Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

一人ぼっちの式の式

2007/09/22 22:17:21
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諸注意:八雲一家が好きな方は視聴を控えてください。

諸注意2:早いですが死にます。 しかも弾幕関係ありません。

諸注意3:意味が分からない所があるかも知れませんが、あったとしたらwikiでも調べれないかも知れません。





















   





      あるはずの無い事が起こった。もっと後の筈の運命だった。



八雲紫の姿が消えた。 

スキマへ入ったまま消えてしまった。

不審に思った式はスキマへ潜り、またその式も帰って来なかった。

その式にはまた式が居た。とても慕われていた。

だが居なくなってしまった

式の式は帰って来ない主とその主に泣いていた。

式の式は一人と泣いていた。 私の家族が消えたと泣いた。

相談しても誰も聞いてはくれなかった。

そのまま数ヶ月が経った。 そこで遂に不審に思う者が出て来る。

その少女は八雲紫の友であり人間だった。

彼女は何も気にせず生きる人間や妖怪の中でも特殊だったからだ。

式の式は頼み込んだ。この少女ならば助けてくれると思ったから。

だけど少女は言いました。

「私には探す力もスキマに潜る力も無い。貴方達にしか出来ない」

そういわれても式の式は頼もうとしました。だけどそれは叶いませんでした。

静かになった少女の目には諦めと憤怒、そして悲しみが映し出されていました。

式の式は何も言えませんでした。辛い思いを封じ込めました。

この人も辛いのだと思い、これ以上言わない事にしました。

いつの間にか式の式は人前に姿を現さなくなりました。

マヨヒガの底で毎日スキマを眺める毎日を続けています。

そして思いました。小さな望みを考えました。

きっと自分の主とその主は少し道に迷っているだけなのだと思いました。

「ならば私が道しるべに」

そして式の式も潜りました。深い暗いスキマに潜りました。

一人では心細かったですが、主を思い浮かべるとそれもなくなりました。

式の式は主が大好きでした、だからずっと潜っていました。

きっと主も会いたいと。そう思っていると考えました。

式の式は潜ります。色々な物が沈んでいるスキマ、それは小さな式の式にはとても辛い旅でした。

只見るだけの世界、黙っていると無音です。泳ぐ様に進むスキマでは足音はありません。

時折眼に映る大きな物があればそれを必死に調べ、痕跡を探します。幾度でも何度でも。

やがて式の式は泣き出してしまいました。コレまで止めていた涙が溢れて止まりません。

主よ、貴方は一体何処へ? それは誰にも解りませんでした。スキマは無限とも言える空間です。

無限の空間でたった一人の主を探す事、それは砂漠に沈む一円玉を探し出す事よりも困難でした。

途方も無い時間が過ぎた気もします、式の式は眠っています。

まだ小さな子供の式の式です。眠りながら主の名を呟き続けています。 とても哀しいのでしょう。

恐らく次の日、式の式はまた探し始めました。泳ぐようにスキマの中を泳ぎます。

幾日も、幾日も、たとえ異世界からの漂流物が道を塞いでいても砕いて進みます。

その内に式の式は最初の頃とは見間違うほどに逞しくなりました。

でも、主とその主の手掛かりは何一つありません。 段々諦めが出てきます。

そして、探し続けて数十年懸かったかも知れません。

しかし、遂に奇跡が訪れたのです。


いつもの様にガラクタの山を砕き進む途中、ガラクタの一部から音が聞こえました。

聞こえるはずの無いスキマの音です。 他にも漂流者が居ると言う事なのだろうと思いました。

昔はよくあった事です。 主の主、紫様は漂流者を拾っては元の世界へ帰していました。

しかし式の式は惑いました。 今の自分にはスキマを操る力はありません。

もしも助けを求められたらどうすればいいと言うのでしょう。

恐れながら近付いて行きます。

「誰ですか?」

そう聞くと、その影はピクリと動きました。そしてスッと立ち上がると……

式の式に段々近付いてきました。 真っ黒な影でした。

得体の知れない存在に式の式は恐怖しました。 一体これは誰? そう恐れました。

ですが、その後ろの尾には見覚えがあります。 ひょっとしたら、この人は……

