♪~♪~♪~
目覚し時計の音が鳴り響く。
ここは幻想郷の某所に建つとあるお屋敷。
「…ん」
♪~♪~♪…メルポ
ガッ
そして布団から手を伸ばし、目覚ましを止めた私はこの屋敷の“主”に仕える従者である。
私の起床は早い。
やはり従者である以上は“主”より遅く目覚めるなどもっての外、もちろん就寝時も主が眠りにつくのを見届けてから眠る。
よって私の睡眠時間はかなり短いものになっている。
が、そんなことは私の能力をもってすれば些細な問題に過ぎない。
今日も私は自らの能力を駆使し、快適な目覚めを迎えた。
目を覚ました私は寝巻きを脱ぐといつもの服に着替え、顔を洗いに行く。
「ふぅ………」
冷たい水で顔を洗いスッキリとしたところで続いて髪を整える。
自分でも気に入っている銀髪を編み込み、最後に顔に薄く化粧を施し準備は万端。
………おっと、<アレ>を忘れていた。
<アレ>は私の服とセットになった頭飾であり、私の職業のシンボルともいえる。忘れるわけにはいかない。
<アレ>を頭に載せ今度こそ準備万端。
まずは“主”を起こさねばならない。
ハッキリ言って“主”の寝起きはとんでもなく悪いので起こすのは一苦労だ。
しかし、この朝のひとときは私の1日の活力元でもある。決して外せない。
“主”の寝所の前に辿りつくと、まだ眠っているのは分かっているがそれでもノックを欠かさず中へと入る。
そのまま布団の枕元に静に近づき、声をかけ………………ない。
ただじっと“主”のあどけない寝顔を見つめる。
起きている時は色々と我侭を言われ振り回されもするが、こうしていると可愛らしいものだ。
「………じゅる」
いけない、思わず口元から涎が…。慌てずハンカチを取り出し拭う。
続いて柔らかな頬やら唇やらを指で突つき回す。
プニプニとした感触を味わっていると幸せな気持ちがが込み上げてくる。
取り合えず存分に堪能したので今度こそ“主”を起こすべく声を掛ける。
「おはようございます、起きて下さいな」
「ん?…んぅ………まぅ?」
「はい、そうです。お目覚めの時間ですよ」
「…ぅん、もぅひょっと~」
「ダメですよ。ほら起きて着替えましょうね」
と言いつつ未だに8割方夢の国の住人である“主”を立たせ、まずはその寝巻きを脱がせにかかる。
まだ寝ぼけてふらついている主が転ばないよう抱きとめる様に支えつつ、うなじの辺りの匂いを楽しむ。
そして無事脱がせ終わったところでその肢体をを網膜に焼き付け、ついでに香霖堂で買ったカメラにもこっそり焼き付ける。
あぁ、今日もお美しい………。これこそが至福の時。
この瞬間私の幸せゲージがMAXに到達し、込み上げてきた幸せが熱い液体となって噴出した。………………鼻から。
―――でも、大丈夫。ここでも自らの能力を使い鼻血を処理。
何事も無かったかのように着替えのお手伝いを続ける。
さて、“主”の裸体に別れを告げつつ今度は服を着せていく。
もちろん上着を着せながら平らな胸を撫で回し、スカートを履かせながら小さなお尻を揉むのを忘れてはならない。
楽しい着替えが終わったら髪を梳かして差し上げ、顔を洗うのをお手伝いし、お茶を淹れる。
お茶を1杯飲み干された辺りで漸く完全にお目覚め。
「おはよう」
「はい、おはようございます」
とあらためて挨拶を交わす。
その後はいつも通り。
私は自分の仕事をし、“主”は適当に暇を潰す。
本当はずっとお相手をして差し上げたいのだが、私も自分の仕事をしなければならない。
その間ずっと主と離れているのは堪らなく寂しい。
気を紛らわせる為に朝の写真を眺めながら仕事をする。
今日は特に変わった出来事など起こらなかった。
強いて言うならまた霧雨魔理沙が侵入して来た事くらいだろう。
