Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

八意診療記

2007/07/23 15:40:11
最終更新
サイズ
3.38KB
ページ数
1
大妖精がチルノをかばってcavedに巻き込まれてから1週間。
依然として大妖精の意識が戻る様子はない。

「だんだん脈が弱くなっている・・・。
 このままでは・・・」

今までこの診療所で治療中に命を落とした者はいない。
この八意永琳が死亡診断書を書くのは既に死亡している者が運ばれてきた時だけだ。
そう、私はどんな病気、怪我でもたちどころに直してしまうカリスマ医師なのだから。
大妖精はこの私の名に賭けても絶対に助けてみせる。
・・・というか助けないと

永遠亭が破産する。

医療というものは何かと金がかかる。
そりゃあ衛生物だし仕方ない。
つまり永遠亭が生き残るためにも大妖精を助け、
その後でたんまりと入院治療費を請求しなければならない。本人に。
支払い能力が有りそうな妖精と言ったらこいつくらいしかいなさそうだし。
真面目な性格と聞くこの妖精ならそこら中を駆けずり回ってでも治療費を用意してくれるに違いない。
あ、それなら少し金額つり上げてもいいかしら?

「先生、大ちゃんまだ起きないの?」
「え? あぁ・・・もうちょっとで目を覚ますと思うわ。心配しないで。」

氷精のチルノは毎日大妖精の様子を見に来ている。
最初は「あたいここに泊まってく!」と言っていたので
私が「それなら宿泊代がいるわよ。」と言ったらすんなり諦め、
あろう事かこの病室の窓のすぐ外の所に氷で小屋を造ってそこで寝ているようだ。
そこもうちの敷地だっつーの。
明日にでも凍らなくなる仕掛けを敷地全体にしておこう。


しかしこの妖精も中々に人望があるらしい。
妖精だけでなく妖怪や人里の人間も見舞いにやって来た。
昨日なんてリリーホワイトが菊の鉢植えを置いていった。
ただ一つ気になるのが、お見舞いに食べものを持ってくる奴がいることである。
未だ意識不明な患者におはぎを持ってくるとは何事だ。
勿体ないので私がいただくことにした。
針が入ってた。
取りあえず残りの四個はてゐにパス。




事故から一ヶ月。
大妖精の意識は戻るどころかだんだん衰弱している。
このままでは点滴を買う金が無くなる。
もし妖精用の点滴が尽きてしまったら・・・自分で作らなければならない。
作り方なんて調べたことも無かったので一からこの液を解析しなければならないのだ。
どう考えても手遅れだ。
兎用の人参エキスでもいいかしら?

リリーホワイトが持ってきた九本のナデシコが寂しそうに見つめる中、
今日も私は大妖精の寝顔を写真に撮っておく。




そして運命の日は・・・やって来た!

「師匠!患者さんの呼吸が!!」
「く・・・っ! 私の腕ではどうにもならないというの!?」

そして私はある決断をしたのだ。

「ウドンゲ」
「はい?」
「私の部屋の西側の押し入れの左側を開けてその中のつづらをどけて
 敷いてあるダンボールも取っ払ったらそこに地下へと続く隠し通路への
 入り口があるからそこに入って東に13歩、北に27歩、更に東に17歩歩くと
 鍵が入った箱があるからその鍵を持って姫の部屋に行き
 姫の後頭部にある鍵穴に鍵を差して反時計回りに回す。
 間違っても時計回りに回しては駄目よ。永遠亭の自爆スイッチが作動するから。
 すると姫の頭が開き中から蓬莱の薬が出てくるからそれを持ってきなさい。」
「・・・。
 ・・・・・・し、師匠!? まさかそれって・・・!!」
「仕方ないのよ・・・早く行きなさい!」
「もう一回言ってください!」
「めんどくさいから嫌。」
「え゙!?」
「仕方ないわね。じゃあこのスペアキーを持って行きなさい」
「いや最初からそれわたせよ!!!」

彼女を助けるにはもはや蓬莱の薬で不死にするしかない。
妖精は宿る物が生きている限り生き続けられる。
この幻想郷の自然が死なない限り変わらぬ姿でいられるのだ。・・・多分。
だから少々不老不死になっても気付かないわ。あはは

「師匠!!」
「早っ」

とそんな考え事をしている間にウドンゲが蓬莱の薬を持って来たようだ。

「ウドンゲ、蓬莱の薬をここに。」
「そ、それが・・・!!」
「それが?」


「賞味期限が切れてます!!!」


必死の治療もむなしく大妖精の心臓は停止してしまった。
既に心肺蘇生も諦めていた私は壁によりかかる。

そこへ一人の女性がやって来た。
彼女の名はレティ・ホワイトロック。
彼女は一枚の子供用のパンツを大妖精の顔に乗せた。

「これでこの子は助かるわ。」
「え・・・?」

次の瞬間私は奇跡の目撃者となる・・・。
yura
コメント



1.名無し妖怪削除
真面目な正確 真面目な性格

賞味期限が切れてたって大丈夫、消費期限が切れてなければ。まあ、見極めは難しいから危険度は増すけどね~♪
2.名無し妖怪削除
>姫の頭が開き中から

何そのメロンパン入れ もしくは 電人ザボー○ー
3.ライス削除
まるでドラクエの村人の台詞が少し長ったらしくなった永琳の台詞が面白かったです。
4.名無し妖怪削除
薬の場合は使用期限では。爆発オチを予想していましたがこれはこれで。