Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ねこと私

2007/06/04 05:46:24
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~~  ねこと私  ~~~






ぽかぽか陽気の暖かい日。
私は人間の里へ散歩に出かけた。

里を歩いていると、木陰に1匹のねこを見かけた。
小柄ながらも、しっかりとした感じの猫だ。
ぐっすりと寝ついて、気持ちが良さそうだ。
よし、誘ってみるか。
私は腰を落とし、ねこと同じ目線になる。

「おい、お前!私の家に来てみないか?」

猫は眠たげな顔を上げ、不思議そうな顔をして、こっちを見ている。
かわいいやつめ。

「なに、悪いことはしない。単にお前と友達になりたいだけだ」

猫は私の鼻とくっつきそうなくらいに顔を近づける。
ここは目をじっと見つめるしかない。
この方法が今までで一番成功した。

この前誘ったねこの場合、握手をしようとして手を出したら引っかかれた。
その一つ前のねこの場合、頭をなでようとして手を出したら引っかかれた。
先に手を出した方が負けだ。

じーっと見つめていると、目の前の猫がうんと頷いたように見えた。
よし、成功だ。
ここまでくればもう大丈夫。手を出しても引っかかれることはない。
両手を相手の脇の下に添えて、高く持ち上げてやる。

「よし、今日からお前は私の友達だ。
 名前は・・えーっと・・・クコ!クコだ!」

クコの花の小さいながらもしっかりとした雰囲気が、この子に似ている気がしたからだ。

「よっしゃ!さっそく私たちの家に行こう。」

そして私は、クコを抱えて、私とクコの屋敷へ向かう。





クコは屋敷につくと、背伸びをして、あくびをして、横になって、寝てしまった。
まるで、先ほどの夢の続きを見ているかのようだ。

「せっかく屋敷に連れてきたのに、これかぁ。
 私より夢のほうがいいのかな。はぁ・・・。」

そこまで眠いのを起こすわけにはいかないので、私もクコの隣に横になる。
今日の陽気は暖かく、昼寝には打って付けだろう。
このような天気につい、私もうとうとしてしまった。

気がつくと、目の前にはクコの顔があった。
クコはそのまま顔を近づけ、頬ずりしてくる。

「はは。くすぐったいよクコ。
 はいはい、ごめんね。お待たせしました。」

私はクコを抱いて、体を起こす。

「よし!まずはお手から始めようか。」





あれから、3日ほどたった。
クコとは、だいぶ仲良くなった気がする。
お手もおかわりもできるようになった。
お師匠様にもクコは気に入られて、だいぶ可愛がってもらっている。

今日はクコと人間の散歩に出かける。
お師匠様も一緒だ。

今日もぽかぽかした陽気で散歩日和。
私の隣をゆっくりとついてくるクコも気持ちよさそうだ。

「クコはどこか行きたいところはある?」

クコはうなずいて、私の少し先を歩いた。
少しの時間、里の中を歩いた。
着いたのは私たちが初めて出会った、あの木陰だった。
ちょうど日が上がってきて、気温も高くなってきたところだ。

「少し休憩しようか?師匠もそれでいいですか?」

お師匠様は微笑み、うなずいた。
クコはすでに横になって昼寝に入っている。
私がお師匠様と話していると、すると私たちに話しかけてくる人間がいた。

「あら、ボタン!ボタンだわ!」

人間の驚く顔がそこにはあった。
私の服には確かにボタンは付いているが、そんなに言うほど珍しいものでもないだろう。
人間の視線の先は、私のボタンではなく、クコを見ている。

「あの・・すみません。いきなり大声を上げてしまって。
 そちらの猫なんですが・・・。」
「ええ、この子がどうかしたのかしら?」





事情は飲み込めた。
人間は、昔から猫を飼っていて、つい1週間ほど前から家に帰ってこなかった。
里のどこを探しても見つからず、亡くなってしまったのかと猫のことを諦めかけていた。
最後によく一緒に散歩したこの木陰まで足を運んだわけだ。

「そうか、お前にはご主人様がいたのか。」

クコは眠たげに目を覚ました。
すると、ゆっくりと人間の方に歩いていき、足に頬ずりした。
まぁ、しょうがないか。

「ボタンがご迷惑をおかけしました。よければまた遊んでやってくれませんか?」
「ええ、もちろん。」

人間は会釈をし、クコと共にゆっくりと歩いていった。
一生会えなくなるわけじゃないけど、なんだか寂しい。
クコは私のこと、どう思っていたのかな。

そう考えていると、師匠は私を抱き寄せ、頭をなでなでしてくれた。
少し、嬉しい。
お師匠様の胸の中で、私はつぶやいた。

「あーあ、やっぱり橙はすごいな。たくさんのねこと友達になれるんだもん。
 私には無理なのかな。」
「そんなことないわ。ちゃんとクコは、あなたになついていたじゃない。」

「そうかな。」
「ええ、そうだわ。」

お師匠様はいつだってやさしい。
すると、お師匠様はこういった。

「あなたは人間を幸運にできる能力がある。
 いつか、その幸せがその分自分に巡ってくるわ。
 その証拠に、あなたはすでにその幸せをクコからたくさんもらっているじゃない。」

そう言われると、そんな気がする。
気づくと悲しい気持ちは、どこかに飛んでいた。




私は、因幡てゐ。
健康第一の妖怪兎だ。
屋敷には蓬莱人が2人、月の兎が1人、兎がたくさん住んでいる。

けれど、そんな屋敷に時たま、ねこが遊びに来る。
クコの花のように小さいけど、しっかりとした雰囲気がするねこだ。

「ねぇ、クコ。私たちって、友達だよね?」

そう呼ばれたねこは、あくびをしてそのまま私の隣で丸くなった。

一方、橙は兎と友達となろうとした。

「ねぇ、紫さま!兎ってどこに住んでいるの?」
「あそこよ。」

扇子で指された先は、うさ耳のカチューシャをつけた藍の姿があった。
すこっち
コメント



1.ルエ削除
藍様、はやまってはいけません
橙が泣きます