・・・どうしてなのだろう・・・
時々ふと考え込んでしまうことがある。
何故お嬢様はあの子を雇ったのだろう?
しかもよりによってこの紅魔館の・・・門番に・・・
まあ確かにこの広大な庭の手入れもあの子に一任してあるけれども・・・
別にあの子が嫌いというわけではない。
ただ・・・ただ疑問に思う・・・
門番なんていなくとも私がいる、今更仕事が一つや二つ増えたところでさほど変わりはしないだろう。
それ以前にお嬢様がいればそれこそ充分この館は平穏を保てるだろう。
この紅魔館に侵入しようと考える者もいないだろうし・・・もっとも・・・物好きも多少いるけれどね。
まああの子のことだからお嬢様に逆らおうなんて事もないのだろうけど・・・
だとしてもどうしてあの子が・・・
どうして・・・
どうして・・・
どうして・・・
「ハックシュ・・・うう、風邪かなあ、こんなにも良い天気なのに・・・」
・・・くしゃみの主はそう、紅魔館の門番、紅美鈴である
「それとも誰か私の噂でもしてたりして?咲夜さんかな?もう言いたいことがあれば言えばいいのに、素直じゃないんだから
・・・なんて言ってるとホントにナイフ飛んでくるから怖い・・・」
仮にも門番なのに気が抜けすぎなような気もするが・・・割といつもこんなものだったりする。
「せっかくの良い天気なのに・・・なんか嫌な気の流れ・・・悪いことが起こらないといいんですけど・・・
できるならば今日も平和でありますように・・・」
彼女の能力は気を操る能力、こういうのは割りと当たってしまうものなのだそうだ。
それにしても妖怪らしからぬ温和な性格である、人間とほとんど変わらぬ容姿、強くも見えない。
「さてと、ちょっと庭の手入れでもしますか・・・
入り口は特に念入りに手入れしておかないとお客さんに失礼になってしまいます」
何かずれてる気がしないでもない・・・
時間がたち・・・夜も更け・・・
コンコン・・・
「誰かしら?」
「咲夜です、お嬢様、お茶をお持ちしました」
「入りなさい」
「失礼します」
入るなり手際よくテーブルにカップを置き紅茶を注ぐ
「ところでお嬢様、先ほどから美鈴の姿が見えないのですが・・・お嬢様はご存知ですか?」
「ああ、美鈴ならさっき飛び出していったわよ、思いつめた表情してたようにも見えたわね」
「理由はどうであれ仕事を放ってどこかにいくなんて・・・門番としては少々問題がある行為だと思うのですが・・・」
「まあいいんじゃないかしら」
「全く・・・帰ってきたらしっかり言いつけないといけませんね」
「はぁ・・・はぁ・・・やっぱり嫌な予感が当たってしまいましたね・・・」
美鈴である・・・彼女は紅魔館からさほど離れてないところにある村をはさんでさらに距離を置いたところにいた。
広がる夜空の下、目をこらさなくても確認できる・・・妖怪の群れ・・・群れ・・・群れ
最近噂に聞くあちらこちらで村を襲っている妖怪で結成された盗賊団である・・・もの凄い数だ。
「できれば村の人たちが気付いて騒ぎが大きくなる前に追い払いたいと思ったんだけど・・・このままじゃきついかも・・・」
この数でも人間ならば充分追い払えるのだが・・・人間とは比べ物にならない力を持った妖怪
その妖怪達を一人で相手にしているのである、流石に美鈴一人では多勢に無勢だろう・・・
「話してもまともに聞き入れてくれないし・・・といってもそんなことで引き返してくれたら苦労しないか・・・
ああ・・・しょうがないなあ、アレはできればやりたくなかったんだけどこの際しょうがないか」
彼女は動きを止め、呼吸を整える・・・そして・・・
「すいませんお嬢様・・・言いつけを破ることをお許し下さいね」
「お嬢様、私は時々疑問に思うことがあるのですが」
