Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

For you

2007/06/21 07:13:23
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「ああ・・・退屈だわ・・・何かおもしろいことないかしらね」

花畑の中心、特徴的な日傘をさす女性が一人、名前は風見幽香、これでもれっきとした妖怪である

「いろんな季節の花が咲いていたあの事件、巫女が解決してしまったみたいだし・・・
 すごく綺麗だったわ・・・別にあのままでもよかったのに・・・」

などとぶつぶつ言っていると近くに気配がした。

「あら?こんなところに誰かくるなんて珍しいわね・・・」

幽香が気配のする方向へ歩いていくと一人の女性が花を見ていた

「こんなところに何のようかしら?」

笑顔で軽いことを言いつつも、人間のみならずそこらの妖怪程度では逃げ出してしまうほどの妖気を放ってみせる

「ああ、こんなところに人・・・いや妖怪がいたのか」

と、その女性は顔色一つ変えずに返してくる

「なんだ、つまらない反応ね・・・あなた何者?」

「おっと自己紹介が遅れてしまったな、名前は上白沢慧音という、近くの村に住んでいる、一応・・・人間だ」

「一応・・・ね、何か答えになってないような気がするのだけれど・・・まあいいわ、私は風見幽香よ」

幽香も馬鹿ではない、慧音の正体には薄々感づいている

「それにしても綺麗な花畑だな、ついつい見入ってしまったよ」

「それはありがとう」

「ああ、私は買い出しにいった帰りにちょっと寄っただけなんだ、この辺で失礼するよ」



そして数日後・・・

「なーに?また来たの?あなたも物好きね」

「すまない、子供達に聞かせたら見てみたいときかなくてね・・・連れてきたんだ」

「別にいいけど、荒らさないでね、それにしてもあなた本当に物好きね・・・
 なんで人間なんかと一緒に暮らしているの?理解に苦しむわ」

そう言われると少し困ったような顔で苦笑する慧音

「例えば・・・そうだな、あなたがこの花達を荒らされたらどうする?」

「もちろんただじゃ済まさないわ」

「だろう?私にはそれが人間だった・・・それだけのことさ」

・・・という他愛もない会話をしていると幽香のもとに少女が駆け寄ってくる

「ねえねえ!このいっぱいのお花おねーちゃんが全部育てたの?」

「まあ・・・そのようなものね」

少女は幽香が妖怪だとは知らないようである

「へー!すごいねー!すっごく綺麗!」

「あなた・・・花は好き?」

「うん!だーい好き!すごく綺麗だし、見てると元気が出てくるような気がするの!」

「そう・・・それじゃあ・・・」

そういうと幽香の掌に花の種が現れたかと思いきや凄い勢いで育ち、瞬く間に花が咲いてしまった

「うわー!すごく綺麗なヒマワリ!」

少女はその光景を不思議に思うというより花が咲いたという事実にのみ夢中になってしまっている

「このヒマワリをあなたにあげるわ」

「ええ!?いいの!?ありがとうおねーちゃん!わーい!やったー」

「大事にするのよ?」

「うん!約束するー!一生大事にするね!」

その二人のやりとりを微笑ましくみていた慧音が口を開く

「どうだ?たまにはこういうのもいいものだろう?」

「ええ、そうね、悪くはないわ」



それから幾年月が流れ・・・場所は変わって村の入り口で

「久しぶりね、慧音」

「おや?幽香じゃないか久しぶりだな、どうしたんだ突然?」

「暇だったので散歩でも・・・と思ってね」

などと会話をしつつ回りを見渡すと・・・

「それにしてもなかなかのヒマワリいっぱいの花畑ね」

「だろう?あの時の少女がずっと大切にしてた結果だよ」

「それはそうと慧音・・・あなた歴史を食べちゃったり、作れたりできる能力を持っているのだそうね
 こうなったのもあなたの力によるものなのかしら?

「まさか、そういうことに使う力じゃないよ、それに・・・」

「それに?」

「この力はそうそう簡単に使わないようにしてるんだ、そのほうがいいと思ってる」

「ふーん・・・まあいいわ、それにしても脆弱な人間のくせによくこんなに花畑を作れたものね」

「何をいってるんだ、あの少女が約束を守って一生懸命育てようと思った意思の強さ、そしてやさしさ、
 そういう心の強さが人間の強さだ、そう思わないか?」

「そうね・・・今なら・・・そう思えなくもないわね、そういうことにしといてあげましょうか」

「素直じゃないな・・・全く・・・」

このひまわり畑は歴史に刻まれることになるほどの綺麗な花畑となった。
その発端に二人の妖怪が関わっていたということは誰も知らない

おしまい
初投稿です、スーと申します、よろしくお願いします。
絵板に投稿されたGIROさんの幽香がヒマワリを渡す絵が元となっています。
もともとこういうのは書くほうではないので
読みにくかったり文面おかしかったりは多少目をつぶってもらえれば幸いですw
以前から書きたいとは思ってはいたのですがなかなか踏みきれなかったところに例の絵を拝見して
書きたいという衝動をおさえきれずこういった形でアップさせてもらう運びに。
絵を見た瞬間にこういうような会話なんだろうなと思いながら書いていきました。
この2人は好きなものが傷つけられるのを黙ってられないという意味では共通してるんじゃないかと思います。
こんなの幽香じゃない!って人にはごめんなさい。
そしていきなり題材にさせてもらったGIROさんに多大な感謝&謝罪を。
ここでまたお会い出来る日を待ちつつ・・・それではー ノシ
スー
コメント



1.名無し妖怪削除
こういうのけっこう好きです。
でも二次創作としても特に接点のない二人なので、
幽香よりも最初の接触の慧音がむしろ違和感でした。とはいえ、
>「ええ、そうね、悪くはないわ」
です。あなたのSSがまた読めることを期待してます。