焼き)を手渡す。
「ありがとう!」
ルーミアは満面の笑みで差し出された魚にパクつく。
「甘いな~、私も」
そう言いながらも、霊夢はどこか嬉しそうに笑っていた。
店をやっているうちに、人の笑顔も妖怪の笑顔も、見るのが少し好きになっていた。
居酒屋はくれい。ここは種族なんていうものは関係なく集まる、ちょっと暖かいお店。
お金なんて物の価値は、霊夢にとってなんてことない。だが世間では違う。
お金がなければお茶もお茶菓子も買えない。店によってはツケという方法もあるかも
しれないが、さすがに顔見知り以外の店の場合、ツケにする事だって難しい。
それになんかこう……人としてとかではないが、バシッとお金を払ってしっかり物を
買ってみたいという気持ちもあった。
そして霊夢は考えた。このままではまずい、何とかお金を稼ごう!
そうして考えた末、作られたのが屋台「居酒屋はくれい」であった。
最初は少し不安だったが、霊夢には人や妖怪諸々を惹き付ける魅力があったので
お客にはあまり困らなかった。
ちなみに、屋台は自分でその辺りから材料を取ってきて作った。
お酒は、萃香から瓢箪を借りてなんとかしている。料理は山の幸、海の幸で意外と何とかなっていた。
こうして、昼は巫女、夜は居酒屋の女将、というような生活をして、お金もそこそこ稼ぎ
生活をする面では困らないくらいまでになっていた。
そんな霊夢の切り盛りする「居酒屋はくれい」に今日は3人のお客が訪れていた。
「でですね、幽々子様ったらですね…」
「わかるわ…お嬢様だってこの前…」
「そーなのかー…」
十六夜咲夜、魂魄妖夢、ルーミアの順番で並ぶように座って、咲夜と妖夢はお酒を飲みながら
お互いの主人のことを話していた。内容はちょっとした愚痴のようだ。
二人はちょこちょこ、一緒に居酒屋に来ては、お互い似た立場からかこうして、自分のことや
自分の主人の愚痴や自慢話などをしている。
ルーミアは、たまたま今日居酒屋に来て、先ほどから「そーなのかー」と腕を組み、そして頷き
勝手に話しに参加しているような感じになっていた。
「そもそも、私たちだって頑張ってるんです。それを~…う~」
妖夢は、バっと椅子から立ち上がり、グっとコップに入っているお酒を飲む。
「まったくよ! 少しは労えー!」
咲夜も妖夢に続いて、コップに入っているお酒をぐっと飲み干す。
「そーなのかー!」
そう言って、ルーミアも二人に続いて、コップに入った水をくいっと飲んだ。
「はいはい。あんた達、もう酔ってるんじゃないの?」
「酔ってませんよ! ねぇ、咲夜さん!」
妖夢がバンッと飲み干したコップをテーブルに叩きつけた。
そんな妖夢の顔は赤くなっていた。
「ええ! それより霊夢、注文したメニュー、女の魚料理まだかしら?」
こちらも妖夢ほどではないが、顔が赤くなっていた。
「はいはい、今できたところよ。はい、おまちど」
霊夢は両手に一本ずつ魚の串焼き持ち、それを咲夜と妖夢に一本ずつ渡す。
「むしゃ、もしゃ、霊夢さんはわかってないんですよ! どれだけ私たちが苦労してるか!」
そう言って、びし!と食べかけの串焼きを霊夢に向ける。妖夢の目はビシッとしていなく
酔っているからか、少し泳いでいた。
「仕方がないわよ、妖夢。この娘は……ふわふわ星人だもの」
咲夜はもしゃもしゃと静かに魚を食べながら、少し色っぽく、火照ったため息を吐いて呟く。
「そーなのかー」
ルーミアは咲夜の言葉を聞いて返事した。
「何よ、そのふわふわ星人って……まったく、失礼ね」
霊夢は両手を腰において、少し首をかしげる。
「でも、あんた達。そう愚痴りながらも自分達の主人が好きなんでしょ?」
霊夢に問いかけられて、魚を食べるのを止める。そして咲夜と妖夢はお互い顔を見合わせる。
「……えへへ」
「……こほん」
そして二人は照れながら頭をかいた。
「はいはい。ったく、結局いつもこうなんだから……」
霊夢は萃香から借りている瓢箪を手に取ると、二人の空になっているコップにお酒を注ぐ。
「霊夢? 私も妖夢もお酒のおかわりは頼んでないわよ?」
「これは私からの労いよ。味わって飲みなさい」
霊夢が瓢箪を持ったまま、咲夜と妖夢に笑いかける。
「ごちそうさま」
咲夜と妖夢も笑い、味わうようにゆっくりと注がれたお酒を飲む。
そんな中、横でルーミアがじーっと指をくわえて霊夢を見つめている。
「何よ?」
霊夢が問いかけるが、ルーミアは指をくわえたまま返事をしない。いや、よだれが返事をするように
ポタポタと音をたてている。心なしか目も少し潤んでいた。
「わかったわよ、負けたわ……はい、あんたはお酒よりこっちなんでしょ?」
そうして霊夢が女の魚料理(魚の串焼き)を手渡す。
「ありがとう!」
ルーミアは満面の笑みで差し出された魚にパクつく。
「甘いな~、私も」
そう言いながらも、霊夢はどこか嬉しそうに笑っていた。
店をやっているうちに、人の笑顔も妖怪の笑顔も、見るのが少し好きになっていた。
居酒屋はくれい。ここは種族なんていうものは関係なく集まる、ちょっと暖かいお店。
それはさておき、私もこんなちょっと暖かい店に行ってみたいものです。
やっぱり人間真っ当に働いてこそ、だよな。
普通にありそうですね。
続きがあるかも、だそうですので、楽しみにさせてもらいますね!