「何かしら?」
「お嬢様は何故あの子を・・・美鈴を雇おうと思ったのですか?しかもこの紅魔館の門番に・・・
門番などいなくても私がいますし・・・何よりお嬢様ほどの方がいれば心配などないと思うのですが?」
「あら、そんなこと考えてたの?」
「別に美鈴が嫌いなわけではないのですがやはり気になるのです」
「ただの気まぐれ・・・と言いたい所だけど理由はあるわよ、あの子の実力は結構買ってるのよ?」
「でも魔理沙にはしょっちゅう進入されてますわ」
「魔理沙なんてどうせパチュリーに会いに来るくらいでしょう」
「それはそうですが・・・」
「魔理沙は所構わず強引に突破しようとしてくるから形だけでも門番を向かわせてるのよ、それが一応仕事なのだから
それに完全に追い返したらパチュリーが何か言ってくるだろうからそれを察して適当なところで負けてるんじゃないかしら」
「はぁ・・・それに以前にも霊夢に進入を許してます・・・あの例の件の時ですわ」
「ああ、あの時ね、あの時は『私が進入された方が楽しめると思ったから』・・・よ」
「はぁ・・・そんなものなんですかね」
「そんなものよ、それに・・・ね、例えば二人が出てるときは守れるのは美鈴しかいないわ。
それにあの永夜異変のときも、たとえ一夜の事とはいえしっかり紅魔館を守りきってくれたじゃない」
「それはたまたま危険な者が進入しようとしなかったからではないのですか?」
「それはあくまで結果論に過ぎないわね、来なかっただけのことよ
それに良く考えて?あの二人以外には突破はされてないわ、優秀じゃない」
「まあ・・・それはそうですが・・・そういうことにしておきましょうか」
「素直じゃないわね」
「そういえば先ほどから遠くの方で何かざわめくような感じがするのですが?」
「ああ、なんか近くに最近噂の盗賊がうろうろしてるらしいわよ?
数を揃えれば強くなった気でいるなんて・・・愚かよね」
「もしかしてそれを察してあの子が飛び出していったとかですかね?」
「そうかもしれないわね、あの子は誰かが傷つけられるのを嫌うから」
「大丈夫なんですかね・・・」
と、その時
ゴゴゴ!!!!!!!!
「地震・・・でしょうか?」
「いや・・・違うわね、これは・・・(美鈴ね・・・そう・・・使うことにしたのね・・・まあたまにはいいでしょう)
咲夜、窓の外をのぞいてごらんなさいな、面白いものが見れるわよ、フフ」
「わかりました」
すると・・・向こうの山の方からもの凄い光が放たれている
(夜明け・・・?いやまだ日の出には早すぎる・・・なにかしら)
遠くの方で幾筋の光が立ち上る・・・それは
(あれは・・・龍・・・かしら?もしかしてあれは・・・)
「綺麗でしょう?私でも数えるほどしか見たことないのよ?最後に見たのはいつだったかしら・・・」
(それでも・・・まだためらってるわね・・・あの子らしいといえばらしいけど)
多種多様な色の数匹の光の龍のようなものが一点に収束されて・・・一瞬消える・・・すると
爆発的に光が放たれ・・・それはどんどん大きくなる
「さて・・・行きますよ?覚悟してくださいね」
言うや否や美鈴の姿が消える・・・ものすごいスピードなのだろう
動揺している間に爆発的に広がるすさまじい弾幕に撃ち落とされる者
なんとか避けているが気が付くと目の前に現れる超スピードの美鈴によって吹っ飛ばされる者
逃げる間もない、そして考える時間すら与えられずあっという間に盗賊団は・・・全滅・・・
まさにほんの数十秒の出来事・・・あれほどいた妖怪たちがすべて打ち倒されている
しかし誰一人として死んでいないというのも驚くべきことである。
しぶとい、ということではない、全て急所をはずして打ち込まれているのだ
