ミーン
ミーン
郷で響くは蝉の声
「緑」栄える、日の光
幻想郷も、夏真っ盛り
森の一角にあるこじんまりとした、お店「香霖堂」
店主、森近 霖之助は、何時もの様に店内で本を読んでいた。
「ふぅ、暑いな・・・」
そう言い、霖之助は、水差に入った麦茶をコップに注ぎ、
口につけようとした所で、いつもの人物が入ってきた。
「おーす、こーりん居るか~」
魔理沙である、
「いらっしゃい、魔理沙、ちゃんと、ここに健在しているよ」
「おう、しかし、アチーぜ・・・あぁ、それ、貰うな」
そう言い、魔理沙は、コップに入った麦茶を一気飲みした。
「んぐ、んぐ、ぷはー、生き返る~、」
まるで、麦酒を一気飲みした、オッサンの様である・・・
「魔理沙、そんな行儀の悪い飲み方は、駄目だよ」
まるで、娘をたしなめるかの様な言い方
「良いんだよ、この飲み方が美味いんだ」
顔を背け、頬を膨らまして文句を言う
「それに、ものすげー暑かったし、即効水分を補給しなくちゃ干乾びちゃうぜ」
たしかに、彼女の服は黒を基調にしてあるため、暑そうである。
「そんなに、暑ければ、他の服にしたらどうだい?」
そうすれば、少しは涼しいはずだ。
魔理沙は、再び頬を膨らまし、
「ヤダ、この色は私の存在意義だ、魔法使いだからな」
疑問をぶつける
「確か過去に別の色の服を着ていなかっ…」
不意に、魔里沙の顔に影ができた瞬間、怪しげな笑いをして
「うふ、うふ、うふふ…、そんな過去は無いぜ…、コーリン…」
そっと一枚の符を懐から出してきた…。
「・・・あぁ、そうだったかな、僕の記憶違いのようだ、すまなかった」
只でさえ暑いのに、熱烈な恋の一撃は喰らいたくない。
「この暑さを何とかする方法は無いか?」
と、麦茶をお代わりしながら、僕に訊ねてくる。
「流石に、自然を「どうこう」はできないからね、チルノと弾幕でもしてきては、どうだい?」
この時期、彼女と弾幕勝負をするのは、恒例となっている。
「アイツは、今、大妖精と共同で、かき氷屋を創めたらしくて、忙しいみたいだぜ」
彼女が働くとは・・・、一体・・・、珍しいことをして、雪でも降らす気だろうか・・・、
……そのつもりなのかも・・・
「では、そのかき氷を食べに行っては?」
僕の所に来るよりも、その方が余程「涼」を摂れたはずだ。
「あ~、そうしようと、思ったのだが、人がイッパイ並んでいてな
待っているだけで、ぶっ倒れそうだからこっちに来たんだ」
確かに、炎天下の中、その格好でいては、熱中症で倒れそうだ。
「他に涼を摂る方法か・・・。」
そう言えば、この前、倉庫を整理しているときに、アレが、出てきたな、
アレを使えば…。
「魔理沙、あそこの谷に在る滝壺へ行くのはどうだろう」
魔理沙は、「う~ん」と考え、
「滝壺か、涼しそうだが、着替え持って来ていないんだ」
と言ってきた。
「大丈夫だ、この前、整理をしていたら、「水着」と言う物が出てきたんだ」
アレとは水着である。
変わった衣類だったので、自分の能力を使い鑑定したところ。
名称「水着」
用途「水に入る為の衣類」
と、出てきた。
魔理沙にその旨を説明すると、
「へー、水に入る為の服か~、そいつは良いぜ、何着有るんだ?」
「見た感じ、女物が2着、男物が1着だ」
と答えると、
「そいつは、丁度良いぜ、霊夢も誘って行こう!!、な、こーりん?」
僕は、少し驚きつつ、
「僕も行くのかい?」
と、訊ねたところ、
「当たり前だろ、いつも引き篭もっていたら体に悪いぜ」
「霊夢を誘いに行って来るから、準備を頼むぜ、滝壺に集合な~」
と、言い残し、飛び去ってしまった。
むぅ、店を空けたくは無いのだけど、でも、この暑さでは、客は来ないかも、
そして、「水に入る為の衣類」と言う珍しい物を試すチャンスでもある
それに、行かなかったら後が怖いし・・・暑いし・・・
「うん、行くか」
誰に言う訳でもなく一人語った。
準備をし、滝壺へ向かおう、と思ったが、外に出た瞬間に
目眩みがする、日差しが強い、
麦わら帽子でもあれば良いのだが、一昨日に霊夢が、
「神社の草むしりをするから」
と持って行ってしまったのだ。
「なにか、代わりの帽子は無いか?」
そう言えば、先程、水着を出した時に、変わった衣類を見つけたので、
鑑定をしたら、「被る物」と出てきた物が在ったな
「あれを、被って行こう」
そうして、僕は滝壺へ向かった。
歩き続けること、数十分、滝壺へと到着した。
やはり、この場所は涼しい・・・水も綺麗だし、
この畔で昼寝をするのも良いかもしれない・・・。
すでに、魔理沙と霊夢が待っていた。
「遅いぞ、こーりん」
「少し待ったわ、霖之助さん」