「藍…… 様?」 恐れながらの問いに、か細く弱い声が返ってきます。

「……ちぇ……ん…?」 名前を呼んでくれました。 あぁ、この人が私の主だ。

式の式、橙の心は嬉しさで一杯になりました。 しかし紫様が居ません。

橙は聞きました。 「紫様は何処ですか?」 すると、藍様は答えてくれました。

その答えはとても残酷でした、残酷すぎて橙には辛過ぎたようです。

「紫様は、私に命を授けて死んでしまわれた。漂流物の雪崩に巻き込まれたんだ」

どう言う事なのでしょう。 巻き込まれて命を授けるなど出来る筈がありません

「紫様は私を庇ったから死んでしまった、私が居たから死んでしまった。」

でもそれでは辻褄が合いません。 紫様は藍様よりも早くスキマに潜ったのです。

しかし今の言葉はどうでしょう? 藍様を庇って紫様が死んでしまったといいました。

「藍様、嘘ついてないよね?」 良く解らない橙は聞きました。

「嘘なんて吐く筈ないだろ、お前の主だぞ?」

そう言って差し伸べられた手に触れました。

だけどそこに暖かさを感じれません。 むしろ冷たいです。

「私はお前の主だ、だから……


   そ の 血 肉 を く れ、橙」




橙は一瞬何の事だか解りませんでした。 主がありえない事を言っているのです。

【血肉をくれ】、つまりエサになれと言っています。

その言葉を聞き、放心状態の橙の腕を藍は強く掴みました。

「痛いです藍様! 止めて下さい!」 ハッと現実に帰り、必死に抵抗します。

だけども主である藍の昔の姿を思い出すと力が抜けてしまいます。 コレはどう言う事でしょう。

抵抗するほど心が重くなってしまいます。 でも藍は容赦してくれません。

掴まれた腕が変な音を出しました。 その後、腕はあらぬ方向へと曲がってしまいました。

「うあぁ…… 止めて… 痛いよ藍様…」

泣きながら懇願する橙ですが、目の前の主に声は届いていない様です。

「私は生きなきゃいけないんだ、紫様のために」

この言葉で全ての鍵が揃った。 橙は先程からの引っ掛かりが外れると同時に怒りに襲われました。

自分が大好きな藍様、大好きな紫様、大好きなマヨヒガの日常、その全てが嘘の様に思えます。

今、目の前の藍は紫様を殺してしまったのです。 そして自分も殺されようとしているのです。

コレが野性の本能なのかは解りません。

「紫様を殺したのは藍様ですか……?」 荒げた声で橙は聞きました。 嘘であると信じたいからです。

でも、現実はとても辛かったのです。

「紫様は生きてるよ橙、私の中で」 つまり、今は体の一部。 と言っているのでしょう。

「藍様、本気ですか……?」

「私はいつでも本気だよ橙」

ニタァと笑う藍に、橙は頭がどうにかなってしまいそうでした。

目の前にいる過去の主、そして主の主を殺した存在、今、自分を殺そうとしている敵

ひしめく感情、殺したい、殺せない。 頭が割れてしまいそうなほど苦しくなって来た。

そんな間にも藍は襲い掛かってきました。 気付くのが遅かった橙は肩を引き裂かれてしまう。

「ふぐぅぅ…… やだ… やだぁ……」

橙は涙を流します。愛する主はもう居ない。目の前のその面影を持つ者に戻って欲しいと願います。

「ずっと一緒だ、橙」 その後、引き裂かれる音が響いてから……  静寂が訪れました。

何度も何度も響いた引き裂き、乱れ散る音がスキマの無音を支配していました。

やがてそれも消え、スキマの静寂がまた直ってしまいました。

弾幕等ではない純粋な妖怪同士の殺し合いの終末と言えるでしょう。

「…………ん…」

暴れ狂っていた九尾の狐は真っ赤に染まりました。

「ハッ……ハフッ… クァ…」 橙の呼吸は尋常ではなく乱れています。

当然でしょう。愛すべき主が今、自分の攻撃で倒れ、伏しているのです。

それに最後の言葉が追い討ちをかけます。 橙の苦しみはとてつもなく深いです。

一番重かったのは最後の藍の一言

「すまないな、橙、元気で暮らせ」

ひょっとしたら藍は野性に戻ったわけではないのかもしれない。

ひょっとしたら主を喰った罪として自らを殺させたのかも知れない。

だとしたら何と自分勝手な償いなのだろうか、愛しき式の手を煩わせる。

それが償いだとしたらあまりに馬鹿げている。

橙が藍を殺して罪を感じないと思うのだろうか?
橙が藍を憎んで殺してくれると思っていたのか?
橙が藍を愛している事を感じてないと言うのか?

