魔理沙が振り向くたびに、私の動きが止まってしまう。
どうしてだろう。
あの琥珀色の瞳が私を捉えると、心臓の鼓動が早くなる。
子犬のような可愛い口から言葉が紡がれるだけで、身体が強ばってしまうのだ。
他の誰でもこんな事は起こりえない。
いま、目の前にいるあなただけ。今のあなただけが、私の身体を狂わせる。
呼吸が段々と早くなり、流れる汗の量が増えた。
緊張しているのが自分でもわかる。
耐え難い空気。できれば逃げだしたいくらいだ。
それでも。
一歩、また一歩、前へと足を踏み出す。
もっとあなたの顔が見られるように。
あなたの声が届くように。
あなたに近づいていく為に。
私は前へと進んでいく。
霧雨魔理沙。
いつか、あなたの身体に触れてみせる。
強くそう願いながら。
「なあ、アリス。せめてダルマさんが転んだぐらい普通にしようぜ」
こんな滑らない話があっていいんでしょうかっ!!