夏はカラフル

「魔理沙、そろそろ夏だわ。」
「そうだな。そろそろ夏だな。」

霊夢はいつも唐突だ。

「ねぇ、夏と言ったらアレじゃない？」
「アレだけじゃわからない。」
「そうかしら。こう、ノドまで出かかってるんだけど。」
「ノドから出して言ってくれ。霊夢は聞こえても、それじゃ私が聞こえない。」
「ん～。」


なんだか悩んでる様子。
ここは友人として、一発当てて見せるぜ。

「わかった！アレっていうのは、氷の上に甘いシロップがかかっているやつだろ。」
「そうじゃないのよね。白くないのよ。全然。」

白じゃない。
白じゃないとしたら・・・

「それじゃ、緑色でシマシマで、割ると赤くておいしいやつだろ。」
「それでもないわ。赤くもないの。」

赤でもない。
赤じゃないとしたら・・・

「それじゃ、緑色で袋の中に何粒か入っていて、塩をかけて食べるやつだろ。」
「違うわ。やっぱ緑じゃないのよね。」

緑でもない。
緑じゃないとしたら・・・

「それじゃ、黄色くて肉や野菜が入っていて、ご飯にかけてもおいしいやつだろ。」
「それとはまた違うのよね。黄色くないわ。」


黄色でもない。
黄色じゃないとしたら・・・

「それじゃ、ピンク色をした毛むくじゃらの甘くてやわらかいやつだろ。」
「ん～。ピンクとも違うのよ。なんというか、こう。」

ピンクでもない。
ピンクじゃないとしたら・・・

「わかった！竹やぶでつまづく、茶色くて小さいやつだろ。」
「茶色くもないわ。あ～なんだっけ。」

茶色じゃない。
茶色じゃないとしたら・・・

「降参だ霊夢。私の負け。答えを教えてくれ。」
「ん～、そんなこと言われても出てこないわ。ほんと何だったかしら。」

友人は、首をかしげている。
そんなに傾けたって、ひょっとこじゃあるまいし・・・。

「あ！思い出した！」
「お！思い出したか。さぁさぁ、答えを教えてくれ。待ちくたびれた。」

「アイスクリンよ！アイスクリン！」
「は？さっき白くないって言ってたぜ。アレは嘘だったのか？」
「嘘じゃないわ。アイスクリンはクリーム色でしょ？白じゃないわ」
「白もクリーム色も遠くからみたら姉妹みたいなものだぜ。」
「そんなことないわ。それなら白もベージュも兄弟じゃない。」
「そんなもんか？」
「ええ、そんなものよ。」

「なぁ、霊夢。」
「なに？魔理沙。」

「そろそろ夏だな。」
「ええ、そろそろ夏ね。」

「なぁ、白って、何色だ？」
「そんなこともわからないの？赤でも黒でもない色のことを言うのよ。」

「じゃあ、魔理沙。恋色って何色？」
「そんなこともわからないのか？青でも赤でもない色のことを言うんだぜ。」