「お願いですから・・・引き返して下さいませんか?これ以上抵抗するのであればこちらもその気で仕掛けますよ?」
この状況でまだ戦おうとするものはいないだろう、みんな逃げ出していく・・・もちろん美鈴も追わない
「はぁ・・・はぁ・・・あ・・・疲れ・・・るなぁ」
すると美鈴の手が・・・足が・・・いたるところで裂けて血が出てくる・・・どんどん・・・どんどん・・・
「う・・・あ・・・イタタタタ・・・これが嫌なんですよね・・・とにかく早く帰らなきゃ・・・
今咲夜さんにお仕置きされたら・・・死んじゃうかもね・・・あはは、う・・・イタタ」
「すごかったでしょう?あれは正確には放たれた弾幕ではないのよ、あれはあくまでおまけみたいな物よ
爆発的に高めた気が体からもれてるだけにすぎないのにあれほどの威力なのだからすごいわよね」
「一体何なのですか?あれは・・・」
「あれがあの子の真の力よ、
気の力を外に放出して戦うのではなくて体内で気を操作して一時的に身体能力を上げることによって
超速戦闘を可能にする技みたいなものかしらね、
あれで8割くらいの力よ、全力で開放したら私でも敵わないんじゃないかしら」
「そこまですごいものなのですか、あの子の力は・・・」
「私だけじゃないわ、幻想郷や冥界でも全力のあの子に正面から戦って勝てる者はいないかもしれないわね、
能力云々じゃないのよ、あらかじめ準備しておかない限りは、何が起こったかもわからないうちに負けてるかも」
「それは・・・かなり危険なのではないのですか?それこそあの力で逆らおうものなら・・・」
「それはないわね、あの子は何かを守るっていう思いが誰よりも強いのよ、ほんと妖怪らしからぬ性格だけどね、
相手がどんなに非道な者でも・・・それでも傷つけるのをためらうくらいにね、優しすぎるのよ、ほんと人間みたいね、
そこが気に入ってる所でもあるのだけどね。
その守るという絶対的な思いの前では私でさえ手を焼くあの子ですら・・・
フランドールですら暴れるのをやめる、安心するせいかおとなしくなる」
「そういえば・・・確かにそうですね」
「まあ、紫みたいに絶対に逆らうことのない式を作ればいいのだろうけど・・・あいにく私にそういう力はないわ
せいぜいが使い魔程度ね・・・でもかわりに私には・・・この力がある・・・」
「運命を操る能力・・・ですね?」
「そうよ、この幻想郷中でそんな優秀な者を雇うために探すのは正直きついけど・・・
この運命を操る能力でその最も優秀といえる人材を引き寄せて雇った・・・それが、あなたと・・・そして美鈴ということよ」
「そうだったのですか」
「だからあなたももっと自分に自信持っていいのよ?この私が選んだのだからね」
「それは光栄です」
「おっと・・・そんなこと話てるうちに美鈴が帰ってきたみたいね・・・
案の定傷だらけねあの能力は体に負担がかかりすぎるから・・・って早いわね・・・もういないわ・・・」
「ただいま戻りました~」
「美鈴!あなたどこいってたのよ!?門番が入り口守らなければ意味がないじゃないの!」
「う・・・すいません!ナイフだけは勘弁して下さい!・・・う、イタタ」
「あなた傷だらけじゃないの・・・」
「あ、いえこれにはですねその理由があってですね、えっと・・・その」
「いいから早く入りなさい」
「は・・・はい」
「フフ、ほんとに素直じゃないわね咲夜も・・・でも、
ほんとに退屈しないわねあの子達には・・・これからも面白くなりそうだわ」
・・・夜が明け、朝日が昇る・・・そしてまたいつもと変わらない騒々しくもあり平穏でもある一日が始まる・・・
時々ふと考え込んでしまうことがある。
何故お嬢様はあの子を雇ったのだろう?
