「ゆうめーきゅーぶんじ。」
「……どうしましたか、幽々子様?」
「ゆうめーきゅーぶんじそーめー……」
「ぐもんじです。」
「ああ、そうそう。」
「……」
「妖夢が二人になるのよね。」
「まあ、はい。」
「あれってどうしてるの?」
「そうですね。
幽明求聞持聡明の法とは、半霊を持つ者のみが使える、魂魄家に伝わる奥義です。
手順としましては、まずは半霊との気を同調させ……」
「長いわ。」
「……申し訳ありません。」
「もっと手短に。」
「は、はい。
ええっと、なんて言えばいいのかな?
つまり、その……」
「うんうん。」
「……私が二人になるんです。」
「ふーん。」
「枝の剪定に戻ってもよろしいでしょうか?」
「だめよ。」
「……はい。」
「剣の稽古をしましょう、妖夢。」
「……!
ええ、やりましょう!
ようやく修行を始める気になって頂けたのですね。
これで私も魂魄家の本懐を……」
「早く始めましょうよ。」
「あ、すみません。
では、模擬刀をお持ちください。
まずは素振りから指南させていただきます。」
「ええー、そんなことしても、私、力が強くなったりしないわよ。」
「なにも筋力を高めることだけが素振りの目的ではありません。
より正確で俊敏な牙突を身につけるためには、素振りが最も効果的なのです。」
「……」
「闇雲に実戦形式の訓練を繰り返すだけでは、剣の型は……」
「めーん。」
「きゃあっ!
な、なにするんですかっ!?」
「私のかちー。」
「ちょっと、今のは……」
「修行が足りないわ、妖夢。
せーかくでしゅんびんながとつも当たらなければ意味がないのよ。」
「……!
失礼しました。
修行中の身でありながら、剣の道を語るとは。
不肖、魂魄妖夢、思い上がりも甚だしい。」
「そうよ。
じゃあ、素振りはやめて試合しましょう。」
「し、しかし、正しい剣の型を学んでからでないと……」
「じゃあ、三本勝負ね。
妖夢は手加減しないとだめよ。」
「……はい。」
「じゃあいくわよー。」
「はい。では、参ります!」
「あーーーーーーっ!」
「い、いかがなさいました?」
「今日はわらび餅が食べたいんだったわ。」
「は?」
「妖夢に頼もうと思ってたのに、なんか忘れてたじゃない。
妖夢がゆーめーきゅうぶん何とかがどうのこうのと言い出すからよ。」
「ええっ!?
あれは幽々子様が……」
「だめでしょ、気をつけないと。」
「……申し訳ありません。」
「じゃあ、里まで行って買ってきて。
私は家で待ってるから、早くしてね。」
「お、お待ちください。
朝、今日中に庭の手入れを済ますようにとお命じになったではありませんか!」
「そうだっけ?
じゃ、それもやっといて。」
「そんな無茶な!
手入れだけでも、寅の刻までかかるんですよ!?」
「あら、それはいけないわね。」
「え、ええ。
それでは、わらび餅はどうかご辛抱して……」
「庭の手入れは今日中にすませなきゃだめよ?
子の刻までに終わらせなさい。」
「……!
ひ、非道いです、幽々子様!
白玉楼の庭がどれだけ広いと思ってるんですか!
そもそも時間の制限になんの意味が……」
「じゃあ、お使いよろしくねー。」
「ああっ!?
ちょっと待って、幽々子様ーー!
…………
……映姫様。
私の善行とは、かくも過酷なものなのですか……?」
「……どうしましたか、幽々子様?」
「ゆうめーきゅーぶんじそーめー……」
「ぐもんじです。」
「ああ、そうそう。」
「……」
「妖夢が二人になるのよね。」
「まあ、はい。」
「あれってどうしてるの?」
「そうですね。
幽明求聞持聡明の法とは、半霊を持つ者のみが使える、魂魄家に伝わる奥義です。
手順としましては、まずは半霊との気を同調させ……」
「長いわ。」
「……申し訳ありません。」
「もっと手短に。」
「は、はい。
ええっと、なんて言えばいいのかな?
つまり、その……」
「うんうん。」
「……私が二人になるんです。」
「ふーん。」
「枝の剪定に戻ってもよろしいでしょうか?」
「だめよ。」
「……はい。」
「剣の稽古をしましょう、妖夢。」
「……!
ええ、やりましょう!
ようやく修行を始める気になって頂けたのですね。
これで私も魂魄家の本懐を……」
「早く始めましょうよ。」
「あ、すみません。
では、模擬刀をお持ちください。
まずは素振りから指南させていただきます。」
「ええー、そんなことしても、私、力が強くなったりしないわよ。」
「なにも筋力を高めることだけが素振りの目的ではありません。
より正確で俊敏な牙突を身につけるためには、素振りが最も効果的なのです。」
「……」
「闇雲に実戦形式の訓練を繰り返すだけでは、剣の型は……」
「めーん。」
「きゃあっ!
な、なにするんですかっ!?」
「私のかちー。」
「ちょっと、今のは……」
「修行が足りないわ、妖夢。
せーかくでしゅんびんながとつも当たらなければ意味がないのよ。」
「……!
失礼しました。
修行中の身でありながら、剣の道を語るとは。
不肖、魂魄妖夢、思い上がりも甚だしい。」
「そうよ。
じゃあ、素振りはやめて試合しましょう。」
「し、しかし、正しい剣の型を学んでからでないと……」
「じゃあ、三本勝負ね。
妖夢は手加減しないとだめよ。」
「……はい。」
「じゃあいくわよー。」
「はい。では、参ります!」
「あーーーーーーっ!」
「い、いかがなさいました?」
「今日はわらび餅が食べたいんだったわ。」
「は?」
「妖夢に頼もうと思ってたのに、なんか忘れてたじゃない。
妖夢がゆーめーきゅうぶん何とかがどうのこうのと言い出すからよ。」
「ええっ!?
あれは幽々子様が……」
「だめでしょ、気をつけないと。」
「……申し訳ありません。」
「じゃあ、里まで行って買ってきて。
私は家で待ってるから、早くしてね。」
「お、お待ちください。
朝、今日中に庭の手入れを済ますようにとお命じになったではありませんか!」
「そうだっけ?
じゃ、それもやっといて。」
「そんな無茶な!
手入れだけでも、寅の刻までかかるんですよ!?」
「あら、それはいけないわね。」
「え、ええ。
それでは、わらび餅はどうかご辛抱して……」
「庭の手入れは今日中にすませなきゃだめよ?
子の刻までに終わらせなさい。」
「……!
ひ、非道いです、幽々子様!
白玉楼の庭がどれだけ広いと思ってるんですか!
そもそも時間の制限になんの意味が……」
「じゃあ、お使いよろしくねー。」
「ああっ!?
ちょっと待って、幽々子様ーー!
…………
……映姫様。
私の善行とは、かくも過酷なものなのですか……?」