私が目を覚ますと、もう既に春は来ていた。
これはいつものことなのだが、今回は2つ、いつもとは違う事態が起きていた。
1つは幽々子から冥界の境界の補修を頼まれたこと。
そしてもう1つ、私の式神、藍が怪我を負っていたのだ。
私が問いただすと、ただ一言
「人間に負けました」
と言った。
おかしなこともあるものだ。いくら式神であるとはいえ、“私の”式神だ。そんじょそこらの妖怪よりも遥かに強い。
なのに、人間に負けた・・・
私は自分が震えているのに気づいた。これは恐怖?いえ、きっと武者震い。
久しくそのような感情を忘れていた私は・・・私は、嬉しかったのだろうか・・・
そう、きっと嬉しかったのだろう。藍を打ち負かすというほどの人間、よほどの強さなのだろう。
ああ、だめだ、興奮しすぎると開かなくていい隙間が開いてしまう・・・気をつけなければいけない。
是非、その人間に会ってみたい。ああ、一体どんな人間なのだろう・・・
男なのだろうか、女なのだろうか、身長はどのくらいなのだろうか、顔は?髪は?・・・・・・・・・・
だめだ・・・また興奮してしまった。私の周りでいくつもの隙間が開いている。
少し落ち着かなければ。あまり興奮するとマヨイガごと隙間の中に消してしまうかもしれない。
でも、やはりその人間のことを考えるとわれを忘れてしまう。
藍が言うには、その人間はまた来ると言っていたらしい。と、いうことは冥界の境界を直していればいつかは会えるのだろう。
その時が楽しみでしょうがない・・・もしその人間に会えたらどうしようか・・・
取りあえず八つ裂きにしてみようか・・・きっといい声で鳴くに違いない・・・
いや、それともじわじわと弾幕で体を傷つけてみようか・・・きっと最後には脅えた目で命乞いをするだろう・・・それとも・・・
ああ、あああ、ああああ・・・駄目、考えるだけで涎が垂れてくる・・・どうしようか・・・
やはり食べてしまうのが一番なのだろうか・・・美味しいだろう・・・とても美味しいのだろう・・・
決めた、最後は結界に閉じ込めてそれからじっくりと食べよう・・・
私が藍からその人間のことを聞いたその日の晩、私が冥界の境界を修復していると、大きな霊力がこちらへむかって飛んでくるのに気づいた。
・・・きっとこの霊力が藍の言っていた人間なのだろう・・・ああ、なんて大きな・・・
早く来なさい・・・そう、こっちよ・・・
藍の妖力が消えた。恐らくは人間に墜とされたのだろう。
・・・もう、すぐそこよ・・・早く・・・早く・・・
そうして、現れたのは、紅白の衣装を着込んだ若い女だった。
・・・そう、この子が・・・
「そろそろ本命がでてこないかしら?」
・・・やはり私を探しているようだ。
「でてきましょうか?」
・・・ああ、興奮が抑えきれない・・・私はちゃんと冷静に話しているように見えるだろうか・・・
「・・・悪いのは、あなたよ・・・超えぬべき境界を超えてしまったのは・・・あなたなのだから・・・」
「え、何か言った?」
「いいえ、何も?それよりもあなた、博麗のおめでたい人じゃない?」
こうして、私は・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・
・
Continue to Phantasm….
とても良かったんですが、どうしても違和感がこの一点に集中してしまいます。紫が博麗の強さを知らない、または霊夢以前の十二代の博麗の巫女はみな藍よりも弱かった、という感じになってしまってなんだか妙です。
けれど、カギさんのFLASHとイオシスさんの曲のあれに近い雰囲気は出ていたと思います。ゆかりんかわいいよ!よだりんこわいいよ!
そうですね・・・言われると確かに何箇所か矛盾するような箇所があります・・
もっと設定を細かく考えなければ駄目だ、ということを痛感しました。
これからの作品に生かしていきたいと思います。
コメントありがとうございました。m(_ _)m
これからも頑張ってよだりんを書き続けますw(ぇ