しかもよりによってこの紅魔館の・・・門番に・・・
まあ確かにこの広大な庭の手入れもあの子に一任してあるけれども・・・
別にあの子が嫌いというわけではない。
ただ・・・ただ疑問に思う・・・
門番なんていなくとも私がいる、今更仕事が一つや二つ増えたところでさほど変わりはしないだろう。
それ以前にお嬢様がいればそれこそ充分この館は平穏を保てるだろう。
この紅魔館に侵入しようと考える者もいないだろうし・・・もっとも・・・物好きも多少いるけれどね。
まああの子のことだからお嬢様に逆らおうなんて事もないのだろうけど・・・
だとしてもどうしてあの子が・・・
どうして・・・
どうして・・・
どうして・・・
「ハックシュ・・・うう、風邪かなあ、こんなにも良い天気なのに・・・」
・・・くしゃみの主はそう、紅魔館の門番、紅美鈴である
「それとも誰か私の噂でもしてたりして?咲夜さんかな?もう言いたいことがあれば言えばいいのに、素直じゃないんだから
・・・なんて言ってるとホントにナイフ飛んでくるから怖い・・・」
仮にも門番なのに気が抜けすぎなような気もするが・・・割といつもこんなものだったりする。
「せっかくの良い天気なのに・・・なんか嫌な気の流れ・・・悪いことが起こらないといいんですけど・・・
できるならば今日も平和でありますように・・・」
彼女の能力は気を操る能力、こういうのは割りと当たってしまうものなのだそうだ。
それにしても妖怪らしからぬ温和な性格である、人間とほとんど変わらぬ容姿、強くも見えない。
「さてと、ちょっと庭の手入れでもしますか・・・
入り口は特に念入りに手入れしておかないとお客さんに失礼になってしまいます」
何かずれてる気がしないでもない・・・
時間がたち・・・夜も更け・・・
コンコン・・・
「誰かしら?」
「咲夜です、お嬢様、お茶をお持ちしました」
「入りなさい」
「失礼します」
入るなり手際よくテーブルにカップを置き紅茶を注ぐ
「ところでお嬢様、先ほどから美鈴の姿が見えないのですが・・・お嬢様はご存知ですか?」
「ああ、美鈴ならさっき飛び出していったわよ、思いつめた表情してたようにも見えたわね」
「理由はどうであれ仕事を放ってどこかにいくなんて・・・門番としては少々問題がある行為だと思うのですが・・・」
「まあいいんじゃないかしら」
「全く・・・帰ってきたらしっかり言いつけないといけませんね」
「はぁ・・・はぁ・・・やっぱり嫌な予感が当たってしまいましたね・・・」
美鈴である・・・彼女は紅魔館からさほど離れてないところにある村をはさんでさらに距離を置いたところにいた。
広がる夜空の下、目をこらさなくても確認できる・・・妖怪の群れ・・・群れ・・・群れ
最近噂に聞くあちらこちらで村を襲っている妖怪で結成された盗賊団である・・・もの凄い数だ。
「できれば村の人たちが気付いて騒ぎが大きくなる前に追い払いたいと思ったんだけど・・・このままじゃきついかも・・・」
この数でも人間ならば充分追い払えるのだが・・・人間とは比べ物にならない力を持った妖怪
その妖怪達を一人で相手にしているのである、流石に美鈴一人では多勢に無勢だろう・・・
「話してもまともに聞き入れてくれないし・・・といってもそんなことで引き返してくれたら苦労しないか・・・
ああ・・・しょうがないなあ、アレはできればやりたくなかったんだけどこの際しょうがないか」
彼女は動きを止め、呼吸を整える・・・そして・・・
「すいませんお嬢様・・・言いつけを破ることをお許し下さいね」
「お嬢様、私は時々疑問に思うことがあるのですが」
「何かしら?」
