*このSSには同性愛的な描写が含まれます。苦手な方はご注意ください。
最後の一葉が枝を離れた。
すでに緑は失われている。秋は立ち去り、冬の息吹は目前に迫っていた。赤茶けた葉は水分を失い、かさかさに枯れていた。地に落ちる前に、風に吹かれて葉は砕け散る。丸裸になった樹が風に虚しく揺れた。
音だけが響く。
夜の月がやけに大きく見えた。空気が澄んでいるせいだろう。朝といわず昼といわず、最近はめっきり冷え込んできた。ぴんと張り詰めた、冬の空気の匂いがする。そう遠くないうちに雪が降り来ることもあるだろう。
窓の外から月を見上げたまま、ため息をはいた。哀しかったわけではない。謂れのない寂しさを感じてしまっただけだ。
秋が去っていくことに。
勿論、もう一年もすれば秋が廻ることは知っている。春がくることも。夏がくることも。冬が終わることも。それでも、季節の変わり目にはこうした寂しさを感じずにはいられなかった。四季の哀愁を強く感じるのは、ここが日本であり、失われた幻想郷であるからなのだろう。
いつか四季すらも幻想になり――
ふと浮かび上がった考えを、頭を振り払って打ち消した。そのようなことが、あるはずもない。あってはならないことだと、そう思った。
「寒さが」
ちゃり、と刀の鞘が鳴る音と共に、声が届いた。見れば、声の主が腰を浮かせて、一歩こちらと歩いてきた。腰にさした二刀は妖の品。その柄に手をかけたまま、
「身に染みますな、店主」
彼は。
魂魄妖忌は、僕の横に腰を落とした。囲炉裏を囲むように。
僕は何も答えずに、囲炉裏の中の火をかき回した。火がなければ、既に夜をこせないくらいに寒さはしのび寄ってきている。いちいち火を面倒を見ずともすむような物が、外の世界から流れてこないものかと思った。
和服の奥に見える、歳と共に成熟された肉体から視線をそらしつつ、僕は火掻き棒を回した。そうすることで、自らの精神を落ち着かせようとしたのだ。
ぱちり。
ぱちり。
火が弾ける。感情のように。
「冬が――」彼の方を見ないまま、僕は続けた。「来ているのでしょう」
――ぱちり。
一際大きく火が弾けた。途切れた会話の間に、焔が入り込む。囲炉裏から伝わる暖気は、けれど吹き込む冷気に押しやられてしまう。
窓を閉めよう、とは、僕も彼も言わなかった。
閉ざされてしまうことを畏れたのかもしれない。
密室。
閉じた箱の中で何が行われているのかは、開けるまではわからない。
「今日は――何をお求めですか」
沈黙に耐え切れずに、僕は顔を上げて彼の顔を見た。歳を経てもなお――いや、齢を重ねることによって精悍になった彼の顔は、真っ直ぐに僕を見ていた。常人には持ち得ない、瑠璃のような瞳と、目があう。水晶球はくるりと僕を映し出していて、
中身まで、
すべて、
見透かされそうになる。
彼はすぐには答えなかった。じっと、ただ何も言わずにじっと、僕を見つめていた。夜更けにやってきた彼。いくら彼が白玉楼の住人といえど、時差があるわけがない。ただの品物を買うためにきたわけではないことは一目瞭然だった。
夜の訪問。
初めてではない――そして初めてではないからこそ、こうまでも緊張しているのだ。
期待と共に。
彼は。
魂魄妖忌は、白い顎鬚を掌でなぞりながら、僅かに照れたように言った。
「親と子ほど歳の離れた貴殿に懸想するなど――滑稽だと、そう笑われるのだろうな」
「誰が笑うものですか」
僕は即答した。
彼のために。
自身のために。
「僕も、貴方も――歳など、最早何の意味もないでしょう」
「そうで、あったな」
深く。
深く頷くように、彼は答えた。
僕も彼も、見た目どおりの歳ではない。否、見た目どおりの存在ですらない。既に人の摂理すら外れてしまっている。
外れたところで、生きている。
そう――
弾幕で遊ぶ少女同士に時折愛が芽生えるように、きっと同じように――
「…………」
無言のまま、彼が帯をゆるめた。はだけた着物の向こうに、彼の鍛え上げた胸板が見えた。老人だというのに、その肌にはしなやかさと生命の色が色強く出ている。店内にこもりきりの僕の白い肌とは対照的で、その肌から目を逸らすことができない。
「春を売れなどと申す気はない。ただ――」
言いかけた彼の言葉をさえぎって。
僕は彼の頬に手を伸ばした。掌に、伸ばしたひげの感触が伝わる。む、と黙り込んだ彼の顔を、その手で引き寄せた。
むせ返るような、漢の匂いがした。鍛え上げた漢の匂い。
獣の匂い。
獣性すら感じられる――男の存在感。
唇をあわせたのはわずかな間だった。かさついた唇の感触が、すぐに離れていく。触れた手の向こうに頑強な顎骨を感じた。
目を丸くする妖忌の顔が、間近で見える。
彼の綺麗な瞳がそこにある。
瞳に映る僕の顔は、わずかに蒸気しているように見えた。
「温もりを――買いましょう」
そうして僕は、もう一度唇を、
斬新にもほどがあるぜ…
あざーっした。
連打させていただく事をお許しいただきたいwwwwwwwwwwwwwww
そのネタは一番イケナイ・ニオイがしますっ!!www
間違いない貴方は世界を狙える。
寒い時代とは思わんかね・・・?アッー・・・
盛大に吹いたwwwwwwwwwwww
薔薇臭だった
げっふげふぼえぇっぇぇ
素直に納得したくない自分がいるwww
おれはそれを無視してしまった・・・ッ!
タイトルの魔力が、疑問を無視させた!俺にスクロールさせたっ!!
作者の手の上だっ・・!!完全にっ・・・・!!!!
どうしよう…
壮絶にワロタwwwww