○月△日 くもり
幻想郷に来て一週間立つ。ここは人間の住める環境じゃない。
まず水道が無い、川から水を汲んでくるのだけでも、現代っ子の私には重労働だ。
うちの神社にも井戸はある。が、数年前に諏訪子様が大量のオタマジャクシを流し込むのを目撃している。絶対に使いたくない。
こんなことになるなら殺してでもとめておくべきだった。蛙って井戸の中で生きていけるんだろうか、まぁそんなことはもうどうでも良い。
桶を風の力で運んでみた。頭の上で桶がひっくり返ってビショ濡れになった。ちょっと泣いた。
突然、笑い声がしたので川のほうを見ると、緑の帽子をかぶった河童が腹を抱えて笑っていた。
モーゼも真っ青の水流を作ってやると、川下のほうまで流されていったようだ。これが本当の河童の川流れか。三途の川で現人神を笑ったことを後悔するが良い。
三往復してやっと二つの水瓶が満タンになった。クタクタになったが休む暇は無い。神奈子様が夕食の催促をしてくる。
神奈子様は家事を一切手伝ってくださらない。毎日、四本の鉄パイプを磨いてはニヤニヤしているだけ。少しは働いてほしい。
○月X日 晴れ
朝起きたら諏訪子様がウシガエルと水浴びをして遊んでいた。水瓶の中で。そのまま蓋をして漬物石を五つほど積んでおいた。
朝食の準備をする。朝からここが「先進国日本」でないことを思い知らされる。
火をおこさなくては、そう、ガスも止まった。当然のことである。神社の地下には不自然に切断されたガス管が埋まっているのだろう。
初めの頃は火をおこすのに一時間もかかってしまった。ついたかな、と油断するとすぐ消える。火種から薪に火がなかなか移らない。
最近では、二十分ほどで火をおこせるようになったのだが、今日は珍しく神奈子様が任せろ、とおっしゃったので任せてみた。
後悔したのは神奈子様が絶叫と共に例の鉄パイプを背中に装着したのを見たときだ。この間十秒ほどである。
大切なフライパンと共に台所の半分が消し飛ばされていた。その直後、頭の深いところでプツーンという何かが切れる音が聞こえた気がする。
その後の記憶が残っていないので今日はこのくらいしか書くことは無い。何故かおびえた目でこちらを見る神奈子様が少し可愛かったくらいだ。
そういえば神奈子様の大事にしていた鉄パイプが全て捻じ切られていた。何があったんだろう。それに何か忘れてる気がする。
○月□日 くもりのち晴れ
今日は人里に行ってきた。「外」で買い込んできた食糧が尽きてしまったからだ。
保存食の買出しを神奈子様に任せた私も悪いのだが、神奈子様の買ってきた「冷凍食品」の山は、三日でダメになった。
電気の通っていない冷蔵庫など、ただの箱である。
永いこと生きてる(?)と神様でもボケるんだろうか、いや、あれは元からに違いない。天然物、ナチュラルマルキュー。
まるきゅー?自然と頭に浮かんだ単語だが、覚えが無い、一体どこで聞いたのだろう。深くは考えないでおく。
珍しく神奈子様が掃除、洗濯を引き受けると言ってくれたので、朝から出発することができた。声が震えていたが体調でも悪いのだろうか。
目立たぬように人里から少し離れた場所に降りた。今日の私はジーンズにTシャツ、どこからどう見ても普通の女の子である。
まさか信仰を集め、幻想郷を支h…救おうとしている巫女とは思うまい。数分も歩いていると商店街が見えてきた。
幻想郷に来たばかりの私達は、こちらの通貨を持ち合わせてはいないので、物々交換を申し込んだ。
以外なところで神奈子様が役に立ってくれた。神奈子コレクションのトタン、鉄板、鉄パイプの数々はこちらでは貴重品のようで、快く食料品との交換に応じてくれた。
もちろん無許可だが、神奈子様がどこからか拾ってきては蔵に放り込んで行くので邪魔でしょうがない。
訳のわからない合体メカにされるくらいなら、彼らも役に立てるほうが幸せだろう。
予想以上の収穫を持って神社に帰り、さっそく夕食の支度にかかった。蔵のほうで神奈子様が奇声をあげていたが何かあったのか、黒い彗星でないことを祈る。
味噌汁を作ろうと水瓶の蓋を開けたら幼女と蛙が浮かびあがってきた。
うちの神様は一人だけだったはずだ。そう自分に言い聞かせながら、静かに蓋を元に戻した。
明日からは本格的に信仰を集める仕事を始めなくては、まずは麓の神社との交渉からはじめてみようか…。
