Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

妖夢たん無差別斬撃

2007/09/07 02:08:38
最終更新
サイズ
4.27KB
ページ数
1



「マリス砲とかね。もうね。馬鹿かと。アホかと」

 幽々子は怒った、幻想郷全土を覆う合体技ブームに対して。
 二人の呼吸と気持ちを合わせて百万馬力、なんの根拠が有るんじゃい、とか思ってたらホントにマリス砲は強かった。
 ゼロ距離バタフライよか威力大、これ絶対パッチ入れられるだろって妖夢に得意気に語ってたのに。

「放置……許せん」

 百歩譲って実用性のあるマリス砲は受け入れる。だがなんだ、ゆかれいむ砲って。
 そもそもお前ら『砲』と表現できる弾幕じゃないだろ。
 私を誘ってゆゆゆか砲をチャレンジするべきだろ。
 幽々子の怒りは収まることを知らず、近くにいた妖夢をペチペチとはたいてやつ当たりしつつ、寝た。




「……痛い」

 後半ふて寝しかけていた主のビンタ、段々狙いが外れてきて頬から胸部に打撃が逸れていた。
 妖夢とて年頃の娘。ただ今性徴中、ふくらみかけの箇所を叩かれるとものっそい痛い。
 二度とゴメンだ、こんな思いをするならいっそ――

「合体技など無くしてしまえ」

 怒りの矛先は主自身ではなく、主の機嫌を損ねる合体技に向けられた。



(ヤバイよルナ姉)
(せっかく頑張って合体技開発したのに……)

 流行に乗り、さっそく合体技を編み出していたプリズムリバー三姉妹。
 寝室にて生まれた三位一体奥義、ベッドストリームアタック。
 凄く不健全な響きだがなんて事はない、寝技中心のプロレス技である。
 既に弾幕ですらないアストレイっぷりだが、

「合体技ってだけで皆喜ぶから別にいいじゃん」

 と胸を張るメルランの勢いに押されたのだ。
 早速お得意さんの冥界にて披露せんとやって来た、やって来て一番に見たものは庭師。
 合体技は問答無用で悪即斬、なんて鼻息を荒くしている庭師。

(逃げよっか……?)
(そうしよっか)

 こそこそとその場を後にする二人。
 二人?

「ルナ姉、リリカ、クモの巣だ!」

 一人張り切って号令をかけるメルラン。
 盛り上がりすぎて空気読めてない、しかも合体技の元ネタを間違えている。

「クモの巣……?」

 ゆらり、と近づく妖夢。
 右手に刀、左手は胸をさすっている。まだ痛むらしい。

「今の響き、合体技と見た」
「ラムサス!? ダンケル!?」

 いよいよ気持ちまでなりきってしまったメルラン、姉妹の名前を間違える有様。
 これは間違いなく黒、と判断した妖夢はさっき自分の中で勝手に作った罪状、合体罪で切った。

「峰うちで安心だ」

 










 妖夢がメルランを切った、その噂はあっという間に幻想郷中に広まった。
 何でも、合体技は問答無用で切るそうだ。
 出来が良かろうと悪かろうと切る、そもそも二つ有るものを一つにくっつけて喜ぶ方がおかしい、そう訴えているそうだ。

「戦場は地獄だぜ……」

 うけて立つ、と言わんばかりに不敵な笑みを浮かべる魔理沙。
 合体技ブームに乗ったにわかコンビではなく、百戦錬磨のマリス砲を見せてやろうぜ、そうアリスに持ちかけた。
 
「わざわざ反感を買うような真似しなくても……」

 アリスの方が大人だった、大人ゆえ子供の誘いを断れなかった。
 後半涙目になって訴える魔理沙の誘いを無下にするのは、ちょっとムリだった。元人間なせいか微妙に情に訴えられると弱い。
 その点完全な魔女の某パッチュさんは、自分の魔法を合成して合体技もどきを楽しむ一人上手っぷり。見習いたい。


『マリス砲は合体技です。見たくない奴は回れ右』

 挑発的なプラカードを持って冥界を訪れた魔理沙とアリス。
 反射的に妖夢はやって来た、ぢっとプラカードを見てため息をつき、その場に座り込んだ。

「……?」

 何をしたいのかよく分からないが、取り合えず二人の気持ちを一つに。
 天まで届け、マリス砲。張り切って打ち込んだところで妖夢が来た。

「切る」
「……!」

 あまりにも極端な問答無用っぷり。
 何故さ、私達は事前に断った上に出来の悪い合体技じゃないだろ?
 と訪ねる間理沙。

「とにかく合体技というだけで罪だ。消えろ!」

 理屈じゃなかった、トラウマだった。
 妖夢はまだ胸がじんじんするのだ。

「誰かコイツ止めろよ!」
「私がお前達の技にどういう感想を抱こうが自由な筈だ!」
「程度ってもんが有るだろ!」

 しばらく妖夢に追いかけ回されたあげく、西行妖の上に隠れた間理沙とアリス。
 先客がいた。ルナサとリリカであった。
 
「メルラン……今遠くてもまた会えるよね」

 先日妖夢に切られたあげく捕らわれたメルラン。
 どうにか救出しようと、ルナサ達は木の上で妖夢を監視しつつ隙をうかがっていた。

「メルランじゃなきゃ駄目なんだよぉ……」

 引き裂かれた姉妹の距離が、ルナサの脳内メルランを美化させていた。
 リリカも気持ちは同じらしく、二人して延々とメルランの魅力を語っていた。

「……」

 一部始終を眺めていた魔理沙とアリス。
 姉妹とはいえ、鬼気迫る表情でメルラン好き好きと連呼する様子は不気味に感じた。
 合体技が流行ってるとはいえ、女同士でベッタリと寄り添いまくるのは周囲に不快感を与えるかも。
 少しだけ、感じた。


 スペカルールの製作に携わってる霊夢の目から見て。
 一応正道でないジャンルに入る弾幕、合体技。これのブームをどう思うか。
 率直に聞いてみた。

「どうでもいいんじゃない?」

 そんな事でうだうだ話し合ってる暇が有ったら働きなさい、とにべも無い返事。

「そして働いて稼いだお金を賽銭箱に入れてね」

 ちゃっかりしていた。トドメにウィンクしてきた。
 これはお賽銭入れざるをえない。
オルレアーン
コメント



1.名無し妖怪削除
単なる作品として読んでも、そうでない視点から読んでも面白かったです。
2.名無し妖怪削除
待てゆゆ様!そのネーミングじゃあ幽香と区別がつかない!
3.名無し妖怪削除
妖夢は妖夢で、人間体と霊体の合体技もどきを楽しむ一人上手っぷり
だと思っちゃだめかしらん
4.Mr.C削除
あいかわらず人使いが荒いですな、の人と呼んで頂いて、光栄におもっております、の人がいる~。とすると、機体はハン○ラビですか?
5.ぐい井戸・御簾田削除
いいなあ。こういう「突っ走る」お話好きです。
ラストをきっちり締める霊夢の言葉も、説得力抜群でw
6.名無し妖怪削除
性徴あるのかはともかく骨に響くと痛いd eすよね
…あれ、なんだろう、下半身がひどく遠い。
あと一部、間理沙になってます