Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

図書館小話~あきらめないのは何のため?~

2007/09/18 14:07:45
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「土符!レイジィトリリトン!」
 詠唱を終えると、次々と巨石が出現し、視界を埋める。よし、ここまでは順調…

「火符!アグニシャイン上級!!」
 第二撃、炎が真っ直ぐに伸び、巨石を覆う。いける…?

「だっ駄目ですパチュリーさま!持ちません!!」
「くっ!」
 小悪魔の声に巨石を見つめる…駄目だ、炎で崩れかけている…これでは使えない。





「はぁ…また失敗したわね」
 ぶすぶすと煙を上げながら崩れゆく巨石を前に、私はため息をつく。この失敗は何回目だろう?

「…パチュリーさま、大丈夫ですよ!次がありますって!」
 陽気に言う小悪魔だけど、その疲労は濃い。そう、ここ数日、開発中の複合魔法の為、サポートを頼んでいるのだ。
 強大な魔力ゆえ、火力の調整が効かない私の、いわば制御装置といえる。

 土符の石と、火符の炎を織り交ぜた新型の複合魔法。
 それには既にラーヴァクロムレクがあるけど、いわば焼け石を無差別にぶつけるこの魔法は、今度の目的には向かない。
 一気に巨石を積み上げ、相手を閉じこめる。そして、その石を大火力で一気に焼け石となす。それが今回の目標。
 そう、ラーヴァクロムレクが全周攻撃ならば、今度の魔法は一点集中。ある一つの目的の為の、大魔法だ。

 これはバランスが難しい、石が強ければ焼け石にならず、炎が強ければ石が焼け崩れる。しかも、困ったことに土符由来の石は比較的脆いものが多く、目標を達するには少々心許なかった。



「何か…何か手段があるはず。そう…何か…」
 魔法の開発に必要なのは、資金、設備、魔力、そして諦めない心だ。
 しかし、土符と火符の組み合わせはほとんど試し終わっていた。あとは、あまりに可能性が低く、実験する意味がないものばかり…

 その時、小悪魔が言った。

「パチュリーさま、賢者の石ならもしかすると…」
「あ…」

 盲点だった。そう、どの符にも由来せず、全ての符に由来する賢者の石。あれなら、ロイヤルフレア級の攻撃にすら…

「やりますか?」
「やりましょう」
 小悪魔の声に即座に応じ、呪文の詠唱にかかる。



 賢者の石とロイヤルフレアの連続詠唱、最強クラスの魔法を連続させるという無茶な行動。でも、体調は最良、今の私達ならいけそうな気がする、それに、それだけの価値はある!



「火水木金土符!賢者の石!!」

「日符!ロイヤルフレア!!」

 連続詠唱に息が上がる、気が遠くなる。いくら体調がいいとはいっても、私の魔力には限界がある。

 でも…

「パチュリーさまっ!成功ですっ!!」
 真っ赤な賢者の石が眼前にあった。
 小悪魔が駆け寄ってくる、支える彼女へと、Vサインを送る。

「いける…かしら」
 よろよろと尋ねる私に、小悪魔は成功を確信した笑顔で言った。

「いけますっ!これならきっと…」




























「おいしい石焼き芋が作れます!」



『おしまい』


 おいしい石焼き芋の為だそうです。誰か彼女たちに正しい作り方を教えてあげて下さい。
 尚、地下の実験室で、やりきった笑顔のまま酸欠で倒れている二人が見つかったのは翌日の事だとか。
浜村ゆのつ
http://www.rak2.jp/town/user/oogama23/
コメント



1.名無し妖怪削除
サウナかと思ったです。
2.名無し妖怪削除
正しいかどうかは別にして、
やりきった!やりきったよ二人とも!!
3.卯月由羽削除
おい待て知識の少女&図書館司書wwww
4.名無し妖怪削除
これはいい落ちww
5.名無し妖怪削除
芋を炭化させる気ですか、貴方方はw
6.ドライブ削除
これはまた、豪快な石焼き芋ですねぇ。で、焼き芋が出来上がる前に、2人とも倒れるんですね。