Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ふぁいる

2007/09/19 03:10:12
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あらすじ

 サラマンダーよりはやーい!












 ――それは風も涼やかな、ある夏も終わりに近づいた日のことでした。





   コンコン   コンコン



 
「ごめんください」


 そんな声と共に、魔理沙の家のドアがノックされました。
 ここは鬱蒼と木々が茂る魔法の森。幻想郷の人妖も、あまりここには近づきません。
 湿度が高くじめじめとしていて、幻覚茸や化け茸がたくさん生えているからです。

 けれど、それとは別の理由もあります。
 ここは鬱蒼と木々が茂る魔法の森。そう、魔法、の森なのです。
 奇妙奇天烈摩訶不思議、まるで魔法のような出来事が起こる森でもあるのです。
 のんびりとした気性の妖怪や人間は、そんな魔法のような出来事を好みません。
 なにせとっても刺激的ですから、たびたびそんな出来事に見舞われては身が保たないのです。

 魔理沙は、そんな魔法の森に住む至って普通の。
 刺激的な出来事が好きな可愛い魔法使いの女の子でした。


「ごめんください。お留守ですか?」


 さて、場所が場所ですので、魔理沙のところに訪ねてくる人はめったにいません。
 同じ魔法の森に住んでいる七色の魔法使い、可愛い人形遣いのアリスくらいのものです。
 最近ではたまに、幻想郷にやってきたフィンランドのたのしい妖精一家。
 ムーミンたちも訪ねてきたりするのですが、ノックと共に聞こえた声は深い男性の声です。


 あ、ムーミンたちのおはなしに関しては、作品集13の「たに」。
 そして作品集14の「たに たに」を読めばわかりますよ。


 聞こえたアリスの声ではありませんし、ムーミンパパの渋い声でもありません。
 知り合いの古道具屋、霖之助のやや高いハスキーな声でもありません。


「一体誰なんだ?」


 聞き覚えのない声に首を捻りながら、魔理沙はドアを開けました。
 ドアの向こうに立っていたのはスーツの身に纏い、手馴れた動作で手帳のライセンスを見せる



「やぁ、どうもはじめまして」




「――あんたら誰だ?」





「FBI捜査官のモルダー捜査官とスカリー捜査官です。少しお話を聞かせてもらってもいいでしょうか?」





 モルダーとスカリーでした。





「……………は?」




 
「昨夜未明この付近の上空で光る飛行物体の目撃証言が確認されています。少しお話を」




 魔法の森は不思議の森。魔法の森は奇妙な森。
 ごくごく稀に変わったお客さんの訪ねてくる、出会いの森。
 これはそんな森に住む普通の魔法使いと、アメリカ連邦捜査局の局員のお話です。



「FBI?」
「ええ。アメリカ連邦捜査局の者です」
「アメリカ?」
「ええ」
「なんで日本語なんだ?」
「吹き替え版(テレビ朝日)だからです」



 モルダーの声は風間杜夫でした。






  -魔理沙とXファイル-






「ん、出がらしだけど」
「おかまいなく」


 玄関で立ち話もないものですから、ひとまず、魔理沙はモルダーとスカリーを家にあげました。
 いつもたいへんに散らかっている魔理沙の家ですが先日、アリスが来る用事があり、掃除をしたばかり。
 辛うじて、今もお客さんを出迎えられるだけのスペースがリビングには確保されています。
 テーブルについた二人に出がらしの紅茶きのこを振る舞いながら、魔理沙はしげしげと二人を観察してみました。


(世界観の違う顔だなあ……)


 なにせ実写ですから。


「あの、私たちの顔に何か?」
「ん? あ、いや、なんでもないぜ」
「そう? ならいいんだけど……」


 モルダーとスカリーの顔は幻想郷では見かけることの少ない、彫りが深い顔です。
 ついつい見入ってしまいますが、乙女が人の顔をじろじろ見るのはよくありません。
 魔理沙はスカリーやモルダーを観察するのをやめて、スカリーの声に驚くことにしました。


