「はぁはぁ……」
どれだけ走っただろうか、すでに辺りは闇に包まれていた。
「まったく、私には理不尽な出来事ばかり……これは生まれつきね」
世の中狂ってる。
私は狂っちゃいない。狂ってるのはこの世界だ。
止まれば、終わり。
私はひたすら走って逃げる。
私の足が悲鳴を上げる。もう限界だと。
私の肺が悲鳴を上げる。休息をよこせと。
私の体が悲鳴を上げるこれ以上は無理だと。
それでも私は、構わず走り続けた。
「いたぞ、あっちだ!」
「あなたたちは反対側へ回り込んで!」
何時もの頼もしい自警団も、この日ばかりは邪魔者だ。
この十六夜 咲夜、邪魔するものには容赦はしない。
私は即座にナイフを投げ、自警団を威嚇する。
相手が一瞬でも怯めば即座に時を止め、森の中へと姿を隠す。
道なき道を全力疾走。
体は休息を求めている。時を止める余裕も無い。
私は森を抜け、小屋らしき建物へ侵入する。
「これで……追っ手を撒ける」
私は、少しばかり休息をとることにした。
「ん……あれ、明るいな……」
「私から逃げられると思ったら大間違いですよ。観念してください」
目を覚ますと、私は金縛りにあって身動きが取れなくなっていた。
しまった……自警団を甘く見すぎていたらしい。
「覚悟してください、咲夜さん。今日こそ計らせてもらいますからね」
私は観念し、目を閉じた。
「1㎏減量! 今月の咲夜さんは太ってませんでした!」
「くぅ……このレミリア一生の不覚。てっきり咲夜は『ふくよか』になったとばかり」
「え、ホントに減ってたの? レミィといい私といい、どこで目算を誤ったのかしら」
「私の一人勝ちですね。ほらほら皆さん出すもの出してくださいよ~」
「あれだけ追い掛け回されたら、痩せるわよ」
全く……なんで私の体重が紅魔館中に告知されないといけないのよ。
夏の宴会で食べすぎたのは認めるけど……。
でも美鈴のお陰で痩せられるなら、良しとしましょうか。
どうせ胸の大きさは増減しないんだかはうっ(ナイフ