“主”には良い暇潰しになったようなので良かったが、それにしてもウチの警備はどうなっているんだろう。
警備の担当である長い髪の彼女はいまいち頼りない。
そんなことだから何時まで経ってもちゃんと名前を呼んでもらえないんだろうに………。まぁ、私も呼んではいないのだが。
取り合えずお仕置きとして、後で挿しておく事にする。
魔理沙の方は、まぁ、いいだろう。
確かにあいつは泥棒だが、私達が起こした先の異変をあいつらが解決して以来、“主”も偶にではあるが外出するようになった。
そうやって幻想郷の色々な連中との触れ合いを楽しんでおられる様だし、そのきっかけを作ったという意味ではあいつは恩人だ。
少しくらいは大目に見てやろう。
そんなこんなで1日も終わりに近づき、主の湯浴みの時間となった。
非常に残念な事に、“主”は1人で湯浴みをなさる。
以前は髪を洗う時だけはお手伝いをしていたのだが、今はそれもない。
その理由は良くわからないが、切欠となったかもしれない出来事は思い当たる。
ある日、“主”の髪を洗っていた私は折角だからお背中も流しましょうか?と申し出、許可を頂いた。
そして肩甲骨やわき腹の辺りの手触りを楽しみつつお背中を流していた私は更に考えた。
“主”の手を煩わせない為にも他のトコロも洗って差し上げたらどうだろう?
早速、許可を頂こうか?
いやいや、主の許可した事だけしか出来ない様では従者失格だ。
自主的に事を済ませ、主が命ずる手間すら省いて差し上げるのが真の従者というものだろう。
『善は急げ』と先人は言った。
もちろん私もすぐさま実行に移す。
全身をくまなく洗って差し上げると、“主”は泣き出さんばかりに悦び、声を上げ何度も身を震わせた。
“主”がとても気持ち良さそうだったので、私もとても良い気分だった。
そしてまた明日からもお手伝いして差し上げようと思っていたのだが、何故か次の日に私を待っていたのは
今日からもう風呂には1人で入るという“主”のお言葉だった。
―――私の人生でワースト3には入るであろう苦い思いでである。
なにせ当時の私の人生の楽しみの双璧を成していた<朝の着替え>と<お風呂の世話>の半分を失ったのだ。
その後ショックの余り1週間寝込んだ程だ。
一体何が悪かったのだろうか?
洗い方が悪かったとは思えない。何せあんなにも悦んでおられたのだ。
やはり従者の身で差し出がましい真似をしたからだろうか?
う~ん………。
と、一瞬考え込んでいるうちに“主”はさっさと風呂場に行ってしまわれたようだ。
慌てて私もダッシュで後を追う。
猛スピードで廊下を走って行く途中、何かに衝突しぶっ飛ばしてしまう。
だが、今はそれどころではない。取り合えずぶっ飛ばしてしまったそれを小脇に抱えさらに加速する。
そうして風呂場に着くと、“主”が脱衣所から浴室の方へ入った音を確認し脱衣所の中へ入る。
備え付けの洗濯籠に入っている“主”の脱いだ服をチェックし、壁に備え付けられた大鏡の裏にある隠し通路へと入る。
そこに梯子を使い天井裏に上ると、匍匐前進の要領で浴室側の天井裏へ移動。
この天井はいわゆるマジックミラーの応用で、浴室からはただの天井だが屋根裏からは全てが見渡せる造りになっている。
そして私は眼下の浴室で湯浴みをなさっている“主”の様子をじっと見守る。
………ん?そりゃ単なる覗きだって?
失礼ね。言っておくがコレは覗きとかいう低俗な行為ではない。れっきとした護衛なの。
―――あぁ、髪を洗うのにあんなに手間取って………。言って下さればまた何時でもお手伝いするのに………。
ええ、もちろん一緒ににお体も洗いますわ。それこそ全身のあらゆるふくらみとか、突起とか、果ては穴の中までも………!!
