その日魔理沙は散歩をしていた。
(散歩とは何か――)
と、ひとしきり頭を捻る。
捻り続けると、帽子が捩れる。
螺子だ。
螺旋を描く。
うんうん考えていると、それが回り始めた。
機関始動である。
右回転。
開放の動きだ。
金髪を引き連れて、ゆるゆると回る。
つられて、魔理沙も回る。
低く風を切る帽子のつばに遅れて、連動する。
コネクト。
回るのである。
速く回る帽子につられて、魔理沙が回転を速めて行く。
回る。
ぐるぐると。
遠心力が発生する。
スカァトの裾尾がふわりと舞い上がり、すぐにぴんと緊張した。
問題は足元だ。
帽子の軸は一点。
足は二本。
ひょいと右足をあげて、体の軸をひとつにした。
これで回る。
轟々と回る。
空気も回る。
竜巻が生まれる。
竜が魔理沙を巻く。
(散歩とは何か――)
と、魔理沙の回転速度がさらに上がった。
地がつられる。
木がつられる。
ばさばさと風が引き起こす副次的なざわめきが、回転する。
そうして、魔理沙が浮いた。
風が、上へ、と魔理沙を螺旋の軌道にのせる。
土が追い、竜が導き、魔理沙は加速度的に上昇する。
やがて竜を追い越し、エーテルがかわって回転し始めた。
竜の数をはるかにこえる、静寂を性質とする海。
それが渦を魔理沙に作り、錐のように、帽子の先を細めて行く。
やがて月があまたのすがたに砕かれてともに回転し始めた。
おなじように天照が威光を拡散させる。
(そうか――)
ついで星のかいなが待ち望んでいたように魔理沙の回転にあわせる。
ふかい深淵をも回転させる。
そうしてもっともおおきな泡を巻き込み、さらにその外の泡を回転させた。
ぱちりと目を開いた魔理沙が見るのは、
(夢のようなことだ)
そういうわけで、魔理沙は散歩を愉しんできた。
「いやあ、いい汗かいた。霊夢、お茶くれ」
「ああ? 汗でも飲んでなさい」
これにはひまわりぐるぐるゆうかりんも唖然
魔理沙はなんで回っているんだろう、と。
内容は正直言いましてよく分かりませんでした。
しかし何かみょんな雰囲気が漂っていて、面白かったです。
>>「いやあ、いい汗かいた。霊夢、お茶くれ」
「ああ? 汗でも飲んでなさい」
吹き出しました。
汗なのか、と。
しかしX-Y軸の平面上で回転しているだけではそれだけで完結してしまって身も蓋もないので、Z軸つまり進行方向を与えることで無限の回転は螺旋の力へとシフトできるのです。
シモン・ジーハは言いました、「俺たちは一分前の俺たちより進化する 一回転すればほんの少しだが前に進む、それがドリルなんだよ」と。
ドリルは良いですね、漢の子のロマンですね。