「うーん。さっぱりするなー」
夏も近い昨今です。
ぼくらのアイドル、リグルきゅんは今夜も小川で水浴びをしていました。
ああ、そこの人。彼女の股間や胸が気になるようですね。大丈夫、貴方の幻想がぼくらの幻想郷。つまりそういうことですよ。わざわざ気にする必要なんかないのです。
おや、こんな夜中だというのに鳥の羽ばたきが聞こえてきましたね。
フクロウでしょうか。夜の王ですね。
まあでもそんな大した方じゃないみたいですね。歌声の方がよく聞こえますから。
夜雀のようです。
配下の蛍たちに囲まれて、惜しみなくその細い裸身を晒していたリグルきゅんの顔が真っ青になりました。
慌てて川辺に脱ぎ捨てた服をかき集めています。
どうしたのでしょうか。
「ほーたーるーのひーかぁーりぃー♪」
(――見つけられている!!)
察したリグルきゅんは着るものも着ないまま、飛び立とうとしました。
そこにまあ、アレですね。
「鷹符! イルスタードダイブ!」
「ぎゃああああああああああああああああ」
嗚呼……リグルきゅんが……。
「今日のごはんはー♪ ほたるの煮付けー♪」
愚かな人間の私にはそれが美味しいのかどうかわかりませんが、まあ虫は鳥の好物です。
特に、弱っちぃ雀にとって虫は大層美味しいご馳走なんでしょうね。
まあ幸いスペルカード対戦では命までは取られません。リグルきゅんは一応、無事なようです。
さて、リグルきゅんのお仲間を大量に抱えたぼくらのアイドル、みすちーたんはご機嫌で空を飛んでいました。
「八目うなぎにー♪ ほたるの天ぷらー♪」
……もちろん! それでも私は夜雀の屋台には行きますよ。出されても。ええ。
ところで幸せそうに家路へと向かうみすちーたんですが、彼女を追い光があることにお気付きでしょうか。
双子の小さなその光はみすちーたんに気付かれないよう、地上を這って慎重に接近して行きます。
そのお手並みたるや、野生そのもの。我々人間では眼に追うのもやっとですね。
おや、双子の光は木に登ったようです。
枝葉の中に紛れ込んだようですね。こうなると全く動向がわかりゃしません。
あ、でもなんか梢の隙間から出ましたね。
これは、尻尾でしょうか。
二本ありますね。
ちょろちょろ先っぽだけが動いてます。可愛いですね。
「今日のーごはんはー♪」
「お前だあああああ!!」
がぶっ
あ。
みすちーたん、墜落しましたね。
どうなったんでしょう。無事でしょうか。
ああ、飛び立ちましたね。無事なようです。一応。
羽根ごっそり持ってかれてますけど。ほうほうの体ってやつですね。
あと、配下に連れていた使い魔の鳥たちが数羽、いなくなってますね。
どうなったんでしょう。
「大漁ー大漁ー」
鳥を口に咥えたまま、器用にそのネコ耳少女は呟きました。
橙ですね。まあ猫は夜行性です。夜雀なんか、そりゃあもう格好の獲物でしょうねぇ。
しっかり毛づくろいをして夜雀の羽根を落とした橙はスキップしそうな勢いで夜道を歩きます。
「藍さまにーおすそわけー♪」
ご主人想いな式の式ですね。
ちなみに私ん家にも猫はいますが、退治したゴキブリ見せにこんでいいよ。
「藍さま喜んでくれるかなー……ん?」
おや。
橙の視線が小川に向かいます。
そうです。リグルきゅんが水浴びしていた小川です。
リグルきゅんは夜雀にやられた傷を、小川のそばで治療している真っ最中でした。
もちろん、手負いの獲物を見つけて襲わないという道理が猫にあるはずがありません。
たとえお腹が減って無くてもとりあえず襲っておくもんです。猫ってそういう生き物です。
化け猫でもある以上、橙もそのサガからは逃れられません。
リグルきゅんに近付かれないよう、草むらに隠れてじりじり距離を詰めます。
「今夜はいやな夜になりそうだなー……」
リグルきゅんが呟いた、そのとき。
「シャアアアッ!」
「げっ」
慌ててリグルきゅんは、川の中に飛び込みました。
まあ、蛍は水棲ですからね。
たまらないのは、橙の方です。
前足……もとい腕が空振り、バランスを崩して勢い余り、川の中に……
どぼーんっ、と、まあ。
嗚呼……幻想郷に猫の悲鳴が……。
このように、幻想郷にも三すくみというものがあります。
カエルはヘビに負け、ヘビはナメクジに負け、ナメクジはカエルに負けるのです。
同じように幻想郷においても蛍は鳥に負け、鳥は猫に負け、猫は蛍に負けるのです。
いやぁ、どこの世の中も、上手く行ってるもんですね。
夏も近い昨今です。
ぼくらのアイドル、リグルきゅんは今夜も小川で水浴びをしていました。
ああ、そこの人。彼女の股間や胸が気になるようですね。大丈夫、貴方の幻想がぼくらの幻想郷。つまりそういうことですよ。わざわざ気にする必要なんかないのです。
おや、こんな夜中だというのに鳥の羽ばたきが聞こえてきましたね。
フクロウでしょうか。夜の王ですね。
まあでもそんな大した方じゃないみたいですね。歌声の方がよく聞こえますから。
夜雀のようです。
配下の蛍たちに囲まれて、惜しみなくその細い裸身を晒していたリグルきゅんの顔が真っ青になりました。
慌てて川辺に脱ぎ捨てた服をかき集めています。
どうしたのでしょうか。
「ほーたーるーのひーかぁーりぃー♪」
(――見つけられている!!)
