Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

とりにく→いぬにく

2007/09/30 05:21:56
最終更新
サイズ
7.82KB
ページ数
1



最近、文様の様子がおかしい。



この間山に人間が侵入したとき、文様が出ることになったがそのときはいつもと変わらない様子だった。
むしろご自身が発行している新聞のネタが出来たと喜ばれていたのに、2週間前に思い詰めた顔でご帰宅してから外出していない。
日ごろはほとんどあちこちを飛び回っていて、新聞の発行前にはご在宅のときが多いが、2週間も家にいるなんておかしい。
新聞も普段はご自身が持ってきてくれるのだが、ここのところは烏が配達に来ていた。


文様はローカルニュースを話題にしている新聞記者だが、我々の部隊の中では人気が高い。
もともとこの『妖怪の山』に侵入してくるような輩はあまりおらず、我々は暇をしていることが多い。
文様は様々な話題をくれるし、たまに山の外の物をさしいれてくれる。
別に餌付けされているつもりはないのだが、この間文様が来たときに尻尾が振れていると共に大将棋をさしていた河童に指摘されてしまった。
文様が山に帰ってきたときにご自宅までお荷物を持ってお送りしたり、出るときに山の麓まで行って見送りをしたりするが、
お仕事で疲れているだろうからお手伝いするのであって、別に他意はなかった。
確かに文様が帰ってきた来るときは千里先でも見えるし、すぐに山の麓までお迎えに行くが、別にご主人様とかそういう気持ちは・・・・


ともかく、心配でこうして文様のご自宅の前まで来ているわけだが、玄関をノックする勇気もなく少し遠巻きに眺めることにした。2日前の話である。
一度同僚が来て私のことを「すとーかー」とかどうのこうの、なにやら私の心配をしてくれているようだった。良い同僚である。




4日目、とうとうその玄関が開いた。


久しぶりに見る文様は少しやつれており、声をかけようとしたがすぐに飛び立たれてしまった。
文様は非常に素早く、あっという間に米粒ほどの大きさになってしまい、慌てて追跡した。
足の速さでは到底追いつけないが、自分にはこの自慢の視覚と嗅覚があるのでなんとか追跡できる。

とはいえ目に追うのも不可能な速さで飛ぶ文様を追いかけるのには非常に骨が折れた。
こうしてみると普段はよほど抑えて飛んでいるのだなと思う。



幻想郷中を長い時間飛び回り、とうとう文様が停止したのは日が暮れてからだった。



急いで追いかけていき、文様の姿を発見したとき、文様は急に木の上から下方へと飛び出した。
一瞬目で追えず、慌ててその軌跡を追うと、文様が羽の生えた何かを抱きかかえ山の方向へ飛び立つところだった。
途中鈍い音と共に「そーなのかー」と暗い物体が剥がれ落ちたが、構わず自分は再び文様を追いかけた。








この前山に侵入してきた人間の住んでいる神社のあたりに文様は降り立った
自分も急いで向かうと、そこでは文様が羽の生えた、鳥類と思われる妖怪を抱きかかえていた。
あれは確か文様がよく行かれるという、八目鰻の屋台を経営している夜雀の妖怪だったか。

そうか、文様は烏天狗。
種族こそ違えど、同じ翼のある者として夜雀が捕食されそうになったのを助けたのだろう。
流石は文様、慈悲深い。
・・・おや?今まで思い詰めた表情だった文様が、胸のつかえの取れたようになっている。

文様は我々に見せないような、それは素敵な表情で夜雀の肩に手を置くと、その距離を自身の方へと近づけた。。

ま、まさかこれは・・・!


