Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

夜明けまでごゆるりと

2007/09/17 11:10:26
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■まえがき
百合成分を含みます






■1 / 宵闇のお客さま

門番さんにこんばんは

メイドさんにこんばんは

小悪魔さんにこんばんは

本の魔女さんは会わなかった

すたすた進んで

地下へ降りてドアをあければ

おともだちにこんばんはっ

■2 / あなたがわたし、わたしがあなた

服よし。
髪型よし。
それに帽子、と。
これで出来上がり。
「あら、かわいい」
なでりなでり。
「かわいいのかー?」
メイド達くらいなら、これで騙せる。
喋るとバレるかもしれないけど。それは、もうしょーがない。
魔女と使い魔は、あそこを通らなければまず出会わない。
まずいのは、そう、お姉様と咲夜だ。
どっちに見つかっても、お説教だから。……ぶるぶるぶる。
「どうかしたのー」
「ばか、これは武者震い」
「? むしゃぶりつくのかー」
「食べないで」
「あははは、ともだちは、食べないよ」
ふざけあうのが楽しくて、ついつい遊んでしまう。
折角、友達が作ってくれたこの大切な時間がなくなっちゃうわ。
「じゃあ、留守番よろしくね、フランちゃん」
「いってらっしゃーい、ルーミア」
これで、入れ替わりの儀式ごっこは完成だ。
それにしても、服の下、身体に巻き付けた羽が、ちょっと窮屈かな。
次はもう少し大きめな服を着てくるように頼もう。
私はルーミア、フランドール・スカーレッドのお客さん。
お客はいずれ帰る。
つまり、自然に外へ出られるのだ!
ああ、こそこそ隠れて箱までかぶったのに、呼んでないお客さんのための罠に引っかかっ
て、お姉様にバレて串刺しにされたのも、今となってはいい思い出。
逸る気持ちを押さえて、堂々と正面玄関を目指す。
途中で、何人かメイドとすれ違った。
挨拶しておく。
良し、気付かれてない。
もうすぐ玄関ホールだ。



よしよし、着いた。
この扉、重くてかなわない、それはもうこじあける感じだ。
それに手をかけようとしてーー
声をかけられた。

■3 / いってらっしゃいませ、お客さま

「あら、フランドール様ーー」
め、めいりん!?
しまった。
また逢うたな、門番め。
外へ出ようとする私の天敵、最多捕獲者。でも、憎めないんだ。
諦めよう。

ざんねん わたしの ぼうけんは ここでおわって しまった

「ーーの、お友達のルーミアさんですね。間違えてしまいました」
何を言っているんだろうか。
でも、つい口が勝手に。
「そ、そーなのだー」
「日が昇るまで、あと3時間くらいです。
ルーミアさんも闇の妖怪ですから、お帰りはお早めに」
言って、扉を開けてくれた。
礼儀正しく。それこそ、主に対する見送りのそれと変わらない。
なんだか上手くいきすぎだ。でも、こうなれば全速離脱の一択しかない。
「またくるのだー」
門番に手を振って、門をくぐって離陸した。
さて、誰と弾幕ごっこしようかな。
うっかり相手まで壊しちゃうなんてことしない。 
私はルーミア、宵闇の妖怪なのだから。
まあ、壊さないだけで、手は抜かない。
そう言えば、私と入れ替わるようになってから、急にルーミアに対してまわりの態度が変
わったとか、それでリボンがどうとか。
あっ、リボン、つけ忘れてた。今更、取りにいくわけにもいかないけど。
まぁいいや。サァいくか。

■4 / すべては姉の掌のうえで

紅魔館のテラスに影二つ。
勢いよく遠ざかる姿を見守るのは、館の主と、主の妹のようにも見える客人。
「まったくフランも悪知恵が働くようになったわね」
「おねえさんもたいへんだ」
「あれでもっと、しっかりしてくれればねぇ」
「咲夜さんみたいに? そんなのフランちゃんらしくないかも」
「それはーー想像も出来ない」
笑い合う。
そこへ呼ばれたように、件の従者が現れて。
「お嬢様、ルーミアさま、お食事の用意が出来ました」
「わぁーい。ごはん、ごはん、ごはん」
「ルーミア、そんなに急がなくても食事は逃げないわ。まあ、実際、逃げられないけど」
「ここのごはん、美味しいから好きなんだもん。誰にも怒られないしねー」
席を立つ。
「咲夜。フランが帰ってきたら、弾幕の説教で迎えてあげなさい。
ハイになってて一人で辛かったら美鈴も使っていいわ」
「承知しました」
返答を残して従者はティーカップとともに消えていた。
「えー、フランちゃんと一緒に食べたいなー」
「あの子、加減が出来なくてすぐ、壊してしまうのよ。それに」
「なぁに?」
首をかしげる。
「こんな可愛い子が目の前に居て、それを放っておくなんて出来ないわ」
「あはははは、おねえさんは大人だけど、すとれーとだなぁ」

(了)
このルーミア、妖怪じゃなくて幼怪じゃないか?

それと、多分このレミリアは誘い受うわなにをす(サバかれました)
異月
コメント



1.名無し妖怪削除
逃げられない・怒られない・・・も、もしかして、そのごはんって・・・ ・・・
微笑ましい話だと思っていたけど・・・、こわっ!
2.名無し妖怪削除
EXルーミア=フランドールとはまた新しい。
でも元々荒唐無稽な設定ですし、これぐらいがちょうど良いかもですね。