Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

“気”を使った技といえば、これ

2007/07/10 12:08:51
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紅 美鈴は霧雨 魔理沙に勝てない。



紅霧異変以降、たびたび紅魔館へと来襲する魔理沙を止めるべく幾度と無く彼女と戦った。
しかし、一度たりとも勝てた例がない。

それはいったい何故か?

回避力の差か?
―――否。確かに魔理沙のスピードに勝るものは幻想郷にもそう多くは無い。
だが美鈴にも身につけた武術による体捌きがある。弾幕を回避することにおいては、決して魔理沙に遅れをとると
いうことは無いだろう。

経験の差か?
―――否。確かに魔理沙は度重なる異変において、その解決のために奔走し様々な敵と渡り合い腕を磨いてきた。
だがそれは美鈴も同じ事。魔理沙の年齢の何倍もの月日に亘り、紅魔館の門を守り続けてきた経験は伊達ではない。

ならば、心構えの差か?
―――否、断じて否。魔理沙の行動原理は自らの好奇心と蒐集欲を満たすためのものに過ぎない。
主の命令と己の誇りに懸けて門を守護する美鈴が、殊この点において遅れをとるはずがない。

こうして挙げてみると分かるが、美鈴は決して魔理沙に劣っているわけではない。
では、どうしてこうまで勝てないのだろうか?



その答えはただ1つ、魔理沙のスペル『マスタースパーク』のせいである。



あのスペルだけはどうすることも出来ない。
避ければいい?
視界の全てを覆い尽くさんとばかりに迫る光の奔流の前で、それは無理な注文だ。
なら耐えろ?
それこそ無茶だ。あれだけの出力の攻撃を受ければ、防御云々以前に瞬時に意識を刈り取られてしまう。
むしろあれを喰らっても生き残り、次の機会には再び魔理沙に立ち向かう美鈴の心身の強靭さを褒めるべきだろう。

そういうわけで『マスタースパーク』ある限り、紅 美鈴は霧雨 魔理沙に勝てない。
だからといって美鈴とて手を拱いているわけにはいかない。いい加減何かの対策を講じなければなるまい。

だが対策といってもどうするか。
ベストなのは魔理沙に『マスタースパーク』を撃たせないことだ。
しかしそんな事は不可能だろう。弾幕ごっこになれば、当然彼女は撃つ。それは咲夜がナイフを投げるかの如く
てゐが嘘を吐くかの如く、神社の賽銭箱か常に空っぽであるかの如く当然のことだ。故に誰にも止められない。
では、予めミニ八卦炉に細工するなりして撃てないようにしておくか?
それでは美鈴が納得できない。そもそも門番はやって来た敵を迎撃するものだ。それをこちらから、しかも小細工を
弄するために出向くなど門番としてのの誇りが許さない。あくまでも正々堂々と魔理沙を迎え撃ち、その上で勝利を
しなければならない。

つまり現状では魔理沙から『マスタースパーク』を切り離す事は出来ない。
ならばどうする?
―――逆に考えればいい。

現状では 魔理沙≒美鈴 であり 魔理沙+マスタースパーク>美鈴 だ。
これを  (魔理沙+マスタースパーク)-マスタースパーク≒美鈴 とするのがベストなのだが、
先程言ったようにそれは不可能だろう。
ならば  魔理沙+マスタースパーク≒美鈴+α とすればどうだろう。
この“+α”、すなわち“『マスタースパーク』と同程度の何か”が美鈴に備われば、きっと魔理沙に勝てるのでは
ないだろうか?





「と、いう訳なんですよパチュリー様。何か参考になりそうな本はありませんか?」
「………なるほどねぇ。珍しい顔が図書館に来たと思ったら、そういう訳だったの」

紅魔館の地下図書館。その“何か”のヒントを探るべく、美鈴はパチュリーを頼ってやって来ていた。

「でも、せっかく来てもらったのに悪いのだけれどここにあるのは魔法書ばかり。魔法使いの役には立っても
 “気”を使って戦う貴方にとって役立つような本は無いのよね」
「何かヒントになりそうなものだけでもいいんですけど。なんとかなりませんか?」
「そうねぇ………貴方が魔理沙を止められるようになるなら、私としても協力してあげたいんだけど………。
 生憎“気”は専門外だし」
「そうですか………すみません、無理なお願いをしてしまって。やっぱり自力で考えてみますよ」

そう言って、図書館を辞そうとする美鈴。それを見送るパチュリー。

「そう、ごめんなさいね。お役に立てなくて………。―――――――――あ、ちょっと待って」

ふと、パチュリーが何かを思い出し美鈴を呼び止める。

「はい?」
「そうだ、あれがあったわ。あれなら何かの参考になるかも。小悪魔、この間入ったあれをもってきて頂戴」
「は~い、かしこまりました~」

どこからともなく返事が聞こえ、パタパタと羽ばたく音がする。

「パチュリーさま、あれとは?」
「この前手に入った外の世界の本よ。詳しいことは見て貰えれば分かると思うわ」

そう言っている間に、小悪魔が本の山を抱えてやって来た。

「お待たせしました~」
「ご苦労様」
「パチュリー様、これがそうなのですか?ずいぶん多いのですが………」
「ええ、外の世界の絵巻物でね。“気”を使った戦いの事が書かれているのよ」
「へぇ、そうなんですか。でも、絵巻物なら私でも読めそうですね。字が多いと眠くなってしまうんで………」
「まったく、まぁ、そんな事だと思ったけどね。取り合えず全部貸してあげるから、ゆっくり読んでみなさい」
「はい、お借りします。どうも、ありがとうございました」
「礼を言うなら、魔理沙に勝ってからにして頂戴」
「は~い、では私はこれで」
「ええ、頑張ってね」