「お嬢様は何故あの子を・・・美鈴を雇おうと思ったのですか?しかもこの紅魔館の門番に・・・
門番などいなくても私がいますし・・・何よりお嬢様ほどの方がいれば心配などないと思うのですが?」
「あら、そんなこと考えてたの?」
「別に美鈴が嫌いなわけではないのですがやはり気になるのです」
「ただの気まぐれ・・・と言いたい所だけど理由はあるわよ、あの子の実力は結構買ってるのよ?」
「でも魔理沙にはしょっちゅう進入されてますわ」
「魔理沙なんてどうせパチュリーに会いに来るくらいでしょう」
「それはそうですが・・・」
「魔理沙は所構わず強引に突破しようとしてくるから形だけでも門番を向かわせてるのよ、それが一応仕事なのだから
それに完全に追い返したらパチュリーが何か言ってくるだろうからそれを察して適当なところで負けてるんじゃないかしら」
「はぁ・・・それに以前にも霊夢に進入を許してます・・・あの例の件の時ですわ」
「ああ、あの時ね、あの時は『私が進入された方が楽しめると思ったから』・・・よ」
「はぁ・・・そんなものなんですかね」
「そんなものよ、それに・・・ね、例えば二人が出てるときは守れるのは美鈴しかいないわ。
それにあの永夜異変のときも、たとえ一夜の事とはいえしっかり紅魔館を守りきってくれたじゃない」
「それはたまたま危険な者が進入しようとしなかったからではないのですか?」
「それはあくまで結果論に過ぎないわね、来なかっただけのことよ
それに良く考えて?あの二人以外には突破はされてないわ、優秀じゃない」
「まあ・・・それはそうですが・・・そういうことにしておきましょうか」
「素直じゃないわね」
「そういえば先ほどから遠くの方で何かざわめくような感じがするのですが?」
「ああ、なんか近くに最近噂の盗賊がうろうろしてるらしいわよ?
数を揃えれば強くなった気でいるなんて・・・愚かよね」
「もしかしてそれを察してあの子が飛び出していったとかですかね?」
「そうかもしれないわね、あの子は誰かが傷つけられるのを嫌うから」
「大丈夫なんですかね・・・」
と、その時
ゴゴゴ!!!!!!!!
「地震・・・でしょうか?」
「いや・・・違うわね、これは・・・(美鈴ね・・・そう・・・使うことにしたのね・・・まあたまにはいいでしょう)
咲夜、窓の外をのぞいてごらんなさいな、面白いものが見れるわよ、フフ」
「わかりました」
すると・・・向こうの山の方からもの凄い光が放たれている
(夜明け・・・?いやまだ日の出には早すぎる・・・なにかしら)
遠くの方で幾筋の光が立ち上る・・・それは
(あれは・・・龍・・・かしら?もしかしてあれは・・・)
「綺麗でしょう?私でも数えるほどしか見たことないのよ?最後に見たのはいつだったかしら・・・」
(それでも・・・まだためらってるわね・・・あの子らしいといえばらしいけど)
多種多様な色の数匹の光の龍のようなものが一点に収束されて・・・一瞬消える・・・すると
爆発的に光が放たれ・・・それはどんどん大きくなる
「さて・・・行きますよ?覚悟してくださいね」
言うや否や美鈴の姿が消える・・・ものすごいスピードなのだろう
動揺している間に爆発的に広がるすさまじい弾幕に撃ち落とされる者
なんとか避けているが気が付くと目の前に現れる超スピードの美鈴によって吹っ飛ばされる者
逃げる間もない、そして考える時間すら与えられずあっという間に盗賊団は・・・全滅・・・
まさにほんの数十秒の出来事・・・あれほどいた妖怪たちがすべて打ち倒されている
しかし誰一人として死んでいないというのも驚くべきことである。
しぶとい、ということではない、全て急所をはずして打ち込まれているのだ