察したリグルきゅんは着るものも着ないまま、飛び立とうとしました。
そこにまあ、アレですね。
「鷹符! イルスタードダイブ!」
「ぎゃああああああああああああああああ」
嗚呼……リグルきゅんが……。
「今日のごはんはー♪ ほたるの煮付けー♪」
愚かな人間の私にはそれが美味しいのかどうかわかりませんが、まあ虫は鳥の好物です。
特に、弱っちぃ雀にとって虫は大層美味しいご馳走なんでしょうね。
まあ幸いスペルカード対戦では命までは取られません。リグルきゅんは一応、無事なようです。
さて、リグルきゅんのお仲間を大量に抱えたぼくらのアイドル、みすちーたんはご機嫌で空を飛んでいました。
「八目うなぎにー♪ ほたるの天ぷらー♪」
……もちろん! それでも私は夜雀の屋台には行きますよ。出されても。ええ。
ところで幸せそうに家路へと向かうみすちーたんですが、彼女を追い光があることにお気付きでしょうか。
双子の小さなその光はみすちーたんに気付かれないよう、地上を這って慎重に接近して行きます。
そのお手並みたるや、野生そのもの。我々人間では眼に追うのもやっとですね。
おや、双子の光は木に登ったようです。
枝葉の中に紛れ込んだようですね。こうなると全く動向がわかりゃしません。
あ、でもなんか梢の隙間から出ましたね。
これは、尻尾でしょうか。
二本ありますね。
ちょろちょろ先っぽだけが動いてます。可愛いですね。
「今日のーごはんはー♪」
「お前だあああああ!!」
がぶっ
あ。
みすちーたん、墜落しましたね。
どうなったんでしょう。無事でしょうか。
ああ、飛び立ちましたね。無事なようです。一応。
羽根ごっそり持ってかれてますけど。ほうほうの体ってやつですね。
あと、配下に連れていた使い魔の鳥たちが数羽、いなくなってますね。
どうなったんでしょう。
「大漁ー大漁ー」
鳥を口に咥えたまま、器用にそのネコ耳少女は呟きました。
橙ですね。まあ猫は夜行性です。夜雀なんか、そりゃあもう格好の獲物でしょうねぇ。
しっかり毛づくろいをして夜雀の羽根を落とした橙はスキップしそうな勢いで夜道を歩きます。
「藍さまにーおすそわけー♪」
ご主人想いな式の式ですね。
ちなみに私ん家にも猫はいますが、退治したゴキブリ見せにこんでいいよ。
「藍さま喜んでくれるかなー……ん?」
おや。
橙の視線が小川に向かいます。
そうです。リグルきゅんが水浴びしていた小川です。
リグルきゅんは夜雀にやられた傷を、小川のそばで治療している真っ最中でした。
もちろん、手負いの獲物を見つけて襲わないという道理が猫にあるはずがありません。
たとえお腹が減って無くてもとりあえず襲っておくもんです。猫ってそういう生き物です。
化け猫でもある以上、橙もそのサガからは逃れられません。
リグルきゅんに近付かれないよう、草むらに隠れてじりじり距離を詰めます。
「今夜はいやな夜になりそうだなー……」
リグルきゅんが呟いた、そのとき。
「シャアアアッ!」
「げっ」
慌ててリグルきゅんは、川の中に飛び込みました。
まあ、蛍は水棲ですからね。
たまらないのは、橙の方です。
前足……もとい腕が空振り、バランスを崩して勢い余り、川の中に……
どぼーんっ、と、まあ。
嗚呼……幻想郷に猫の悲鳴が……。
このように、幻想郷にも三すくみというものがあります。
カエルはヘビに負け、ヘビはナメクジに負け、ナメクジはカエルに負けるのです。
同じように幻想郷においても蛍は鳥に負け、鳥は猫に負け、猫は蛍に負けるのです。
いやぁ、どこの世の中も、上手く行ってるもんですね。
そして亡霊にはかなわない
てかゆゆさまスタッフだったのかー。