………え?何?あぁ、続きね。
そう、だからこれは護衛なのよ。
それは聞いた?
うん、ならわかるでしょう?よく考えてみなさい?普通湯浴みの時は何も身につけないでしょう?
いわゆる全裸とかマッパとかスッパとか言われる状態よね?
………何処からか狐の鳴き声が聞こえたきがするけど無視して続けるわ。
要するに湯浴み中とはとても無防備な状態なの。
だから従者として万一の事態に備えて出来るだけ近くで見守るのは当然でしょう?わかった?わかったわね?
私は“主”を見守るのに忙しいのだから、そんな事で話しかけないで頂戴。
―――あぁ!!湯船で泳ぐなんてはしたない。しかも背泳ぎなんて素晴らし…ゲフンゲフン…けしからん!!
え?鼻?
鼻がどうかしたの?
いいえ、これはちっともおかしくないわ。
だって今の私は“主”を守ろうとする忠誠心で一杯なのよ。
だから、真っ赤に燃える忠誠心が鼻から溢れ出しても不思議でもないでしょう?
―――それにしても相変わらずココは暑いわ。浴室の上だから仕方ないといえば仕方ないのだけれど、汗くらい拭かないとね。
え~と、ハンカチハンカチ………。フキフキ
………おっと、これはさっき洗濯籠に入っていた“主”の下着だったわ。
下着泥に盗まれやしないか心配で思わず持ってきてしまっていたのね。
これ、どうしようかしら?
うん、今更戻すわけにもいかないし、このまま貰っておきましょう。
………何よ?さっきから煩いわよ。
はぁ?下着泥?
誰が?
私?
………まったくもう、本当に何も分かってないのね。
いい?戻すにしても、私の汗を拭ったものを戻すなんて失礼な真似を出来るわけ無いでしょう?
そんな事もわからないの?
もう!!あなたが話しかけてくるから護衛に集中できないじゃないの。
邪魔するなら出ていきなさい!!
………………ん?居なくなった?
ふぅ、これで集中して覗k…ゲフン…護衛ができるわ。
―――おや?何やら御自分の胸の辺りを撫で回して溜息をついていらっしゃる。
あぁ、なる程。道理で最近私の胸の辺りをちらちらご覧になっていたわけだ。
まぁ最近知り合った幻想郷の女性陣は局部的に貧富の差が激しいから、何か思うところがあっても仕方ない事だろう。
でも、いいのです。あなたはそのままがいいのです。むしろ私にとってはその方がいいのです。
ですからいつまでも、その静の海のごとき平坦を維持していて下さい。それこそ永遠に。
―――あ、もうお上がりになるようね。私も急いで戻らないと。
それにしても今日はなんだか空耳が聞こえていたような気がするわね。まぁ、気にするような事じゃないでしょうけど。
さて、入った時とは違う出入り口から出て“主”より先に居間に戻った私は、湯上り用の冷たいお茶を用意して主を待つ。
程なく寝巻き姿の“主”が戻られる。
「あ~暑いわ~」
まぁ、それはそうだろう。湯船でれだけ泳ぎ回っていれば。
「はい、どうぞ。いつものお茶ですよ」
「ん、ありがと~。あなたも入ってきたら?後がつかえるし」
ちなみにこの屋敷のヒエラルキーでは私は上から2番目だ。よって風呂も2番目だ。
私が入らないと他の皆は順番を待ちつづける事になってしまう。
「では、そうさせて頂きますね」
「ん~」
気だるそうに冷茶を啜る“主”を残し私は再び風呂場へ向かう。
脱衣所で服を脱ぎ、髪を解き、浴室へ入った私はまず洗い場で体と髪を洗う。
然る後湯船へと進む。
もちろん湯船に入る前に持参した湯のみに湯船の湯を汲むことを忘れない。
汲んだお湯を飲みながらゆっくりとつかり、1日の疲れを癒す。
