紅い月が支配する夜にやって来たのよ、いつぞやの鴉天狗の新聞記者が。
いつもしつこくネタになる弾幕見せろ見せろって言ってこっちの事はお構いなし、それで仕方ないから相手をしてやる事にしたの。
でも本当は気が乗らないからスペルカードも使わずに蝙蝠化して弾幕ばら撒いてやったわ、どこぞの馬の骨なんてこれで十分。
最初は頑張って避けていたけど自機狙いの弾に気を取られててそのままゆっくり動いてた大玉に当たって撃沈していったわ、ちょろいものね。
これで少しは懲りて来なくなるだろう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
翌日、またあの新聞記者が来たわ、第一声は昨日の繰り返しで弾幕撮らせろの一点張り、全然懲りちゃいない。
だからと言って自分の思い通りになるのは好きでも相手の思い通りになるのは大っ嫌いなのがこのレミリア・スカーレット。
スペルカードなんて使ってやらないよ、昨日見舞ってやった通常弾幕で十分さ。
――っで、意気揚々と相手に向かってかましてやったまでは良かったんだけど昨日より頑張ってくる、少しは学習してきたらしい。
すると弾幕を避け切って背後を一枚撮られたわ。私とした事が、不覚だった。
生意気だったから更に弾幕強化してやって速攻で撃ち落としてやった、一枚撮った程度で満面の笑み浮かべて余裕こいてたからそうなるのよ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日も来やがりました鴉天狗、ほっぺに絆創膏貼って微妙に生々しさを表してるけど気にせずにいつもの要求してきやがった。
アレか? 痛い事とかすぐ忘れる鳥頭かお前は。
仕方ない、ここはその鳥頭でも脳裏に焼き付く程に恐怖の弾幕を食らわしてやる、今夜から一人で眠れなくなると思え。
――なんだか今までに無い位の速度で私の弾を避けてくるんだけど?
しかも当たる確立が上がると言うのに無闇矢鱈と私に向けて突っ込んでくるそれこそまさに目と鼻の先の距離まで。
そんなに近かったら弾幕も撮れないじゃない、何考えてるのよ。
しかも妙に呼吸が荒くてハァハァと生暖かい息が吹き掛かってくる、一体なんなのよ。
あぁもううっとうしい近づくな!
……あ、意外と爽やか匂い。
ってよりシャッター数多! 連続シャッターで秒速10枚は撮ってるって! 弾幕撮ってる時より遥かに枚数多いじゃないの!
何か色々と危険なものを感じ取ったから弾幕無視で天狗の顎を「バットレディニーキック~スカーレットスペシャル~」で突き上げてやった。
そしてこれまた満面の笑みで地面へと落ちて行ったわ、間欠泉よろしく凄まじい勢いの鼻血を噴きながらキリモミ回転しながら。
当然近くに居た私は返り血を浴びて服が紅く染まったわ。
なりたくもないのにスカーレットデビルin鼻血だコンチクショウ。
とりあえずこの服は咲夜に徹底的に洗ってもらおう、染みの一つも残さないようにね。
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案の定やって来たよ天狗が、流石にここまで来ると気味悪い。
こうなったら徹底的よ、今度こそ本気だからね!
スペルカード発動、「紅符『ブラッディマジックスクウェア』」!
対霊夢用に編み出した『ブラド・ツェペシュの呪い』を基礎に作り上げた秘密兵器だ、特別にくれてやるからこの前みたいに私に寄るな触るな来るんじゃない!
――それで今度は避ける所か自分から弾幕に突っ込んで行ったし!?
うわぁ、ナイフ刺さるわ大玉全身に直撃するわ衝撃で服がボロボロになるわで凄い有様……我ながら恐ろしいスペルを作ってしまったわ。
地面に落ちてピクピクと痙攣する天狗のその顔は痛みなんて無さそうな極上の笑顔でいやがった、ええいまるで双○○の半霊みたいに満足そうな顔するんじゃない!
双○○ってなんだよ……自分で言っておいて訳分からないわ。
とりあえずいつも通り咲夜に片付けてもらおう、おーい咲夜ー。
――うん、主の呼び出しに迅速に対処、素晴らしいわそれでこそ瀟洒で完璧よ。
それで早速この天狗をいつもの湖に捨ててきて欲しいんだけど。
……何よ今一瞬の眉毛ハの字にして「えー」とでも言いたそうにポッカリと口開けた間抜け面は?
何、運んでる時が襲われそうで恐い?
そんなの時でも止めて一気に運んじゃいなさい、所詮は鴉よ。
あーもうツベコベ言わずにさっさと運びなさい、さもないとその天狗が復活した後に咲夜はパット着けてるってデマを吹き込むわよ!?
そうそれで良いのよ、いってらっしゃい。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
毎度お馴染み、突撃新聞記者でございます。
ええいしつこいにも程がある、しかもやり口も同じとくる、お前は学習能力は無いのか!?