「お願いですから・・・引き返して下さいませんか?これ以上抵抗するのであればこちらもその気で仕掛けますよ?」
この状況でまだ戦おうとするものはいないだろう、みんな逃げ出していく・・・もちろん美鈴も追わない
「はぁ・・・はぁ・・・あ・・・疲れ・・・るなぁ」
すると美鈴の手が・・・足が・・・いたるところで裂けて血が出てくる・・・どんどん・・・どんどん・・・
「う・・・あ・・・イタタタタ・・・これが嫌なんですよね・・・とにかく早く帰らなきゃ・・・
今咲夜さんにお仕置きされたら・・・死んじゃうかもね・・・あはは、う・・・イタタ」
「すごかったでしょう?あれは正確には放たれた弾幕ではないのよ、あれはあくまでおまけみたいな物よ
爆発的に高めた気が体からもれてるだけにすぎないのにあれほどの威力なのだからすごいわよね」
「一体何なのですか?あれは・・・」
「あれがあの子の真の力よ、
気の力を外に放出して戦うのではなくて体内で気を操作して一時的に身体能力を上げることによって
超速戦闘を可能にする技みたいなものかしらね、
あれで8割くらいの力よ、全力で開放したら私でも敵わないんじゃないかしら」
「そこまですごいものなのですか、あの子の力は・・・」
「私だけじゃないわ、幻想郷や冥界でも全力のあの子に正面から戦って勝てる者はいないかもしれないわね、
能力云々じゃないのよ、あらかじめ準備しておかない限りは、何が起こったかもわからないうちに負けてるかも」
「それは・・・かなり危険なのではないのですか?それこそあの力で逆らおうものなら・・・」
「それはないわね、あの子は何かを守るっていう思いが誰よりも強いのよ、ほんと妖怪らしからぬ性格だけどね、
相手がどんなに非道な者でも・・・それでも傷つけるのをためらうくらいにね、優しすぎるのよ、ほんと人間みたいね、
そこが気に入ってる所でもあるのだけどね。
その守るという絶対的な思いの前では私でさえ手を焼くあの子ですら・・・
フランドールですら暴れるのをやめる、安心するせいかおとなしくなる」
「そういえば・・・確かにそうですね」
「まあ、紫みたいに絶対に逆らうことのない式を作ればいいのだろうけど・・・あいにく私にそういう力はないわ
せいぜいが使い魔程度ね・・・でもかわりに私には・・・この力がある・・・」
「運命を操る能力・・・ですね?」
「そうよ、この幻想郷中でそんな優秀な者を雇うために探すのは正直きついけど・・・
この運命を操る能力でその最も優秀といえる人材を引き寄せて雇った・・・それが、あなたと・・・そして美鈴ということよ」
「そうだったのですか」
「だからあなたももっと自分に自信持っていいのよ?この私が選んだのだからね」
「それは光栄です」
「おっと・・・そんなこと話てるうちに美鈴が帰ってきたみたいね・・・
案の定傷だらけねあの能力は体に負担がかかりすぎるから・・・って早いわね・・・もういないわ・・・」
「ただいま戻りました~」
「美鈴!あなたどこいってたのよ!?門番が入り口守らなければ意味がないじゃないの!」
「う・・・すいません!ナイフだけは勘弁して下さい!・・・う、イタタ」
「あなた傷だらけじゃないの・・・」
「あ、いえこれにはですねその理由があってですね、えっと・・・その」
「いいから早く入りなさい」
「は・・・はい」
「フフ、ほんとに素直じゃないわね咲夜も・・・でも、
ほんとに退屈しないわねあの子達には・・・これからも面白くなりそうだわ」
・・・夜が明け、朝日が昇る・・・そしてまたいつもと変わらない騒々しくもあり平穏でもある一日が始まる・・・
東方では、どんなキャラにでも絶対になにか魅せるモノがある、
というのが私の意見です。