………ふむ、今日もいい味。これなら特に“主”の体調に問題はないようだ。
こうやって“主”の日々の体調を気遣うのも従者の役目であろう。
風呂から戻ると既に“主”はスヤスヤと寝息を立てていた。
おそらく私を待っていて下さっているうちに眠ってしまわれたのだろう。
起こさぬ様にそっと抱きかかえ寝所へお連れする。
本来ならここでもいろいろと楽しみたいところだが、なにぶん先程の風呂場で血を流しすぎた。
幾ら私でもこれ以上はまずいだろう、という事で涙を飲んで自重。
寝所に着くと静に“主”の体を布団に下ろし、念の為部屋の戸締りを確認する。
そして朝と同じく少しの間その寝顔を見つめると、ゆっくり静かに部屋を辞し、廊下に出て扉を閉める。
後少しで完全に扉が閉まる、というところで最後に改めてお休みの挨拶を――――――
「おやすみなさいませ、姫。どうぞ良い夢を」
目覚し時計の音が鳴り響く。
ここは幻想郷の某所に建つとあるお屋敷。
「…ん」
♪~♪~♪…メルポ
ガッ
そして布団から手を伸ばし、目覚ましを止めた私はこの屋敷の“主”に仕える従者である。
私の起床は早い。
やはり従者である以上は“主”より遅く目覚めるなどもっての外、もちろん就寝時も主が眠りにつくのを見届けてから眠る。
よって私の睡眠時間はかなり短いものになっている。
が、そんなことは私の能力をもってすれば些細な問題に過ぎない。
今日も私は自らの能力を駆使し、快適な目覚めを迎えた。
目を覚ました私は寝巻きを脱ぐといつもの服に着替え、顔を洗いに行く。
「ふぅ………」
冷たい水で顔を洗いスッキリとしたところで続いて髪を整える。
自分でも気に入っている銀髪を編み込み、最後に顔に薄く化粧を施し準備は万端。
………おっと、<アレ>を忘れていた。
<アレ>は私の服とセットになった頭飾であり、私の職業のシンボルともいえる。忘れるわけにはいかない。
<アレ>を頭に載せ今度こそ準備万端。
まずは“主”を起こさねばならない。
ハッキリ言って“主”の寝起きはとんでもなく悪いので起こすのは一苦労だ。
しかし、この朝のひとときは私の1日の活力元でもある。決して外せない。
“主”の寝所の前に辿りつくと、まだ眠っているのは分かっているがそれでもノックを欠かさず中へと入る。
そのまま布団の枕元に静に近づき、声をかけ………………ない。
ただじっと“主”のあどけない寝顔を見つめる。
起きている時は色々と我侭を言われ振り回されもするが、こうしていると可愛らしいものだ。
「………じゅる」
いけない、思わず口元から涎が…。慌てずハンカチを取り出し拭う。
続いて柔らかな頬やら唇やらを指で突つき回す。
プニプニとした感触を味わっていると幸せな気持ちがが込み上げてくる。
取り合えず存分に堪能したので今度こそ“主”を起こすべく声を掛ける。
「おはようございます、起きて下さいな」
「ん?…んぅ………まぅ?」
「はい、そうです。お目覚めの時間ですよ」
「…ぅん、もぅひょっと~」
「ダメですよ。ほら起きて着替えましょうね」
と言いつつ未だに8割方夢の国の住人である“主”を立たせ、まずはその寝巻きを脱がせにかかる。
まだ寝ぼけてふらついている主が転ばないよう抱きとめる様に支えつつ、うなじの辺りの匂いを楽しむ。
そして無事脱がせ終わったところでその肢体をを網膜に焼き付け、ついでに香霖堂で買ったカメラにもこっそり焼き付ける。
あぁ、今日もお美しい………。これこそが至福の時。
