「…で、貴方は少しは優しくなりましたか?」
「今にも寝そうな人の本にしおりを挟んであげました」
当事者の話 ※
―しおりを見た時点ですぐに咲○の仕業だと分かったわ。
わざわざ「犯人はヤス」って書いてあるんだもの。
時を止めて最後まで読んだのでしょうね。
しかも犯人が間違っていたのよ。
新手の嫌がらせかしら…
「…もっと全体的に優しくなるようにしましょう」
「何ですか?今の間は」
「…どうですか、私の教えを守っていますか?」
「だから、嘘なんて吐いてないってば」
被害者の話 ※
―最近の魔○沙正面玄関から入って正々堂々とウチの本を盗んでいくのよ。
本人は「借りてるだけだ、わたしが死ぬまでな!」って言うの。
だから当てつけに「死ぬまで借りとけ」って家に入りきらない程の本を送ってやったのよ。
そしたら半泣きになりながら「前言は撤回するぜ」って言ってきたわ。
まぁモノは言い様と言うし、正直になったのは結構だけど、もうすこし素直になって欲しいものね。
「じゃ、これから行くとこあるんでね」
「本の重さであきらかに蛇行してるじゃないですか」
「様々な所へ出かけ、世間を知ること、これが今の貴方が積める善行よ」
「こないだ人里でべんきょーをしてみたよ!」
提供者の話 ※
―人里の慧○って言う半獣にウチの本を教科書として貸してるのよ。
それで先月位だったかな?本を返しに来たんだけど「すまない、少し汚してしまった」って言われたの。
貸してるのは写本だし、別に気にしてなかったんだけど何気なく中を確認してみたのよ。
そしたら人物画がものの見事に落書きされててね。思わず笑ってしまったわ。
子供の発想力って柔軟でうらやましいわね。
どうも湖の近所に住んでるチ⑨ノってのも授業を受けてたみたいで、ものすごく一所懸命に落書きをしてたみたい。
「あたいのてんさいめも、はげにはずれなし」ってコメントがあったわ。
さっきも言ったけど写本だからね、別にいいのよ。
ただ、借りてる本なんだからその辺は大事にして欲しいわね。
その発想力自体は面白かったから完全に止めてしまうのも寂しいけど。
「ちゃんと勉強しようね」
「したよ?」
「私の言ったことを忘れたの?」
図書館の話 ※
―最近のことなんだけど、酷い発作が起こって倒れた時には何故か唄が聞こえてくるの。
それを聞いてるとだんだん目の前が暗くなってきてね。
もうこのまま駄目なのかな~って思うときがチラホラ…
まあしばらくしたら治まるしその後は何てことはないのだけど、レクイエムを歌われてるみたいでちょっとね。
日も差さない環境だから無駄に合うし。
でもなんで最近になってそんなの歌うようになったのかしら?
「…」
日記帳より ※
―閻魔が謝りにきた。
何で?
※注
プライバシー保護の為、音声を変更と一部伏せが入っております。
ご了承下さい。