Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

セカツン

2007/08/07 15:12:02
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1

 

 世界のツンデレが愛を叫ぶ、そんな日が年に一度くらい有ってもいいだろう。

「賛成」
「賛成」
「賛成」
「反対」

 満場一致かと思われた場の空気を乱す、こういう輩がいるから議会制は流行らない。
 コネが幅を利かすようになるのだ。

「そもそもツンデレの存在自体が疑わしい。秒単位で敵意が好意に変わる、そんな情緒不安定な人、いますか?」

 もっともだ。議長のスキマ妖怪が大きくうなずく。
 ――違う、居眠りして頭が傾いただけだ、こんな輩がいるから会議は短い方がいい。

「初見で抱く警戒心が、後の努力で振り払われるのは人間関係においてはよく有る事。これにツンデレだなんて妙な名前をつけるのは変です」
 
 喋る、喋る。負けず嫌いの典型だ、所でアリス、君が人間関係を語るか。

「ツンデレだとか奇妙なレッテルを貼られたら、どんな気分になるか分かります?」
「――」
「属性なんて訳の分からない範囲で自分の人格を推察される、それがどれほど不愉快か、想像してみて下さい」

 アリスの意見で、場の空気が変わった――

「では、ツンデレ記念日設立に反対の者、挙手」
「――」
「な、なんでいないのよ」

 正しい一つの意見よりも、多数の愚論が優先される。そういうものだ。

「やってられません! 私は帰ります」

 席を立つアリス。
 一切の未練を見せずに、一直線に玄関を目指す。

「なによこの靴」

 幻想郷中から集まった有識者による会議なのだ。
 下駄箱から靴が溢れかえり、散乱する、それくらい大目に見たほうがいい。

「これじゃ帰る時、自分の靴が分からなくなるでしょ」

 せっせと皆の靴を整理するアリス。霧雨と書かれた靴を見つけた。汚れが酷い、自前のハンカチで拭いて、そっと下駄箱にしまう。

「馬鹿じゃない、皆して」

 ぷりぷりと怒りをふりまき、アリスは議会を後にした……。


「職人芸だぜ」
「なんていうか、ツンデレのデモンストレーションね」

 いよいよツンデレ記念日の制定に拍車がかかる。否定派による後押しが決め手となった。

「待ってください」

 霊夢の白い手が上がる、反対のサインだ。
 
「ツンデレとは反対の属性、即ち初めから好意を持たれている様な状況、具体的には妹十二人などを愛する人達との関係が悪化するのでは」
「うぅむ」

 それは由々しき事態だ。
 記念日如きが外交問題に発展するなど、有ってはならない。

「中立穏健派の、幼馴染み勢力との共闘は如何でしょうか」
「おぉ」

 なるほど。お隣さん、とくにお節介で素直じゃない性格だと尚良しの幼馴染み。ここら辺を考慮するとツンデレとの相性は抜群である。
 しかし年下であれば最後、終始デレデレ懐いてくる様は、ツンデレとは程遠い。この不確定さが、中立派の地位を不動のものとした。

「一つ問題が有るぜ」

 ツンデレ容認派の重鎮、霧雨議員が疑問を投げかける。

「幻想郷のどこに幼馴染みがいるんだ? 実在しない勢力に力を借りろっていうのか?」

 ざわ……ざわ……
 議会が揺れる。
 姉妹、主従、ライバル――様々な人間模様が繰り広げられる幻想郷。しかし言われてみれば、幼馴染みは見当たらない。

「霧雨議員は議会を混乱に陥れようとしている!」

 若手議員の怒号が響く、ガラスの割れる音、悲鳴まで――
 興奮のあまり、手元のコップを霧雨議員に投げつけたようだ。

「ちょっと魔理沙、大丈夫!?」
 
 すかさず霊夢が駆け寄る。

「あーもう、アンタは昔っから人の神経逆撫でしてばっかだから、こういう目に会うのよ」
「お、おい、みんな見てるからやめろって」

 なに恥ずかしがってんのよ、と呟きながら霧雨議員の顔を拭く。
 投げつけられたコップに水が残っていたらしく、顔を無残にも塗らしていたのだ。涙――それも有っただろう、女の子だもの。

「ホラ、泣いてたら馬鹿にされちゃうでしょ。……あーあ、上着まで濡れてるじゃない。バンザイして、バンザイ」
「ん」

 霧雨議員の上着を手馴れた様子で脱がせ、ストックと思われる服を着せた。所々ほつれている、おそらく手縫いだろう。

「アンタとは旧作以来の付き合いだもの。嫌でも世話焼くのが上手くなっちゃうわ」


 幼馴染み、とても良いものだ。
 一同が納得する出来事であった。
『イミフな記念日で支持率暴落』

 翌日のトップニュース、各新聞紙が一面に掲載した。
 議長の責任が問われる、一連の不祥事(居眠り)をめぐって辞任の声まで上がっている。

「議長、今後の進退について何か一言!」

 人気キャスター射命丸、歯に衣着せぬ取材ときわどい足元で人気を博している。

「……」
「紫議長! どうしてお話して下さらないんですかー!」

 お姉さん。
 ぼそっと霧雨議員が呟く。

「霧雨議員? お姉さんとは一体どういう事でしょう」
「お姉さんだ、こんな時、あらあらうふふなお姉さんがいれば……!」

 この混乱を収束してくれるというのか。
 
「外部に助けを求めるんですかー?」

 まるでお姉さんなど幻想郷にはいない、と言いたげである。

「紫議長! 最後に一言お願いします!」

 いよいよ観念したか、紫議長がその重い口を開く。

「あんまりお姉さんをいじめちゃ、めっ」

 こつん、と射命丸の額に白い指が置かれる。






 後日、文々。新聞のコラムには、紫議長を擁護する文章がビッシリ書かれていたそうな。
紳士的ロリコン
コメント



1.名無し妖怪削除
アリスかわいいよアリス
2.名無し妖怪削除
よくわかんね
3.名無し妖怪削除
なんという崩壊政治wwww
4.名無し妖怪削除
ひどすぎる衆愚政治ww
5.名無し妖怪削除
ゆかりん+お姉さん……たまらんね
6.名無し削除
なんというギャルゲ主人公な魔理沙
7.名無し妖怪削除
善き独裁者に率いられる民衆は幸福である、という反面教師。
8.you.削除
ちょ、文一発で落とされたー!?
9.名無し妖怪削除
ひっでぇ議会だwwww良い意味で最悪じゃwww
10.名無し妖怪削除
教訓「知らぬは本人ばかり」
11.はむすた削除
これは最高だろw
12.名無し妖怪削除
素晴らしい議会だwww
13.名無し妖怪削除
紫お姉さん、最高です
14.翔菜削除
これは酷い議会www
15.名無し妖怪削除
お母さんなアリス可愛いよぉ
16.名無し妖怪削除
デマゴーグだ、でもこんなだったら許せる気がするww
17.名前が無い程度の能力削除
あやや俺と代われぇぇぇぇぇえええッッ!!!
18.名前が無い程度の能力削除
紫お姉さん・・・
いいなぁ
19.名前が無い程度の能力削除
霊夢かわいいよ霊夢