クソ、昨日のブラマジじゃ力不足だったとでも言うの?
ならとっておき第二弾いってやる!
その名を「紅蝙蝠『ヴァンピリッシュナイト』」!
無数のサーヴァントを駆使して咲夜も真っ青なナイフの雨を相手に見舞う、従者より主の方が上だと知らしめる素敵なスペルよ!
これでも食らって針千本にでもなってしまえ!
――ものの10秒経たずに本当に針千本になりやがった。
恐い、流石にそれ恐いって!
ナイフ全身に刺さってる状態でモゾモゾ動くな、そして「あぁん」なんて艶かしくて震えた声上げるな!
何、もっとだとぉ!?
やらん、これ以上お前なんかにくれてやらん、帰れ、帰ってくれ!
あー! 全身のナイフ抜きながらこっちに這いずってくるな! スプラッターじゃないかそれじゃあ! とにかく出てけ、スカーレットシュート(蹴)!
なんとか窓ガラスから蹴り飛ばしてやったわ……この私に恐怖を与えるなんて……あの鴉は一体なんなのよ?
――あ、咲夜丁度良かったわ、また服が汚れちゃったからこれ洗っておいて、それと絨毯も紅から紅黒い絨毯になってるしこれも交換しておいて。
……また一瞬間抜け面したな?
何よこれ位の事は従者であるあんたがやる事でしょうに。
我侭すぎないかって? 馬鹿言っちゃいけないよ、こちとら支配階級が息づく世代を生き抜いてきたんだ、凄いだろ!
凄くないって? それどころかそれが適用してないここでやってたら馬鹿じゃないかって?
ねぇ、私と貴方の関係を言ってみなさい。
そう、主と従者よ。従者は主を陰から支えて主を立てる関係なの、だから主の後始末も従者がやるのが基本よ、分かったらさっさとやる!
おい今舌打ちしただろ!? 良いのか、私にそんな態度をとって。
今度パッド入りブラを香霖堂で大量入荷してメイド達に咲夜のだぞと嘘言ってばら撒くぞ?
そして職名もメイド長からパッド長に改名してやっても良いんだぞ?
……よし、聞き入れの良い奴は私は大好きだよ、それじゃこの服と絨毯はよろしくね。
あと窓ガラスも取り替えておいて、いつまでも割れたままにしておけないしね。
え、それらを含めて3日掛かるって? 1日で済ませなさい。
――ふぅ、ようやく一騒動終わったわね、疲れたからもう寝るとしよう、館内とは言えいつまでも全裸でいる訳にはいかないし。
ん、ベッドの上に手紙が……一体いつの間に?
えーっと何々、『愛しいレミリア女王様へ貴方のブンブンより』……
燃え尽きてしまえ!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
天狗襲来。
また来たなこのドM鴉め、不死身かお前は!
ってより何で毎回ここまでやってくるのよ?
美鈴はどうした、こんなの侵入者以外の何者でもないじゃない!?
おいそこのメイド、美鈴呼んでこの鴉の相手させろ!
え、迎撃しようとして飛び蹴りかましたら中をスッパ抜かれちゃったから「もうお嫁に行けない」と言って部屋に閉じこもっただぁ?
だからあれ程下着は履いておけって言ったのに……なら咲夜よ、咲夜呼んできなさい!
何、昨日の過重労働が祟って寝込んでる?
まったく、全長50メートルの絨毯取り替えるのと窓ガラス取り替え、服の染み抜きだけでダウンするなんてやぱり人間は使えないな!
やっぱり持つべきはメイドや門番より親友よね、パチェを呼んできてちょうだい。
はぁ、魔理沙との結婚式に間に合わせる為に物質版ロイヤルダイヤモンドリングの精錬する為に鍵掛けて引きこもってる!?
あの二人いつの間にかそんな関係になってたのか、てよりいきなり結婚か。
更に言うと同性じゃないの、そんなので結婚なんて許されるの?
……パチェは実は男だった?
今まで女だと思ってたのに男だったなんてショッキングスカーレット!
……なんだかショック過ぎてそれはどうでも良くなってきたわ、とりあえず今度二人におめでとうと祝福の言葉を掛けるとするわ……
なら最後に頼れるのは肉親しかいないわよね。
フランよ、フラン呼んできて、あの子ならあの不死身のパパラッチも完全に消し飛ばす事が出来るはずよ。
Extraまで進まないと出て来れない?
なんだよExtraって、そんな訳分からないので私を見捨てるつもりかフランは!
良いわよそのつもりなら今度咲夜が焼いてくれるクランベリーパイ独り占めしてあげるからそのつもりでって伝えておけ。
……結局私一人しかいないの、うぅ嫌だなぁ。
なんか両手をニギニギしながらにじり寄ってくるし、捕まったらタダじゃ済まされないと運命が見せてるわ。
こうなったらやけくそよ、奥の手で灰にしてやる!
