○月×日―――
暇なので神社に行った所、霊夢が居ない。
買い物にでも行ったのかと思い勝手に上がりこんで待ったんだが、
やっぱり戻ってこない。
夜まで待っても戻らないのでおかしいと思い、神社を飛び出す。
そういえば妙に霧が深いなと思ったけど、
それがあんな大事件になるなんてこのときには誰も・・・
ええと、こう書いておけば何か大変な事になってもそれっぽく見えてかっこいいよな?
○月□日―――
まさか食料が尽きて確保するために林の中に入り込んで力尽きたんじゃ?
と乙女の勘で神社の周囲から探すことにした。
途中、変な黒いのに会う。
何もそんなボディーランゲージしてまで十進法批判なんてしなくても。
妖怪だって手があるんだから1から10の1セットでいいじゃないかと思う。
いやまてよ・・・まさかっ、ひぐ○しか?ひ○らしなのか!?
だから10進法ダメなのか!?
いや、私もこの考え方はちょっと時代遅れかな~と思ったんだぜ?
○月○日―――
林の中を歩くのも飽きたし汗もかいたので水浴びでもするかーと湖に行くと、
なんか毛玉とか鳥とかに襲われる。
焼き鳥にしたら美味しいかしらんなんて言ったら一斉に居なくなったが。
ちぇっ、折角の食料が。
○月△日―――
日記つけるの飽きた。
「ふぁー・・・暇だぜ」
そういえば何か探してたんだっけ、と思いながら、
それが何だったのか思い出す気が沸かなくてまた忘却し帰宅。
なんだかもやもやするんだけど、やる気が出ないから翌日に持ち越し。
私の思いつきで始めた霊夢との交換日記も飽きた。
ていうか書いて渡しに行くといつも居なくて渡せないし。
こういう部分で構造的欠陥があったのに気づかなかったのはミスだったぜ。
ああそうそう、そういえばそれで霊夢探しに行って、居なかったんだっけ。
当初の目的をやっと思い出し、
でもまぁ霊夢なら大丈夫だろとか勝手に納得してそのまま放置する。
翌日。
コンコン、と控えめにドアをノックする音が聞こえ、目が覚める。
時刻はもう宵の口だ。
こんな時間に来客なんて珍しいなとドアを開けようとすると
「魔理沙、ちょっと魔理沙居ないの?
こじ開けるわよ?開けちゃうわよ?
勝手に侵入して魔理沙の赤裸々な乙女ルームで、
秘密の一つや二つゲットしてその弱みを利用して脅迫しちゃうわよ?」
声の主は私が居ないものと思ってとんでもない事を口走ってくれやがった。
「はぁ・・・居ないと思って変な事言ってると変態だと思われるぜ?」
会うのも久しぶりでなんだが、キャラでも変わったか?
「え?居たのっ!?だっ、誰が変態なのよっ!?
別にわ、わた、私だってっ
あんたなんかの弱みに付け込んで友達になってもらおうとするなんてこと、
全く全然考えてないんだからっ
か、勘違いしないでよっ、しないでねっ?
期待したって無駄なんだか」
「あーはいはい手紙もってきてくれたのなありがと。じゃ」
バタン―――
一人勝手に妄想モードに突入していたアリスから、
手に持ってた手紙を受け取って(奪ったわけじゃないぜ?)、
丁重にドアに鍵を掛ける。
三回くらい鍵が掛かってるか確認するくらい厳重に開かない様にした。
「えーっと何々・・・霊夢からか。
ていうかなんでアリス宛でよこすんだよ・・・」
そこが解らない。
しかもわざわざ手紙って。
別に用事があるなら直接言えばいいだろうにな。
とりあえず、読まないことには何なのか解らないので、
封を開けて広げてみる。
因みに私は後書きから読む派だぜ?
『(前・中・以下略)
異変はまだ解決されてないので後よろしく(はぁと』
「・・・は?」
いや、まぁ本文読んでないから意味不なのは仕方ないんだが、
とりあえず異変がどうとか書いてるっていう事は何か異変があるのか?
「いやいや霊夢の事だからきっと何か裏があるに違いない」
表示どおりの意味で取ると痛い目を見る。
それがあいつの昔からの怖いところだ。
巫女装束の癖に陰陽玉とか飛ばすしな。
とりあえず水に浸してみる。
「うは・・・水性かよ」
見事に字がにじんだ。勿論字が浮かび上がったりなんてしない。
「という事はあぶり文字・・・」
かわかす意味もあって八卦炉で乾かそうとした。
ボゥンッ
「・・・・・・」
調整を間違って手紙は消し炭になった。
・・・・・・えーっと。
「こ、こ、こ・・・
こんな手紙私によこすなぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
霊夢の所為にしてみた!!
