「あら、お寝えさま」
フランがおゆうぎ室へ出てくると、レミリアが眠っていました。
シエスタです。
お気に入りの大きなクッションに抱きついて、気持良さそうに寝入っています。
「むふふ、ぐっすりねむってるわあ。よだれたらしちゃってる。可愛いいなあ」
普段よく見ているお姉さんのお顔でも、こういうのはなごみます。
思わずフランはにやにやしてしまいました。
「ふふふ、そして私の手の中にはー、偶然一本のマジックがあったのだー!」
そう言って、フランはマジックを高く掲げました。
もちろん、誰も見ていません。
ひとり芝居です。
レミリアはお腹を出して寝ていました。
フランは指先でレミリアの白いお腹をちょんとつつきます。
ふにゃふにゃふにゃ、レミリアは寝返りをうちました。
羽根がぴこっと動きます。
「こんだけぐっすり寝られてちゃあ、落書きしないわけにはいかないでしょ」
「かいぜる、かいぜる、げっこうちょー、おひげがぴょん、と」
フランはマジックを握って、レミリアのお顔に瀟洒なおひげを描きました。
「ぷぷぷ、ツェペシュのおじ様みたいになっちゃった。りっぱねー。これでお姉さまのカリスマも15%増量ね」
フランは、得意げにおひげの描かれたお姉さんのお顔を眺めます。
「われながらよいでき……あー、一仕事終えたら、眠くなってきちゃったー。私もお昼寝しようっと」
フランはレミリアのとなりに寝ころびました。
レミリアと同じクッションに抱きつきます。
「わー、お姉さま、あったかいわあ……すやすや」
すぐに眠ってしまいました。
むくり。
しばらくして、レミリアは目を覚ましました。
寝起きなので、ぼーっとしています。
目をこすります。
ふと、自分が寝ていた場所の隣を眺めます。
「あら、フラン」
「くすくす。ぐっすりねむってるのねえ。鼻ちょうちんなんかふくらましちゃって」
「フフフ、そして偶然ここにー、一本のマジックがあったのでしたー!」
レミリアは、指先でフランのほっぺをつついてみました。
ふにゅふにゅふにゅ、フランは寝返りをうちました。
「可愛いわあ。こんだけぐっすり寝られてちゃあ、落書きしないわけにはいかないわね」
「すらすらすら、りょうつかんきち、と」
レミリアはマジックを使って、フランのお顔にこじゃれた太まゆげを描きました。
「われながらよいでき……あー、一仕事終えたら、また眠くなってきちゃったわね。もう一回寝ようっと」
またクッションに抱きつきます。
「わー、フラン、あったかいわ……すやすや」
またすぐにレミリアは眠ってしまいました。
「レミリア様ー、フランドール様ー、三時のおやつの時間ですよー!」
しばらくして、階段の下から咲夜の呼ぶ声が聞こえました。
「「あ、さくやだー! わー、おやつ、おやつ!」」
聞きつけた二人は、飛び起きておやつのある場所まで急ぎます。
吸血鬼まっしぐら。ぺティグリーな香りが下の階に漂います。
「うわあ、いいにおい!」
「おやつ、おやつ」
「さくやー、今日のおやつは何?」
咲夜の前にレミリアとフランドールがやってきました。
「今日のおやつはハクタクの……」
二人のお顔を見て、咲夜の時がちょっとだけ止まりました。
目の前に現れたのは、立派なカイゼルひげをお付けになったお嬢様と、まゆげのつながった妹様です。
「…お二人とも、ご立派で」
「? 何言ってるのか分からないけど、まあ真祖だからね」
レミリアはそう答えました。
「そうよ、私たちは夜の帝王。ご立派なんだから!」
そう言って、フランは胸をはりました。
自分は何でここで働いているんだろう。
咲夜は、ちょっとだけそう考えました。
そのあと、二人は出されたおやつにむしゃぶりつきました。
もぐもぐもぐ。
がつがつがつ。
どうやら二人は、お互いに落書きしあったことは覚えていないようです。
ひと眠りした後だし、吸血鬼は脳みそが無いから、きっと忘れてしまったんでしょうね。
「「ブハァァァァッ!!」」
でも食べている途中で、お互いのお顔をまた見てしまったので、盛大に吹き出してしまいました。
十分後、お屋敷は爆発して、みんなの頭がアフロになりました。
おしまい。
お寝えさま→お姉さま
昨夜は、ちょっとだけそう考えました。→咲夜は、ちょっとだけそう考えました。
スカしまいは
かわいい
な
ごめんなさい、これはシャレのつもりで書いたんです。
>昨夜は、ちょっとだけそう考えました。→咲夜は、ちょっとだけそう考えました。
これは誤字です。ありがとうございました。
姉妹だからやる事も似通ってるんだろうな。
姉妹で一緒に寝ている姿は想像すると心が温まりまする。
このほのぼの具合が実にいいですねww
急激な変化にとても肺と腹筋が耐えられません。
おむかえでごんす。むきゅー。
てっきりおなかの方に書くかと思いました