私は目を見開き、固唾を呑んで2人を観察した。
しかし、文様が夜雀に向かって何かを囁くと、夜雀の顔が一気に真っ青になり、次の瞬間「ちいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいん!!!」


不意を付く大音量に私は思わず耳を抑え蹲る。
なんという大声量、夜雀は歌手としての顔も持っているらしいが、これほど大きな声を出せるとは。
距離のある私でここまでの衝撃なのだから、ほぼ密着していた文様は大丈夫なのだろうか。

私はグラグラ揺れる思考を取り直し、頭を挙げた。


「うるさい!!」


刹那、閃光。


途中「夢想封印」という単語が聞こえた気がする。


その閃光は宵闇に目が慣れてきていた私は目がくらみ、いったい何が起こっていたのかさっぱりわからなかった。
しばらくして聴覚、視覚が正常になってきたとき、そこにはボロ雑巾のような文様だけが残っていた。




私は文様を背負って急いで山まで戻り、手当てをした。
文様は驚くほど軽かった。





文様が目を覚ましたのはそれから丸一日過ぎた頃。
粥を作って持っていくと凄い勢いで食べていた。


「空腹の絶頂だったとはいえ、ミスティアさんには悪いことをしてしまいました。こんど謝りにいかないと」


文様はなにやら難しい顔をしていたので、側で待機していると頭を撫でてもらえた。
「ミスティアさん」というのはあの夜雀のことだろうか。
そういえばあの夜雀、文様に危害を加えたとみて間違いないだろう。

ならば報復だ。

文様に危害を加えた輩はこの私が許さない。


犬走椛は愛用の剣と盾を携え、飛び出していった。







ミスティア・ローレライは悩んでいた。


普段から様々な外敵から狙われている彼女が気を許していた数少ない相手、烏天狗の新聞記者に食われかけたのだ。
同じ鳥類だと思って安心していた。羽を千切られるかと思った。片翼だけの怪我だったのが両翼の怪我になってしまった。
烏は雀も食うのだ。しかもあの新聞記者は非常に足が速いため、夜以外で襲われると逃げきるのは難しい。
前回は夜でたまたま神社の近くだったため、叫んだら巫女が「うるさい!」と出てきてくれたので隙をついて逃げた。
しかし明日からはその保証もないし、昼に襲われたらどうしようもない。
力ずくで行こうにも天狗と夜雀、烏と雀では結果が見えている。


悩んで悩んで、歌って屋台をして、また歌って眠ったらすっかり悩みも忘れた。
ミスティアは今日も元気だ。




新月の晩。

ミスティアは再び屋台に出ていた。
こういう夜は暗いし、あまり妖怪も活発ではないのでお客も少ない。
現在屋台に来ているのも一人しかいなかった。
というより、現在来ている客のせいも半分くらいあるだろう。


現在屋台にいるのはかの博麗神社のおめでたい巫女、博麗霊夢だ。
たまにこの屋台にやってくることがあるのだが、彼女がいると並以下の妖怪は脅えて近づいてこない。
しょっちゅう無差別な妖怪退治をしているので当然だが、ミスティア自身も何度か痛い目を見ている。
屋台に来るときは問題ないのだが、別のときに会うと問答無用で退治されることもあるので注意が必要だ。


巫女は串を片手に黙々とミスティアの歌に耳を傾けている。
巫女は敵にすると怖いが、なんだかんだいってミスティアも巫女のことは嫌いではなかった。




ミスティアは心地良くまた1曲を歌い終えた。
次の曲の前に注文はないかと巫女に目をやると、ミスティアの耳のすぐ横を串が通り過ぎていった。
何をするのと抗議しようとして、その前に後方から「きゃいん」悲鳴が聞こえた。


「人が快く飲んでいるのに何のマネかしら?」


ミスティアが振り返ると、そこには剣と盾を携えた紅白が顔を抑えて地面に這いつくばっていた。
状況がわからずミスティアはとりあえずその紅白の額から生える串を引き抜いてやろうとすると、紅白は跳ねるように立ち上がり剣を振りかぶってきた。


「文様の仇!」


風を纏った刃がミスティアに届くより早く、その剣が弾けた。


「人が食べてるときに粗相をするんじゃないわよ」


いつの間にか巫女がお札を持って構えていた。


「お座り」


そういって巫女はその紅白にお札を貼り付けると、その紅白は剣を取り落とし、その場に人形のようにへたりこんだ。
その後巫女は何事もなかったかのように席に着き、串の追加を注文したためミスティアも紅白の額から串だけ抜くと長椅子に乗せ、屋台にもどった。