この瞬間私の幸せゲージがMAXに到達し、込み上げてきた幸せが熱い液体となって噴出した。………………鼻から。
―――でも、大丈夫。ここでも自らの能力を使い鼻血を処理。
何事も無かったかのように着替えのお手伝いを続ける。
さて、“主”の裸体に別れを告げつつ今度は服を着せていく。
もちろん上着を着せながら平らな胸を撫で回し、スカートを履かせながら小さなお尻を揉むのを忘れてはならない。
楽しい着替えが終わったら髪を梳かして差し上げ、顔を洗うのをお手伝いし、お茶を淹れる。
お茶を1杯飲み干された辺りで漸く完全にお目覚め。
「おはよう」
「はい、おはようございます」
とあらためて挨拶を交わす。
その後はいつも通り。
私は自分の仕事をし、“主”は適当に暇を潰す。
本当はずっとお相手をして差し上げたいのだが、私も自分の仕事をしなければならない。
その間ずっと主と離れているのは堪らなく寂しい。
気を紛らわせる為に朝の写真を眺めながら仕事をする。
今日は特に変わった出来事など起こらなかった。
強いて言うならまた霧雨魔理沙が侵入して来た事くらいだろう。
“主”には良い暇潰しになったようなので良かったが、それにしてもウチの警備はどうなっているんだろう。
警備の担当である長い髪の彼女はいまいち頼りない。
そんなことだから何時まで経ってもちゃんと名前を呼んでもらえないんだろうに………。まぁ、私も呼んではいないのだが。
取り合えずお仕置きとして、後で挿しておく事にする。
魔理沙の方は、まぁ、いいだろう。
確かにあいつは泥棒だが、私達が起こした先の異変をあいつらが解決して以来、“主”も偶にではあるが外出するようになった。
そうやって幻想郷の色々な連中との触れ合いを楽しんでおられる様だし、そのきっかけを作ったという意味ではあいつは恩人だ。
少しくらいは大目に見てやろう。
そんなこんなで1日も終わりに近づき、主の湯浴みの時間となった。
非常に残念な事に、“主”は1人で湯浴みをなさる。
以前は髪を洗う時だけはお手伝いをしていたのだが、今はそれもない。
その理由は良くわからないが、切欠となったかもしれない出来事は思い当たる。
ある日、“主”の髪を洗っていた私は折角だからお背中も流しましょうか?と申し出、許可を頂いた。
そして肩甲骨やわき腹の辺りの手触りを楽しみつつお背中を流していた私は更に考えた。
“主”の手を煩わせない為にも他のトコロも洗って差し上げたらどうだろう?
早速、許可を頂こうか?
いやいや、主の許可した事だけしか出来ない様では従者失格だ。
自主的に事を済ませ、主が命ずる手間すら省いて差し上げるのが真の従者というものだろう。
『善は急げ』と先人は言った。
もちろん私もすぐさま実行に移す。
全身をくまなく洗って差し上げると、“主”は泣き出さんばかりに悦び、声を上げ何度も身を震わせた。
“主”がとても気持ち良さそうだったので、私もとても良い気分だった。
そしてまた明日からもお手伝いして差し上げようと思っていたのだが、何故か次の日に私を待っていたのは
今日からもう風呂には1人で入るという“主”のお言葉だった。
―――私の人生でワースト3には入るであろう苦い思いでである。
なにせ当時の私の人生の楽しみの双璧を成していた<朝の着替え>と<お風呂の世話>の半分を失ったのだ。
その後ショックの余り1週間寝込んだ程だ。
一体何が悪かったのだろうか?
洗い方が悪かったとは思えない。何せあんなにも悦んでおられたのだ。
やはり従者の身で差し出がましい真似をしたからだろうか?
