どんとっとっと、どんとっとっと

最近暑くなってきた
そう思った私、蓬莱山輝夜は涼しくなる道具を探しに香霖堂にやってきました。

「ご免下さい～」
ガチャ
扉を開けると中ではリリー・Ｗが店番をしていた。
「春は過ぎたはずだけど…ひょっとしてバイト？」
「～～♪」
コクリと頷く春妖精。
「まぁいいわ、ところで最近暑くなったじゃない？」
コクコクと二度頷く。
喋らないのか。
「それでね、何か涼しくなる物が欲しいのよ」
コクリ
「でもまぁ涼しくなる三カ条、ってあってね」
んー？
「まずは、見た感じの涼やかさと、触れた感じの冷たさと…」
コクリ
「もういいでしょ、二つあれば、早く持ってきて！」
！？
「早くしてねー時間は…あるけど」
ダダダッ
リリーは奥へと引っ込んでいった。
「本当に大丈夫かしらね、それに店主はどこへ行ったんだろ…」
そんなことを思っているうちにリリーが店先に帰ってきた。
バッ！
「そうそう、これ着てね…こうやって」

「この赤い糸を解けばいい…そうすれば私と正式に契約したこととなる…怨みの相手は速やかに地獄に流されることとなる」
…ゴクッ
「怨みを晴らした後、あなた自身も代償を払ってもらう」
！？
「人を呪わば…っていつまでやらせんのよ！！！」
！？！
「確かに涼しくなるかもしれないけど！！閻魔なら小さくてしっかりしたのが居るじゃない！」


クシュン！
「あれ？四季様、夏風邪ですか？」
「…多分違います」
「何か泣きそうになってません？」
「今どこかで一番言われたくない人に小さいって言われたような気が…」
「疲れてるんですかね？」
「…あなたがもう少し働いてくれたら、気疲れしなくて済むんですが」
「行ってきまーす！」


「もういい！！こっちから指定するわ！」
コクリ
「そうね…夏の定番、西瓜を持ってきて西瓜よ？」
コクリ　ダダダッ
「落ち着いていかないと転ぶわよー」

「でも冷静に考えると、店主の西瓜を勝手に持ってくことになるのよね、いいのかしら？」
バッ
「…ヒック、お一つド～ゾ」
「やると思ったわ！」
！？
「西瓜って単語が出た時点でこれ読んでる人の大半が予想出来てるのよ！！」
「何をカリカリしてんの～？」
「もういいから、手のそれと一緒にそいつを持って帰んなさい！！」
コクリ
「そ、そんなに引っ張らないでよ～、もーげーるー」
ぐいぐい
「何で香霖堂で霊夢が酒盛りしてんのよ…しかも酢イカ持って」

ダダダッ
「あ、ねぇひょっとして店主も酒盛りしてるってことない？」
ぶんぶんと首を横に振る
「ホントに大丈夫かしら？ここ…」
んー…
「まぁいいわ、次！風鈴なんかあるかしら？」
コクリ
駆け出そうとするリリー
「ちょっと待って！」
クルッ
「まず、間違っても門番やウチの天才従者とか連れてきたら駄目よ？」
ギクッ
「図星かしら？」
ぶんぶん
「……あと、涼しげなのをお願いね、ああいうのって風流が大事だから」
コクリ　ダダダッ
「流石に今度は大丈夫でしょう、そういうの売ってそうなお店だし」
バッ
「あ、どうも姫様～」
「あら、また妙なところで会ったわね」
「はは、行商ついでに寄ったら酒盛りに誘われまして…」
「まぁ羽根を伸ばすのも大事だから…永琳には黙っておいてあげる」
「ありがとうございます～」
そんな会話を横でニコニコしながら聞くリリー
「…ところで、イナバ」
「はい？」
「あなたはうどんげよね」
「出来たら鈴仙と呼んで下さい」
「『鈴』仙…うどんげ…」
ニコニコ
「私が言ったのは涼しげな鈴」
コクリ
「あなたが持ってきたのはうどんげな『鈴』仙」
コクリ
「わん・つー・すりー・ふぉー…うどんげやん！！」
ビシッとポーズを決めるリリーと鈴仙
「合わせなくていいのよ！！！突っ込むにも苦しすぎるのよ！！」
！？！
「もういい！！着るもの持ってきて！！」
コクリ　ダダダッ
「全く…」
「姫様？ところで何を買いにいらっしゃったんですか？」
「ああ、暑いから涼しくなりそうなものが欲しかったのよ」

バッ！
「そうそう、これを着てね、コレ持って…イナバも手伝って！」
「え？あ、はいはい」

「闇に惑いし哀れな影よ、人を傷つけ貶めて、罪に溺れし業の魂…」

「…ホンマにいっぺん死んでみるか？」
！？！
「確かに着るもの要求したけど！！最初に一回やったじゃない！！」
コクリ
「オチに持ってくるには弱すぎる！」
コクリ
「それに、私がコレだったら三藁の配役が微妙なのよ！！」
（その内一人が私なんだろうなぁ）

「もういい！！帰る！！」
ガチャ！
バンッ！！
「…あらまぁ」
ぽりぽり…


終わらせて

暑くなりましたね。
元ネタが　分かった人は　幸いです。　（五七五）
どっかで被って無いかが心配。