「はい、串の追加お待ちどうさま」


先ほどの紅白のことはミスティアの頭にはもうない。

ミスティアは再び歌いだした。












「おや、霊夢さんがいらっしゃるとは珍しい。ご一緒してもいいですか?」


そういって深夜にしては爽やかな風と共に一人の烏天狗が屋台の前に降り立った。


「ここは私の店じゃないんだから好きにしなさい」
「それじゃあ遠慮なく」


そういうと射命丸は霊夢の隣の席に着いた。


「今日はミスティアさんに謝りに来たんです」


突然切り出され、ミスティアは首をかしげた。
謝られるようなことをされただろうか。
ミスティアは記憶を振り絞ってみたが、射命丸文に関して出てきたのは新聞記者であることと屋台の常連であることぐらいであった。


「あの晩はまるまる2週間ほど何も食べていなくて・・・・って椛!?」


そのときようやく射命丸は屋台の端にある長椅子で横になっている椛に気がついた。
その額には依然お札が張りっぱなしで、椛はどこか虚ろな目をして虚空を見上げている。


「霊夢さん、これはどういうことです?」
「そいつが刀振り回して屋台に来たから、黙ってもらったのよ。殺しちゃいないわ」
「椛が・・・?真面目で良い子なのですが・・・」


射命丸は椛の額からお札を剥がしたが、椛は目を覚まさない。
しかたなく射命丸は椛を背負い、「また来ます」と言って飛び立った。








頭が痛い・・・でも今抱きついている温もりがとても快い。
椛はぼんやりした頭で目の前の温もり顔を擦り付けた。


「文様・・・」


背中で呟く椛をくすぐったく思いながら、射命丸は山へと帰っていった。








早「神社に来て暴れるとは何事なの!」
魔「あんた、誰?まさか・・・」
早「私は・・・」
魔「大妖精か!」
早「へ?」
魔「最近湖でも見ないと思ったらこんなところにいたのか」
早「い、いや私は・・・」
魔「大方この山の上にいる神様とやらに連れてこられて働かされてたりするんだろ?お前あのチルノを見れるくらい面倒見がいいからな」
早「確かに山の上の神様には仕えてるけど・・・」
魔「そんな霊夢みたいな格好させられちまって・・・よし、私が話をつけてきてやろう」
早「え、まさか八坂様に会われるつもり!?」
魔「悪いことをする神様は懲らしめないとな」


ガ「ほう、人間が神に喧嘩を売ろうとはいい度胸じゃないか。この御柱でエクスパンデッドしてやるわ!」
魔「アッー!」


魔「ううっ・・・すまん大妖精。あのガンキャ・・・神様そうとうやり手だぜ」
早「だから私は大妖精じゃなくて・・・」
⑨「大ちゃんときいてとんできたわ!」
早「いや、貴女だれ・・・って諏訪子様!!」
⑨「あたいにこおらせられないカエルなんていないのよ!あたいったらさいきょうね!」
早「大丈夫ですか!?」
ケロ「あーうー・・・」
⑨「大ちゃんこんなとこでなにやってんの?はやくかえろー」
早「いえ、ですから私は・・・」
ガ「エクスパンデッドォォォォォォッ!!」
⑨「アッー!」


ガ「まったく、私の諏訪子になんてことをしてくれるんだい」
大「あらあらチルノちゃん、こんなところで寝ちゃって。さあ帰ろう」
魔「え?大妖精が2人?」
ガ「早苗が2人?」
早「なっ・・・!」
大「ありゃ?はじめましてー、私は紅魔湖に住んでる・・・」
早「・・・姉さん!!」


次週!とうとう明かされる(省略されました。続きを読むにも省略されました。作者は今日も元気です。)


島根
コメント



1.名無し妖怪削除
いい、実にいい
2.名無し妖怪削除
あとがきの続きが気になる
3.名無し妖怪削除
本編もいいけど あとがきオモシロー!
4.名無し妖怪削除
確かに大ちゃんも早苗も緑髪で片側ツインテールだ……!?
5.名無し妖怪削除
あとがきおもしれーよ