ならばなんと悲しい運命でしょう、愛が殺し、悲しみが生を作った日。

神々の愛は何処へ消えたのか、悲しい運命の糸は今完成されてしまった。

橙は泣き続けた。 亡骸の前で、昔の楽しい時を思い出しながら。

そして橙も朽果てるのだ、外に出る事等許されない。 主である紫を失った意志を持たぬ式、【スキマ】

その力は消えうせ、スキマの中の全てが消え始めた。

それと同時に、境界を操る能力を失った幻想郷は博麗大結界をも失った。

外の世界との境界は弱まり、幻想郷の存在は世間に認知され始めてしまう。

外の世界への干渉が始まり、人々と妖怪達の戦がまた始まる。

幻想郷の民は思った、八雲一家の事を……

八雲一家、それは幻想郷を支える重要な役目を持つシアワセだった家族
八雲一家、それは悲しい運命を迎えた悲劇の家族
八雲一家、幻想郷の民が忘れてはならない平和の象徴

数年後、敵の圧倒的科学力と、薄れてしまった魔力の瘴気や魔法の能力によって幻想郷は敗北、彼女達は即射殺。

その中で最後まで生き残った巫女、博麗霊夢と魔法使い、霧雨魔理沙は語る。

「「私達が死んでも幻想がある限り幻想郷はまた現れる。」」

最後にそう語った二人は事件の首謀者として捕らえられ、ありもしない嘘の証言をさせられた後に処刑された。


コレが幻想郷、コレが人間の果て、自らの幻想を恐れ、やがて自らで壊す人間の起こした全て。

やがて時が経ち、この大事件も過去の伝説と化した頃……  きっと新しい幻想郷は生まれるのでしょう。

色々な書き方に挑戦してみたかった。 後悔はしているかもしれない。

八雲一家が可哀想だと思う方、申し訳ありません。

何故か橙と藍もスキマに潜れる事になっています。  完結的な理由として、紫不在の時に貧乏巫女の強襲(主に金銭・食料強奪目的)等が行われた際に逃亡経路として確保されていました。

つーか家族じゃねぇよ!! と言う気持ちは判りますが、シアワセな彼女等はきっと家族同然だったんです。

ちなみに博麗大結界は藍の死と共に急速に弱まりました。 紫様を食った藍には必然的に結界を操る程度の能力が移行されました。

その結果として藍が死んだ時、結界を操る程度の力も失われてしまうのです。 

「共に生きている」と言う台詞はあながち間違いでもなかったようでした。


 敵について  それは幻想郷を知らない人々です。

 幻想郷で圧倒的な科学力と言えばにとり位しか居ませんから。 それだって人間の物に劣っているかどうかの確証もありませんし。

 突然現れて空を飛ばれたりしてみて下さい。 人はそれを仲間と認めますか? 同じ人間だと認めますか? 答えは否ですよね。

 幻想郷にとっては外の人間は敵、外の世界にとって幻想郷はありえないイレギュラーな存在、国家が揉み消しにかかるのは当然の結末です。

 皆様のアドバイス、注意などは参考にさせて頂き、より楽しんで頂ける作品を作りたいと思います。
乱咲夜桜
コメント



1.名無し妖怪削除
全体的に意味不明。
敵って何さ?
2.脇役削除
ありえる話の一つかもしれませんよね、ただ悲しい・・・
3.名無し妖怪削除
残念ながらこの文章だけではあなたが描いた物語がぼやけています。
それからあとがきの補足説明に関しては見解が極端過ぎて説得力が感じられません。
ただ賢しらに振舞ってるだけとしか^^;