「戸田恵子さんだ!」
「え?ええ」
「戸田恵子さんだ! 戸田恵子さんだ!」


 興奮のあまりに、2回叫びました。

 きらきらと瞳を輝かせて、全身で喜びを表現する魔理沙。
 その無邪気な可愛さは、たとえどんな人妖でも頬が緩んでしまうでしょう。
 もちろん、スカリーとモルダーも思わず頬が緩みます。
 ですが、声を聞いて突然叫ばれたスカリーはやや戸惑い気味です。
 スカリーは小首を傾げながら、魔理沙に尋ねました。


「あー………その、この声、好きなの?」
「大好きだぜ!」
「それは、その、ありがとう」
「どういたしまして!」


 裏表のないストレートな感情に、スカリーはくすぐったいような、こそばゆいような気持ちになりました。


「なーなー、スカリー」
「なにかしら?」
「『やあ。僕アンパンマン!』って言ってもらっていいか?」
「ええ、いいわよ。『やあ。僕アンパンマン!』」


 そのセリフを聞いた魔理沙の喜びようと言ったらありませんでした。
 紅茶きのこを載せていたトレイを抱きしめて大はしゃぎ。
 きゃっきゃきゃっきゃと部屋の中を軽く跳ね回ります。ハーヒフーヘホー。


「それで、霧雨さん」
「魔理沙でいいぜ、モルダー!」
「では、魔理沙さん。少しお話をよろしいですか?」
「ああ、なんでも聞いてくれ! あ、お茶菓子なかったな」
「いえ、おかまいな」
「あー、でもひまわりの種しかないんだ、ごめんな」


 魔理沙が落ち着いた頃合を見計らい、モルダーが声をかけます。
 しっとりと穏やかな声に魔理沙も興奮を鎮め、席について答えます。


「ひまわりの種?」
「うん。好きなのかひまわりの種?」
「ええ、まあ」
「ならよかった。売るほどあるから好きなだけ食べていいぜ」


 夏も終わりなので風見さんちの幽香さんからお歳暮で届いていたのです。
 どんぶりに盛られたひまわりの種が出てきて、やや面食らうスカリー。
 確かに売るほどあるようです。モルダーは一向に動じません。
 山盛りのひまわりの種をぽりぽりと齧りながら、話し始めます。


(すごい勢いだぜ)
「先ほどもお話した通り、昨夜未明、この付近の上空で光る飛行物体の目撃証言が確認されています」
(よっぽど好きなんだなあ)
「この飛行物体は強い発光を伴いながら、飛行機ではありえない動きで夜空を飛行していたそうです」
(ハムスターみたいだ)
「何かご存知ありませんか?」
「ああ、それ私」


「「え?」」


 モルダーとスカリーの声がユニゾンします。


「私は魔法使いだからな。夜に箒で空を飛ぶんだ」
「ええ、と、ちょっと待ってください、魔理沙さん」
「あ、魔理沙! 魔理沙って呼んでくれ、スカリー!」
「ええ、魔理沙。あの」
「うわあい♪」
「あなた、今なんて?」
「ん? 私は魔法使いだって」
「いや、その次だ。魔理沙さん」
「モルダーも魔理沙でいいぜ?」
「魔理沙、箒で空を飛ぶ?」
「ああ。魔法使いだからな!」


 えっへんと自信満々に胸を張る魔理沙とは裏腹に、モルダーとスカリーは困惑しきっています。
 確かに魔理沙は魔法使いのような格好をしていますが、まさか空を飛ぶなんて!
 アメリカからやってきた二人には、到底信じられません。そう、いつもなら。


「……どう思う、モルダー?」
「………恐らく本当だろう」
「でもそんな、箒で空を飛ぶなんて……」
「君も見ただろスカリー? 空を飛ぶあの白い何かや、フェアリー」
「ええ……紅白の服を着た女の子も飛んでいたわね」
「どうやら、ここの人間は空を飛べるらしい」
「まさか……」
「この世では科学で証明できない謎があるんだ、スカリー」


