永夜異変以降、私こと八意永琳は幻想郷をあちこち出歩くようになった。
その目的は、往診であったり薬の材料採集であったり、はたまたただの買い物であったりといろいろだ。
それまでも全く外出しないというわけではなかったが、常に月の追っ手の存在を気に掛けてのものであったので
今の様に気楽に自由に出歩けると状況というのは、私にとっては新鮮な事であった。
しかし、そう良い事ばかりではない。
生活状況が変わると新たな問題も出てくるものである。
特に私の頭を悩ませていたのが、外出時の私の荷物の多さである。
今から私が外出の際持っていく荷物を書き出してみよう。
1.弓・・・・・言わずと知れた私の武器。ただ矢を射るだけでなく、スペルカードの媒介にも使用する。
月の追っ手が来る心配は無いとはいえ、丸腰でうろつくには幻想郷は少々危険なので持ち歩いている。
2.矢・・・・・弓とセット。予備も含めてそれなりの本数を用意。
3.薬箱・・・・私の商売道具。基本的な薬と簡易な調剤用の器具が収められている。
往診以外でも持っていくが、これは出掛けた先で急患に遭遇しないとも限らないので念のためだ。
ちなみに姫からのプレゼントで中味が永遠に変質しないという優れモノ。
貰った時は嬉しくて、しばらく抱いて寝ていた。
4.鞄・・・・・ちょっとした医療器具が入っているので、薬箱とセットとも言えるかもしれない。
それ以外の私物も入れている。
財布とか、化粧道具とか、おやつのお饅頭とか、姫写真集ベスト版(自費出版)とか………。
5.採集かご・・採集した薬の材料を入れておくための籠。出先で何か珍しい材料があった時に備えて。
鞄と別なのは、毒がある物があった場合に他の物と混ざらない様にするため。
以上のものが基本的に常に持ち歩いている、いつもの荷物である。
さらに出掛ける先や、目的によっては以下のものが加わる場合もある。
A.買い物かご・・買物が目的の場合、または帰りがけに買い物をして帰るつもりである場合に。
なお幻想郷にビニール袋など無いので、買物の際はマイバッグを忘れずに。エコロジー。
B.おみやげ・・・宴会に呼ばれたりした時には必要となる。みんなにお酒、巫女に米。
C.カメラ・・・・主に、藤原妹紅の所へ出掛けた姫を迎えに行くときに持参。
戦いの後の焦げたり破れたりした服から覗くチラリズムとかポロリを密かに激写するためのもの。
鼻栓と止血剤付き。
………こんなところだろうか。
あとは状況によって薬箱や鞄の中身が代わったり、採集かごが大きくなったりする程度だ。
それでも、改めて見るとかなりの大荷物だ。
これでもかなり考え抜いて厳選(数千冊の写真集をベスト版に編集したり)したつもりなのだが………。
流石の私でもこれだけの荷物を持って歩いたり飛んだりは、少々きつい。
そもそも折角自由に外出できる環境になったのに、外出という行為自体が不自由になってしまっては
本末転倒な気がする。
そこで私は新しい技を編み出した。
それが“八意式収納術”だ。
簡単に説明すると、この技は自らの身体にある宇宙を利用して作り出した空間に荷物を収納する、というものだ。
これにより荷物の問題を解決した私は今日も外出の準備をしていた。
一通りの荷物を用意し、いざ術を行使しようとしたところで部屋の入り口からこちらを覗く赤い瞳に気付く。
「…ウドンゲ?」
「え!?わ!!あ、その…え~と………」
そこにいたのは私の弟子のウドンゲだった。
相変わらずオタオタしている気がするが、今度は一体何をしているのやら。
「何こそこそしてるのよ、入ってきたら?」
「…はい、では失礼します」
「それで、どうしたの?私は今からちょっと材料採集に行こうと思ってるんだけど…一緒に来る?」
「あ、はい、お供します。…いや違う、そうじゃなくて…いえ、お供はするんですが………」
「?」
「あの、師匠お聞きしたい事があるんですが、いいでしょうか?」
「なぁに?」
「師匠は最近、荷物を簡単に持ち運ぶ為の新しい術を開発されたそうですが?」
「ああ、あれのことね」
「ええ、それでその術がどんな物だか気になりまして…。
あと、もし私にも使えるようなら教えていただきたいなぁ、とか思ったんですが………。
掃除とかお使いとかに便利そうですし」
と、じっとこちらを見つめてくる。
私はその目を見つめ返すと視線を少し下にずらす。
ふむ………………。
「う~ん、残念だけどまだ無理ね」
「そうですかぁ………」
「でも、そのうち使えるようになるかも知れないわ。ま、気長に待ちなさい」
「はぁ…?待ってれば使えるものなんですか?」
「それは当人の素質次第ね」
「う~ん。あ、じゃあせめてどんな術か見せて下さいよ。
そうすれば自分にも出来るかどうか、なんとなく分かると思いますし」
「いいわよ」
そう返すと私はまず上着の留め具の1番上を外す。
「………あの、師匠?一体何を………?」
きょとんとした顔をしているウドンゲを無視し、さらに2番目と3番目の留め具も外す。
「え!?あ、あぅあぅあ~」
そこまで外すと、襟を広げ胸元を露にする。
「えと、師匠のお気持ちは嬉しいのですが、いきなりそんな………」
そして先程用意しておいたいつもの荷物と、目の前でブツブツ言いいながら身体をくねらせている弟子を掴み
「よいしょ、っと」
そのまま胸の谷間に突っ込むと、服を戻し部屋を後にした。
とか言ってそうだな。
密林では売ってませんでした。出来れば永遠亭の連絡先を……。
きっとそれが余計だww
きっと妹紅も撮っているに違いない。そして求めている人に売りさばくんだ。
そうに違いない。
でも姫も写っているやつは保管しているに違いない。
それを 収納するだなんて とんでもない!
是非一冊所望したいであります。
いろんな人ができそうだなと思った。
主人公はできないなと思った。
なんか可愛いなぁ、これ。
わたくしめにも、一冊
何点か気になる物があったのは
気のせい??でしょうか???