「鬼神『レミリアストーカー』」、紅き軌道に呑まれるが良いわ!
――何でよ、何で当たらないのよ、なんであの弾幕が避けられるのよ!?
いや違う、致命傷になる弾は避けながら、それでいてクナイ弾とかはしっかり刺さりながら突っ込んでくる!
恐い、恐い恐い恐い、あの天狗が恐くてどうしようもない。
あのボロボロになりながらも満たされた顔で突っ込んでくるのが恐い。
それでも尚物欲しそうに見据えてくる眼が恐い。
駄目だ体が動かない、頭で動けと命令してるのに震えてその場に浮いてるのがやっとだ。
あぁ、遂に天狗が私の両肩を掴んだ。
クナイが刺さって紅く染まった顔の奥でギラギラ光る眼が私の顔を覗いてくる。
ニタリと裂けた口が舌なめずりをしている。
その口から吐き出される荒い息は私の恐怖心を掻き立てるさせる増幅剤だ。
奥歯が震えるてカチカチと音を立てる、視界が涙で滲む、駄目だ恐すぎる。
頼むわ美鈴、もう無理難題や責任押し付けたりしないから。
許して咲夜、今度から私も館の手伝いするから。
お願いパチェ、この前図書館にある本の人物画に落書きして回ったのは謝るから。
ねぇフラン、パイを独り占めするって言うのは嘘だから出てきて。
助けて、もう神様でもなんでも信じるから私を助けてよ、助けてください!
……祈っても誰も来ない、居るのは私と目の前の紅くて黒い鴉の悪魔だけ。
もう終わりだ、私はこいつに成すがままにされてしまうんだ。
こうなるんだったらもっと皆に優しくしておくんだった……ごめんなさい。
そして、紅い鴉の狂喜に満ちた顔がゆっくりと私の顔に近づいてきて、そして――
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
パ「――と言う夢をレミィが見たらしいのよ」
文「なんとも、夢とは言え酷い話ですね。私はそんなMを通り越した変態じゃないですよ……あ、この紅茶美味しいですね」
パ「まったくね、私は女だしあの白黒となんて結婚する気なんて毛頭無いわ。でも何度も突撃取材するのは否定しないのね」
文「諦めず何度でも取材に臨むのが新聞記者です」
パ「そう、運命なのね」
文「そう、運命です」
パ「……なら今貴方が私の目の前に居るのもまた運命って事ね」
文「はぁ、ってよりなんですかその口端を歪ませた何か企んでる様な顔わ、わわ、わ、ひ、ひらが? かららが動はらい?」
パ「さっきの紅茶に即効性の痺れ薬を混ぜておいたの。試作品だから通用するか不安だったけど、効果は抜群だったわね」
文「い、いっらい何ふるふもりれすか」
パ「レミィが夢とは言えそんなものを見てしまうんだもの、もしかしたら天狗には真性のドが付く程のMじゃないのかって興味を持ってたの。そんな熱が冷め止まない内に貴方がノコノコと取材しようと私の書斎にやって来た……まさに鴉が葱を背負ってやって来たって事ね」
文「ひ!? ら、らんれすかその大ひい物ふぁ!?」
パ「貴方の為に用意しておいたものよ、予定より少し大きくなちゃったけど貴方なら大丈夫よ」
文「らめれふ! そんな大ひいのなんふぇ無理れふ、死んりゃいまふ!」
パ「そんな呂律の回らない声で涙目上目遣いだなんて……! これは相当期待できそうね、ふ、ふふふふ……大丈夫、薬の効果は2週間は継続するからタップリ実験してあげる」
文「あ、ああああ……」
パ「それじゃいくわよ、しっかり耐えるのよ」
文「りゃめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
裏プチ創想話ミニ 作品集その6969、「館のパチェの眠れない夜」に続く。
DO☆KO☆DAAAAAAAA!!!!!!111!!!!
現実だったらもっとエキサイティングだったかもです。
でも面白かったです。
な、何だと!?
そしてナイフ刺さっても幼女に愛をささやく姿に共感しそうになったのは俺だけ?
そして二つの下の意見に同意
>裏プチ創想話ミニ
裏プチ創想話ミニへのアクセスの方法は
1・プチ創想話ミニの入り口の上までカーソルを移動させる
2・裏へ行きたいと言う強い思いを指に込める
3・「たすけてゆかりーん」と恥ずかしがらずに叫びながらクリックしましょう
以上の手順を行うと、別ウインドで裏ミニ創想話プチへの入り口が現れます。
尚、何も起きなかったらガッツが足りないと思って諦めましょう。
>美鈴
夢だからなんともないぜ!
>夢オチ
現実だとあまりにエキサイティング過ぎる上に自分のキャラのイメージからもかけ離れてしまっているからこれで勘弁してください…
正夢に成りつつある文さんに
乾杯、