静かで暖かい昼下がり。
魔理沙とアリスは昼食後の紅茶を楽しんでいた。
もちろんカップから紅茶までアリスのものである。
二人とも黙ったままで会話と呼べるものはなかったが、その雰囲気は悪くないものだった。
この静かな時間を最も楽しむ方法は『特に何もしないこと』だと二人ともわかっていた。
その静かな時間、アリスは考えていた。
目の前の人間は何を考えているのか。
この時を自分と同様に楽しんでいるのか。
それと、もし楽しんでいるのなら。
『自分といるから、楽しい』と。
そう考えてはくれないだろうか、と。
魔理沙の表情からは、何も読み取れなかった。
何か話をしよう。静かな時間も悪くないが、魔理沙の気持ちを知りたくなったアリスが話しかけようとしたとき、不意に魔理沙が声を出した。
「アリスってさ・・・」
「え?何?」
「こんなこと聞いたら失礼かもしれないが・・」
「何よ、今更。気にするような仲じゃないでしょう?」
「じゃあ聞くが・・・」
「アリスってS?M?」
「・・・は?」
「いや、聞いていいか確認したろ?さあ答えろ!ハリーハリーハリー!」
「い、いや聞いてもいいとは言ったけど答えるとは言ってないわ!それにまあそういった系の込み入った話は時と場合を考えて聞くべきじゃない!?もっと雰囲気その他を考えて聞くべきだと思うの!それにそういうのはやっぱり引っ張っていくようなキャラの人が先に言うべきなんじゃないかなとも思う!やっぱり私みたいなのにそんな質問に無理やり答えさせるようなのってよくないと思うよ!でもまああえて二分の一でどちらかさあ選べと聞かれたらどちらを選ぶべきかは考えてないと言えば嘘になるようなそんな感じがしないでもないというそんな雰囲気をかもし出していると」
「アリス、アリス、落ち着け」
「いや落ち着いてるさ!」
「話し方が変だぜ。それと、な?」
「え?な、何?」
「服のサイズの話、だぜ?」
「・・・は?」
「ん?まさか、Lなのか?(ニヤニヤ)」
「・・・っ!」
一拍置いて、怒号が響いた。ついでにアリスの拳がうなった。
「・・顎にアッパーって効くんだぜ?たまに意識も飛ぶんだ」
「やられるようなこと言うからでしょう?自業自得よ」
「・・・」
「・・・」
それきり、二人とも黙り込む。
「・・・で?」
「で、って何よ?」
「結局どっちなんだ?SなのかMなのか。服でも性癖でもどっちでもいいぜ」
「・・・っ、・・・・」
また、黙り込む。
アリスの大きなため息。
「私ね、いろいろとあって・・まあ言ったら長くなるから言わないけど・・あんまり、っていうか・・すごく他人に自分を見せるのが好きじゃないのよ」
「・・まあ、その辺は人それぞれじゃないか?」
「人形創りも、その影響かもね」
「・・まあ、その辺も人それぞれじゃないか?」
「皆は、私のこと暗いやつだ、って嗤うわ。気味が悪いって」
「まあ、その辺も人それぞれじゃないか?」
「魔理沙は・・嗤わないの?」
「まあ、その辺は人それぞれだからな。嗤わないやつだっているさ」
「明るくなれ、とか友達つくれ、とか言わないの?」
「そんなものは、・・・人それぞれ、だろ?」
「・・・」
アリスの瞳に、涙が見えた。
悲しい過去が蘇ったのか。
自分を受け止めてくれるひとを見つけたからなのか。
その真実を知る術はない。彼女が口を開くまでは。
「魔理沙・・・聞いてくれる?私のこと・・見てくれる?・・私のこと・・・」
「ああ・・言ってくれ・・見せてくれ・・お前のことを・・」
「私はMよ」
「は?」
「どっちかって言うと、ドM?」
「いや、そっちかよ!?自分の悲しい過去でも語るんじゃないのかよ!?」
「聞きたがってたの魔理沙じゃん?だから言ったんじゃん?」
「いや、言ったけど!話の流れからしてそっちじゃないだろ!?」
「でも、勘違いしないで、魔理沙」
「何が!?」
「そこらのMとはレベルが違う」
「知るか!!」
「あと、もうひとつ」
「今度は何だ!」
「言葉責めが一番くる!(親指ぐっ!)」
「知るか!指たてんな!」
「いやもう正直今の魔理沙の突っ込みでも性的興奮がひしひしと!」
「うっさいわ!」
「実は正直な話、さっき話を促してくれたときに私に『私はマゾです』と言わせたいがための発言かと思ってしまったわ」
「違う!深読みしすぎだ!」
「あー、もうどうでもいいわ。私を苛めなさい。主に言葉で!」
「いやだー!!来るなー!!帰るー!!」
魔理沙の逃走劇もむなしく、30分後捕獲された魔理沙は
とにもかくにも良いマリアリでした。w
単位落とさないようにがんがって! 学業が落ち着いたら、次を期待してるyo!