Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

○?●?

2007/07/15 22:16:19
最終更新
サイズ
2.21KB
ページ数
1
 マントで上半身をひっくるめられ、全身を荒縄でぐるぐる巻きにされたリグルを見て、早贄を彷彿とさせたのは映姫だけであろうか。

 そんなリグルを引っ張ってきた魔理沙はにこやかに言う。

「やあ、今日は一つ質問をしにきたんだ」
「その前に無駄な殺生はやめなさいと、ご両親から教わりませんでしたか」
「死んじゃいないぜ」
「そうですね。だから私がそこな蛍を裁くにはまだ早い」
「お前は生きてようが死んでようが親に会えば親を裁き、仏に会えば仏を裁いて歩いているような奴だろうが」
「人を辻斬りのように言わない。六道辻に堕としますよ」
「無駄な殺生はやめようぜ」
「無駄な設問もやめにしましょうか」

 魔理沙はうなずいて、リグルを突き出した。

「こいつを男か女か白黒はっきりさせてほしい」
「わざわざ私に聞かずともマントをひっぺがして確認すればいいでしょう」
「いや、それは良くない」
「公序良俗に反しますか」
「幻想郷にそんなもんあるのか」
「巫女に聞いてごらんなさい」
「ないんだな」
「ないですね」
「ならやはり羞恥心ですか」
「どっちかと言えば好奇心が勝つぜ」
「猫を殺しますよ。あなたはどちらかと言うと鼠ですが」
「そう、猫が死ぬ。半分死ぬ。問題は猫なんだ」
「箱ですか」
「そうなんだよ。私が今この蛍を引ん剥いて股ぐらを目視したとたん、量子的に重ねられたリグルが男だという時空とリグルが女だという時空が収束し、未来は確定する」
「それが白黒はっきりつけるということですよ」
「だがそれは人の罪を裁くことより重いことだぜ。何せ可能性を一つ殺す」
「そうですね」
「箱に詰められた猫が可哀想だろう」
「そうですね。ところで蛍は可哀想ではないのですか」
「蛍だぜ」
「一寸の虫にも五分の魂ですよ」
「それだけじゃないか」
「言われてみればそのとおりですね」
「なんでお前に白黒はっきりつけてほしい」
「同じことでしょう。私が白黒つけたとたん、二つの時空は収束し、未来は確定されますよ」
「いいや、違うね」
「ほう」
「私が観測しない以上、私が観測しているこの世界で未来が確定するという保障はない!」
「中々気を遣いますね」
「なんでもかんでも魔砲で解決する火力バカだと思ってたか?」
「違いますか」
「違わないぜ! 私の魔砲は遍く無理難題物理法則その他諸々なんでもかんでも根こそぎ吹ッ飛ばす!」
「つまりそこの蛍ごと吹き飛ばすから問題そのものがなくなると」
「その通りだぜ」
「じゃあもうそれでいいじゃないですか」
「それもそうだな」

 こうして、悩みに白黒はっきりつけてもらった魔理沙は意気揚々と帰って行ったのであった。
 楽園の閻魔はやはり有能である。
トビきゅんは やっぱり ぇろぃな
































今は反省してます
みづき
コメント



1.名無し妖怪削除
問題が何一つ解決してねぇw

いやはや面白かったですよ。
綺麗なテンポでした。
2.名無し妖怪削除
なんてエレガントな幻想郷(うちゅう)なんだ……!
3.ライス削除
ほんとに問題解決されてませんね。
なのにすがすがしく帰っていった魔理沙は立派です。
でも、意外と、当初の問題なんてじつはどうでもいい問題だったりしますよね。
問題を解決する道を必死に探している最中に、
問題自身を忘れてしまうことはよくありそう、ですね。
4.卯月由羽削除
会話のノリが本家チックでよかったですw
5.名無し妖怪削除
シュレーディンガーの猫ですね。りぐるんの性別は確率で表されるとw