幻想郷に来て一週間立つ。ここは人間の住める環境じゃない。
まず水道が無い、川から水を汲んでくるのだけでも、現代っ子の私には重労働だ。
うちの神社にも井戸はある。が、数年前に諏訪子様が大量のオタマジャクシを流し込むのを目撃している。絶対に使いたくない。
こんなことになるなら殺してでもとめておくべきだった。蛙って井戸の中で生きていけるんだろうか、まぁそんなことはもうどうでも良い。
桶を風の力で運んでみた。頭の上で桶がひっくり返ってビショ濡れになった。ちょっと泣いた。
突然、笑い声がしたので川のほうを見ると、緑の帽子をかぶった河童が腹を抱えて笑っていた。
モーゼも真っ青の水流を作ってやると、川下のほうまで流されていったようだ。これが本当の河童の川流れか。三途の川で現人神を笑ったことを後悔するが良い。
三往復してやっと二つの水瓶が満タンになった。クタクタになったが休む暇は無い。神奈子様が夕食の催促をしてくる。
神奈子様は家事を一切手伝ってくださらない。毎日、四本の鉄パイプを磨いてはニヤニヤしているだけ。少しは働いてほしい。
○月X日 晴れ
朝起きたら諏訪子様がウシガエルと水浴びをして遊んでいた。水瓶の中で。そのまま蓋をして漬物石を五つほど積んでおいた。
朝食の準備をする。朝からここが「先進国日本」でないことを思い知らされる。
火をおこさなくては、そう、ガスも止まった。当然のことである。神社の地下には不自然に切断されたガス管が埋まっているのだろう。
初めの頃は火をおこすのに一時間もかかってしまった。ついたかな、と油断するとすぐ消える。火種から薪に火がなかなか移らない。
最近では、二十分ほどで火をおこせるようになったのだが、今日は珍しく神奈子様が任せろ、とおっしゃったので任せてみた。
後悔したのは神奈子様が絶叫と共に例の鉄パイプを背中に装着したのを見たときだ。この間十秒ほどである。
大切なフライパンと共に台所の半分が消し飛ばされていた。その直後、頭の深いところでプツーンという何かが切れる音が聞こえた気がする。
その後の記憶が残っていないので今日はこのくらいしか書くことは無い。何故かおびえた目でこちらを見る神奈子様が少し可愛かったくらいだ。
そういえば神奈子様の大事にしていた鉄パイプが全て捻じ切られていた。何があったんだろう。それに何か忘れてる気がする。
○月□日 くもりのち晴れ
今日は人里に行ってきた。「外」で買い込んできた食糧が尽きてしまったからだ。
保存食の買出しを神奈子様に任せた私も悪いのだが、神奈子様の買ってきた「冷凍食品」の山は、三日でダメになった。
電気の通っていない冷蔵庫など、ただの箱である。
永いこと生きてる(?)と神様でもボケるんだろうか、いや、あれは元からに違いない。天然物、ナチュラルマルキュー。
まるきゅー?自然と頭に浮かんだ単語だが、覚えが無い、一体どこで聞いたのだろう。深くは考えないでおく。
珍しく神奈子様が掃除、洗濯を引き受けると言ってくれたので、朝から出発することができた。声が震えていたが体調でも悪いのだろうか。
目立たぬように人里から少し離れた場所に降りた。今日の私はジーンズにTシャツ、どこからどう見ても普通の女の子である。
まさか信仰を集め、幻想郷を支h…救おうとしている巫女とは思うまい。数分も歩いていると商店街が見えてきた。
幻想郷に来たばかりの私達は、こちらの通貨を持ち合わせてはいないので、物々交換を申し込んだ。
以外なところで神奈子様が役に立ってくれた。神奈子コレクションのトタン、鉄板、鉄パイプの数々はこちらでは貴重品のようで、快く食料品との交換に応じてくれた。
もちろん無許可だが、神奈子様がどこからか拾ってきては蔵に放り込んで行くので邪魔でしょうがない。
訳のわからない合体メカにされるくらいなら、彼らも役に立てるほうが幸せだろう。
予想以上の収穫を持って神社に帰り、さっそく夕食の支度にかかった。蔵のほうで神奈子様が奇声をあげていたが何かあったのか、黒い彗星でないことを祈る。
味噌汁を作ろうと水瓶の蓋を開けたら幼女と蛙が浮かびあがってきた。
うちの神様は一人だけだったはずだ。そう自分に言い聞かせながら、静かに蓋を元に戻した。
明日からは本格的に信仰を集める仕事を始めなくては、まずは麓の神社との交渉からはじめてみようか…。
初っ端から吹きましたorz
それも多分普通じゃない。多分。