二人して僕を非難してくる。
「しょうがないよ、僕は君たちと違って空は飛べないのだから、少しの遅刻は大目に見てくれ」
と言いつつ僕は二人に水着を渡す。
「なぁ、こーりん、自分の水着を忘れたとか言わないよな、
褌で泳ぐとか言ったらミルキーウェイだぜ」
「大丈夫だよ、用意したよ」
魔理沙が満足げに頷いて、
「ところで、こーりん、その頭に被っている物は、なんなんだ?」
流石は蒐集家、変わったものに目が行く、
「あぁ、霊夢に麦わらを取られているからね、その代わりだよ」
霊夢は巫女服に麦わら帽子と微妙な格好をしている。
魔理沙は、僕の帽子を見ながら、
「帽子なのか?、変わった帽子だな~?」
僕は、少し笑い
「確かに変わっているけど、通気穴も付いているからムレないし、
なかなか、フィットして良い感じだよ」
と思ったことを返した。
「そうか、まぁ良いや、私たちはアッチの茂みで着替えてくるから・・・、覗くなよ」
「覗かないよ、後が怖いからね」
僕は苦笑いをしながら返す。
「覗いたら、マスタースパークだぜ」
「夢想封印です」
確かに怖い・・・。
「さて、僕も着替えるか」
僕は、彼女たちと反対側の茂みへと入った。
あちらの茂みより、
「ねぇ、これ、どうやって着るのかしら?」
「なぁ、これ露出、すごくないか?」
等と聞こえる、
うむ、どうやって着るか?
僕もそれに困っている最中である。
用を足す為の穴も開いているし、
男用だと思うのだが、
この水着、一回り小さいのか、僕にはキツイのだ、
サイズを確認していなかったな・・・
今回はこれで我慢をしよう。
なんとか、着る事は出来たが、ピチピチである、それとも、こういう物なのだろうか?
魔理沙たちはサイズは大丈夫だったかな?
着方と言えば、この帽子も、この被り方で正しいのだろうか・・・
「魔理沙はこの帽子は変だと言っていたからな、
この通気穴、もしかしたら、目を出す場所なのかも」
ひょっとして、これは、マスクとして「被る物」なのかもしれない。
「よし、試してみよう」
僕は、この帽子をマスクとして被ってみた。
「おぉ、何だろう、このフィット感は・・・素晴らしい・・・、
やはり、これはマスクとして被る物なのだろうか?・・・でも、息苦しいな・・・」
このマスク(帽子?)は勿体無い・・・息をする為の穴が開いていれば最高のマスクだったろうに・・・
その上、解らないのは、このマスク(帽子)には、もう一つ用途があるのだ
用途「被る物、はく物」と、なっている・・・
「はく物?・・・一体?・・・」
「こーリーん、まだ着替えが終わらないのか~?」
魔理沙の呼ぶ声が聞こえた。
「あぁ、いけない、また、待たせてしまった様だな」
物について考えてしまうのは職業病と言うべきだろうか・・・
「ゴメン、待たせたね」
そう言いつつ茂みから、僕は姿を見せると、
「遅いぜ、こーりn・・・」
「そっち、だったの霖乃助s・・・」
魔理沙と霊夢が急に止まった
止まったと言うより固まったといった方が良いのか?
「どうしたんだ?、二人t」
「うおぉぉぉぉ!!、なんだお前はーーーーー!!」
「なに?アンタ?変人?」
二人の反応が非常に危ない感じがする・・・
「ハァハァ、二人ともどうしたんだい?、落ち着いて」
しかし、二人は僕の声に耳を貸すことも無く
「おぉぉぉぉ!!、ヤラレル前にヤレ!!」
「人に害なす者は、人・妖、関係なく成敗!!」
「ファイナルスパーク!!!!」
「夢想天生!!!!」
最狂のスペルが二つも僕に迫ってきた・・・。
僕が一体何をしたと言うのだ・・・
あぁ、これが僕が見る「最後の光景」になるかもしれない・・・
魔理沙と霊夢の水着姿・・・・・・Σd(゚∀゚)
光とお札の嵐
「ウボァーーーー!!」
滝壺の横で、僕はこんがりと焦げている・・・、
何とか一命を取り留めた僕は、二人に話を聞くと
二人が言うには「僕の姿が非常に怪しかった為に攻撃してしまった」との事
その二人は今は滝壺で、はしゃいでいる。
そんなに怪しかったのだろうか・・・ハァハァ言っていたのは、
息苦しかったからなのに・・・。
僕は、再びボロボロになった、水着とマスクを鑑定してみる。
名称「旧スクール水着」(水抜き穴付きタイプ)
用途「水に入る為の衣類」
名称「ブルマ」
用途「被る物・履く物」
使用用途は間違っていない筈だが・・・
外の世界の衣類は着こなすのが難しいのだろうか・・・
僕はそんなことを考えながら、今度は日差しに焼かれるのだった
END
く、こうなったら水着姿のかき氷屋さんで口直しを!
茂みの中で水着に着替えてる少女・・・しかも二人・・・は、反則