「うーん・・・何も起こらなかったっていう事は、異変があったっていう事だよな。
それで霊夢じゃ無理だから私に後を託した・・・っていう事なんだきっと、うん。
きっとそうに違いないぜ」
ポジティブに生きよう。
そういえば最近霧っぽいしほんとに何かあったのかもしれない。
「よーし・・・そうと決まれば異変解決の旅2007だっ!!」
バァンッ
「う゛ぁ!?」
思い立ったが吉日。
早速ドアを開けて箒に乗り空を飛ぶぜ飛んじゃうぜ。
・・・開けたドアに何かぶつかった気がするけど猫でもいたかな?
会話文も交えてだと妙に長くなると思うから、
これからはあらすじモードで進めさせてもらうぜ?
まず一面。
おーこれがステージ1かーなんて考えてると、
早速最初の敵団と遭遇。
ぱしぱしと適当に倒してるとアイテムが出る。
おおアイテムだアイテムだ。
と右に左にアイテムを拾いに走ると・・・
どーん!!
アイテムばっかり見てたせいで敵に当たって一機失ってしまった!!
それはないだろと反省しつつ進む。
おお今度は良い感じだ、と思い始めてたら中ボス登場。
これは普通に倒せた。倒せたんだけど・・・
倒した後に出た大パワーアップアイテムを拾おうと突っ込んだ矢先・・・
どーん!!
またかっ?またなのかっ?反省できてないぞ私!?
ちょっとだけ虚しくなりながら強引に進める。
流石にもうミスはしない。
何と言っても私は努力の子だ。
一度や二度の失敗はあっても三度は繰り返さない、
それが魔理沙クオリティーだぜ!!
どーん!!
ボスの攻撃で死んだ。
何だこれ?
中ボスと同じ奴だからって油断したら白いレーザーみたいなの撃ってきたぞ!?
かわそうとしたらおっきい弾が飛んできて死んじゃったぞ!?
コンティニュ-?
するさ、勿論。
警戒さえすればこんな妖怪なんでもないぜ。
十進法を採用した人類の力をみたかっ
と言わんばかりにマスタースパークを連射して倒した。
うっかり間違えて倒す間際に一発撃っちゃったのは内緒だぜ?
二面。
今度は湖らしい。
適当に空を飛んでると鳥やら毛玉やら妖精やらが飛んできた。
最初はちびちびと迎撃してたけど、
途中でかわしきれなくなって死んだのでキレてマスタースパーク撃った。
通った後を振り返ったら焼き鳥が水面に浮かんでて不気味だった。
環境汚染にならないといいんだが。
三面。
4回くらい死んだ。
ボスの名前は思い出せないけど、ボム連発したら結構簡単に倒せたぜ?
四面。
門番に通されてやっと屋敷へと進むと、
道に迷った挙句変な図書館に入ってしまった。
まぁいいやと思いながら飛んでると本が大量に出てきて弾幕を展開。
どーん、どーん。
ボムでも倒せない敵って反則だぜ。
本が消えた後にも間違ってボムを連発してると、
何故か目の前にボムアイテムが現れた。
きっとボーナス敵でも居たんだろう。
五面。
よく進めたなーと思いながらステージ序盤でまた死ぬ。
そろそろこれ以上死ぬのはまずいなーと思いながら飛んでるとナイフが飛んでくる。
どーん。
「また、お掃除の邪・・・」
何か言おうとしてたみたいだけどどうやら私もここまでらしい。
「・・・あら?え、えーと・・・」
「どうしたの咲夜?」
「あ、お嬢様・・・
いえ、何か不審者がいたような気がしたんですけど、気のせいだったみたいです」
「ふぅん、そう」
ゲームオーバー。
まぁ、生きて帰れただけでも頑張ったと思うぞ私は?
とりあえず、一面で死んだのが予想外だった。
この辺りから直していけば、きっといつかはラスボスにたどり着けると思うんだ。
努力はいつか実を結ぶ。
その為に時間を惜しんだらダメなんだぜ?
「よしっ」
私の中の火がつく。
こうなるともう乙女は最強だぜ?
誰にも止められないぜ?
誰も止めてくれないのが悩みなんだが。
「とりあえず、一面を一万回プレイだっ!!」
この日から少女の壮絶な日々が始まるのだが、
もしかしたらそれ以上に一万回も相手をさせられる一面の敵の方が不幸なのかもしれない。
「えーっと・・・」
今日も誰も来ない屋敷の一室、少女は呟く。
「私の出番、まだなのかな・・・?」
(終)