う~ん………。
と、一瞬考え込んでいるうちに“主”はさっさと風呂場に行ってしまわれたようだ。
慌てて私もダッシュで後を追う。
猛スピードで廊下を走って行く途中、何かに衝突しぶっ飛ばしてしまう。
だが、今はそれどころではない。取り合えずぶっ飛ばしてしまったそれを小脇に抱えさらに加速する。
そうして風呂場に着くと、“主”が脱衣所から浴室の方へ入った音を確認し脱衣所の中へ入る。
備え付けの洗濯籠に入っている“主”の脱いだ服をチェックし、壁に備え付けられた大鏡の裏にある隠し通路へと入る。
そこに梯子を使い天井裏に上ると、匍匐前進の要領で浴室側の天井裏へ移動。
この天井はいわゆるマジックミラーの応用で、浴室からはただの天井だが屋根裏からは全てが見渡せる造りになっている。
そして私は眼下の浴室で湯浴みをなさっている“主”の様子をじっと見守る。
………ん?そりゃ単なる覗きだって?
失礼ね。言っておくがコレは覗きとかいう低俗な行為ではない。れっきとした護衛なの。
―――あぁ、髪を洗うのにあんなに手間取って………。言って下さればまた何時でもお手伝いするのに………。
ええ、もちろん一緒ににお体も洗いますわ。それこそ全身のあらゆるふくらみとか、突起とか、果ては穴の中までも………!!
………え?何?あぁ、続きね。
そう、だからこれは護衛なのよ。
それは聞いた?
うん、ならわかるでしょう?よく考えてみなさい?普通湯浴みの時は何も身につけないでしょう?
いわゆる全裸とかマッパとかスッパとか言われる状態よね?
………何処からか狐の鳴き声が聞こえたきがするけど無視して続けるわ。
要するに湯浴み中とはとても無防備な状態なの。
だから従者として万一の事態に備えて出来るだけ近くで見守るのは当然でしょう?わかった?わかったわね?
私は“主”を見守るのに忙しいのだから、そんな事で話しかけないで頂戴。
―――あぁ!!湯船で泳ぐなんてはしたない。しかも背泳ぎなんて素晴らし…ゲフンゲフン…けしからん!!
え?鼻?
鼻がどうかしたの?
いいえ、これはちっともおかしくないわ。
だって今の私は“主”を守ろうとする忠誠心で一杯なのよ。
だから、真っ赤に燃える忠誠心が鼻から溢れ出しても不思議でもないでしょう?
―――それにしても相変わらずココは暑いわ。浴室の上だから仕方ないといえば仕方ないのだけれど、汗くらい拭かないとね。
え~と、ハンカチハンカチ………。フキフキ
………おっと、これはさっき洗濯籠に入っていた“主”の下着だったわ。
下着泥に盗まれやしないか心配で思わず持ってきてしまっていたのね。
これ、どうしようかしら?
うん、今更戻すわけにもいかないし、このまま貰っておきましょう。
………何よ?さっきから煩いわよ。
はぁ?下着泥?
誰が?
私?
………まったくもう、本当に何も分かってないのね。
いい?戻すにしても、私の汗を拭ったものを戻すなんて失礼な真似を出来るわけ無いでしょう?
そんな事もわからないの?
もう!!あなたが話しかけてくるから護衛に集中できないじゃないの。
邪魔するなら出ていきなさい!!
………………ん?居なくなった?