その晩、さっそく美鈴は借りてきた絵巻物を読み始めた。
内容は一言で言えば『ある男の冒険と戦いの物語』であった。はじめは新技の参考程度に、と思っていた美鈴で
あったが次第にその物語に引き込まれていき40巻以上もあるそれを、たったの一晩で読みきってしまった。

「ふぅー」

パタンと最後の巻を閉じ、息を吐く美鈴。結局徹夜になってしまったが、それに見合うだけの面白さだった。
もちろんそれだけではない。
当初の目的どおり、この絵巻物から新たな技のヒントというより新技そのものを得ることが出来たのだ。

「“気”を掌から打ち出す技………。私の今の弾幕と似た原理ですが、これほどの威力の技になるとは………」

それは絵巻物の中において、主人公である男の師から主人公とその仲間達へ、さらには主人公の息子へと受け
継がれていった技。話の初期の頃でさえ放てば山を消し飛ばすほどの威力があり、物語が進むにつれ星すらも
打ち砕く程の威力を発揮したその技なら………

「………これなら『マスタースパーク』にも対抗できそうですね。後はこれを習得するだけです」

そういって、立ち上がるとさっそく技の修行をするためために部屋を出て行く。
その顔は徹夜明けのせいで隈が出来ていたものの、非常に晴れやかでやる気に満ちていた。





数ヵ月後―――紅魔館の門前。
美鈴は魔理沙と対峙していた。油断無く魔理沙を見つめるその顔からは、自信が漲っているのが見て取れる。
そう、彼女は修行を終え、あの技を身につけ、そしてついにそれを披露する時を迎えたのだ。

「どうしたんだよ、今日はなんだかいつもと違う感じじゃないか」
「ええ、あんたに対抗するための新たなスペルカードが先頃完成してね。今日はそれを持ってきたのよ」
「ほほう、どんなスペルだか知らないが、やけに自信たっぷりじゃないか」
「ええ、これならあんたの『マスタースパーク』すら打ち破れるわ」
「………なに?」

これには魔理沙も少々カチンときた。
『マスタースパーク』は魔理沙の代名詞でもあり、彼女が最も信頼するスペルだ。
それを今まで自分に勝ったことの無い美鈴が打ち破ると言った。それも自信ありげに。
魔理沙としてはそれはどうにも気に食わなかった。

「いい度胸じゃないか、ならこいつでその鼻へし折ってやるぜ」

ミニ八卦炉を取り出し美鈴に向ける魔理沙。魔力が八卦炉に満ちる。

「こっちもいくわよ、せいぜい驚きなさい」

腰を落とし、両手を合わせるように腰だめに構える美鈴。向かい合った手と手の間に“気”が満ちる。
 
「(大丈夫、いけるわ。額の龍の字に懸けて、今日こそ魔理沙を倒す!!)」

そう、美鈴の額に輝く星型のプレートに刻まれた“龍”の文字。そしてあの絵巻物の表題にも、言語こそ
違えど“龍”が含まれていた。だからこそ、余計にこの技が気に入ったのかも知れない。
そんな事を考えながら、美鈴はさらに“気”を高めていく。



「………いっくぜぇ~、『マスターーーァスパーーーーーァク』!!!!」

魔理沙の叫びとともにミニ八卦路から魔力が噴出し、光の奔流となって美鈴を襲う。

今まではどうする事も出来なかったこのスペル。だが今の美鈴にはこれに対抗する新たな力がある。
迫りくる光の波を前に美鈴は一歩踏み込み、構えていた両手を突き出し掌を魔理沙に向けその技の名を叫ぶ―――






























「『か、め、○、め、はぁぁーーーーーーーーーぁ!!!!』」

この日、美鈴の新スペル『亀符 かめ○め波』が披露されたものの、またも彼女は魔理沙に敗れた。
美鈴「くそ、なら今度は元○玉よ」



あ、文中の絵巻物は幻想入りしたわけではなく、偶然流れ着いただけです。
くると
コメント



1.名無し妖怪削除
あえて気○斬で
「なに!?グレイズだけで服がーっ!」
「美鈴GJ!!」
2.脇役削除
魔理沙+マスタースパーク≒美鈴+(かめはめ波×界王拳10倍)ぐらいなんだろうな多分  美鈴!目の付け所は間違ってないぞ!
3.名無し妖怪削除
最初からオチが解ってたけどオラわくわくして読めたぞ!
4.名無し妖怪削除
オチはひねって欲しかったわ
5.ライス削除
亀符、という言葉にユーモアを感じました。
「かめはめ波」は予想できていましたけど、
「亀符」は予想できませんでした。
「かめはめ波」だけなら味気ない。
「亀符 -かめはめ波-」というふうに「亀符」が
付属すると途端に東方っぽくなりますね。

しかし、めーりん、どうして負けてしまったんだろう。
まだめーりんの「亀符」は改良の余地がありますな。
面白かったです。
6.名無し削除
究極石〇天驚拳ならきっと勝てる筈…