Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

夜の始まり ~前奏曲~

2005/06/26 07:24:30
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「何でついてくるのよ。」
「たまたま行き先が同じだけだぜ。」

二人の魔女が夜の森を歩く。
人形を連れた方は足早に、黒い方はのんびりと。

終わらない夜。明けない夜。
異変に気づいた二人の魔女。誰に言うでもなく、どちらともなく。
同じ森に住むとはいえ、幻想郷に広がる広いこの森で
二人が出会ったのは果たして偶然だったのか・・・。

                ☆

「ていうか、どこへ行くつもりなんだ?」
「あんたに関係ないでしょ。」

つれない返事をおいて、人形を連れた魔女はすたすたと歩く。
いぶかしげに魔女を見つめる人形。
彼女が操っているのか、それとも魂を込められた人形が
自身の意思でそうしているのかは分からない。

「なあ、そんなに急ぐと転ぶぜ。」
「おあいにくさま。自分の庭で転ぶほど温室育ちでもないわ。」

離れもせず、近づきもせず。二人の魔女は森を駆ける。
いつしか昇り始めた月が、彼女達を堰き立てていた。

                ☆

不意に、人形が空を見上げる。
彼女が操っているのか、それとも魂を込められた人形が
自身の意思でそうしているのかは分からない。
人形の視線は何かを追い、そしてゆっくりと黒い魔女の方へと
降りてゆく。

「魔理沙!!」
「気づいてるぜ。」

バレエダンスの様に、手を広げてくるりと回りながらその場を飛び退く。
同時に両手から溢れる七色の星。
光がはじけて森を照らす。

                ☆

「もう!何であんたはそういちいち派手なの?」
「一番地味な魔法だけどな。」

一言ずつ交わして、何事もなかったかのようにまた歩き出す。
黒い魔女がいた場所に突き刺さる、小さな人影を残して。

「・・・いいの、あれ?」
「私はいらないぜ。荷物になるしな。」
「そうじゃなくて。まったくもう。」
「食べても美味しくなさそうだな。」
「食べないわよ!」

どちらともなく、すいと夜空へ舞い上がる。
人形を連れた魔女は水の中を泳ぐ様に。黒い魔女は箒に乗って。

「まあ、お互い知り合いが少ないしな。」
「何でよりによってあんたなのかしら・・・」

時間は余りない。
空を覆う森を今は見下ろしながら、二つの影が月夜に消えた。

もう、おんなじ話100話くらい書きつくされてるかもしれませんが・・・
名づけてSSSS(スーパースペシャルショートストーリー)ってくらい短いですが・・・
大好きな二人組と某村人さんに捧げます。

キャラの台詞考えるのって楽しいですよね。
狐黄泉
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