ふぅ、これで集中して覗k…ゲフン…護衛ができるわ。
―――おや?何やら御自分の胸の辺りを撫で回して溜息をついていらっしゃる。
あぁ、なる程。道理で最近私の胸の辺りをちらちらご覧になっていたわけだ。
まぁ最近知り合った幻想郷の女性陣は局部的に貧富の差が激しいから、何か思うところがあっても仕方ない事だろう。
でも、いいのです。あなたはそのままがいいのです。むしろ私にとってはその方がいいのです。
ですからいつまでも、その静の海のごとき平坦を維持していて下さい。それこそ永遠に。
―――あ、もうお上がりになるようね。私も急いで戻らないと。
それにしても今日はなんだか空耳が聞こえていたような気がするわね。まぁ、気にするような事じゃないでしょうけど。
さて、入った時とは違う出入り口から出て“主”より先に居間に戻った私は、湯上り用の冷たいお茶を用意して主を待つ。
程なく寝巻き姿の“主”が戻られる。
「あ~暑いわ~」
まぁ、それはそうだろう。湯船でれだけ泳ぎ回っていれば。
「はい、どうぞ。いつものお茶ですよ」
「ん、ありがと~。あなたも入ってきたら?後がつかえるし」
ちなみにこの屋敷のヒエラルキーでは私は上から2番目だ。よって風呂も2番目だ。
私が入らないと他の皆は順番を待ちつづける事になってしまう。
「では、そうさせて頂きますね」
「ん~」
気だるそうに冷茶を啜る“主”を残し私は再び風呂場へ向かう。
脱衣所で服を脱ぎ、髪を解き、浴室へ入った私はまず洗い場で体と髪を洗う。
然る後湯船へと進む。
もちろん湯船に入る前に持参した湯のみに湯船の湯を汲むことを忘れない。
汲んだお湯を飲みながらゆっくりとつかり、1日の疲れを癒す。
………ふむ、今日もいい味。これなら特に“主”の体調に問題はないようだ。
こうやって“主”の日々の体調を気遣うのも従者の役目であろう。
風呂から戻ると既に“主”はスヤスヤと寝息を立てていた。
おそらく私を待っていて下さっているうちに眠ってしまわれたのだろう。
起こさぬ様にそっと抱きかかえ寝所へお連れする。
本来ならここでもいろいろと楽しみたいところだが、なにぶん先程の風呂場で血を流しすぎた。
幾ら私でもこれ以上はまずいだろう、という事で涙を飲んで自重。
寝所に着くと静に“主”の体を布団に下ろし、念の為部屋の戸締りを確認する。
そして朝と同じく少しの間その寝顔を見つめると、ゆっくり静かに部屋を辞し、廊下に出て扉を閉める。
後少しで完全に扉が閉まる、というところで最後に改めてお休みの挨拶を――――――
「おやすみなさいませ、姫。どうぞ良い夢を」
あとえーりんは頭を冷やしたほう愛いと思うんだ
これほどうまい騙しは久しぶりかも…
>後で挿しておく事にする。
おいこら刺すんじゃないのかよ!?と思ったけどオチで納得。
ようやくウドンゲの意味が理解できました。
髪を洗うのに手間取っている輝夜になごんだ
しかし、所々にヒントはあるんだよなあwww
~♪・・・メルポ
固有名詞が出てこないからなんか変だとは思ったが、こういう事か。
まあ良く考えたら、咲夜さんの胸を主が見て嫉妬するとかあるわk(殺人ドール
お風呂で背泳ぎする姫かわゆす
ここまで読んで違和感を初めて感じた、ここまでは咲夜だとしか思ってなかったけど
このおかげでラストえーりん視点だって言われても大丈夫だったb
外見は全く違うのに書き方によっては同じに見えてしまう不思議。
『上着を着せながら』『スカートを履かせながら』
あえて言うなら、引っ掛かったのはこの二点かなあ、と。
失礼しました。
しかし文章表現によるミスリードがあるとはいえ、永琳と咲夜さんの共通点って意外と多いですね。
まさか館自体が違うのには気付かなんだw
師匠、下品です……
ほら、つけみみとか
まんまと騙されたーーwwwww
永遠亭ですか。
作者に一本取られたよ。
ただ、藍かと思ってた
ミスリードに引っ掛からなかった私の心は濁りきってもはや純粋に真っ黒なんでしょうね…
騙されているのではと疑い始め、
『道理で最近私の胸の辺りをちらちらご覧になっていたわけだ』
で確信しま(傷符「インスクライブレッドソウル」
布団とお茶とヒエラルキーで気付くべきだった
そもそもおぜうさま風呂に入れねぇ(設定によるけど、多分)
それにしてもお見事です!
そして師匠自重ww