*「小話 とある妖精メイドの会話」を先に読んでおくと11×10の-1乗倍くらいには面白くなったりならなかったり。あと、少しだけ新作ネタあり。
あらすじ
れみりゃが七夕したいとだだこねたので、さっきゅんは竹林から笹を盗ってきました。
そのあとなんやかんやでてんやわんやのお祭りに。
「ふう、騒がしかったわね、咲夜」
「そうでしたね」
「その猫耳、なかなかよく似合ってるわよ」
「お嬢様こそ、鼻メガネがよくお似合いで」
「ありがとう。これを見て笑わずに褒めてくれたのはあなただけよ」
「ありがたきお言葉」
「……今のは皮肉よ」
「承知しています」
「……まあいいわ。さて、私たちだけになったことだし、皆が書いた短冊でも見てやりましょうか」
「そうですね。……ええと、『世界中の本を読み尽くしたい パチュリー』」
「パチェらしいわね」
「ですね。『世界中の美味しいものを食べ尽くしたい 幽々子』」
「あの亡霊らしいわね。というか、本当に叶いそうだから怖いわ」
「同感です。『お前のものは私のもの 私のものは私のもの 魔理沙』」
「願いですらないわね。それ以前に明らかに天に向けて言ってないわよね」
「おそらくターゲットはパチュリー様かと。ご愁傷様です。『蟲の千年帝国を建立したい リグル』」
「ゴシカァン」
「お嬢様が潰すようです。『人形の千年帝国を建立したい メディスン』」
「ゴシカァン」
「あきらめてください。『名前で呼んでください 鈴仙』」
「それも本名じゃないくせに」
「気付いてないあたり痛いですね。『名前で呼んでください 中国』」
「以下同文」
「以下同文。『食べないでください ミスティア』」
「無理ね。アイデンティティが失われるわ」
「そうなんですか?『食べないでください 穣子』」
「誰?」
「さあ?『同情するなら金をくれ 霊夢』」
「別に同情もしてないわよね」
「もちろんです。『賽銭よこせ 霊夢』」
「願い事というか要求ね」
「願いには違わないと思います。『賽銭くれ賽銭くれ賽銭くれ賽銭くれ賽銭くれ……』」
「もういいわ咲夜」
「かしこまりました。『洗濯だけでなく掃除などもさせてほしい エリー』」
「あの妖精ワーカーホリックなんじゃない?」
「そうとしか思えません。今度薬師に薬をもらいましょう。『EXボスになりたい アニス』」
「せいぜいルナ二面中ボス止まりね」
「十分強いと思います。『友達が欲しい アリス』」
「駄目だわ。友達に囲まれる運命がどこにもない」
「残念ですがあきらめてください。『シャンハーイ 上海』」
「次」
「はい。『あたいほぼかじゃない さるの』」
「馬鹿ね。というか願い事って言葉の意味わかってるのかしら」
「間違いなくわかってないでしょう。『そーなのかー ルーミア』」
「どうしようもないわね」
「理解の範疇を超えています。『私たちの演奏が幻想郷だけでなく外にも広がりますように プリズムリバー三姉妹』」
「危険だからやめておきなさい」
「まさにポルターガイストにしか思われませんしね。『早く一人前になりたい 妖夢』」
「人側が半分しかないのに?」
「それはひどいと思いますが的を得ているので何も言い返せません。『一年中冬にしてほしい レティ』」
「待って。夏なのにどうやってここに来たの」
「謎です。『いちねんじゅうはるにしてほしい リリー』
「だからこの妖精もどうやって来たの」
「わかりません。『輝夜死ね 妹紅』」
「無理ね」
「ですね。『妹紅死ね 輝夜』」
「だから無理」
「一生殺しあえばいいと思います。『永遠の18歳であれますように 紫』」
「誰もから『年増』と呼ばれるように運命を変えておいたわ」
「流石ですお嬢様。『橙が永遠に私のものでありますように 藍』」
「黒猫が一人旅にでるように修正しといたわ」
「お見事ですお嬢様。『ゆかりさまとらんさまとずっといっしょにいたい ちぇん』
「年増以外の運命は戻しておいてあげたわ」
「お優しいですねお嬢様。『幸運が欲しい方は永遠亭まで てゐ』」
「誰かの目につく前に燃やしなさい」
「もう手遅れかもしれませんがそのように。……あ」
「何? ……あら、それあなたの?」
「そ、そうですけど」
「……えい」
「ああ駄目です! 取らないでください! 見ないでください!」
「えーとなになに……『胸が欲s「ザ・ワールド!!」ぐはぁっ!? ……さ、咲夜ぁ……」
「申し訳ありませんお嬢様。ですが……」
「わかったわよ……。もうあれには二度と触れない。それでいい?」
「お願いします。さて、気を取り直して……『早く外に出せバカ姉 フランドール』」
「あら、書かせたの?」
「ええ。せっかくだからということで」
「そう。こんなことを言ってるうちはまだまだ出してやれないわね」
「そうですか。『早くフランを外に出せるようにしてやりたい レミリア』」
「あ…………」
「…………」
「…………」
「…………お嬢様」
「…………………何よ、悪い?」
「……いえ、とてもいいことでございます、お嬢様」
「……何にやにやしてるのよ」
「いえ、別に?」
「ああもう!……やっぱり夜は冷えるわね。咲夜、館に戻るわよ!」
「ふふ……はい、わかりました」