Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

禁止漁法と愛の粥

2007/06/02 07:11:16
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 湖のほとりからこんにちは。
 わたくし、紅魔館で働くメイドでございます。

 幻想郷も初夏を迎え、冷水に触れるのも心地良い時節になってまいりました。
 こうして水辺でお洗濯をするのも苦にならず、結構な事ですわ。



 ――さて。
 今わたくしが従事しているのは、ただのお洗濯ではございません。
 なにを隠そう、これは洗濯の請負業務――いわゆるクリーニング業なのでございます。

 昨今、幻想郷に住まう諸々の人妖たちも社交的になってまいりまして、蒲焼きの屋台だの月の博覧会だのと、様々な商売やイベントがそこかしこで行われている様子。
 そこで我らがお嬢様、「うちもなにか商売を始めてみろ」と、まあ例によって例のごとく、気まぐれな鶴の一声をおかけになりまして。それならばと我らメイドに白羽の矢が立った次第でございます。

 言うまでもなく洗濯というものは、掃除炊事と並ぶ日々の大切なお仕事。館の雑務を担うメイドはすなわち洗濯のプロでもあると申せましょう。
 とりわけ、食事中に血をおこぼしになる事も多いお嬢様にお仕えする我ら。そのシミ抜きのテクは幻想郷に比類なきものと自負しておりますわ。






 さてさて。

 口上はこのくらいにいたしまして、お仕事に戻りましょう。
 次のお預かり物は、純白のドロワーズでございます。
 空飛ぶ少女を冷えとパパラッチから守る、心強い味方ですわ。

 いざ、プロの業で洗い上げます。紅は紅に。白は白に。
 ふんっ! ふんっ!



 あら?
 ドロワーズの中になにか入ってますわ。



 これは、小鬼……の、キーホルダーかしら? 鎖がついてますし。
 飾りの小物にしては、顔つきがいささか下品に見えますけれど。

 はて、これは果たして間違いで紛れ込んだものでしょうか。あるいはこれもまた依頼の品なのでしょうか。
 うーん、なんだかお酒臭い気もしますし、洗ってしまいましょうか。ふんっ! ふんっ!

 よし、と。綺麗になりましたわ。
 さあさあ、次にまいりましょう。






 む、これはまた……珍奇な品の登場でございます。
 大きさは二尺足らず。笹の葉のような形の、一方が先細りになった布――いや、これは布なのかしら?
 うーん、なんとも経験のない感触。
 しかも、それが二つ。対になっているのでしょうか。
 衣服の類には違いないと見受けますが、一体これはどう身に着けるものなのやら。

 ふむ。
 まあ、わたくしのお仕事は鑑定ではございませんし。
 気にならないといえば嘘になりますが、なんであれ、まずは洗うとしま



「月 兎 幻 朧 光 波(ルナティックバルス)ッ!!!」



 うあー。

 目がー。目がー。



「まったく、てゐったら勝手に持ち出して……ブツブツ……」









 ――はっ?

 わたくしはなにをしていたのでしょう。
 なにか変わった物を手にしていたような、それから急に眩暈がしたような……うーん。

 ま、思い出せないということは大した問題ではありませんわね。
 気にせずお仕事を続けましょう。

 次は、






 ――――……。






 えー……、






 リボン。






 を着けた女の子が洗濯籠の中からこちらを見つめております。



 ――えっ、なになに?

 ほほう、何故かは知らないけどリボンが外せない?
 ははあ、それで洗濯ができないから自分ごと洗って欲しい?
 なるほど、なるほど。
 確かによく見ればこのリボン、なにやら不思議な力が込められている模様。

 そういう事なら是非もなし。受けて立ちますプロとして。
 さあさあ、脱げる服は脱いで、脱いで。
 ふんっ! ふんっ!

 あら?
 このリボン、わたくしには簡単に外せ――



 るようですが、まあ外さずにおきましょう。きゅっ、と。
 この子も嬉しそうに洗われてくれてますしね。



 リボンも体もさっぱりと。
 少女は笑顔で手を振り振り帰っていきました。






 さてさて、次の洗濯物が本日のラストでございますよ。

 ――ふむ、これはまた可愛らしい。

 紅と黒を基調にした、子供用のドレスのような服。
 サイズ的にもデザイン的にも、お嬢様に着せてみたくなりますわね。
 随所に散らされた花飾りがまた――あら? これ飾りじゃなくて本物の鈴蘭だわ。
 この服の持ち主はお花畑の住人なのでしょうか。

 なにはともあれ洗います。ええ洗いますとも。
 ふんっ! ふんっ!



 あら?
 服を洗っていると、湖の魚があたりにぷかぷかと浮いてまいりました。
 これはどうした事か。もしや天の恵みでありましょうか。

 せっかくなので、魚を獲ることにいたしました。
 これは今夜のメイドたちのまかないに使いましょう。
 これだけあれば、きっとかなりの人数に行き渡りますわ。






 ――よし、と。
 本日のお洗濯、これにて完了でございます。

 わたくし、この仕事が気に入っておりますわ。
 警備や門番の任務と違って、危険と隣り合わせということもありませんし。

 皆様も御用がおありの際は、是非に我が紅魔クリーニングをご利用くださいませね。
 うふ。


















 ――この日の夜から翌朝にかけ、紅魔館のメイドの半数が、


「咲夜さん、中華粥作ってきましたよー」
「……ああ、ありがと。美鈴」
「気分はどうですか」
「そこそこ、ましになってきたわ……」
「よかった。できたら起きて、栄養もつけてくださいね」
「ん、しょっ……と。それにしてもあなたは頑丈よね。私と同じ物食べたはずなのに」
「あはは、それだけが取り柄ですから。――それじゃ咲夜さん、お粥食べられますか」
「……えっ?」
「お粥、自分で食べられますか?」

 ――――――――――――…………。

「無理」
「なんですか今の間は」



今作のコンセプト:隙あらばさくめー(ぇ
監督
コメント



1.卯月由羽削除
西瓜なにをやってるだァ―――――!!とか
るーみゃに和んだとか言いたいことは色々あるがとりあえず

( ゚∀゚)o彡゜さくめー!さくめー!
2.nama-hane削除
後書きめ!後書きめ!
場の空気を一気に甘くしてしまうなんて!w
3.名無し妖怪削除
萃香(洗浄後)は酒気どころか生気まで抜けてそうな予感
にしても禁止漁法ってそういう事かッ
4.ムク削除
一日に何度死亡フラグ通ってんだw
5.名無し妖怪削除
メディスン食中毒w
6.名無し妖怪削除
気合の入った掛け声がなんかツボりましたw
7.ルエ削除
しかし食中毒でよかった
るみゃのリボンは幻想郷の危機
8.名無し妖怪削除
役立たずの妖精でも洗濯ぐらいはできるよね きっと
9.はむすた削除
死亡フラグ回避しすぎw
10.じょにーず削除
( ゚∀゚)o彡゜さくめー!さくめー!
11.削除
やべえ、何だかこの妖精メイド凶悪な破壊力だ。
12.削除
( ゚∀゚)o彡゜さくめー!さくめー!
13.名無し妖怪削除
洗濯籠から見つめ返するみゃを夢想して鼻血出た
( ゚∀゚)o彡゜さくめー!さくめー!
14.名無し妖怪削除
大漁らめええええええ
15.deso削除
良い仕事してますなぁw
16.名無し妖怪削除
すげぇわ、このメイドさん。回避力高ぇw
17.名前が無い程度の能力削除
よし。せっかくだから私が月兎の洗濯物につっこんどきますね。
鈴仙それ取り外しできるのん?w