 なにせ、ここに来るまでに散々不思議なものを見てきたものですから。
 最早、信じるほかにはありません。幻想郷では当たり前のことですが、魔理沙は飛べるのです。

 飛行物体がUFOでなくて、がっくりするモルダー。
 シリアスな雰囲気に、流石の魔理沙も口を挟めません。
 だまってひまわりの種を齧りながら、スカリーとモルダーを見守ります。


「しかし分からない。なぜ僕たちはこんな場所に……」
「モルダー……」
「スカリー、これは政府の陰謀だ。君を巻き込んですまない」
「モルダー……いいえ、気にしないで。あなた、少し疲れてるのよ」
「スカリー………」

 
 目の前で繰り広げられるほのかなラブロマンス。
 純情な魔理沙は顔を真っ赤にしてうつむきながらチラチラと覗くしかありません。
 立ち上がって逃げようにも二人の邪魔になる気がしたのです。
 いい雰囲気を壊せない、乙女のつらいところです。


(紫に頼めばすぐ帰れるんだけどな……)


 魔理沙はいつ言い出そうか、いつ言い出そうかとタイミングを見計らいながら。
 友人以上恋人未満なモルダーとスカリーの間で、しばらく悶々とさせられる魔理沙でしたとさ。



「はい、魔理沙。ごきげんよう」
「よう、アリス」
「相変わらず元気そうね」
「元気が取り柄だからな」



 魔法の森は不思議の森。魔法の森は奇妙な森。
 ごくごく稀に変わったお客さんの訪ねてくる、出会いの森。
 これはそんな森に住む普通の魔法使いと、アメリカ連邦捜査局の局員のお話でした。



「この前モルダーとスカリーが来て大変だったんだ」
「………誰?それ?」


「FBIとアンパンマンだ」

マリサかわいいよマリサ
じょにーず
コメント



1.名無し妖怪削除
ちょwwwwwwwww戸田さんは幻想入りしてないぞwwwwww
腹筋が崩壊してしまったじゃないですか!!どうしてくれるwww
2.名無し妖怪削除
まりさかわいいよまりさ
FBIとかアンパンマンとかどうでもいいほど………なわけないだろうがぁぁぁぁぁwwwwwww
3.固形分削除
ムーミンといい、どんなクロスですかww
まじめな捜査官達がおかしすぎて草を植えざるを得ないwww
4.鬼干瓜削除
このクロスを編み出せる貴方はすごいwwww
5.東京狼削除
サラマンダーよりはやーい!……いやそんな思春期のトラウマをほじくらんでも…

 
6.思想の狼削除
ムーミンが帰ってきたーーーっ!!
と思ったらXファイル…orz でも面白かったので良しw
7.名無し妖怪削除
ついに幻想入りしてしまったか!!!
そして腹が捻じれるほど笑ったwww
お茶を返せwww
8.名無し妖怪削除
なんでやねん!!!
どうやったらこんなクロス思いつくんですかw
9.名無し妖怪削除
>「FBIとアンパンマンだ」
ちょwww魔理沙ヒドスwwww
10.名無し妖怪削除
盛 大 に 吹 い た 
ええそれはもう盛大に。なんというセンス
11.名無し妖怪削除
ちょっくらTSU●AYAでXファイル借りてくるwwww
12.NEOVARS削除
まあ、確かに世界観が違う顔だw
13.名無し妖怪削除
何もかもがちぐはぐすぎるwwwwwwwwwwwwwwwwwww
14.名無し妖怪削除
ごめんなさい。でも言わずにはいられない。

ちょwwwwっをまwwwwwwwwwwwwwww
15.名無し妖怪削除
実写の捜査官と魔理沙が一緒に居るとこ想像して吹いたww
16.名無し妖怪削除
これは素敵な、らぶふぁんとむ。wwwwwwwwwwww
17.名無し妖怪削除
空を飛ぶのは良いとして、光ってたってことはブレイジングスター状態だったのか?w
18.名無し妖怪削除
こんなクロスは予想してなかったwwww
魔法の森は不思議な森って不思議すぎるだろwwww
19.名前が無い程度の能力削除
まさか原作で未確認物体が飛び交うことになるとはw